【援軍出動】
リンドルムは芥辺境藩国の入院患者である。
幼いころからずっとベッドの上で過ごし、楽しみといえば夢を見ることぐらいであった。
その夢がこのごろ、曇ってきている。
広島は閉ざされ、複数名のエースが死に、とうとう、ニューワールドに死の灰が降り始めた。
リンドルムは芥辺境藩国の入院患者である。
幼いころからずっとベッドの上で過ごし、楽しみといえば夢を見ることぐらいであった。
その夢がこのごろ、曇ってきている。
広島は閉ざされ、複数名のエースが死に、とうとう、ニューワールドに死の灰が降り始めた。
これはいけない。
リンドルムは、必死で夢を見た。自分ができることを探すために。
…入院患者アイドレスには≪許可を得ずにどこの藩民としても活動できる≫援軍行為能力と、
≪同藩民の動向を知覚することができる≫遠隔知の能力がある。
これを使って、ベッドの上から世界中の夢を見ることだけが、リンドルムにある能力だった。
…入院患者アイドレスには≪許可を得ずにどこの藩民としても活動できる≫援軍行為能力と、
≪同藩民の動向を知覚することができる≫遠隔知の能力がある。
これを使って、ベッドの上から世界中の夢を見ることだけが、リンドルムにある能力だった。
そして昨日。
リワマヒ国で食料供出の布告を眼にした。協力者を求めているらしい。
藩国から持ち出せる食料は・・・ない。
考えあぐねた挙句、リンドルムは一つの決意をする。
“夢の回廊を通って、リワマヒ国に応援に行く”
生涯何度目かの、病院からの脱出である。
リワマヒ国で食料供出の布告を眼にした。協力者を求めているらしい。
藩国から持ち出せる食料は・・・ない。
考えあぐねた挙句、リンドルムは一つの決意をする。
“夢の回廊を通って、リワマヒ国に応援に行く”
生涯何度目かの、病院からの脱出である。
裸足の、寝巻きのままで。
静脈の浮き出た細い腕に農作業用の鎌を持ち、
死の灰が降り注ぐ前に作物の収穫を手伝うのだ。
点滴を打ちながら休み休み・・・初めての農作業だ。そう、進むものではない。
だが、それでも。この危難の時にあって、安穏とベッドの上には居られなかった。
静脈の浮き出た細い腕に農作業用の鎌を持ち、
死の灰が降り注ぐ前に作物の収穫を手伝うのだ。
点滴を打ちながら休み休み・・・初めての農作業だ。そう、進むものではない。
だが、それでも。この危難の時にあって、安穏とベッドの上には居られなかった。
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休み休み、12時間。人の4倍の時間をかけて、ようやく、畑一つの収穫が、終わった。
「大して、役には立てなかったな・・・・」
悔しい思いをかみ締めて、リンドルムは地に伏せ、消えた。
芥辺境藩国の、反省を越えて居場所と定められた、ベッドに戻るために。
悔しい思いをかみ締めて、リンドルムは地に伏せ、消えた。
芥辺境藩国の、反省を越えて居場所と定められた、ベッドに戻るために。