ゲームスレの173の絵を見て思いついた小ネタ。
「ジュン君。ネクタイが曲がっているよ」
蒼星石はそう言って僕の首元に手を伸ばす。
「ギロッ……!」
「うーん、一旦はずしちゃったほうが良さそうだね」
「いや、いいよ。別にこのままでも……」
隣ですごい目をして睨む翠星石が怖くて断ろうとするが、蒼星石がそんなことを聞き入れてくれるはずがない。
「いいから、僕に任せて」
そのまま僕のネクタイを外し、シャツの襟を立てて腕を首の後ろに回してネクタイを通し、新たに結び始める。
(なんか新婚さんみたいだ)
そんなことを思いながら、僕は蒼星石のされるがままになっていた。
「なんか新婚さんみたいだね」
彼女の言葉にドキリとする。見ると蒼星石の顔が赤い。
自分も同じように赤いんだろうな、なんて思いながら、ネクタイを結んでくれた蒼星石に僕は気の聞いた台詞を……
「いつまでもいちゃいちゃしてんじゃねーですこのスットコドッコイどもがぁぁぁ!」
……言うことが出来ず、爆発した翠星石をどうやって静めるかで頭が痛くなってきた。
「じゃ、僕は授業があるから。翠星石の相手はよろしく」
ああっ! 逃げやがった! 待て、お前にも責任が……。
「きーてるですかジュン! 大体てめーはいつもいつも……」
「ああもう、誰か助けてくれー!」
「……だから、たまには翠星石にもかまえですぅ。それにこの間も…………」
結局、翠星石の愚痴だか説教だかは教師に止められるまで続いた。
「ただいま!」
「お、おじゃまします!」
夕立に驚いて家まで走った。僕も蒼星石もすっかり濡れてしまっている。
「シャワー、先に使えよ」
「うん、そうさせてもらうね」
風呂場から出てきた彼女が着ていたのは男物のワイシャツ一枚。
ズボンはウエストが緩すぎたらしい。
ドギマギしたがそれを押さえつけ、服が乾くまでしばしティータイム。
間を持たせるためにつけたラジオによると雨は明日の朝まで続くらしい。
「織姫や彦星は災難だな」
「どうして?」
「だって、一年に一度しかあえないのに雨で台無しにされちゃったじゃないか」
僕はそうは思わないな、と蒼星石が言うので理由を尋ねてみた。
「雲の上は雨は降ってないよ。それに」
地上の人に見られるよりも二人っきりで会いたいじゃない。
「今の僕とジュン君みたいに、ね」
あまり上手ではないウィンクをした彼女を抱きしめてしまった挙句、その先まで行ってしまったのは若気の至りということでここは一つ。