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  • My Sweet Little Rady

たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ

My Sweet Little Rady

最終更新:2009年09月27日 14:07

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 しっかりと繋いだ小さな手。
 ひらひらと軽やかに揺れるパステルピンクなドレス。
 ちょっと不安げに時々美貴のことを見上げるまなざし。だから、にこって微笑み返してあげると、きゅって、小さな指先に力がちょっとだけ入って、はにかむように笑う、かわいいかわいい小さなレディ。

 人通りの多い並木道を並んで歩く。
 ほら。あんまりかわいいから、みんなから注目されてる。
 かわいいでしょ? 美貴の小さなお姫様は。
 うれしくって、その視線が気持ちよくって、だから自然とココロも足取りも軽くなる。

 そんな浮かれモードの美貴の隣で不思議そうに首を傾げるから、それがあんまりにもかわいくって…。

「抱っこしてあげよっか?」

 そしたら、ふっと軽く丸めた左手の人差し指を軽く唇ではむって感じて当てると、立ち止まった。
 しゃがんで、ちょっと真剣に考えてる顔を覗き込む。

「疲れるでしょ?」
「うーん…」
「ね?」
 強引に抱っこしちゃってもいいんだけどね。っていうか、拒否られてもするけど。
 ちらりと上目遣い。あぁ…なんか小さくってもかわんないかも。ヘンに色っぽい。
「うん」
 こっくりとうなずいて、ちょっと恥ずかしそうに笑うと、美貴に向かって両手を伸ばす。
 そっとその小さな体を包むように抱き上げて、しっかりと腕で支えた。
「じゃ、行こう。梨華ちゃん」
「うん」
 腕をうんって伸ばして美貴にしがみつくように抱きついた梨華ちゃん。
「ふふっ。なんかうれしい…。ちょっと…はずかしいけど」
 はにかむその微笑にとろけそう。なんかもう、母性本能くすぐられまくり。
「ね。みんな見てる」
「うん…」
 不安そうに目を泳がす梨華ちゃん。
「大丈夫だから。ね。美貴はうれしいくらいだよ」
「…どぉしてぇ?」
 ちょっと高いうえに、舌っ足らずでいつもの500倍増しに甘い口調。
 だからね…。
「うん。だって、こんっなにかわいい子が…美貴のものなんだぞって!」
「…みきちゃん」
 ふふって鼻先をくっつけて笑ったら、くすぐったそうにくすくすって。
「堂々としてればバレないって。それに、今の梨華ちゃん、わかんないから」
 まぁ。自分のことは棚上げ。まっ。すっぴんだし、大丈夫でしょ。
「…そうだよね」
 妙に冷静。
「だから、楽しもうよ」
 ちゅって唇にキスを落としたら真っ赤になった。
 で…。

 ぺしっ!

 軽く頭を叩かれて、
「ばかぁ…っ」
 むうって膨れるから、それがかわいくって、ついついほお擦りしちゃったりして。
「ふふっ。梨華ちゃんがいけないの! あんまりかわいいから」
「だからってぇ…こんなとこで…」
「じゃあ、普段のままだったら、いいんだ?」
 なんて、イジワルしてたら、むうって唇を尖らせた。
「もぅ…。みきちゃんのばか」
「ふふっ。ごめんごめん」
 腕の中のお姫様がむうって膨れる。きゅうってシャツの胸元を掴む小さな手がいじらしくってかわいい。
 よしよしって頭を撫でて、スタジオに向かう。
「うで…おもくない?」
 っていうから、またちゅってキスした。
「大丈夫。りかちゃん軽いから。ずーっとこうしてたい」
「…うん」
 梨華ちゃんの腕がきゅって首に巻きついて、甘えるように顔を寄せて…。

 ずっとこのままは困るけど、いいよね。なんか。
 だけど、これから向かうスタジオには強敵がたくさんいるわけで、どーやってみんなにこんな素敵なお姫様を自慢するか、そして守るかでいっぱいアタマん中いっぱいなんだよねぇ。

