「ここは……」

トシキや魔王ゼロ達と共にドン・サウザンドを倒したカイトはドン・サウザンドの持つナンバーズがどこかへと飛んでいくのを追おうした時、
銀河眼とナンバーズの導きにより次元の狭間へと転移されていた。
眼前に移る光景には、カイトの住むハートランドシティがバリアン世界と融合していた。

「俺のいた世界……? 何故バリアン世界との融合が解けていない……」

カイトの住む世界とバリアン世界が融合したのはドン・サウザンドが百万枚の偽ナンバーズを世界にばらまき、人々の欲望を加速させたのが原因だった。
ドン・サウザンドを倒した今、偽ナンバーズは消え、世界の融合は解けているはずであった。

「それは俺がドン・サウザンドの力を受け継いだからだ」

カイトの背後から声が聞こえ、振り返る。

「お前は、神代凌牙……」
「今までテメーらがどこで何をしていたかはドン・サウザンドの力を受け継いだ時に知ったが……まさかアイツらが死ぬとはな」

かつての仲間、神代凌牙の姿がそこにはあった。

「お前がドン・サウザンドの力を受け継いだだと……?」
「お前らが例の殺し合いに飛ばされた時、俺は仲間の仇を討とうとベクターの居る悲鳴の迷宮へ向かっていた。
 だがベクターもまた殺し合いの場へと飛ばされていたせいで、俺が到着した時には誰もいなかった。
 どういうことかと考えてるその時、ナンバーズが――ドン・サウザンドとヤツが吸収したバリアン七皇の力が俺の中に入ってきた。
 ……ドン・サウザンドをぶっ潰したのには礼を言う。ヤツの作る未来に、俺達が望む世界は無いからな。
 だが、俺の為すべき事はまだ終わっちゃいねえ」
「……アストラル世界を消滅させるのか」
「ああ、そうだ。そのためにヌメロン・コードを探し出す」
「……悪いが、それは出来ん」
「何?」
「それは――」

ヌメロン・コード――異世界ではエデンバイタル、クロノエイチ、「」など呼び名は様々だが――を封印しようとする者達がいるからだ。
だが、その事を告げたところで凌牙は異空間へ転移し、その者達を妨害、最悪抹殺しようと動き出すだろう。
だからカイトは、

「俺が居るからだ!」

今この場で自分達の世界の戦いに決着をつける事にした。
カイト自身はヌメロン・コードを使い、遊馬達を――バトルロワイアルに巻き込まれて死んでいった者達を生き返らせてやりたかったが、
ドン・サウザンドのヌメロン・ネットワークを封じるには元となるヌメロン・コードを永久に封印するしかなかった。
そしてまだ主催者達との戦いが終わっていない今、仲間を危険に晒すのは避けたかった。

「ハ、遊馬とアストラルならともかく、銀河眼やヌメロン・ドラゴンを受け継いでいようが、お前自身はただの人間。
 そんなお前がドン・サウザンドの力を受け継ぎ、七皇の力をも受け継いだ俺と決闘(デュエル)をしようってのか?
 もっとも、ミザエルのオーバーハンドレットナンバーズ、銀河眼の時空竜と超銀河眼の時空龍はお前が持っているがな」
「遊馬とアストラルならともかく、か……オレも見くびられた物だ」
「確かにお前のデュエルタクティクスは相当なものだ。かつての俺がかすり傷一つ与えられないほどにな。
 だがな、人間には決して到達出来ない領域があるのさ。……お前には、高次元の力を使う事が出来ない」

凌牙が言っているのは恐らくモンスターエクシーズを高次元の存在にランクアップさせるランクアップマジック、
そしてドローするカードを創造するシャイニングドローやバリアンズカオスドローの事だろう。
事実、ランクアップマジックは科学の力を結集させても必要最低限の機能しか持たせることしか出来なかった上に、使用者に多大な負担が掛かる代物だった。
シャイニングドローやバリアンズカオスドローに至っては最早人間が行える技では無い。
何故かトシキがカードを創造していたが、原理的には想像(イメージ)した自分のカードを具現化するのであって、ディスティニードローに近くそう何度も使えるものでは無い。
一方シャイニングドローやバリアンズカオスドローはその場に最も適したカードを創造し、時には全くの未知のカードを創造する上何度でも使えるので、トシキのそれとは全く異なる。
最も、シャイニングドローやバリアンズカオスドローは万能なのかと言われればそれは違うし、たとえそうであったとしてもカイトの決意に変わりは無かった。

