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  • 1.闇の中

たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ

1.闇の中

最終更新:2009年09月27日 17:56

rm96

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管理者のみ編集可
 それが罪だというのなら、
 それが罰だというのなら、
 神は私に何を望むのか。

 許されぬものなどないと、女神は微笑む。
 愛するがゆえの罰があるのなら、
 愛したがために罪となるのなら、
 なぜに人は、惹かれあうのか。

 愛ゆえにあなたを求めることが罪ならば、
 その罰を私は受け入れよう。

 愛することに許されぬことなど、ないのだから…。

    ※ 

 狼が吠えた。

 砂利で覆われた山道。
 満ちた月の明かりに淡く伸びた藍色の影。
 ざわざわと揺らめいてすすり泣く枝葉。
 迫り来る気配に少女は足を止めて、振り返った。
「…」
 暗闇に目を凝らし、静寂に耳を立て、すべての神経を研ぎ澄ます。
 ざりざりと石を踏む足音が一つ、二つ…。
 ふぅと息を吐き出して、背中に背負った剣に手を掛けた。
 シュッと金属の滑る音。
 振りかぶるように左肩から袈裟切りに振り下ろした銀色の刃がきらりと月明かりに閃く。
 腰ほどまである長い刃渡り。鞘から引き出された銀色の幅広の片刃の剣はやや小柄な少女には明らかに不釣合いなはずだが、しっかりと両手で下手に構えて闇を睨むその姿は恐ろしいほど美しい。

 うぉぉぉん…。
 狼の遠吠えがまた一つ。

 柄のそば、刃に刻まれた狼の紋章が光を受けて浮き上がる。
「でてきな…」
 涼やかな少女の声がぴんと静けさを打ち破る。
 一時の間を置いて、すうっと影の中から浮かび上がる幾人かの人影。
 1、2…3、4…5…。
 どうやら囲まれているらしい。
「ふん。気づいてやがったのか…」
 6人。
 背後からふてぶてしい男の声と同時にざりと砂利を踏む音。
「…」
 少女は顔を向けることなく、ただ鋭い視線だけを闇に投げる。
 じりじりと迫る気配。  男はニヤリと笑った。
「お前みたいなのがいると邪魔なんだよ」
 男が腰から剣を抜く。
「消えてもらうぜ」
 ゆらりと殺気が立ち上る。
 影が一斉に動き出した。
「ああああっ!」
 左側から男が一人、踊りかかる。
 ぐっと少女は柄を握り締めた。
「ふっ!」
 少しだけ反動をつけて踏み込んだ左足。腰の回転で水平に振りぬけばずんと鈍い手ごたえ。
「…がふぁっ!」
 真っ二つになった男の上半身がふわりと宙を舞い、鮮血が少女に降りかかる。
 二つに分かれた哀れな男を一瞥することなく、振りかぶった剣が白い弧を描いて真っ白い月の輝きに瞬いた。
「うわぁぁっ!」
 木々の隙間から星のきらめく藍色の夜に木霊する断末魔。
 右肩から腰までに深々と刻まれた一筋の赤い線から噴出す血。崩れるように倒れた男。
「二人目…」
 ふっと息をつき、少女はぐるりと見回した。
「口ほどにもない」
 華奢な体のどこにあれだけの大振りの剣が振るえるのか、男たちが怖気づく。
「こっちからいこうか?」
 ゆっくりと剣を構えて、にやりと笑って見せた。
「くそっ! いけぇっ!」
 ボスらしき男が声を張り上げるとわあっと飛び掛ってきた。

 ガチン!

