たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ
夜明け前
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トン。トン。
雨がリズミカルに窓を叩く夜明け3時間前。
色違いのオソロのパジャマ。
狭いベッドに抱き合って二人。
色違いのオソロのパジャマ。
狭いベッドに抱き合って二人。
ひゅーっと唸る風に乗り、雨は軽やかに窓をノックし続けて…。
―
んーっ…。
なにぃ……。
…。
…。
…あぁ……雨…。
なにぃ……。
…。
…。
…あぁ……雨…。
ぅん……。
……みきちゃん…?
……みきちゃん…?
あぁ。ごめん。起こしちゃった?
うぅん。
…んー…。なんとなく…。
…。
ん?
…雨?
…んー…。なんとなく…。
…。
ん?
…雨?
うん。けっこう降ってる感じ。
…みたいだね。すごい音…。
あぁ…じゃあ、今日…おでかけ…中止だね。
あぁ…じゃあ、今日…おでかけ…中止だね。
うん…。
…残念?
…残念?
なんで?
だってさ、楽しみにしてたじゃん?
うん。楽しみだったけど……。
けどぉ?
今日は……ずーっと、こうしてたいかも…。
美貴の胸に顔をくっつけて抱きつく梨華。
ふふっ。みきちゃんあったかい。
だって、りかちゃんからたーっくさん愛してもらってるもん。
ふふふっ。もぅっ。
なに照れてるのよぉ!
だぁってぇ。うふふっ。だいすき。
みきも。
りかちゃんだって、すっごいあったかいよ。キモチいい。
りかちゃんだって、すっごいあったかいよ。キモチいい。
だって、みきちゃんにうーんっと愛してもらってるもん。
ねぇ、もっとぎゅーっとしていい?
いいよ。もっとぎゅーってして?
―
ひゅーっ。
甲高い風の声。
甲高い風の声。
トントン。
相変わらず窓を叩く雨の音。
相変わらず窓を叩く雨の音。
―
ねぇ…。今、何時?
美貴が暗闇に目を凝らしてステレオの液晶を見る。
今…えっとねぇ、3時…15分…かな。
あー…。まだそんな時間なんだぁ…。
いいじゃん。まだまだ時間あるんだし。
今日はずーっとこーしてるんだから。
今日はずーっとこーしてるんだから。
うん。
ね。りかちゃん。
なに?
はじめてキスしたときのこと、覚えてる?
えぇー。どーしたのぉ。突然。
んん? 別にぃ。なんとなく。
なんとなくなのぉ?
ふふん。うそ。
ねえ、キスして?
ねえ、キスして?
えー。じゃあ。
キスしてくれたら…いいよ?
キスしてくれたら…いいよ?
えー。りかちゃんずるいよぉ。
ずるくないの。ねっ?
もーっ。しょーがないなぁ。
ちゅっ!
ふふっ。みーきちゃん。
ちゅっ!
ふふっ。
うふふっ。
あの時みたい。
だね。ふふっ。
『んー。あのね』
『なによぉ』
『なによぉ』
屋上で二人。
手を握ったまま、なんかもじもじ。
ぎゅうって強く強く握ったまま、なんかそわそわ。
手を握ったまま、なんかもじもじ。
ぎゅうって強く強く握ったまま、なんかそわそわ。
― あーもーっ! なんて言えばいいんだろ…。
どうしよ…。ドキドキする…。 ―
どうしよ…。ドキドキする…。 ―
― なによぉ!? そんなに見つめないでよぉ。
あーっ。どきどきするよぉ! ―
あーっ。どきどきするよぉ! ―
手がしびれてくる。
心臓はドキドキしすぎて壊れそう。
ちらりちらりと伺う顔。そのたびにぱちりと合う視線。
心臓はドキドキしすぎて壊れそう。
ちらりちらりと伺う顔。そのたびにぱちりと合う視線。
『あのね。えっと…ね。梨華ちゃん』
『うん。何? 美貴ちゃん』
『えーっと、そのー。うん。だからね』
『…うん。だから?』
