第8話 結束する国々
あれから2ヵ月後、メルファリアの各国に向かった使者達が帰ってきたらしい。
当初の予想通り、ホルデイン王国とエルソード王国は同盟を承諾した。
しかし驚いたことに、ネツァワル王国もこの同盟を承諾したのだ。
ちょうど魔物達との戦闘中だったゲブランド帝国は返事を保留したらしい。
これでメルファリアの5カ国の内、4カ国が一致団結して魔物達と戦う事になった。
しかし1ヵ月後、今度はゲブランド帝国から使者が来た。
何の使者かと思うと、なんと同盟を承諾するという事だった。
べ「ゲブランド帝国軍が危機に陥った時、ホルデイン王国軍が救援に来たそうです。
さすがのゲブランド帝国も、自国だけでは魔物達と戦えないと解ったのでしょう。」
沙「これで、メルファリアの5カ国全てが同盟を結んだ事になるね。
もしかすると、この同盟によって世界は平和になるかもね。」
べ「そうなる為にはまず、魔物達に勝たなくてはいけません。
いえ、勝つしかないのです!」
私はベルと二人でフレイヤ王の居るシルヴァン城に向かっていた。
あのロケットの秘密を聞きに行く為だ。
シルヴァン城に着くと、フレイヤ王の部屋に通された。
フ「シルヴァン城へようこそ。
カセドリア史上2人目の10代でフィフス就任者の沙羅とグリュンベルク王。」
フレイヤ王の胸元には、あの日のロケットが見えた。
べ「来て早々で申し訳ないのですが、そのロケットの話を聞かせてもらえませんか?」
沙「あの時、あれ程カセドリアに敵意を剥き出しにしていたフレイヤ王の心を変えた物。
とても大事な何かが入ってると思います。」
フレイヤ王はロケットを開けて、中の写真を見せてくれた。
写真は2枚あり、片方は笑ってる少年で、もう片方も同じく笑っている少女だった。
沙「この写真はいったい?」
フ「これは、幼い頃の私と幼馴染の写真よ。」
そう言うと、フレイヤ王は遠くを見るような目になった。
フ「あれはカセドリアがまだゲブランド帝国の支配下だった頃ね。
あの頃の私は病弱で、自然の豊かなこの地に療養にきてたの。
ある日、部屋の窓を開けて外を見ると、子ども達が遊んでるのが見えたわ。
その中の一人が私に気付いて手を振ってきてね、一緒に遊ぼうって言ったの。
私は驚いて隠れてしまったわ。
その翌日も外からは子ども達の笑い声とかが聞こえて、また私は外を見たわ。
すると今度は、子ども達全員が私に手を振って一緒に遊ぼうって言ってきたの。」
そこでフレイヤ王の言葉は止まった。
べ「つまり、その子ども達の中に居た少年の一人がその写真の少年なんですね?」
フ「そうよ。あの後しばらくして、カセドリアが独立戦争を起こした。
私の家はゲブランド帝国の貴族だったから、真っ先に狙われたわ。
でも寸での所で彼に救われたの。」
沙「その少年は、云わばフレイヤ王の命の恩人なんですね。」
フ「そうなるわね。そのお礼に、私はこのロケットを彼に渡したの。
彼はこんな物は要らないと言ったけど、私は強引に押し付けたわ。
そしてこう言ったの、貴方が困った時にこれを返してくれれば良い。
その時は私が貴方の力になるって。」
だからスモーキーさんはロケットを渡せば良いって言ったんだね。
べ「もしかして、その少年の名前はスモーキーではありませんか?」
まるで確信したかのようにベルはスモーキーさんの名前を出した。
しかしフレイヤ王はそれを聞いて笑った。
フ「スモーキー?残念ね、彼はスモーキーって名前じゃないわ。」
沙「それじゃ、何て名前だったんですか?」
そこでフレイヤ王はまた笑った。
フ「それがね、私も本名は知らないの。でも皆でブルー、ブルーって呼んでたわ。」
べ「ブルー…ですか。」