 刃と刃がぶつかる鈍い音。ぎりぎりとせめぎあう剣と剣。
 少女は男の腹を蹴り上げて突き放すと、くるりと身を翻して右から突きを繰り出した男の剣を払った。
「くっ!」
 そして振り下ろした剣の反動をそのまま今度は振り上げる。
「…がぁっ!」
 骨を断ち肉を切り裂く手ごたえ。
 しゅうっと音を立てて吹き上がった男の血。
「このやろうっ!」
 腹を蹴られた男が体勢を取り直して剣を振りかぶる。
 くわっと少女の目が煌めいた。
「…っ!」
 ひゅっと耳を打つ風の音。白い閃光。
 剣先が男の首を跳ね飛ばす。
 指令先を失った体がゆっくりと崩れ落ち、どんと音を立てて砂利道に転がった頭はころんと二つ小さく弾んで止まった。
 微かに見開いたままの目、ぼんやりと開いた口からたれ落ちた赤い線。
 少女はつーっと頬を滑り落ちてきた返り血を舌でなめ取った。
 ぎゅっと剣を握り締め、男が唸るように声を絞り出す。
「はっ…。化けもんだな…こいつ…」
 少しも乱れない呼吸。圧倒する蔑んだまなざし。
 男はごそっと胸元に手を入れて一枚の紙片を取り出した。

 ざわざわと風が揺れる。

 剣を一つ振るごとに血が沸き立つ。
 肉を断ち、骨を断つ手ごたえの重たさにゾクゾクと体が震えた。
 返り血の甘さに心が痺れる。
 言われなくてもあたしは狂ってる。
 ふーっと細く息を吐き出す。
 切先を男に向けた。
 閃く切先が自分ののどをぴたりと狙っているのがわかる。くくっと男は低く笑った。
「いい気になるなよ。化け物が…」
 男の手の中の紙片がふわりと赤い火の粉を放って消えた。
「…!」
 闇の中に描き出される古代文字。
 少女の背中にぴたりとはりついて耳元で囁くようなまがまがしい詠唱のような声。
「死ね」
 男は不敵な笑みを浮かべた。
 少女は剣を先を上にして自らの前に掲げて歯を食いしばる。
 燃えるように赤い光で描き出された文字が弾けた。
 ごうと唸り、一陣の風と無数の青白い光には生を妬むおぞましい顔。
「くうっ」
 体がわずかに浮き上がる。
 バチバチと青白い輝きが山道にうなだれる木々を照らし、白銀の刃に触れた光が「ぎゃあ」と悲鳴を残しては消えていく。
 時間としてはそれでもわずかな時間。
 しんと再び訪れた静寂。
「くっ…!」
 右肩にちりっと痛みが走って、その刹那、ずんと全身を稲妻が巡るような激痛が走った。整った美しい少女の顔が苦痛に歪む。
「はっ…はぁ…。くそっ…」
 右腕から感覚が消えた。見れば白いはずの手が青紫に濁っている。
「呪か…」
 わずかに防ぎきれなかった怨霊に右腕を封じられたらしい。いずれは全身に回ってこのままでは死ぬだろう。
 どっと噴出した汗が顎を伝ってはいくつもいくつも闇の中へと消えていく。
 少女はぎりっと唇を噛んだ。
「魔法ごときじゃ貴様は殺れんだろうからな」
 勝利を確信した男はすうっと剣先を向けた。
 じりっと左側の方から砂利を擦る足音。
 残っているのはあと二人。
 迫ってくる足音を聞きながらその剣先を睨みつけ、少女はぶんと左で一本で真横に剣を振りぬいた。
「ぎゃああっ!」
 剣を振り上げた姿勢のまま、男がふらっと真後ろに倒れた。
 目の前がぐらっと揺れ、引き千切られるような痛みが体を襲う。
「……あんた一人だな…」
「はっ。その体で何ができる。貴様が死ねばそれでかまわんさ」
 近づいてくる足音。
 目の前が霞む。
 がくんと膝の力が抜けて体が地面に崩れた。
「くそっ…」
 意識が遠く消えていく。
「ふふっ…くっくっくっ…」
 足音も笑い声も、もう少女の耳には届いていなかった。