『うん…。あのね…』
『うん。何? 美貴ちゃん』
『えーっと、そのー。うん。だからね』
『…うん。だから?』
『うん…。あのね…』
ふっ…と見せた真顔。
すっ…と伝わって沈黙。
まっすぐに見つめ返す。
すっ…と伝わって沈黙。
まっすぐに見つめ返す。
ドキドキドキドキドキ……。
梨華が目を閉じる。
『すき…』
掠れた囁き。
ふわりと唇にキス。
そっと触れるだけ。
ありえないくらい緊張して、よくわかんないけど息を止めた。
ふわりと唇にキス。
そっと触れるだけ。
ありえないくらい緊張して、よくわかんないけど息を止めた。
…。
ぎゅうっと握り合う手にこもる力。
頭ン中真っ白。
長いと思っていた時間も、周りから見ればたかだか15秒。
二人にはたぶん永遠なんじゃないかってくらい…。
頭ン中真っ白。
長いと思っていた時間も、周りから見ればたかだか15秒。
二人にはたぶん永遠なんじゃないかってくらい…。
…。
離れたら、なんだか寂しかった。
固く手を繋いでるのに、こんなに距離が近いのに。
唇が寂しい。
モットほしいと思うのは、そう。
固く手を繋いでるのに、こんなに距離が近いのに。
唇が寂しい。
モットほしいと思うのは、そう。
キミがすきだから。
自然と離れる手。
ぐっと距離が縮まって、頬を包む美貴の手。
そっと引き寄せて、腰に絡みつく梨華の腕。
ぐっと距離が縮まって、頬を包む美貴の手。
そっと引き寄せて、腰に絡みつく梨華の腕。
再び重なる唇。
気がついたら夢中になってた。
真っ白だった頭の中に青い空が見えてきて、ふっと息を吐いたら目が合った。
真っ白だった頭の中に青い空が見えてきて、ふっと息を吐いたら目が合った。
『ふふっ…ふふふふっ』
『うふっ。うふふっ』
『うふっ。うふふっ』
ぎゅうっと抱き合って、なんかよくわかんないけどうれしくって、笑った。
『やぁー! ははははっ! キスしちゃったぁ! キスだよっ。ね』
『ねぇ! しちゃったよぉ!』
『あーーっ! すっごいはずかしーっ! もー』
『あたしもっ。ね、真っ赤になってない!? あたし』
『うんっ。なってるー。美貴もなってない? なんか熱いもん!』
『ホントだ! ねぇ。ドキドキいってる。ほら』
『美貴だって』
『ねぇ! しちゃったよぉ!』
『あーーっ! すっごいはずかしーっ! もー』
『あたしもっ。ね、真っ赤になってない!? あたし』
『うんっ。なってるー。美貴もなってない? なんか熱いもん!』
『ホントだ! ねぇ。ドキドキいってる。ほら』
『美貴だって』
ドキドキドキドキドキドキ…
ほら、ドキドキいってる。
わかる? りかちゃん。
わかる? りかちゃん。
うん。
りかちゃんもだね。
うん。
でもさぁ、ほんっと、ありえないくらい緊張したよね。二人とも。
今もきんちょーしてるけど。
何回もキスしたのにね。あれから。
何回もキスしたのにね。あれから。
みきさぁ、あのときのこと思い出しちゃったよ。
『すき』って、初めて言ってくれたんだよね。
ふふっ。うれしかった。
ふふっ。うれしかった。
そう!
なんかねぇ、やーっと言えたーって感じ。
なんかねぇ、やーっと言えたーって感じ。
『あのね』と『だから』をくりかえしてたもんね。
だってぇ…。
なんて言っていいかわかんなくってさぁ…。
すっごいドキドキしたんだから。
なんて言っていいかわかんなくってさぁ…。
すっごいドキドキしたんだから。
それはあたしだって同じだよ。
急に屋上につれてかれて、すっごいコワイ顔で見つめられて…。
急に屋上につれてかれて、すっごいコワイ顔で見つめられて…。
えーーっ!
そんな怖い顔してたぁ!?
そんな怖い顔してたぁ!?