「……アイツは、俺を目標だと言っていた」

WDCの時に、そしてバトルロワイアルに飛ばされなかった歴史ではWDCから大きく成長し、ZEXALの力も増し、
恐らくは目標であるカイトを上回るであろう実力になっても尚、遊馬はそう言っていた。
ならば、目標らしく遊馬がカイトに勝つその時まで誰にも負けないと、遊馬の死が伝えられた時からカイトは誓っていた。
アストラルが二度消滅しても復活したように、何時の日か遊馬とアストラルが戻ってくる時まで――もう会えないとしても、無敗の王者となり続けると。

「だから俺は、誰にも負けん!」

そして今、カイトの前に最後にして最強の敵が立ちふさがっていた。

「……一応言ってやる。タキオンドラゴンとヌメロン・ドラゴンを渡せ。そうすりゃお前は見逃してやる。
 アストラル世界の住人なら別だが、お前自身は単なる人間だからな」
「そのような要求を俺が吞むとでも思っているのか?」
「だろうな。お前は今、遊馬とアストラルの代わりに戦おうと思っているんだろ? 
 それにその三枚のカードはミザエルがお前に託した、いわば友情の証。そんなカードをはいそうですかと渡すようなヤツじゃないしな」
「凌牙、貴様は一つ勘違いしているぞ」

確かにカイトは遊馬とアストラルの代わりに戦おうとしている。
だが、カイトが持つプライムフォトンとドラッグルーオン、
そしてミザエルの持つタキオンドラゴンの力を結集させたヌメロン・ドラゴンは友情の証かもしれないが、タキオンドラゴンは違う。

「ミザエルは俺に友情を感じたからタキオンドラゴンを託したのではない」
「何?」

――もし次に出会う事があったなら、お前に何があったのか……聞かせてくれないか。
殺し合いの会場に飛ばされる直前に……もう命が尽きかけていたカイトがミザエルに尋ねた事だ。
殺し合いの序盤にミザエルと再開する事は出来たものの、彼が過去を語る事は無かったし、カイトも再び問う気は無かった。
転機が訪れたのは、それまで仲間だったリーゼロッテが殺し合いに乗ろうとした時だ。
ミザエルはリーゼロッテにそれまで誰にも語らなかった自らの過去を語り始めた。

「アイツは……幼くして故郷を失い、たった一人で砂漠を彷徨い、力尽きようとした時、ドラッグルーオンに出会った」

何故かは分からない。だが、ルサルカ、さつきの説得もあり、リーゼロッテは再び考え直した。

「そしてドラッグルーオンと共に旅をし、どこかの国に流れ着き、そこでドラゴンと共に生きる勇者として日々を送っていた。
 その後はお前も知っての通りだ。その地で多くの犠牲者が出るほどの災害が起きた時、流れ者の祈祷師に扇動された民衆はドラッグルーオンを討とうとした。
 ミザエルは自らの命を絶つことで民衆を止めようとしたが、直後に隣国の襲撃を受けて死んだ」
「……何が言いたい」
「ミザエルは民衆から真の勇者であるなら災害の原因であるドラッグルーオンを討てと言われたが、出来なかった。
 自害をする代わりにドラッグルーオンは無実だと信じてくれと訴えるほどに、ミザエルはドラゴンを愛し、信じてきた。
 それはバリアンとなった後も変わらず、タキオンドラゴンがドン・サウザンドの呪いだと信じず最後まで戦ってきた。
 そんなミザエルがただ友情があるだけで自身の魂といっていいタキオンドラゴンを渡すと思うか?」

ドラゴンに対する深い愛情。そしてドラゴン使いとしての誇り。
カイトにタキオンドラゴンを託したのもそうだが、その直前にミザエルがカイトとトシキの時間を巻き戻して二人を復活させたのは決して友情だけではない。
致命傷を負ったミザエルと重傷のミハイルではガニシュカから逃げ切ることは難しく、殺されるのは確実だった。
だからミザエルはミハイルを救うために、何より最強のドラゴン使いとしての誇りがドラゴン使い三人とドラゴン一頭がたった一人の男に惨めに殺されるなど絶対に許さなかったのだ。

「……」
「俺とミザエルはオレの勝利で終わろうとしていた時に殺し合いの場へと飛ばされた。
 ミザエルはもし自身以外にタキオンドラゴンを所有するのに相応しい者がいるなら、それは自分を打ち破った者しかいないと言って俺に託した」
「ドラゴン使いとしての誇りが敵である筈のお前にタキオンドラゴンを渡すに至ったのか。
 ……もっとも、デュエルで勝ち取れば関係無え話だがな」
「……そうだな、だが真の銀河眼使いとしても、俺は負けるわけにはいかん」