       *

 それは美貴がちっこくなってから1週間後のこと。

 久しぶりに梨華ちゃんが美貴んとこにお泊り。かれこれ4日ぶり。もう、ホンっトに久しぶり…って、え、ぜんぜん久しくないって?
 いやいや。4日は長いでしょ。まぁ、二人ともそれなりに仕事や付き合いがあるからって、そうじゃなくって…。

 で、いつものようにたっぷり梨華ちゃんを堪能して、そして、たっぷり愛されて眠ってたわけだけど、なんかね、なんかこう…胸のあたりがごそごそして、目が覚めた。

「ん…? りかちゃん?」
 あれ…まだものたんないの? もう。しょーがないなぁ。なんて顔がにやにやしちゃってるけど。
 ぐいって美貴の胸に顔を押し付ける梨華ちゃん。
 きゅってしがみつかれて、背中に回りきらない腕。
 抱き寄せようと腕を伸ばさなくてもすっぽりとつつまって、なんかヘン。きゅって抱きついてるはずなのに、足も絡んでない。っていうか、絡みようがない。
 丸まって木にしがみつくコアラみたい。
「りか…ちゃん?」
 ちょっとだけ体を起こした。

 手探りでベッドサイドの明かりをつけると、そこには…。
「へっ!?」
 すっぽりとTシャツに包まった小さい小さい女の子。見事なまでの5歳児な姿。

 すーすーとキモチよさそうな寝息。
 まさにコドモなわけで、ほんっとに赤ちゃんみたいな寝顔。
 ふにって頬を突いたら…。
「んん…っ」
 眩しそうに眉を寄せて、胸に擦り寄るようにうにうにと頬を摺り寄せて、シャツをきゅって掴む。

 うわ…。

「むぅ……みきちゃ……ん…」
 甘ったるい舌ったらずな寝言に胸がドキドキした。

 うっわぁ…。

 きゅぅって抱きしめた。

 やっばいって!
 かっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっわ…いぃっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!

「ん…んんっ! いたい…ぃっ!」
「あっ!」
 起こしちゃった。
「ごめん」
 慌てて腕の力を緩めたら、まだ少し眠たげ目を据わらせて梨華ちゃんがぼんやりと美貴を見ていた。
「大丈夫?」
「…うん」
 こっくりとうなずく梨華ちゃん。
「んー。どーしたのぉ。みきちゃん」
「どーした…って…」
 ふぁ…ってあくびをして、こしこし目をこする仕草がかわいくてたまらない。

 どうしよう…。

「どーしたの? ねぇ。みきちゃん?」
 うにって首を傾げる感じで覗き込んでくる。それがまた…ねえ。上手くいえないけど、たまんない。

 どうしよ。美貴…ロリコン?

 たしか…あの時、梨華ちゃんも…。
『あたしはロリコンじゃない!』
 って、心の中で23578回叫んだ…って言ってた。

 でも…。

「みきちゃん?」
 『だいじょうぶ?』って、ますます顔を近づけるから、ちゅって小さな唇に唇を押し当てた。
「ふふ。だいじょうぶじゃない」
「みきちゃん!?」
 美貴の答えに驚いたのか梨華ちゃんが目を丸くする。
 起き上がると、
「うっわ。軽い!」
 梨華ちゃんを抱き上げて膝の上に向かい合わせに乗っけた。
 ちょこんって座った梨華ちゃんが「?」って顔して美貴を見上げるから、よしよしって頭を撫でてぴったりくっつくように抱き寄せた。
「梨華ちゃん。自分の姿、見てみなよ」
「え?」
   きょろきょろと見回す梨華ちゃんの顔がふーっと強張っていく。
「…うそ…」
 自分のちっちゃい手を唖然と見つめる梨華ちゃん。
「なんで!?」
「さぁ」
「ちょっとぉ! なんでそんなにれーせーなのぉ!」
「だって、梨華ちゃんかわいいんだもん」
「…ぅ…あのね、みきちゃん?」
「ふふっ。あんまりかわいいから、なんかうれしくって。ちっちゃくてもおっきくても、やっぱ梨華ちゃんかわいいし。それにね、なんかねぇ」
 あぁ…。どうしよ。にやにやしっぱなしだよ。
「かわいいんだよ。とにかくっ」
 そして、またちゅって唇にキスをして、すりすりと頬を寄せる、もぉ…このもちもちとしたやわらかい感触がたまんない。
「みっ…みきちゃぁん…」
 情けない声を出して、むぅって眉を寄せる梨華ちゃん。
「この際だから、楽しんじゃおうよ。ね? どーせ今日は元に戻んないんだから」
「…みきちゃん、ぽじてぃぶすぎ…」
「だって、楽しいんだもん!」
 こつんとおでこを合わせてやさしく微笑んでみたら、じっと目を見ていた梨華ちゃんがふっと肩をすくめて、
「ありがと。わかった…」
 ふわっと笑って、ちょっとハの字に下がった眉。その顔に、いつもの梨華ちゃんの面影。
 時計の針はまだ夜明けまでだいぶ時間があることを教えてくれる。
 今日の仕事もいちおう午後からだし…。
「もうちょっと、寝よう?」
「うん」
 はしって抱きつく梨華ちゃんをしっかり支えて、明かりを消すとベッドに横になる。
 おでこにキスをして、「おやすみ」って言葉を交わして深い眠りに落ちるまでずっと梨華ちゃんの髪を梳くように撫でた。