ゴメンゴメン。
うそうそ。怖いっていうかねぇ、かわいかった。
なんかねぇ、もじもじしちゃって…ふふっ。
うそうそ。怖いっていうかねぇ、かわいかった。
なんかねぇ、もじもじしちゃって…ふふっ。
んーーっ…。だってぇ…。
りかちゃんだって、なんかおどおどしてたじゃん。
りかちゃんだって、なんかおどおどしてたじゃん。
そりゃあねぇ…。だって、どきどきしてたんだもん…。
梨華の指が拗ねてとがっている美貴の唇をたどる。
そのまま手のひらを頬に滑らせ、髪の中にすうっと差し入れた。
そのまま手のひらを頬に滑らせ、髪の中にすうっと差し入れた。
ちゅっ。
だいすき。みきちゃん。
―
チクタク、チクタク…。
秒針が刻む時の流れも、緩やかに感じるやさしい空間。
秒針が刻む時の流れも、緩やかに感じるやさしい空間。
―
みきちゃん。
最初の最初にすきって言ってくれたときのこと、覚えてる?
最初の最初にすきって言ってくれたときのこと、覚えてる?
あの時じゃなくって?
そう。覚えてる?
んー。あー…。
その…覚える…に決まってるじゃん…。
その…覚える…に決まってるじゃん…。
まりっぺと保田さんに焼肉につれてってもらったときだよね。
みきちゃん、ちょーしにのって飲むんだもん。
みきちゃん、ちょーしにのって飲むんだもん。
あーもー。言わないで…。
ほんっとはずかしーんだから。
ほんっとはずかしーんだから。
ふふっ。酔っ払っちゃってねぇ。
お酒弱いんだもん。
お酒弱いんだもん。
なによぉ。みき、そんなにつよそーに見える?
うん。ガンガンいきそうに見える。
あー。やっぱりねぇ…。
へろへろになっちゃって、ねぇ。
あっ! もう! 何笑ってんのよー!
ぎゅっと抱き寄せて梨華の体をくすぐる美貴。
きゃっ! あはははっ! やぁもぉーっ!
やめてーっ!
やめてーっ!
やぁだよーっ! おしおきっ。
あはははっ! もぅ!
わあっ! やぁっ! ははははっ!
やっ! りかちゃんっ! こらーっ! やぁっはははっ!
やっ! りかちゃんっ! こらーっ! やぁっはははっ!
ごそごそ。もそもそ。
布団の中の激しい攻防。
布団の中の激しい攻防。
はーはー。
勝者はどっち?
はーはー。
美貴が胸に顔を擦り寄せるように梨華に抱きついた。
ドクドクドクドク…。
布越しに耳を駆け抜ける梨華の心臓の音。
激しく上下する胸。
ドクドクドクドク…。
布越しに耳を駆け抜ける梨華の心臓の音。
激しく上下する胸。
まいった?
まいった…。
みきちゃん、容赦なさすぎ。
みきちゃん、容赦なさすぎ。
だっておしおきだもん。
もぉ。でもさぁ、あの時みきちゃんもかわいかったんだもん。
そうなの?
そうだよ?
顔真っ赤でね、とろーんとした目でね、ニコニコ笑ってるの。
抱きしめちゃいそーになったんだから。
顔真っ赤でね、とろーんとした目でね、ニコニコ笑ってるの。
抱きしめちゃいそーになったんだから。
抱きしめてくれればいいのに。
はい。
ぎゅって美貴を抱きしめる梨華。
いや。今じゃなくってね。
うーん。これはこれでうれしいんだけど。
うーん。これはこれでうれしいんだけど。
ふふっ。
でもね、あの時は恥ずかしくって…。
ほら。まりっぺや保田さんもいたし。
でもね、あの時は恥ずかしくって…。
ほら。まりっぺや保田さんもいたし。
あー。まぁねぇ。
でもさぁ。抱き合ったりなんてふつーじゃない?
でもさぁ。抱き合ったりなんてふつーじゃない?
そう。そうなんだけど…その…みきちゃんだから…。
…。
わかる…でしょ?
