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  • 夜明け前

たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ

夜明け前

最終更新:2009年09月27日 13:52

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 トン。トン。

 雨がリズミカルに窓を叩く夜明け3時間前。
 色違いのオソロのパジャマ。
 狭いベッドに抱き合って二人。

 ひゅーっと唸る風に乗り、雨は軽やかに窓をノックし続けて…。

 ―

 んーっ…。
 なにぃ……。
 …。
 …。
 …あぁ……雨…。

 ぅん……。
 ……みきちゃん…?

 あぁ。ごめん。起こしちゃった?

 うぅん。
 …んー…。なんとなく…。
 …。
 ん?
 …雨?

 うん。けっこう降ってる感じ。

 …みたいだね。すごい音…。
 あぁ…じゃあ、今日…おでかけ…中止だね。

 うん…。
 …残念?

 なんで?

 だってさ、楽しみにしてたじゃん?

 うん。楽しみだったけど……。

 けどぉ?

 今日は……ずーっと、こうしてたいかも…。

  美貴の胸に顔をくっつけて抱きつく梨華。

 ふふっ。みきちゃんあったかい。

 だって、りかちゃんからたーっくさん愛してもらってるもん。

 ふふふっ。もぅっ。

 なに照れてるのよぉ!

 だぁってぇ。うふふっ。だいすき。

 みきも。
 りかちゃんだって、すっごいあったかいよ。キモチいい。

 だって、みきちゃんにうーんっと愛してもらってるもん。

 ねぇ、もっとぎゅーっとしていい?

 いいよ。もっとぎゅーってして?

 ―

 ひゅーっ。
 甲高い風の声。

 トントン。
 相変わらず窓を叩く雨の音。

 ―

 ねぇ…。今、何時?

  美貴が暗闇に目を凝らしてステレオの液晶を見る。

 今…えっとねぇ、3時…15分…かな。

 あー…。まだそんな時間なんだぁ…。

 いいじゃん。まだまだ時間あるんだし。
 今日はずーっとこーしてるんだから。

 うん。

 ね。りかちゃん。

 なに?

 はじめてキスしたときのこと、覚えてる?

 えぇー。どーしたのぉ。突然。

 んん? 別にぃ。なんとなく。

 なんとなくなのぉ?

 ふふん。うそ。
 ねえ、キスして?

 えー。じゃあ。
 キスしてくれたら…いいよ?

 えー。りかちゃんずるいよぉ。

 ずるくないの。ねっ?

 もーっ。しょーがないなぁ。

  ちゅっ!

 ふふっ。みーきちゃん。

  ちゅっ!