 着替えは当然、あの時梨華ちゃんが買ってくれたものがあるわけで、それに着替えて、
「これっ。これね」
 あの時こんなことになるって思って買ってもらったわけじゃないんだけど、ピンクがベースのレースたっぷりのワンピース。
「うんっ!」
 やっぱピンクがうれしいらしく、まして、ドレスっていうか、ひらひらのかわいいワンピースなんてもうコントですらめったに着れないわけで、上機嫌の梨華ちゃん。
「ね。ね」
 すそを持ってくるって一回転。ちょんって、片足のつま先で地面をトンって。
「うん。かわいい。お姫様だね」

 もう、すっごいきらきらの笑顔。
 あぁ…。なんかよくわかんないけど、神様ありがとう。
 そう思った。

     *

「みきちゃん?」
 梨華ちゃんが不思議そうに首を傾げる。
「どーしたの? なんか……コワイ…」
「え? なんで?」
「だって、ずーっとにやにやしてるから…」
 つい思い返してずーっと笑ってた美貴がどうやら怖かったらしい。そんなにすごい顔で笑ってたのかなぁ?
「だって、かわいいんだもん」
「もぉ。そればっかり…」
「だって、ほんとのことだもん」
 と、そのとき、一件のお店がちらりと目に飛び込んだ。

 あぁ……。うん。よしっ!
 ふつふつ湧き上がる衝動。

「ね。梨華ちゃん」
 ちらりと目で促す。
 梨華ちゃんがそのお店に顔を向けた。
「ん? みきちゃん?」
「行こう。買ってあげる」

 今日もいい天気。
 陽射しがちょっと眩しい感じで、なんかいい感じ。
 小さな手にしっかりとソフトクリームを握る梨華ちゃん。

 うううううううっ! かっわ…いいいいっっっっっ!

 もうね、絶対にソフトクリームなの! カップとかじゃダメなの!

「あ…あの…」
「ん? なぁに?」
 今の美貴…声がたぶん、普段の梨華ちゃんぐらい高くなってるし…。
「いいの?」
「うん。いいの。食べてるのがみたいから」
「…え゛っ!?」
 あれ…。なんで軽く引くの?
 むうってにらむような上目遣い。

 そんな目したら、襲っちゃうよ?

「あの……だから、みきちゃんは…いいの?」
「へ?」
 すいって、梨華ちゃんがソフトクリームを差し出す。
 ちょんって首を傾げて不安そうな見つめる姿にきゅんって胸がなった。

 どうしよう…。刻一刻と、やばくない? 今の美貴ってば。
 ま、でも…ね。梨華ちゃんだもん。

「じゃあ、梨華ちゃんが食べたら、一口、美貴にもちょーだい」
「うん!」
 ぱあって咲いた明るい笑顔。はむって小さな口でソフトクリームにぱくついた。
「おいし!」
 口の周りにぐるってついたクリーム。