ブルー…、ユグドラさんやアトラクナクアがスモーキーさんを呼ぶ時に言う言葉だね。
それにしても、スモーキーさんの本名がブルーなのかそれとも…。
フ「でもこのロケットを貴方が持ってきたって事は、貴方は彼に会ってるはずよ。
恩人って言ってた気がするけど、貴方も彼に救われたの?」
沙「よく分かりませんけど、多分そうだと思います。
ただ、ブルーと呼ばれてる人なら知ってます。」
私の返事に、フレイヤ王は怪訝な顔をした。
フ「私がこのロケットを受け取った時、一人の兵士が見えたわ。
顔に傷とかがあったけど、あれはブルーだったわ。」
私たちは少しして、シルヴァン城を後にした。
数日後、5カ国の動きを察知したのか、中央大陸の魔物達が集結し始めたという情報が入った。
これに対し、各国も中央大陸へ侵攻する準備を開始した。
ついに人間対魔物との本格的な闘いが始まるんだね。
そんな時、ベルが私を呼んだ。
城に着くなり、いきなり私に言った。
べ「今度の闘いには、私も出陣します!」
私はあまりに突然過ぎて何の反応も示せなかった。
べ「人々が結束して戦おうとしているのに、王が玉座に鎮座していては兵に示しがつきません。
だから私も今度の戦いに参加します。」
確かに兵士達が結束していても、王が動かないのでは話にならないからね。
しかしベルはここ数年、戦場には立っていない。
私はそれが気がかりだった。
沙「確かに良い考えたと思うけども、大丈夫なの?」
べ「確かに危険なのは解っています。しかし今は、一兵でも多く居た方が良いはずです。」
どうやらベルの意思は固いらしい。
私はベルが最前線に行かないという条件で、それを承諾した。
それから数日後、ついにエスセティア大陸に侵攻する事となった。
魔物達はエスセティア大陸中央部の
始まりの大地を中心に集まっているらしい。
カセドリアはまずシディット水域から攻めることとなった。
シディット水域に到着すると、魔物達が続々と現れた。
テ「平和な世界の為に、聖女王の名において、この地に宣戦布告をいたします。
……命を粗末にはしないでください。」
ウ「カセドリアの戦士たちよ、敵を蹴散らし連合王国の力を見せつけるのだ。」
「「オーッ!!」」
沙「行くよ、佐紀!」
佐「うん!」
聖女王ティファリス様の宣戦布告により、魔物たちとの戦闘が開始した。
この瞬間、人と魔物との壮絶な闘いの幕が切って落とされた。
~エスセティア大陸・始まりの大地~
ヒ「ついに5カ国を相手に戦うのか…。」
ブ「どうした、怖気づいたか?」
アト「恐れるのも無理無いわ。成功すれば世界に平和が、失敗すれば世界に闇が訪れるわ。
ブルー、貴方は絶対成功させる自信があるの?」
ブ「俺にも絶対という保障はできん。だが失敗を恐れるのなら抜ければ良い。
俺は最後までやり遂げるだけだ。」
アト「あと問題なのは……あの二人ね。」
ヒ「ユグドラは良いとして、あいつはどうするんだ?」
ブ「俺にも分からん。だが、嫌でも出てくるだろうな。
その時は…、戦うしかない。」
~エスセティア大陸・スピカ隕石跡~
ユ「待ちなさい!」
?「これはこれは、ユグドラ姉さんじゃないですか。」
ユ「彼らの邪魔はさせないわよ。」
?「面白いですね。姉さんだけで私に勝てるとでも?」
ユ「平和の為なら、例え妹でも容赦はしないわ!」
?「相変わらずですね。それなら今の私と姉さんとの力の差を分からせてあげますよ。
永久に凍てつけ!ダイヤモンド・ブリザードッ!!」
ユ「灼熱の炎で灰燼に帰せ!ヘル・フレアッ!!」
人と魔物との闘いとは別に、もう一つの闘いの幕も切って落とされた。
最新話が遅くなってすまん byスモーキー
最終更新:2009年06月21日 11:34