 ざわっと木々がどよめいた。

 男は少女の首に一度剣先を合わせると、高々と剣を振り上げた。
「あばよ」
 ぐっと柄を握る手に力を込めた、その時…。
 辺りの空気がキンと音を立てたような気配がした。
 木々は息を潜め、道端の小石すら怯えているような空気。月だけが爛々と燃えている。まるで待ちわびていたように…。
「いい眺めね…」
 凍りついた空気には不釣合いなほどの甘い声。
 男は声の方に体を向けた。
「誰だ!」
 しかし、答えは返ってこない。
 男は闇の中からすうっと浮き上がった姿に目を見開いた。
「女!?」
 足元に倒れている少女と同じ年頃であろう少女の目は静かに男を見据えている。闇にほど近いような褐色の肌は月明かりでも滑らかで張りがある。
 凛とした背筋。端正な顔立ち。この時間にこんなところに一人でいるのが不自然なほどだった。
 褐色の少女は辺りに散らばる死体に驚くこともなくこちらに向かってくる。
「きさま…」
 この空気を生み出せるものがあるとしたら、ただ一つ。それは人にして人ならざるもの。神に忌み嫌われた闇に生きる存在。
「ふんっ…獲物か…」
 男にとっては高額の報酬をもたらす危険だが甘美な存在。
 男は剣を褐色の少女に向けた。
「…物騒ね」
 剣先にちらりと目をやるだけで、少しも動じる様子はない。
「死ねっ!」
 男は駆け出して、ぶんと褐色の少女目掛けて剣を振り下ろした。

 びゅん!

 剣が唸りを上げて虚空を切る。
 前のめりになった男の真後ろから声がした。
「ふふっ。さよなら…」
 振り向こうとしたが、首を掴まれて動かすことができない。
 褐色の少女は首を掴んだ右手に力を込めた。
「ああっ! ぐっ…! ぅっ!」
 爪がのどに食い込む。苦悶する男をじっと冷めた目で見つめながら、褐色の少女はそのままのどを握りつぶした。
 ぐしゃっとひしゃげた水っぽい音を立て、男は息絶える。
「…」
 男の体を道端に投げ捨てて、血の滴る手をじっと見つめた。
 月明かりに赤い血は黒っぽく目に映った。それともこれがこの男の血の色なのか。
 忌々しげに手を振って血を払い落とすと、褐色の少女は苦悶に顔をゆがめて砂利道に伏す少女の傍らに腰を落とした。
 青紫色の腕。血のついていない左手で前髪を上げると、そこには大量の汗が浮かんでは流れていた。
 そっと抱きかかえて、胸に耳を当てた。

 トン、トン…。

 弱弱しいが、それでもはっきりと聞こえる鼓動。
 かすかに上下する胸。
 月明かりでなおいっそう青白い少女の顔は、ふっ…と、褐色の少女の目を奪った。
 手にはまだしっかりと握られている白銀の剣。
「…」
 褐色の少女は少女を抱き抱えて立ち上がると、また闇の中へと消えていった。

    *

 ゆっくりと意識が覚醒していく。
 ほのかな明かりに薄汚れた天井。
 赤みの差す光の色でランプの明かりだと気づいた。
 鉛のように重い肢体を包むシーツ。
「ここは…」
 助かったのは確かだ。しかし、誰が?
 人の気配など他には感じなかった。奇跡などというバカらしいことは少女の頭にはない。神はいつだって不公平なのもの。