『ふき取るなんてもったいない。舐めちゃえよ』
『いけません。周りにたくさん人がいますよ。いけません』
 悪魔と天使がささやきかける。
 わりと人通りが多い道。
 どう見えてるかわかんないけど、たぶんヤンママとかわいい娘さんってとこでしょ。時々振り返られつつ、かわいいとか聞こえてくる。
『いいじゃねぇか。親子に見られてんだし。な? 舐めちゃえよ』
『いけません。人前ですよ。何より、梨華ちゃんが引いちゃうと思うの』
 それはたしかに。
 さっきポロッと零れた本音に軽く引いたてし…。
『けどよぉ。こんなかわいい子に何にもしないっていうのも、へんじゃねぇかぁ?』
 悪魔さん。ごもっとも。
『キモチはわかるけど、だけどこれじゃあ、ヘンタイじゃない!』
 天使さんの言うことも正しい。でも…キモチもわかるって……。
『っていうかさ、もう1回キスしてんじゃん』
 そういえば。
 そして、ハルマゲドンは終わる。
『……ほどほどにね。でないと梨華ちゃん、引いちゃうぞ』

「おいし?」
「うんっ!」
 あーもう。無邪気できらきらな笑顔。さっきまでの注目あぴ過ぎて怖がってたのがちょっと消えてるみたい。よかった。
 一応周りを見回して、口の周りについたクリームをキスしながらなら舐め取ると、カバンから出したハンカチで口の周りをぬぐった。びっくりして目を見開く梨華ちゃんになんでもないように笑って、さりげなく…。
「あっと、じゃ、一口もらうね」
 パクッと一口。
 ふわっとした甘さ。ま、リカちゃんの唇の方がいつだって甘いけどね。
 ハンカチでコーンの部分を包んであげると、
「ね、みきちゃん」
 くいっと、袖を引っ張られた。
「おりる」
「あ、うん」
 なんか気ぃ使ってくれてる?
 そっと下ろしてあげると、すぐにはしっと美貴の手を掴んだ。
 しっかりとその手を包んで、リカちゃんにあわせてゆっくり歩く。
 今日はオフだったらよかったのにって、ちょっとだけ思った。

     *

 スタジオに到着。
 まぁ、美貴の時を考えれば仕事にはなんないと思うんだけどね。

 テレビ局と違ってガードマンさんがうるさく言うわけでもなく…と思ったら、呼び止められた。っていうか、この間と同じスタジオだもんね。しょーがないか。
「あの、その子は?」
 ガードマンさんが屈んで梨華ちゃんの顔を覗き込んだら、さっと梨華ちゃんが美貴の後ろに隠れる。それがまた、こんなときになんだけどかわいい。
 しゃがんで包むように抱きしめた。
「あぁ。親戚です」
 美貴はこのときいたずらしたんだけどね。でも、梨華ちゃんはむしろおどおどしてる。うーん。やっぱせっかくこういう状況なんだし…と、そこに…。

「あー。ミキティ、おはよー」

 来た来た。いータイミング。
 梨華ちゃんがにやりと笑った美貴を見て、びくっと体を震わせた。

「み…みきちゃん!?」
 ぱっと梨華ちゃんが美貴の視線の先を追うと、「あっ!」という顔をした。
 その声に気づいて、よっちゃんが『ええっ!』という顔になる。
 梨華ちゃんを抱き上げて、美貴が、
「おはよ。ぱ…」
 と、言いかけたところで、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 よっちゃんはがばっと美貴の口を塞いで梨華ちゃんもろとも抱きかかえると、すっごい勢いでクラークを駆け抜けていった。

 ちっ……。

 バタン!

 乱暴な音を立ててドアが閉まった。
 ぱって美貴の口から手を離すと、へなへなとよっちゃんは床にへたり込んだ。
 とりあえず梨華ちゃんをテーブルの上に座らせた。
「あーあー。せっかく面白くなりそうたったのに」
「いや…。面白くないから」
 がっくしとうなだれるよっちゃん。
 梨華ちゃんも「めっ」って。
「もぅ…。みきちゃんがよっちゃんのママなんてやだよぉ」
「でも、ほら、梨華ちゃんのお母さんってことにもなるよ?」
「でもそれって、おかあさんとむすめってことでしょ?」
「あぁ…」
 そっか。
 はぁ…。かわいい。拗ねてくれてる。
 思わずぎゅっと胸に抱き寄せた。
「んんっ! くるしいっ!」
「はいはい。ごちそーさま」
 よっちゃんがよろりと立ち上がる。
「とにかくさ、楽屋行こうよ」
 力なく背中を押されてその部屋を出ると、重い足取りのよっちゃんをひきずってうきうきと歩き出した。