次元の狭間に転移している時、ミハイルが成長し、進化して自衛隊の戦闘機、そして黒い竜へカイムと共に戦うところをカイトは目撃していた。
その姿にかつての幼さは見当たらず、危なげではあるがミハイルよりも恐らく力の持つ黒い竜へと果敢に立ち向かう姿に立派になったな、とカイトは思い、
一方でミザエルの死にショックを受けて逃げ出したミハイルに失望し、再会した時に突き放すような言動をした自分にはドラゴン使いを名乗る資格など無いと考えていた。
きっとミザエルはミハイルの可能性に気付いていただろうし、そうでなくともミハイルを励ましていた。
カイムも可能性などと言う打算など考えてはいないだろう。だからミハイルを追いつめるような事をしたカイトに蹴り掛かり、殴りかかってきた。
もしミザエル以外に最強のドラゴン使いを名乗る資格があるとするなら、それはカイムかトシキぐらいのものだ。
結局カイトはバリアンとの最後の戦いによってミハイルに謝る機会は無くなり、後悔していた。
……だが。
真の銀河眼使い。この称号だけは譲れない。
カイトとフォトンドラゴンの絆、ミザエルが託したタキオンドラゴンと誇りを汚さないためにも、
そして銀河眼の真の姿、ヌメロンドラゴンの所有者として、誰かに譲ることはもう、あり得ない。

「それがお前の答えってわけか……」

カイトは答えない。凌牙にはそれが肯定か否定か分からなかった。

「なら全力でぶっ潰すだけだ! バリアルフォーゼ!!」

凌牙がバリアン七皇リーダー、ナッシュへと姿を変える。

「デュエルモード、フォトンチェンジ!」

カイトの服が闇を思わせる黒から光を連想させる白へと変化する。

「バリアン世界に眠る魂の為に……いいやバリアンだけじゃねぇ! 人間界の深淵にも眠る満たされぬ魂たちの為に、俺は戦う!」

ナッシュの左目が赤く染まる。

「遊馬、アストラル……最後まで戦う事が出来なかったアイツらの想いを、俺は受け継ぐ!」

カイトの左目も赤く染まる、と同時に眉から瞼に掛けてドラゴンの翼のような模様が浮かび上がる。
幾多の世界を巻き込んだ殺し合いを仕組んだ者達との最終決戦の最中、誰も知らないもう一つの最終決戦が始まろうとしていた。

デュエル
「「決闘!!」」


NASH          KAITO
VS
LP 4000          LP 4000

「先攻は俺が貰う! 俺のターン、ドロー!」

ナッシュのターンから決闘が始まる。
                                                   ランクアップマジック
「俺は魔法カード、昇格の天地降札を発動! 手札を一枚墓地に送り、デッキからRUMを手札に加える!
              ランクアップマジック-ザ・セブンス・ワン
 そして、手札に加えたRUM-七皇の剣を発動!」
「チッ、やはり先攻一ターン目でオーバーハンドレッドカオスナンバーズを呼ぶつもりか……!」
                                                      サイレント・オナーズ・アークナイト
「現れろ! No.101! 満たされぬ魂を乗せた方舟よ。光届かぬ深淵より浮上せよ! S・H・Ark Knight!」

ATK  2100
RANK★★★★
「そしてArk Knightをカオス化し、ランクアップする! 俺はランク4のNo.101 S・H・Ark Knightで、オーバーレイ!
 一体のモンスターで、オーバーレイネットワークを再構築! カオスエクシーズチェンジ!!
                                                  サイレント・オナーズ・ダークナイト
 現れろ、CNo.101!満たされぬ魂の守護者よ、暗黒の騎士となって光を砕け! S・H・Dark Knight!」

ATK  2800
RANK★★★★★

「これが凌牙……いや、ナッシュのオーバーハンドレットカオスナンバーズ……!」
(一体どんな効果が……?)