…うん。
みきちゃんがあたしのこと…どう思ってるかわかんなかったし…。
ちょっと怖かったりもして…。
なのに、まりっぺとか煽るようなこと言うから、すっごいドキドキして…。
ちょっと怖かったりもして…。
なのに、まりっぺとか煽るようなこと言うから、すっごいドキドキして…。
保田さんにも絡まれてたよね。たしか…。
うん。ケメちゃん、ごきげんになってたし。
キスされそうになってぇ…。
キスされそうになってぇ…。
そうそう。みきがブロックしよーとしたら…
まりっぺにちゅって。
なんか二人とも固まってたよね。
なんか二人とも固まってたよね。
だって、まっさかねぇ。
どさくさにまぎれてキスしちゃえーって、チャンスだったのに。
どさくさにまぎれてキスしちゃえーって、チャンスだったのに。
そのあと、みきちゃんとケメちゃんでとりあいになったんだっけ。
そうそう。それで、ヤグチさんが間に入ったけどよけーにもめちゃってね。
『やぁぐちー! あんた自分でしておいてあたしにはダメとかいうわけ?』
『そーですよー! みきのりかちゃんになにするんですかぁ!』
『そーですよー! みきのりかちゃんになにするんですかぁ!』
“みきの”に反応してちょっと頬が赤くなる梨華。
酔っ払い二人を軽くあしらいながら、キャハハと高笑う真里。
酔っ払い二人を軽くあしらいながら、キャハハと高笑う真里。
『まぁまぁ。二人ともさぁ、そんな酒臭い状態でキスしたら、さすがにアゴンがかわいそーだろ?』
『むうっ。わかったわよ。いしかー!』
『はいっ!』
『むうっ。わかったわよ。いしかー!』
『はいっ!』
うちゅっ!
保田の唇が梨華の自慢のあごに吸い付く。
『次はかならずくちびるをもらうわよっ!』
固まる梨華。きょとんとする美貴。
『…くくっ…。ぶわあっははははははっ!』
爆笑する真里。
『おっもしろーい! オイラもオイラもっ!』
そのあとみんなからあごにちゅーされて…。
そうそう!
あれはみきとしてはかーなりラッキーだった!
でも、保田さんみたいにぶちゅってできなかったけど。
あれはみきとしてはかーなりラッキーだった!
でも、保田さんみたいにぶちゅってできなかったけど。
そうだね。
そういえば、まりっぺ、あのあと保田さんにあっつーいキスされてたね。
そういえば、まりっぺ、あのあと保田さんにあっつーいキスされてたね。
ちょっとざまーみろって思っちゃった。
―
ひゅぉーっ。ひゅぉーっ。
唸る風。
唸る風。
トトトトン。トトトトン。
熱い二人にヤキモチやいてるのか、雨は激しさを増すばかり。
熱い二人にヤキモチやいてるのか、雨は激しさを増すばかり。
―
そうそう。
そういえば、りかちゃんちに泊めさせてもらったんだよね。
まぁ、その…みき的にらっきーだったんだけど。
そういえば、りかちゃんちに泊めさせてもらったんだよね。
まぁ、その…みき的にらっきーだったんだけど。
そうなの?
うん。
だってさ、チャンスって思ったんだもん。
二人っきりにもなれるしさ。
へろへろになっちゃったのは失敗したーって思ったけど。
だってさ、チャンスって思ったんだもん。
二人っきりにもなれるしさ。
へろへろになっちゃったのは失敗したーって思ったけど。
ふーん。
実はさ、ヤグチさんにそーだんしてたんだ。
どうやって告白すればいいかって。
そしたら、『よしっ! そーゆー時はヤキニクだっ!』って。
どうやって告白すればいいかって。
そしたら、『よしっ! そーゆー時はヤキニクだっ!』って。
どーゆーときでもヤキニクなのにね。
あぁ、でも、それでなんだぁ。
あぁ、でも、それでなんだぁ。
それで…って?