   *

「おはよーございまーすっ!」
 楽屋のドアを開けると、それとなくぱらぱらとこちら向いて、

「おはよー…!」

 一人残らず固まった。
 視線はがっちりと美貴の腕の中のお姫様。

「ええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 大絶叫。
 梨華ちゃんのカラダがびくうっと震えて、よっちゃんががっくりとうなだれてため息をついた。

 だーっとヤグチさん、つじちゃん、かごちゃんの元祖ミニモニ。が駆け寄ってきた。
「おっおい! 梨華ちゃん!?」
 こっくりとうなずく梨華ちゃん。
 つじちゃんがふわーっと笑った。
「かーわいいー! やっぱ黒いけど」
「こらぁ!」
 ぷくってほっぺが膨らんで、かごちゃんはちょんってそんなほっぺを突っつくと、
「でも、お姫様みたいだよぉ」
 って、目を細めてよしよしと頭を撫でた。
「ね。抱っこしてもいい?」
「うん。いい?」
 一応梨華ちゃんに確認すると、こっくりとうなずいた。
「よいしょ。りっかちゃん」
 なんかお姉さんモードなかごちゃんが、よっこいしょと梨華ちゃんを抱っこする。
「うはぁ。かっるーい!」
 なんとなくあやすようにゆらゆらとカラダを揺らす。
 いつのまにやらそばに立っていたイイダさんが、にっこりと微笑んでいた。
「なんか…誘拐してっちゃいたいね」
「カオリ…ちょっとまて…」
 ぴしと突っ込んで、ヤグチさんがひきつった笑顔を見せた。
  しかし、そんな言葉を聞いてないのか、
「あいぼん、のんちゃん。みんなでお菓子食べよっか」
 女神のような微笑で餌付けを試みる。
「「うんっ!」」
 たーってテーブルに走っていく。
 負けじと美貴も乗り込んだ。

 やっぱりママと一緒でしょ。
 ということで、かごちゃんが美貴の膝の上に梨華ちゃんを乗っけてくれた。

「あー。あたしもしょーらいこんなかわいい女の子…ほしいなぁ」
 愛ちゃんが目を細める。
「うんっ。うは! 手、ちっちゃーい!」
 って、まこっちゃんがにこにこ笑ってる。
 なんかレイナはじっと梨華ちゃんを見つめたまま無言で、梨華ちゃんが「ん?」て首をかしげてると、なんか真っ赤になった。
 それを見てエリちゃんがにやにや笑ってる。
「あの、いしかーさん」
 こんな時でもさん付けって言うのは、なんか違和感だね。
 エリちゃんがひそひそと梨華ちゃんに耳打ちする。美貴もそっと耳を近づけて聞いてみた。
「ふーん…」
「へへ。ね?」
 美貴と梨華ちゃんににっこり微笑むエリちゃん。
 梨華ちゃんがいったん美貴のことを見上げるから、うなずいてあげた。
 くるっとレイナに体を向けると、ちょこんって首を傾げて上目遣い。で…。
「おねぇちゃん」
「…ぅは…」
 ぴきっと真っ赤になって固まるレイナ。
 しゅうって音がしそうなほど首まで真っ赤になってて、隣でエリちゃんがくすくす笑ってた。
 梨華ちゃんが照れくさそうに見上げる。