 ふふっ。

 うふふっ。

 あの時みたい。

 だね。ふふっ。

『んー。あのね』
『なによぉ』


 屋上で二人。
 手を握ったまま、なんかもじもじ。
 ぎゅうって強く強く握ったまま、なんかそわそわ。

 ― あーもーっ! なんて言えばいいんだろ…。
    どうしよ…。ドキドキする…。 ―

 ― なによぉ!? そんなに見つめないでよぉ。
   あーっ。どきどきするよぉ! ―

 手がしびれてくる。
 心臓はドキドキしすぎて壊れそう。
 ちらりちらりと伺う顔。そのたびにぱちりと合う視線。

『あのね。えっと…ね。梨華ちゃん』
『うん。何? 美貴ちゃん』
『えーっと、そのー。うん。だからね』
『…うん。だから?』
『うん…。あのね…』

 ふっ…と見せた真顔。
 すっ…と伝わって沈黙。
 まっすぐに見つめ返す。

 ドキドキドキドキドキ……。

 梨華が目を閉じる。

『すき…』

 掠れた囁き。
 ふわりと唇にキス。
 そっと触れるだけ。
 ありえないくらい緊張して、よくわかんないけど息を止めた。

 …。

 ぎゅうっと握り合う手にこもる力。
 頭ン中真っ白。
 長いと思っていた時間も、周りから見ればたかだか15秒。
 二人にはたぶん永遠なんじゃないかってくらい…。

 …。

 離れたら、なんだか寂しかった。
 固く手を繋いでるのに、こんなに距離が近いのに。
 唇が寂しい。
 モットほしいと思うのは、そう。

 キミがすきだから。

 自然と離れる手。
 ぐっと距離が縮まって、頬を包む美貴の手。
 そっと引き寄せて、腰に絡みつく梨華の腕。

 再び重なる唇。

 気がついたら夢中になってた。
 真っ白だった頭の中に青い空が見えてきて、ふっと息を吐いたら目が合った。

『ふふっ…ふふふふっ』
『うふっ。うふふっ』

 ぎゅうっと抱き合って、なんかよくわかんないけどうれしくって、笑った。

『やぁー! ははははっ! キスしちゃったぁ! キスだよっ。ね』
『ねぇ! しちゃったよぉ!』
『あーーっ! すっごいはずかしーっ! もー』
『あたしもっ。ね、真っ赤になってない!? あたし』
『うんっ。なってるー。美貴もなってない? なんか熱いもん!』
『ホントだ! ねぇ。ドキドキいってる。ほら』
『美貴だって』

 ドキドキドキドキドキドキ…

 ほら、ドキドキいってる。
 わかる? りかちゃん。

 うん。

 りかちゃんもだね。

 うん。

 でもさぁ、ほんっと、ありえないくらい緊張したよね。二人とも。

 今もきんちょーしてるけど。
 何回もキスしたのにね。あれから。

 みきさぁ、あのときのこと思い出しちゃったよ。

 『すき』って、初めて言ってくれたんだよね。
 ふふっ。うれしかった。

 そう!
 なんかねぇ、やーっと言えたーって感じ。

 『あのね』と『だから』をくりかえしてたもんね。

 だってぇ…。
 なんて言っていいかわかんなくってさぁ…。
 すっごいドキドキしたんだから。

 それはあたしだって同じだよ。
 急に屋上につれてかれて、すっごいコワイ顔で見つめられて…。

 えーーっ!
 そんな怖い顔してたぁ!?

 ゴメンゴメン。
 うそうそ。怖いっていうかねぇ、かわいかった。
 なんかねぇ、もじもじしちゃって…ふふっ。

 んーーっ…。だってぇ…。
 りかちゃんだって、なんかおどおどしてたじゃん。

 そりゃあねぇ…。だって、どきどきしてたんだもん…。

  梨華の指が拗ねてとがっている美貴の唇をたどる。
  そのまま手のひらを頬に滑らせ、髪の中にすうっと差し入れた。

 ちゅっ。

 だいすき。みきちゃん。

  ―

 トトン、トン。
 相変わらず窓をノックする雨。
 ザーッと窓の向こうのかすかなノイズ。

 チクタク、チクタク…。
 秒針が刻む時の流れも、緩やかに感じるやさしい空間。

 ―

 みきちゃん。
 最初の最初にすきって言ってくれたときのこと、覚えてる?

 あの時じゃなくって?

 そう。覚えてる?

 んー。あー…。
 その…覚える…に決まってるじゃん…。

 まりっぺと保田さんに焼肉につれてってもらったときだよね。
 みきちゃん、ちょーしにのって飲むんだもん。

 あーもー。言わないで…。
 ほんっとはずかしーんだから。

 ふふっ。酔っ払っちゃってねぇ。
 お酒弱いんだもん。

 なによぉ。みき、そんなにつよそーに見える?

 うん。ガンガンいきそうに見える。

 あー。やっぱりねぇ…。

 へろへろになっちゃって、ねぇ。

 あっ! もう! 何笑ってんのよー!

   ぎゅっと抱き寄せて梨華の体をくすぐる美貴。

 きゃっ! あはははっ! やぁもぉーっ!
 やめてーっ!

