たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ
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楽屋に戻る途中、突然腕を引っ張られた。
「りっ…梨華ちゃん!?」
「…」
「…」
けど、きーつく睨みつけるだけ。
何?! なんか怒らせるようなことした?
騎馬戦でマジギレした時より笑えない顔してるんだけど…。
騎馬戦でマジギレした時より笑えない顔してるんだけど…。
ぎゅうって強く手首を捕まれたまま、ずんずんと先を行く梨華ちゃん。
転びそうになってもまるっきり無視。
転びそうになってもまるっきり無視。
あぁーーーーっ! なによーーーーっ!
ミキが何したって言うのさーーーっ!
何度呼びかけてもまっすぐ前を向いたまま 。
どこに行くんだかわからないけど、けっこう人の少ないところにいるのは確か。
ここ廊下だけど…まぁ、いいよね。
どこに行くんだかわからないけど、けっこう人の少ないところにいるのは確か。
ここ廊下だけど…まぁ、いいよね。
なんか、わけわかんないもん。
どこにそんな力があるのか…えらい勢いでひっぱるから、 めいっぱい踏ん張って立ち止まると、ようやくこっちを向いた。
振り向いたその表情に、ちょっと動揺した。
無表情?
怒ってるのかと思ってたけど、ほんの一瞬泣いてるようにも見えたから。
無表情?
怒ってるのかと思ってたけど、ほんの一瞬泣いてるようにも見えたから。
「梨華ちゃん…?」
ふっと、手首を掴んでいた手からが力が抜けた。
そして、うつむくと大きく深呼吸。
ふっと、手首を掴んでいた手からが力が抜けた。
そして、うつむくと大きく深呼吸。
顔を上げた梨華ちゃんの息を呑むほど真剣な瞳とぶつかった。
「美貴ちゃん。…すきって……なに?」
「ぇ……?」
「すきって…言ってくれたよね? そのすきって……どういう意味?」
「ぇ……?」
「すきって…言ってくれたよね? そのすきって……どういう意味?」
言ってる意味がわからなかった。
『すき』は『すき』でしょ。
梨華ちゃんのことがすき。
友達とか仲間とか、そうじゃなくて、ただ梨華ちゃんのことがすき。
梨華ちゃんのことがすき。
友達とか仲間とか、そうじゃなくて、ただ梨華ちゃんのことがすき。
なんて言ったらいいんだろう…。
うまく言えないけど、愛しいとか、愛してるとか、そんな言葉じゃ足りない。
うまく言えないけど、愛しいとか、愛してるとか、そんな言葉じゃ足りない。
今だってたぶん100分の1も伝えられてないのに、どう言ったらいいの?
「どういうこと? 質問の意味がわかんない」
「何で?」
「なんでっ…て、だいだい何で急にそんなこと聞くわけ?」
「何で?」
「なんでっ…て、だいだい何で急にそんなこと聞くわけ?」
そしたら、梨華ちゃんは大きくため息をついた。
「あたしって…なんなの? 美貴ちゃんにとって…あたしは何?」
つぶやくように零れた言葉。
「ヤな女だなって自分でも思うけど、わかんないよ…。美貴ちゃんのキモチ…」
「どうして!? なにがわかんないって言うの!? 美貴は梨華ちゃんがっ…」
「わかんないよっ!」
廊下に張り上げた声が響き渡る。
「わかんないよ…。存在が……大きすぎて………」
「どうして!? なにがわかんないって言うの!? 美貴は梨華ちゃんがっ…」
「わかんないよっ!」
廊下に張り上げた声が響き渡る。
「わかんないよ…。存在が……大きすぎて………」
『あの子の…』
うつむいて消えるような小さな声だったけど、確かにそう言った。
うつむいて消えるような小さな声だったけど、確かにそう言った。
嫉妬…。
梨華ちゃんが……?
「じゃあ、梨華ちゃんにとって、美貴はなんなの?」
梨華ちゃんが顔を上げた。
驚いてる。
そうだよね、きっと気づいてないでしょ?
驚いてる。
そうだよね、きっと気づいてないでしょ?
「美貴だってわかんないよ。あの子って、梨華ちゃんの何?」
くっと息を呑む梨華ちゃん。
こわばった顔。
このまま追い詰めてみたら、わかるかな?
こわばった顔。
このまま追い詰めてみたら、わかるかな?
「親友? 同期? それとも…」
「違う!」
「何が違うの?」
「違う!」
「何が違うの?」
我ながら、ちょっと意地悪だと思った。
梨華ちゃんの口からはっきりと聞きたい。
梨華ちゃんの口からはっきりと聞きたい。
「教えてよ」
「…だから…あの子とは……そういう関係じゃ…ないから」
「そういう関係って?」
「だからっ…恋人じゃ…」
「ないってこと?」
「…だから…あの子とは……そういう関係じゃ…ないから」
「そういう関係って?」
「だからっ…恋人じゃ…」
「ないってこと?」
こくりとうなずく。
とりあえず、それで納得してあげる。
とりあえず、それで納得してあげる。
「そうなんだ。でも、それは美貴も同じだよ」
わかってくれてるよね…って、まなざしで問いかける。
わかってくれてるよね…って、まなざしで問いかける。
まっすぐ見つめてくれるけど、不安そうな顔。
でも、不安なのは一緒なんだよ。梨華ちゃん。
だって…。
だって…。
「はっきりと言ってくれたこと…ないよね?」
「…えっ…!?」
「…えっ…!?」
はっと驚きに目を見開く梨華ちゃん。
気づいた?
気づいた?