 そしたら、
「ねっねっ!」
「りかちゃんっ!」
 ダブルユーの二人が身を乗り出すから、「ね」って促してあげた。
 梨華ちゃんはまた照れくさそうに微笑んで、


「のぞみおねぇちゃん」
「あいおねぇちゃん」


 って、名前つきでサービス。
 言われた二人は、なんかとろけちゃってるし。
「梨華ちゃん」
 ふわりと微笑んでリーダーがにっこりと顔を覗き込む。
 頬杖をついて上目遣いのイイダさんに、梨華ちゃんがいつものように普段美貴がかるーく嫉妬するくらい甘えた声で、
「カオたん」
 って。
 普段はともかく、このくらいの子が“カオたん”って、なんかはまりすぎてて怖い。ましてこの声とこの容姿。
 うっとりと目を細めて、ほっぺにふっくら厚ぼったい唇でちゅうっとキス。
「あーー。たまんねぇ!」
 ってアナタ…。
「カオリ…それじゃオヤジだよ…」
 呆れ顔のヤグチさん。
「だって、かわいいんだもん。カオたんだよ!カオたん」
「いっつも呼ばれてんじゃん」
「いや。いつもと違うの。あぁ…。声録っとけばよかったぁ」
 と、そこに…。
「あ! 私録りましたよぉ」
 ぱっとガキさんが手を上げた。

 あぁ…あなたの後ろ光が…。
 ガキさんが天使に見えて、つい目を細めてしまう。
 それはみんなおんなじみたいで、きらきらと眩しそうにガキさんに集まる熱いまなざし。
 へへへーっと照れるガキさん。

「えらいっ!」
 イイダさんのあっついキッスがガキさんに炸裂する。
 まこっちゃんが目にたくさんの星を輝かせて身を乗り出した。
 ぼそりと梨華ちゃんに耳打ち。
「ね…。よろこんでるから、みんなに言ってあげたら?」
「うん。もちろん」
 にこって笑って、そっと口を寄せた耳元を小さな手で隠すと、ちゅとキスをくれた。
 ふふって、肩をすくめてくすぐったそうに笑う梨華ちゃん。

「まことちゃん」
 うひょーって意味不明な叫びをあげてわちゃわちゃしてるまこっちゃん。なんかおもしろい。
「あいちゃん」
 顔をくしゃくしゃにして笑う愛ちゃん。
「さゆみおねぇちゃん」
 きゃはってはしゃぐしげさん。
「えりおねぇちゃん」
 なんかくねってるし…エリちゃん。
「あさみちゃん」
 ちょこんて首を傾げて覗き込まれて、真っ赤になって、ほわーっと微笑むポンチャン。
「りさちゃん」
 「なぁにっ!」て、ガキさんの満開の笑顔。

 みんなが喜んでるのを見て、ふふんって梨華ちゃんがうれしそうに笑う。

 あぁ…かわいい…。

 ほっぺをきゅうってくっつけて、アタマを撫でてあげると、
「ほら。まだ言ってない人いるよ」
「うん」
 ウインクしたつもりで、ぱちって両目をつぶるのがかわいくて、まぶたにチュって唇を落とす。
「うわ…。なんか…美貴ちゃんメロメロになっとるで」
 なぜか真っ赤になる愛ちゃん。まこっちゃんがにひひって笑った。
「そりゃあ…あんなにかわいかったら、なるでしょ」
「ったく。ミキティ、なんかそれじゃロリコンだぞぉ」
 何が面白くないのか、今日はやけに呆れ顔で突っかかってくるヤグチさん。
「いいんだもん。ねぇ」
「ねぇ」
 って、梨華ちゃんとうなずきあう。
 梨華ちゃんはふふって微笑んで、さっきから一言も発してない彼女に、にっこりとチャーミースマイル(ハイパーおこちゃまバージョン)で微笑んだ。
「ひーちゃん」
 甘えた口調で、いじらしい純粋な、ほんっとに穢れを知らないまなざしでの上目遣い。

 藤本美貴、自信を持って言えます。
 このまなざしで、「みきたん」とか「ミキティ」とか「みきちゃん」とか、それこそ亜弥ちゃんじゃないけど「たん」って言われたら、確実に…襲います。ハイ。

 呼ばれたその、ひーちゃんは…っていうと、首も耳までも真っ赤にして、ふらりとよろけて背中を向けてぺたりとへたりこんでしまった。
「よっ! よしざわさんっ!」
「おい! どーした? よっすぃ!」
 慌ててまこっちゃんが駆け寄ろうとしたところを愛ちゃんがにかっと笑って襟を掴んで何気にブロック。ヤグチサンが駆け寄ると、うが…とヤグチサンを振り払った。
「あ? よっしぃ~?」
「あ…あの、なんでもないっすから」
 妙な鼻声。
 梨華ちゃんと顔を見合わせた。
「もしかして…」
「うん…」
 梨華ちゃんがふにっと首をかしげて、もう一回。
「ひとみちゃん?」
「うが…!」
「あ゛っ!」
 ヤグチさんが思いっきりカラダを引いた。
 イイダさんはすっと立ち上がると、ふわりとティッシュを差し出した。
 そして、梨華ちゃんに向かってにっこり。
「悩殺しちゃったね」
「……」