 やぁだよーっ! おしおきっ。

 あはははっ! もぅ!

 わあっ! やぁっ! ははははっ!
 やっ! りかちゃんっ! こらーっ! やぁっはははっ!

  ごそごそ。もそもそ。
  布団の中の激しい攻防。

 はーはー。

  勝者はどっち?

 はーはー。

  美貴が胸に顔を擦り寄せるように梨華に抱きついた。
  ドクドクドクドク…。
  布越しに耳を駆け抜ける梨華の心臓の音。
  激しく上下する胸。

 まいった?

 まいった…。
 みきちゃん、容赦なさすぎ。

 だっておしおきだもん。

 もぉ。でもさぁ、あの時みきちゃんもかわいかったんだもん。

 そうなの?

 そうだよ?
 顔真っ赤でね、とろーんとした目でね、ニコニコ笑ってるの。
 抱きしめちゃいそーになったんだから。

 抱きしめてくれればいいのに。

 はい。

  ぎゅって美貴を抱きしめる梨華。

 いや。今じゃなくってね。
 うーん。これはこれでうれしいんだけど。

 ふふっ。
 でもね、あの時は恥ずかしくって…。
 ほら。まりっぺや保田さんもいたし。

 あー。まぁねぇ。
 でもさぁ。抱き合ったりなんてふつーじゃない?

 そう。そうなんだけど…その…みきちゃんだから…。

 …。

 わかる…でしょ?

 …うん。

 みきちゃんがあたしのこと…どう思ってるかわかんなかったし…。
 ちょっと怖かったりもして…。
 なのに、まりっぺとか煽るようなこと言うから、すっごいドキドキして…。

 保田さんにも絡まれてたよね。たしか…。

 うん。ケメちゃん、ごきげんになってたし。
 キスされそうになってぇ…。

 そうそう。みきがブロックしよーとしたら…

 まりっぺにちゅって。
 なんか二人とも固まってたよね。

 だって、まっさかねぇ。
 どさくさにまぎれてキスしちゃえーって、チャンスだったのに。

 そのあと、みきちゃんとケメちゃんでとりあいになったんだっけ。

 そうそう。それで、ヤグチさんが間に入ったけどよけーにもめちゃってね。

『やぁぐちー! あんた自分でしておいてあたしにはダメとかいうわけ?』
『そーですよー! みきのりかちゃんになにするんですかぁ!』

 “みきの”に反応してちょっと頬が赤くなる梨華。
 酔っ払い二人を軽くあしらいながら、キャハハと高笑う真里。

『まぁまぁ。二人ともさぁ、そんな酒臭い状態でキスしたら、さすがにアゴンがかわいそーだろ?』
『むうっ。わかったわよ。いしかー!』
『はいっ!』

 うちゅっ!

 保田の唇が梨華の自慢のあごに吸い付く。

『次はかならずくちびるをもらうわよっ!』

 固まる梨華。きょとんとする美貴。

『…くくっ…。ぶわあっははははははっ!』

 爆笑する真里。

『おっもしろーい! オイラもオイラもっ!』

 そのあとみんなからあごにちゅーされて…。

 そうそう!
 あれはみきとしてはかーなりラッキーだった!
 でも、保田さんみたいにぶちゅってできなかったけど。

 そうだね。
 そういえば、まりっぺ、あのあと保田さんにあっつーいキスされてたね。

 ちょっとざまーみろって思っちゃった。

 ―

 ひゅぉーっ。ひゅぉーっ。
 唸る風。

 トトトトン。トトトトン。
 熱い二人にヤキモチやいてるのか、雨は激しさを増すばかり。

 ―

 そうそう。
 そういえば、りかちゃんちに泊めさせてもらったんだよね。
 まぁ、その…みき的にらっきーだったんだけど。

 そうなの?