 すっと誰かの気配がした。
「起きたのね」
 甘い声。
「…」
 起き上がろうにも体が動かない。少女は首をわずかにめぐらし、顔だけを声の方に向けた。
 古びた木のイスから立ち上がったのは白い飾り気のないドレスをまとう褐色の少女。潜めてはいるがその凍てつく力の影に少女の顔に警戒の色が表れる。
 褐色の少女はベッドに腰掛けると、すっと細い指で少女の前髪を払った。
「おはよう」
 睨み上げる少女に臆することなく褐色の少女は微笑むと、少女の右肩に手を伸ばした。
 それでようやく少女は自分の右肩から指先に掛けて包帯が巻かれていることに気づいた。包帯にはなにやらびっしりと文字が書き込まれている。服はどうやら脱がされているようで、あれだけ噴出していた汗の感触もない。
「気分は?」
「…」
 ふいっと少女は顔を背けた。肩に触れる手を跳ね除けようにも体が言うことを聞かなかった。
「それだけの元気があるなら、大丈夫ね」
 くすくすと褐色の少女が笑う。
 少女は深く息を吐き出して、そのまま顔を見ずに尋ねた。
「あんたが…?」
「そう。…通りかかっただけよ」
 ちらりと目線だけを投げると、労わるように指先を肩に滑らせて小さく微笑んでいた。愁いを帯びた涼やかな微笑みに、少女はなんとなく視線をまた壁に投げる。
 指先の動きが止まる。
「痛みは?」
「…ない」
「そう…」
 褐色の少女は少女の上にかかるシーツをめくると、少女の体に腕を回して抱き起こした。
 そして、少女を自分にもたれかかるように抱き寄せると、耳元で囁く。
「今から、あなたにかかっている呪を解くわ」
「呪を…?」
「そう。今は包帯に書き出した古代文字で呪の進行を抑えているだけ。それを外して、私に移すの」
 褐色の少女の声にかすかな緊張を感じた。
「私なら、自分で打ち消すことができる…」
「…」
「神の加護を受けることができないあなたには、唯一の方法でしょ」
「ふっ…。確かにね」
 褐色の少女の爪が包帯にかかる。
「気を失えば…あなたの負け」
「闇に引き込まれるってわけね…」
「そう…。永遠の闇にね」
 怨霊達の仲間入りというわけか…。
 再び襲い来る痛みにきつく奥歯をかみ締める。
「いい?」
 少女はと頷いた。
 ふうっと褐色の少女が息を吐く。
 たとえ属性が同じでも、呪詛を人から自分に移すなど容易いことではない。自分を抱きしめる少女の華奢な冷たい体が硬くなったのがわかった。
「ねぇ…」
「…なに」
「私はリカ。あなたは? ハンターさん」
 素性はばれているらしい。それもそうだろう。あの場に彼女がいなければ自分はここにいない。まして剣を見ればそれに気づくのは難しいことではない。助けてくれるというのなら、今はそれに甘えてしまった方が得策。あとはどうにでもなるだろう。
 少女はゆっくりと深呼吸した。
「…ミキ」
 固く唇を結び、目を閉じるミキの覚悟したような表情。その頬にやわらかく口付けた。
「いくよ…。ミキ…」
 爪が包帯をゆっくりと裂き始める。
 ちりっと右腕から鋭い痛みが走った。それだけでずんと鈍い衝撃が走る。
 褐色の少女はそっと少女の白い小さな背中を撫でながら指先を下へとゆっくりと進めていく。