「「「「「「「「「「ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇええぇぇえぇえぇええええっ!!!」」」」」」」」」」

 がっくしとよっちゃん。
「よっ…よしざーさん、ロリ…」
 唖然とまこっちゃんが言いかけて、がばっとティッシュを鼻に詰めたよっちゃんが起き上がった。
「ちがーーーーーーうっ! 梨華ちゃんがエロいからだよっ!」
「えええーーーっ! あたしがわるいのぉっ!」
 まぁ、よっちゃんの言うことも間違ってないけどね。
 けどさ…。
「小さい子のせいにしちゃだめだよ。そりゃ、ちょっとエロっちいけどさぁ」
 と、ふたすじにたしなめられる一徹さん。
「なんだよぉ! それに、そしたら、ミキティだってロリコンじゃんかぁ。さっきから…」
「ロリコンでもいいよ 」
 美貴の一言にみんなが『ええっ!?』と固まる。
 まぁ、今日何度、どっか人気のないところに行って…と思ったことか。でも結局我慢しきれなくって、人前とか気にしないでキスとかしたけどね。
 梨華ちゃんはきゅっと美貴の服を掴んで笑ってる。
「だって、美貴は梨華ちゃんがすきだもん。小さくてもね」
 そしたら、へにゃ~っと、空気が緩んだ。
「なんだよ。のろけかよぉ」
 ほっと息を吐くヤグチさん。
 でも、これじゃちょっとよっちゃんがかわいそうだから、梨華ちゃんとアイコンタクトでちょっとしたいたずらを試みる。
「ねぇねぇ」
 ぱたぱたと小さな手でテーブルを叩くと、たぶん19歳の梨華ちゃんがやったらわざと「さむい」とか「かゆい」とやりたくなるようなくらい甘ったるい口調で、上目遣いでふわっと微笑んで…。
「まこちゃん?」
「…ぅぁ」
 しゅうって音がした。そんな感じで赤くなって…。
「マコト…」
 つーっと赤い線が2本。
 愛ちゃんがやれやれとティッシュを取り出して鼻に押し込んだ。

 っていうか、アンタ…愛ちゃんいるのに節操なさすぎ…。

 ほにゃとへたり込むまこっちゃん。
 なんだかんだとよしよしと頭を撫でる愛ちゃん。
「すびばせんでしたぁ…」
「な。言っただろ」
 憮然とするよっちゃん。

 さて、そういえば…。
 にっこりとイイダさんが笑った。
「ヤーグチ」
「いっ…いいよ。オイラは」
 慌てて照れくさそうに手をふるヤグチさん。
 梨華ちゃんが「ねぇ」ってお願いするから、がしっと逃げないように腕を捕まえた。
「ちょっ! なにすんだよぉ」
「まぁまぁ。照れるのはわかりますけどね」
「てっ…照れてなんかないってば」
 そしたら、いつのまにか後ろに回りこんだイイダさんが腰に腕を回してぎゅっと捕まえた。
「ちょっとぉ! カオリまでふざんけんなってばぁ!」
「なによぉ。なに今更じょーしき人ぶっちゃってぇ。だいたいミニモニ。はコドモたちの憧れでしょうが」
「ううっ」
 そう言われてしまうと、言葉も出ないらしい。
 つじちゃんとカゴちゃんがぱっととなりに来てがしっとヤグチさんの肩を抱く。
 ほら。完全包囲網。
 梨華ちゃんはくすくすって笑うと、
「まーりちゃんっ!」
 って、ミニモニ。の極めポーズの横ピースをえいって。
 それがあんまりにもかわいくて、みんなで、えいって横ピース。
「へへっ…」
 なんだかんだとヤグチさんもうれしそう。
「まったく。すなおじゃないんだから」
 ちっちゃな指でえいっておでこを弾かれて、
「うっ…うっさい」
 って、真っ赤になって、
「ほら。カオリ!」
 腰に引っ付いたイイダさんをひきずってドアに向かうヤグチさん。
「ん? なによぉ」
「梨華ちゃんがあれじゃ、仕事になんないだろっ」
「あー。そうねぇ」
 そういうと、イイダさんはよいしょっとヤグチさんを抱っこした。
「じゃ、交渉してくるから。みんな帰る用意しといてねぇ」
 こらーってばたばた暴れるヤグチさんにオトナなキスで黙らせる。