 うん。
 だってさ、チャンスって思ったんだもん。
 二人っきりにもなれるしさ。
 へろへろになっちゃったのは失敗したーって思ったけど。

 ふーん。

 実はさ、ヤグチさんにそーだんしてたんだ。
 どうやって告白すればいいかって。
 そしたら、『よしっ! そーゆー時はヤキニクだっ!』って。

 どーゆーときでもヤキニクなのにね。
 あぁ、でも、それでなんだぁ。

 それで…って?

 うん。
 まりっぺ、ずーっとあおるようなことばかり言ってたから。

『梨華ちゃん、ミキティにお肉食べさせてやれよー』
『ミキティ、梨華ちゃんがだっこしてほしいってさ』
『ちゅーしちゃえよ! ちゅー!』

 でも、まりっぺも酔っ払ってたから、おもしろがってただけかもしれないけどね。

 うーん…。どうだろ。
 でも、保田さんもはじけてたよ。

『いしかー! あたしにも。あ~ん』
 当然、真里が『おいらもー!』って。
『なんならあたしが抱いてあげるわよ! うふっ』
 これには当然のごとく『おぇ~っ』とお約束。

 なんか…おいしいよね。ある意味保田さんって…。

 うん…。

 でも、まぁ…りかちゃんと二人っきりになれたし…。
 へろへろになっちゃったけど、それはそれでよかった。

 ふふっ。うちに来たときはろれつ回ってなかったもんね。
 ちょっとどうなるかと思ったよ。
 タクシーの運転手さん、不思議そーな顔してたし。

 まぁまぁ。過ぎたことじゃん。

 そうだけど、ねぇ。

 そのときだよね。言ったの。

 うん。

『りかちゃん』
『なぁに?』
『りぃーかぁ~ちゃんっ』
『なぁ…きゃぁっ!』

 梨華に覆いかぶさるように組み敷く美貴。
 アルコールで真っ赤な顔。潤んだ瞳。

『美貴ちゃん…?』
『…キスしていい?』

 ちょっとにらむように座った目。
 熱っぽい吐息にまじったアルコール。

『すき…』

 ぐっと顔が近づいて、唇に触れる…かな、その時。

『…やっ』

 梨華は顔を背け、腕を突き出して押しとめた。

『…りかちゃん?』

 勢いでいっちゃえーって思ったから、驚いた。

 みきちゃん、泣きそうだったもんね。

 だってさぁ…。
 拒否されるなんて思わなかったし…。

  梨華がなだめるように背中をなでる。

 でもね、驚いたのはあたしも同じだよ。
 いいかなぁ…って思ったんだけど…。

『……ねぇ…美貴ちゃん』

  梨華に抱き寄せられ、美貴は首筋に顔をうずめた。

『今は…いや』

 ぎゅうっと梨華を抱きしめる腕に力がこもる。
 息苦しさでなんとなくだけど気持ちが伝わった。

『アルコールに酔うんなら、あたしに酔ってほしいな』

  包み込むように美貴を抱きしめて、ゆっくりと背中をさする。

『酔った勢いでなんて…いやだな』

 それから1週間かかったんだよねぇ…。
 もーさー。ほんっとに、どーしようって思った。

 屋上に誘われたときの顔、あたし一生忘れないな。
 あのキスも…ね。

 ―

 チクタク、チクタク。

 ゆっくりゆっくり。
 薄闇の中流れる時の緩やかさ。

 ―

 ねぇ、りかちゃん?

 なぁに?

 いつから?

 うーん。みきちゃんは?

 言ってくれたら、言う。

 あっ。ずるい…。

 お互い様。

 …うーん。
 …。
 あのね、わかんない。

 はぁっ!? なにそれ?

 んー。だって、気がついたらいたんだもん。

 は?