「くうっ…」
 ミキの手が服を強く握りめる。
 肩から腕から発する無数の稲妻。鼓動が一つ鳴るたびに狂わんばかりの痛みが全身を支配する。
 あふれ出した汗が頬を伝い、顎を滑り落ちてリカの肩へと落ちて柔らかな綿の白を淡いグレーに染めていく。
「いい? 大きく深呼吸して」
 ミキは小さくうなずいて、できる限り大きく息を吸って吐き出した。
 リカはそのタイミングにあわせて、一気に包帯を引き裂いて取り払った。
「ああぁぁああぁぁっ!」
 それはまるで獣の叫び。
 どんと体に巨大な稲妻が落ちたような衝撃。目の前が一瞬真っ暗になった。激しくなる鼓動に合わせた耳鳴りと痺れ、そして神経を突き刺すような痛み。
「あっ…ぐぅっ…」
 ミキの指先がリカの背中に突き刺さる。
 その痛みにわずかに顔しかめながらも、包帯を取り去った右手を左手でしっかりと握ると目を閉じた。
「こっちよ…」
 守るように包むようにきつくミキの体を抱き寄せる。
 濁った紫色の皮膚が沸き立ち、幾重もの唸るような声。
「はっ…! あっ!」
 リカの背中からすうっと血が滴り、引き裂かれたドレスを少しずつ赤く染めていく。
 そしてリカの左腕もゆっくりとどす黒く変化していく。
 小さく背中をまるめてリカにしがみつき低い唸りを上げるミキの体を抱く右腕にさらに力をこめる。
「ミキ…!」
 焦点の定まらない目。滴り落ちる汗。苦痛に喘ぐ表情。搾り出すような声。
 リカは天を仰いでとりついた呪詛と戦うミキの白い首筋に噛むように口付けた。
「んぅっ…!」
 目の前が弾けて、すうっと痛みが消えた。わずかな痛みの余韻もなく、ただだるさだけが全身をじんわりと包み込んでいた。
 リカはゆっくりとミキを再びベッドに横たわらせると、汗で額に張り付いた前髪を掻き揚げ、切り裂いた包帯で汗をぬぐった。
「大丈夫?」
「……うん…」
 小さくうなずくのを見て、リカはどす黒く変色した手をすうっと掲げた。
「消えて…」
 リカの瞳が真紅に輝く。その燃えるような滾るような鮮烈な赤にミキは目を奪われた。今まで見たこともないほどの鮮やかな血の色。体がじんと熱くなるのがわかった。
 リカがぎゅっと拳を握ると、奇怪な悲鳴と焦げた臭いを残して怨霊と思しき気配は消えた。
 しんと静まり返る部屋に、ランプが芯をじりっと焦がす音。
 リカはテーブルの上にある小瓶を手にすると、ベッドの傍らに再び腰掛けた。
「借りるわね」
 小瓶のふたを開けると、ミキは皮肉めいた笑みをこぼした。
「吸血鬼が聖水とはね…」
「そうね。でも、あなたにも言えることでしょ」
「…あんたよりはマシ」
 ふっと笑うと、リカは小瓶の中身をミキの肩から指先へと掛けていく。
「…っ」
 ミキの顔がわずかにゆがむ。
 ミキの細くて白い右腕からしゅうと蒸気を上がった。
「これでいいわ。少し眠れば今よりは動けるはず」
 ミキの体の上にシーツを掛けると、リカは額に口付けた。
「おやすみなさい」
 言われるままに目を閉じる。
 意識がシーツのあたたかさに吸い込まれていくのがわかる。ほどなくして、ミキは深い眠りの中に落ちていった。