 上機嫌で楽屋を出て行くリーダーと、ぐったりしてるサブリーダー。

 やれやれと梨華ちゃんと顔を見合わせて笑った。

    *

 結局明日に延期。
 まぁ、その分スケジュールは押すわけだけど、それはしょうがないよね。

  帰りはタクシー。
 みんなの熱いまなざしを一睨みで振り切った。
 で、帰りのタクシーの中で、やっぱ緊張して疲れたのか梨華ちゃんは美貴に抱っこされたままキモチよさそうに眠っていた。
 梨華ちゃんもそうしたらしいんだけど、着く前に起こして、その起き抜けの無防備な顔をみんなにメールで送ってあげた。

 ベッドにコロンと転がって、んーって体を伸ばす。
 ドレスはシワになっちゃうから、だふだふだけどTシャツを貸してあげた。
「疲れた?」
「うん。でも…楽しかった」
「そっか。よかった」
 そっと髪に触れると、んーって目を細めてキモチよさそうにうっすらと微笑んでる。
 美貴もその隣に横になった。
 もそもそと梨華ちゃんがカラダをくっける。
「ね、明日になったら…戻ってるかな?」
「不安?」
「…うん」

 まじめな梨華ちゃんには自分のことで、ましてわけわかんないことで迷惑かけてるって言うのは、やっぱり口に出さないけど嫌なんだろうな。
  美貴もやっぱり、なんかなぁ…って思わなくもなかったし。

 中身は19歳。見た目は5歳。
 なんともいえないアンバランス。
 なりきっちゃうのは、時として楽しくて、だけどなんか辛くって。

「みきちゃん…」
 小さな手がぺたって美貴の頬を包んで、ふわって唇が重なった。
 小さなカラダをゆったりと包み込んだ。

 美貴が言えること、わかってることは、それでもたった一つだけ。

「大丈夫。どんな梨華ちゃんでも、美貴はすきだよ」

     *

 次の日。
 梨華ちゃんは無事に19歳の、等身大の石川梨華に戻ってた。
 みんなはお姫様なちっちゃい梨華ちゃんが見れないでちょっと残念がってたけど、梨華ちゃんは心底ほっとしてた。

 仕事も遅れを取り戻すためにさくさく進んで…。

「あー。疲れたぁ」
 美貴んちについた早々ベッドに飛び込む梨華ちゃん。
「ちょっとぉ。ベッド占領しないでよ」
 そしたら、ぱって両手を広げて、
「美貴ちゃん」
 って、おねだりモード。
 そんな風に言われて、笑顔見せられちゃったらさぁ…怒れないじゃん。
「ったく。もう…」
 なんて文句たらたらで、だけどついつい笑顔できつくそのカラダを抱きしめる。
 美貴がよく知ってる、なじんだサイズ、ぬくもり。
 やっぱりなんか…安心する。
「ふふっ。愛してるっ」
 背中に腕が回って、抱き寄せられて、それとなく唇が重なって…。

 いつもと同じ。
 そこに感じる不思議なやすらぎ。

「だいすき。みきちゃん」
「うん。だいすきだよ。りかちゃん」

 梨華ちゃんは梨華ちゃん。
 わかってるんだけどね。

 美貴の知らないサイズの、知らない姿の梨華ちゃんもかわいいけど、これって神様のいたずらなのかな?

 腕の中で幸せそうにふんわかと微笑む梨華ちゃん。
 たまにはあーゆーことがあるのも面白いけど、いたずらはほどほどしてよね。神様。


(2004/6/5)
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