 だからぁ、みきちゃんが…胸の中に。

 あ…。うん。

 娘。で一緒になってから、加速したって感じかな。
 でもね、うれしい反面、どうしていいかわからなかった…。

 …。

 ほら、亜弥ちゃんがいたし。
 それにみきちゃん、あたしのこと嫌いかなぁって思ってたから。
 なんかこう、合わないのかなぁ…って。

 でも…りかちゃんにもよっちゃんがいたしね。
 みきも正直なところどうしていいのかわかんなかった…。

 だけどね、キモチだけは止められなくって…。
 あたし、こんなに素直じゃないんだなぁって思った。
 よっしぃ~にね、よく相談してたんだよ。

 そーなんだぁ…。
 なんだぁ。なんだか損したって感じ。

 なんでぇ?
 みきちゃんだって、亜弥ちゃんに相談してたんでしょ?

 実はね。って、よくわかったね。

 だって、あたしがよっしぃ~に相談してるんだから、ね。

 あ。そっか。

 ふふっ。
 でも、そうだなぁ…。
 乙女コンではっぴぃ~って、あれが決定的かな。
 あぁ! すっごいうれしいって…ふふっ。

 そーなんだぁ。
 みきは…いつだろ?
 …。
 …。
 …あー。いつだろ…。

 あれ?
 ミキティ?

 ごめん。わかんない。
 だって、ずーっとりかちゃんのこと、気になってたから。

 ふふっ。いっしょだね。

 そうだね。
 あーでも、あえて言うなら、みきは騎馬戦?

 えっ!?

 あのマジギレ事件で、あーやっぱリカちゃんだなって。

 なにそれー。

 ふふっ。
 惚れたね。もうね、りかちゃん以外考えられないって思った。

 もう…。

  ふくれっつらになった梨華の頭をよしよしとなでる美貴。

 かわいいだけじゃないんだなぁって。
 見直したっていうかな…うん。
 熱いよね。それがいいの。

 そっか。ありがと。

 どーいたしまして。

 ねぇ、あたしたちが付き合ってるってしったら、驚くよね。

 ふふっ。
 だからいいんじゃない。
 ねえ、りかちゃん。

 なに?

 キスしていい?

 いいよ。

  ちゅっ!

 ふふっ。

 うふふっ。

 ―

 トトトトン。トトトトン。

 軽やかなリズムでドアを叩く雨。
 相変わらず窓越しに流れるようなノイズ。

 降り止む気配のない夜明け前の雨。

 ―

 まだ…4時にならないんだ…。
 なんかいいなぁ…。

 ね。のんびりしてて…。
 今日はずっとみきちゃんとこうして…。

 うん。誰のことも気にしないでいいんだよね…。
 まさに独り占めってヤツ?

 そうだね。
 あ、フジモトさん?

 なに?

 あんまりしげさんとかにべったりしないでくれる?

 じゃあ、りかちゃんこそ…つじちゃんとかよっちゃんとイチャイチャしないでよ。

  むーっと軽くにらみ合って、同時に吹き出すように笑った。
  ぎゅうって互いに擦り寄って抱きしめあう。

 どうしようか?
 もう一眠りする? それとも…?

 みきちゃんは…どうしたい?


 ん? みきはねぇ…。

  すうっと美貴の手が梨華の胸に添えられる。
  きゅっと梨華はその手をつねった。

 こら。

 いったーい!
 だってぇ。りかちゃんが誘ってるんだもん。

 誘ってないって。
 もう。みきちゃん素直すぎ。

 いいじゃん。
 すきなんだもん。

 もう。

  梨華の腕がするすると美貴の首に絡みつく。

 だいすき。

 ふふっ。

  美貴の唇がそおっと梨華の唇を塞ぐ。

 なんだかんだいって、その気なくせに。

 ―

 脱ぎ捨てられた色違いのオソロのパジャマ。
 抱き合う二人。

 ますます熱の上がる布団の中。

 ヤキモチを焼いた雨は激しさを増して窓を叩き続ける。

 そんな夜明け前。


(2004/4/4)
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