    *

 人にして人にあらず。
 古の神に近きものとして森羅万象を操る力を持つとされる魔性の存在。
 その力ゆえに血を求め、月の明かりを友とし闇に生きる、吸血族といわれる者達。
 高潔にして力を持つ彼らはも神に忌み嫌われる存在。
 人々の畏敬を得ていた彼らも、力のみを求める同族によって落ちていく。

 人にして人にあらず。
 たとえわずかでも魔性の血を引くためにその存在を咎とされた者たち。
 毒に毒。魔性には魔性。
 その性ゆえに神の加護を獲られない彼らは時に神のイヌとさえ呼ばれる。
 しかし神に屈することなく、力に溺れる者のみに振るわれていた剣。
 今やその剣も欲に溺れた愚か者どもに蝕まれていく始末。

 愛を持って交われば降りかかる神の罰。
 それは力に対する神の嫉妬…。

    *

 黒いドレス。
 少しの飾り気もないシンプルなロングドレス。
 こんな女らしい格好をするのはいつ以来だろう。ミキは思った。
 壁に寄り添って置かれたイスの上には洗われてきちんと折りたたまれている服。そしてイスの隣には荷物と剣。
 鞘から剣を少しだけ引き出した。
 ランプの明かりきらりと白銀の刃がひらめく。
「…」
 少しの曇りもなく、刃はミキの顔を映し出す。
「きれいな剣ね」
 振り向くと、リカが刃の輝きをうっとりと見つめながらミキの傍らに歩み寄る。
「…あんたが?」
「えぇ」
 少し怪訝な顔をしたまま、ミキは剣を鞘に戻してイスに立てかけた。
「その剣が怖いのは、あなたが持つから」
「…」
「でも…」
 リカはふふっと笑った。
「勝手に触ってしまったことには謝るわ」
「…」
「食事にしましょう」
 そう言って、リカはミキを部屋の奥のテーブルへと促した。
 4人がけ程度の小さなテーブルに一人分だけの食事。
 見事に焼きあがった肉。そして付け合わされている野菜。
 その芳しい匂いにようやくミキは空腹だということに気がついた。
「あんたは?」
「おもしろいことを聞くのね」
 相変わらずの冷めた笑みを浮かべて、リカはワインのコルクを開けた。
「あなた、私の食事にでもなるつもり?」
「…いや」
 馬鹿なことを聞いたもんだと目をそらして、とりあえず体が要求するままに肉に食らいつく。
 グラスに注がれる赤ワイン。
 リカはグラスを揺らしてランプの明かりに透かしてから、ゆっくりとのどへと流し込む。
 ランプの赤い光が影の中からぼんやりと白いドレスの吸血鬼を浮かびあげる。グラスに唇を当て深い紅の液体を流し込む様は優美だった。
 ぐいっとワインをあおるミキ。深紅の液体は不思議ととろけるように甘かった。
「…こんな味なの?」
「なにが?」
「…血の味って」
 また一口、ワインをのどに流し込む。
 リカはグラスを揺らして水面を見つめた。
「さぁ。かもしれないわね」
「…かもしれない?」
「ふふっ…。忘れたわ…」
 冷めた笑いを残して、リカはグラスに口をつけた。こくりと細いのどが動く。
 ふっと零れた軽いため息。
「血の味は…あなたの方が知ってるんじゃない」
 ゆらゆらとグラスを揺らして赤い水面を見つめるリカ。
 ミキは端正なその顔に微かに苛立ちをにじませて、また肉に喰らいついた。

 淡々とした食事が終わる。
 皿は下げられて、まだビンの中に残るワインをゆっくりと消化していく二人。
 ミキは体にいくらかの余裕を感じることができた。
「…どれぐらい…寝てた?」
「三日」
 だいぶ疲労感が抜けたとはいえ、それまで夢一つ見ることなく昏睡だったことに驚く。そして、何事もなかったことを…。
「良く寝てたわ。身動き一つしないでね」
 そして、リカはシニカルな笑みを浮かべた。
「死んでるかと思うくらい」
「…」
 リカはグラスを置いた。
「これからどうするか知らないけど、いたいならいればいい。ここは誰にも見つかることのない女神の森の中。永遠の夜の世界。少なくとも、あんなことには会わないと思うから」
「女神の森…」
 御伽噺だと思っていた。古の頃の女神によって支配された森があるという。神聖かつ不可侵なその森には、神々の遺産が眠るという。
 欲に駈られた者たちは、そこを荒らして名誉と財を手にしようと酒場で目を輝かす。
「女神の結界は下種な人間に立ち入ることは許さないから」
「あんたはなぜ…ここに?」
「…さぁ」
「…話すことでもないってことね」
「そうね。今は……」
 そして、沈黙が訪れる。
 ささやかな灯火に淡く揺らめく紅。
 ミキは一気に飲み干した。
 そしてまたグラスの中に注がれるワイン。
「そういえば…乾杯してなかったわね」
 リカのしなやかな指がグラスに絡まる。
 ミキもグラスを手にした。
「…なにに対して?」
「そうね……」
 リカはふと闇の中に視線を投げ入れると、すぐにミキへと戻した。
「ようこそ。女神の森へ。あなたの回復を願って…」
 掲げられたグラス。
 ミキは口角を上げて憎たらしげな笑みを浮かべた。

 カチン。

 淡い余韻を残して消えた残響。

 狩る者と狩られる者。
 苦悩の始まりを告げる音だった。


(2004.4.26)
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