以前にナッシュと決闘したⅣはS・H・Dark Knightの効果を三つの内二つを知ってはいるが、
まさかこのタイミングでカイトとナッシュが決闘するとは思わず、カイトに伝えていなかった。

「俺はモンスターをセット。そしてカードを二枚伏せる。これでターンエンドだ」

ナッシュのターンが終わり、カイトのターンへと移る。

「俺のターン、ドロー!」

カイトにとってはこの決闘、ただ勝てばいいという訳ではない。
もしもバトルロワイアルなんてものに巻き来なければカイトは死んでいた。そして、遊馬とアストラルが死ぬ事も無かった。
カイトはただ遊馬達の代わりに戦うのではなく、遊馬達が戦いの中で出すであろう答えの通りに行動するつもりだった。

(遊馬、アストラル……お前達ならナッシュとどう戦う……? 敵と割り切ってナッシュを倒すか……?
 ……いや、アイツらがそう簡単に諦める訳が無い。恐らくナッシュと共に生き残る道を探すはず)

だが、今のカイトにはそのための手段はおろか、手がかりさえ無い。

(決闘を続け、方法が見つかることに賭けるしか無いか……)
「俺は魔法カード、融合を発動! 手札のフォトン・リザード二体を融合! 現れろ! ツイン・フォトン・リザード!!」

ATK 2400
LV ★★★★★★

「ツイン・フォトン・リザードの効果発動! ツイン・フォトン・リザードをリリースし、素材に使用したモンスター一組を墓地から特殊召喚する!
 二体のフォトン・リザードを特殊召喚!」

ATK 900       ATK 900
LV  ★★★     LV  ★★★

(今の俺の手札に銀河眼の光子竜は無い……
 もっとも、銀河眼の光子竜を呼ぶには攻撃力2000以上のモンスターが二体必要だがな……ここは、あのモンスターを呼ぶべきか)

「レベル3のモンスターが二体……フ、まるであの時みたいだな。」
「アシッドゴーレムなど、効果を知っているお前が相手では何の意味も無い。
 二体のフォトン・リザードをリリースし、フォトン・カイザーをアドバンス召喚!」

ATK 2000
LV  ★★★★
  ★★★★

「このモンスターをエクシーズ素材とする時、一体で二体分のエクシーズ素材に出来る! 俺はレベル8のフォトンカイザーで、オーバーレイ!
 二体分のモンスターで、オーバレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!
                                                                        ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン
 宇宙を貫く雄叫びよ、遥かなる時をさかのぼり銀河の源より蘇れ! 顕現せよ、そして俺を勝利へと導け! No.107 銀河眼の時空竜!」

ATK 3000
RANK★★★★
   ★★★★

「ミザエルのオーバーハンドレッドナンバーズ……!」
(悪いな、ミザエル……お前の力、バリアンと戦うために使わせてもらう。それに、うまくいけば手札にあるこのカードで、ナッシュに勝てる……!)
「俺は、銀河眼の時空竜でDark Knightを攻撃! 殲滅のタキオン・スパイラル!」
「そのカードをお前に使わせるわけにはいかねえ! 罠発動! フィッシャーチャージ! 
 このカードは自分フィールド上の魚族モンスター1体をリリースすることで、フィールド上のカード1枚を破壊する!
 俺は裏側守備表示のゲイザー・シャークをリリースし、銀河眼の時空竜を破壊する!」
「ち、やはり銀河眼を破壊出来るカードを……!」

Dark Knight破壊してから発動し、追撃を掛けるのが理想だったがやはりそううまくいく訳が無く、
銀河眼の時空竜の破壊を防ぐために手札の切り札を使うことにした。

「俺は速攻魔法、王者の残像を発動! このカードはランク8以上のモンスターが破壊される時その破壊を無効にして、
 破壊されるモンスターをエクシーズ素材とし、そのランクより一つ上のモンスターエクシーズをエクシーズ召喚する!」
「な!? 疑似的なランクアップだと……!?」
                                                                       ネオ・ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン
「顕現しろ、CNo.107! 最強のドラゴン使いに宿りし粒子よ、時の生ずる前より蘇れ! 永遠を超える竜の星! 超銀河眼の時空龍!

ATK 4500
RANK ★★★★★
    ★★★★

「俺のバトルはまだ終わっていない! 超銀河眼の時空龍で、お前のDark Knightを攻撃! アルティメット・タキオン・スパイラル!」
「ぐ、おああああああ!!」

LP 4000
  ↓
LP 2300

「ぐ……まさかCNo.を召喚するとはな……!! だが、これで手間が省けたってもんだぜ」
「何だと……!?」
「墓地に送られたDark Knightの効果発動……! カオスオーバーレイユニットを持つこのカードが破壊され、墓地に送られた時、このカードを特殊召喚する!」
 リターン・フロム・リンボ! そして俺のライフは! Dark Knightの攻撃力分、回復する! うおおおおおおおお!!」