うん。
まりっぺ、ずーっとあおるようなことばかり言ってたから。
まりっぺ、ずーっとあおるようなことばかり言ってたから。
『梨華ちゃん、ミキティにお肉食べさせてやれよー』
『ミキティ、梨華ちゃんがだっこしてほしいってさ』
『ちゅーしちゃえよ! ちゅー!』
『ミキティ、梨華ちゃんがだっこしてほしいってさ』
『ちゅーしちゃえよ! ちゅー!』
でも、まりっぺも酔っ払ってたから、おもしろがってただけかもしれないけどね。
うーん…。どうだろ。
でも、保田さんもはじけてたよ。
でも、保田さんもはじけてたよ。
『いしかー! あたしにも。あ~ん』
当然、真里が『おいらもー!』って。
『なんならあたしが抱いてあげるわよ! うふっ』
これには当然のごとく『おぇ~っ』とお約束。
当然、真里が『おいらもー!』って。
『なんならあたしが抱いてあげるわよ! うふっ』
これには当然のごとく『おぇ~っ』とお約束。
なんか…おいしいよね。ある意味保田さんって…。
うん…。
でも、まぁ…りかちゃんと二人っきりになれたし…。
へろへろになっちゃったけど、それはそれでよかった。
へろへろになっちゃったけど、それはそれでよかった。
ふふっ。うちに来たときはろれつ回ってなかったもんね。
ちょっとどうなるかと思ったよ。
タクシーの運転手さん、不思議そーな顔してたし。
ちょっとどうなるかと思ったよ。
タクシーの運転手さん、不思議そーな顔してたし。
まぁまぁ。過ぎたことじゃん。
そうだけど、ねぇ。
そのときだよね。言ったの。
うん。
『りかちゃん』
『なぁに?』
『りぃーかぁ~ちゃんっ』
『なぁ…きゃぁっ!』
『なぁに?』
『りぃーかぁ~ちゃんっ』
『なぁ…きゃぁっ!』
梨華に覆いかぶさるように組み敷く美貴。
アルコールで真っ赤な顔。潤んだ瞳。
アルコールで真っ赤な顔。潤んだ瞳。
『美貴ちゃん…?』
『…キスしていい?』
『…キスしていい?』
ちょっとにらむように座った目。
熱っぽい吐息にまじったアルコール。
熱っぽい吐息にまじったアルコール。
『すき…』
ぐっと顔が近づいて、唇に触れる…かな、その時。
『…やっ』
梨華は顔を背け、腕を突き出して押しとめた。
『…りかちゃん?』
勢いでいっちゃえーって思ったから、驚いた。
みきちゃん、泣きそうだったもんね。
だってさぁ…。
拒否されるなんて思わなかったし…。
拒否されるなんて思わなかったし…。
梨華がなだめるように背中をなでる。
でもね、驚いたのはあたしも同じだよ。
いいかなぁ…って思ったんだけど…。
いいかなぁ…って思ったんだけど…。
『……ねぇ…美貴ちゃん』
梨華に抱き寄せられ、美貴は首筋に顔をうずめた。
『今は…いや』
ぎゅうっと梨華を抱きしめる腕に力がこもる。
息苦しさでなんとなくだけど気持ちが伝わった。
息苦しさでなんとなくだけど気持ちが伝わった。
『アルコールに酔うんなら、あたしに酔ってほしいな』
包み込むように美貴を抱きしめて、ゆっくりと背中をさする。
『酔った勢いでなんて…いやだな』
それから1週間かかったんだよねぇ…。
もーさー。ほんっとに、どーしようって思った。
もーさー。ほんっとに、どーしようって思った。
屋上に誘われたときの顔、あたし一生忘れないな。
あのキスも…ね。
あのキスも…ね。
―
チクタク、チクタク。
ゆっくりゆっくり。
薄闇の中流れる時の緩やかさ。
薄闇の中流れる時の緩やかさ。
―
ねぇ、りかちゃん?
なぁに?
いつから?
うーん。みきちゃんは?
言ってくれたら、言う。
あっ。ずるい…。
お互い様。
…うーん。
…。
あのね、わかんない。
…。
あのね、わかんない。
はぁっ!? なにそれ?
んー。だって、気がついたらいたんだもん。
は?
だからぁ、みきちゃんが…胸の中に。
あ…。うん。
娘。で一緒になってから、加速したって感じかな。
でもね、うれしい反面、どうしていいかわからなかった…。
でもね、うれしい反面、どうしていいかわからなかった…。
…。
ほら、亜弥ちゃんがいたし。
それにみきちゃん、あたしのこと嫌いかなぁって思ってたから。
なんかこう、合わないのかなぁ…って。
それにみきちゃん、あたしのこと嫌いかなぁって思ってたから。
なんかこう、合わないのかなぁ…って。
でも…りかちゃんにもよっちゃんがいたしね。
みきも正直なところどうしていいのかわかんなかった…。
みきも正直なところどうしていいのかわかんなかった…。
だけどね、キモチだけは止められなくって…。
あたし、こんなに素直じゃないんだなぁって思った。
よっしぃ~にね、よく相談してたんだよ。
あたし、こんなに素直じゃないんだなぁって思った。
よっしぃ~にね、よく相談してたんだよ。
そーなんだぁ…。
なんだぁ。なんだか損したって感じ。
なんだぁ。なんだか損したって感じ。
なんでぇ?