「美貴は梨華ちゃんがすき。でも、梨華ちゃんは?」
いつもいつも言葉にするのは美貴の方。
「ねぇ、梨華ちゃんにとっての美貴ってなんなの!? 単なる仲間? それとも友達?」
止まらない。
止めたくない。
止めたくない。
「わからないのはこっちだよ! ずっと聞きたかった! ねぇっ!? 答えてよっ!」
キモチを伝えたとき、うなずいてくれたのは何だったの?
「自分ばっかり不安だったようなこと言わないで!」
掴みかかるぐらいの勢いで梨華ちゃんが声を荒げた。
「だってそうじゃない!」
「違う! あたしだって不安だった! 聞きたかった! 言葉にしたからって、それでいいってもんじゃないでしょ!」
「じゃあどうしてほしいのよ! どうすればいいのよっ!」
「美貴ちゃんこそどうしてほしいのよっ!」
「違う! あたしだって不安だった! 聞きたかった! 言葉にしたからって、それでいいってもんじゃないでしょ!」
「じゃあどうしてほしいのよ! どうすればいいのよっ!」
「美貴ちゃんこそどうしてほしいのよっ!」
廊下に二人の怒鳴り声が延々と響いていく。
美貴を睨むその怒った顔がすごくキレイだと、ふと思った。
美貴を睨むその怒った顔がすごくキレイだと、ふと思った。
二人とも肩で息をして、じっと見詰め合う。
「教えて。梨華ちゃんの気持ち」
ゆらりと梨華ちゃんが動いた。
怖いくらいに美貴のことを真剣に見つめたまま。
怖いくらいに美貴のことを真剣に見つめたまま。
ドン!
肩を押さえつけて壁に背中を押し付けられて、
「…!!」
押し付けるように噛み付くような勢いで唇を塞がれた。
「…!!」
押し付けるように噛み付くような勢いで唇を塞がれた。
掴まれている肩に爪が食い込む。
息をするのも忘れた。
息をするのも忘れた。
短いのか長いのかもわからない驚きに消されたキス。
唇が離れて、強く肩を掴まれたまままっすぐに見つめられる。
「あたしは、美貴ちゃんがすき」
頭が真っ白になった。
梨華ちゃんは表情を全く崩さないで、
「聞こえない?」
っていうと、すっ…と息を吸った。
梨華ちゃんは表情を全く崩さないで、
「聞こえない?」
っていうと、すっ…と息を吸った。
「あたしはっ、藤本美貴がすきっ!」
ここまでされればさすがに我に返るってもんでしょ。
『どう? 聞こえた?』
って顔をしてるから、
『えーえぇ、とぉーってもよく聞こえましたよ』
といわんばかりにお返しする。
『どう? 聞こえた?』
って顔をしてるから、
『えーえぇ、とぉーってもよく聞こえましたよ』
といわんばかりにお返しする。
「美貴も、石川梨華がすきーっ!」
で、どうなったかというと、二人でじーっとにらみ合ったかと思うと…。
「「ふっ…。あははははははははっ!」」
ツボにはまったかのように笑い転げてた。
周りを見たらみんなが不思議そうな顔して二人を見てた。
6期の子とか辻ちゃんなんてちょっとおびえてるみたいだし。
6期の子とか辻ちゃんなんてちょっとおびえてるみたいだし。
それに気づいても二人して笑ってた。
なんか抱き合っちゃって、顔を見合って。
あーおなか痛い。
うわっ! 涙出てきた。
なんか抱き合っちゃって、顔を見合って。
あーおなか痛い。
うわっ! 涙出てきた。
ひとしきり笑って、ようやく落ち着いたらヤグチさんがあきれてた。
梨華ちゃんが息を整えながらぽつりと言った。
「あたし…美貴ちゃんの言う“すき”と、自分の感じてる“すき”が…違うんじゃないかって思ってた」
「うん…」
「でも、安心した。ねぇ、美貴ちゃん」
「ん?」
「あたしたち、始まってもなかったんだね」
「あたし…美貴ちゃんの言う“すき”と、自分の感じてる“すき”が…違うんじゃないかって思ってた」
「うん…」
「でも、安心した。ねぇ、美貴ちゃん」
「ん?」
「あたしたち、始まってもなかったんだね」
ふわって笑ったその顔がかわいい。
やっぱ、それでこそ梨華ちゃん。
美貴のだいすきな…。
やっぱ、それでこそ梨華ちゃん。
美貴のだいすきな…。
「そうだね。なんかていうか…ヘンな感じ」
「ね」
「そういえば、さっきの…初めてだったんだよね」
「ね」
「そういえば、さっきの…初めてだったんだよね」
そしたら、急に梨華ちゃんが真っ赤になった。
「うん。…そう…なんだよね」
『ごめんね』って。
雰囲気も何もなかったよねって。
雰囲気も何もなかったよねって。
でも、そしたらやることは一つでしょ。
みつめあって、そっと2人の顔が近づく。
みつめあって、そっと2人の顔が近づく。
ふと、梨華ちゃんが美貴の肩をやんわりと押しとめた。
「みんな見てるよ?」
「いいじゃん」
「いいじゃん」
そしてどちらからともなく、唇が重なる。
あたたかさとか優しさとか、いろんなものが伝わるからキスっていいよね。
なんか、後ろのほうでざわざわした声が聞こえた。
初めてのケンカ。
初めてのキス。
始まったばかりの二人。
初めてのキス。
始まったばかりの二人。
きっと前途多難なんだろうけど、それもまたおもしろいかも。
しっかりと梨華ちゃんの手を握った。
同じ気持ち。
同じ不安。
確かめ合えたから、怖いものなんてなくなった。
同じ不安。
確かめ合えたから、怖いものなんてなくなった。
きゅって握り返す冷たい梨華ちゃんの手。
弾む鼓動。
弾ける気持ち。
これからだよね。
弾ける気持ち。
これからだよね。
さぁ、行こう! 一緒に。
(2004/3/1)