みきちゃんだって、亜弥ちゃんに相談してたんでしょ?
みきちゃんだって、亜弥ちゃんに相談してたんでしょ?
実はね。って、よくわかったね。
だって、あたしがよっしぃ~に相談してるんだから、ね。
あ。そっか。
ふふっ。
でも、そうだなぁ…。
乙女コンではっぴぃ~って、あれが決定的かな。
あぁ! すっごいうれしいって…ふふっ。
でも、そうだなぁ…。
乙女コンではっぴぃ~って、あれが決定的かな。
あぁ! すっごいうれしいって…ふふっ。
そーなんだぁ。
みきは…いつだろ?
…。
…。
…あー。いつだろ…。
みきは…いつだろ?
…。
…。
…あー。いつだろ…。
あれ?
ミキティ?
ミキティ?
ごめん。わかんない。
だって、ずーっとりかちゃんのこと、気になってたから。
だって、ずーっとりかちゃんのこと、気になってたから。
ふふっ。いっしょだね。
そうだね。
あーでも、あえて言うなら、みきは騎馬戦?
あーでも、あえて言うなら、みきは騎馬戦?
えっ!?
あのマジギレ事件で、あーやっぱリカちゃんだなって。
なにそれー。
ふふっ。
惚れたね。もうね、りかちゃん以外考えられないって思った。
惚れたね。もうね、りかちゃん以外考えられないって思った。
もう…。
ふくれっつらになった梨華の頭をよしよしとなでる美貴。
かわいいだけじゃないんだなぁって。
見直したっていうかな…うん。
熱いよね。それがいいの。
見直したっていうかな…うん。
熱いよね。それがいいの。
そっか。ありがと。
どーいたしまして。
ねぇ、あたしたちが付き合ってるってしったら、驚くよね。
ふふっ。
だからいいんじゃない。
ねえ、りかちゃん。
だからいいんじゃない。
ねえ、りかちゃん。
なに?
キスしていい?
いいよ。
ちゅっ!
ふふっ。
うふふっ。
―
トトトトン。トトトトン。
軽やかなリズムでドアを叩く雨。
相変わらず窓越しに流れるようなノイズ。
相変わらず窓越しに流れるようなノイズ。
降り止む気配のない夜明け前の雨。
―
まだ…4時にならないんだ…。
なんかいいなぁ…。
なんかいいなぁ…。
ね。のんびりしてて…。
今日はずっとみきちゃんとこうして…。
今日はずっとみきちゃんとこうして…。
うん。誰のことも気にしないでいいんだよね…。
まさに独り占めってヤツ?
まさに独り占めってヤツ?
そうだね。
あ、フジモトさん?
あ、フジモトさん?
なに?
あんまりしげさんとかにべったりしないでくれる?
じゃあ、りかちゃんこそ…つじちゃんとかよっちゃんとイチャイチャしないでよ。
むーっと軽くにらみ合って、同時に吹き出すように笑った。
ぎゅうって互いに擦り寄って抱きしめあう。
ぎゅうって互いに擦り寄って抱きしめあう。
どうしようか?
もう一眠りする? それとも…?
もう一眠りする? それとも…?
みきちゃんは…どうしたい?
ん? みきはねぇ…。
すうっと美貴の手が梨華の胸に添えられる。
きゅっと梨華はその手をつねった。
きゅっと梨華はその手をつねった。
こら。
いったーい!
だってぇ。りかちゃんが誘ってるんだもん。
だってぇ。りかちゃんが誘ってるんだもん。
誘ってないって。
もう。みきちゃん素直すぎ。
もう。みきちゃん素直すぎ。
いいじゃん。
すきなんだもん。
すきなんだもん。
もう。
梨華の腕がするすると美貴の首に絡みつく。
だいすき。
ふふっ。
美貴の唇がそおっと梨華の唇を塞ぐ。
なんだかんだいって、その気なくせに。
―
脱ぎ捨てられた色違いのオソロのパジャマ。
抱き合う二人。
抱き合う二人。
ますます熱の上がる布団の中。
ヤキモチを焼いた雨は激しさを増して窓を叩き続ける。
そんな夜明け前。
(2004/4/4)