LP 2300
  ↓
LP 5100

「ライフが5100に……!」
「まだだ、罠発動! 七皇の双璧! CNo.からバトルダメージを受けた時、この二体を特殊召喚する!
           アンホーリー・ライトニング
 現れろ! CNo.102 光堕天使ノーブル・デーモン!」
DEF 2400
RANK★★★★★

「CNo.103 神葬零嬢ラグナ・インフィニティ!!」

DEF 2400
RANK★★★★★

「オーバーハンドレットカオスナンバーズが三体だと……!?」
「ただしこの効果で特殊召喚したモンスターの効果は、全て無効となる」
「……俺はカードを一枚伏せ、ターンエンドだ」
(自己再生だけでも強力だが、まさかDark Knightの効果はそれだけではあるまい。ナッシュがどう来るか……)

カイトのターンが終わり、ナッシュへと移る。

「俺のターン、ドロー! ……俺はカードを三枚伏せ、ターンエンドだ」
「バカな、これでターンエンドだと!?」

ナッシュの予想外の行動に、カイトは戸惑う。

「どうした、お前のターンだ。速くカードを引けよ」
「言われるまでも無い! 俺のターン、ドロー!」
(何故ナッシュは反撃してこない……? Dark Knightの効果は自己再生しかないのか? 
 それとも超銀河眼の時空龍を突破出来るような効果を持っていなかったのか? 俺の伏せカードを警戒したのか?)

伏せカードを警戒して何もしなかったのならもうけものだ。カイトの伏せカードは通常魔法、いわゆるブラフだった。
だがナッシュが警戒するだけで何もしないとはカイトにはとても思えなかった。
疑問は尽きないが、まずはドローしたカードを見る。

「よし……俺は超銀河眼の時空龍の効果を発動! オーバーレイユニットを一つ使い、超銀河眼の時空龍以外のフィールド上に存在するカードの効果を無効にし、ターン開始時の状態に戻す!
 そしてこのターン、俺が許可しないカードは発動出来ない! タイムタイラント!」

バリアンのランクアップマジックを使って召喚したわけでは無いので、超銀河眼の時空龍のオーバーレイユニットは通常のものとなっていた。

「させるか! 罠発動! ブレイクスルー・スキル! 相手フィールドのモンスター1体の効果をターン終了時まで無効にする!」
「く……! 俺は魔法カード、エクシーズトレジャーを発動! フィールドに存在するモンスターエクシーズの数だけカードをドローする!
 フィールドにはモンスターエクシーズが4体! よってカードを4枚ドロー!」

もう一度、ナッシュの狙いを考えてみる。

(ナッシュがリバースカードに怯える訳が無い。だとすれば、何かを狙っているに違いない。一体なんだ……?)

ふと、ナッシュが気になる事を言っていた事を思い出す。

(そういえば超銀河眼の時空龍を召喚した時、手間が省けたと言っていたな……
 何の手間だ? 超銀河眼の時空龍を呼び出す手間か? だが、超銀河眼の時空龍が俺のフィールドに居る事に変わりは無い。
 なら、超銀河眼の時空龍がフィールド上に存在する事に意味があるというのか? ナッシュがギャラクシーと名のつくカードを持ってるとは思えんが……)

ここで、カイトは重大な思い違いをしそうな事に気が付いた。

(違う! 超銀河眼の時空龍はオーバーハンドレットカオスナンバーズの一枚! それを呼び出す手間が省けたという事は……!)

フィールドにはS・H・Dark Knight、光堕天使ノーブル・デーモン、神葬零嬢ラグナ・インフィニティ、超銀河眼の時空龍の合計4体のモンスターがいる。

(全てのオーバーハンドレットカオスナンバーズをフィールドに揃えるつもりか……! だから超銀河眼の時空龍をフィールドに残したまま……
 ち、すでに7体中4体のモンスターが……!)

「俺は魔法カード、フォトン・サンクチュアリを発動! 2体のフォトントークンを特殊召喚!」

ATK 2000        ATK 2000
LV  ★★★★     LV   ★★★★

「銀河眼の光子竜は、自分フィールドに存在する攻撃力2000以上のモンスターをリリースすることで特殊召喚できる。2体のフォトントークンをリリース!
                                                       ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン
 闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ! 光の化身、ここに降臨! 現れろ、銀河眼の光子竜!!」

ATK 3000
LV  ★★★★
   ★★★★

「来やがったか、銀河眼の光子竜……!」
「俺なくして銀河眼の光子竜はあらず。銀河眼の光子竜なくして俺もあらず。俺の決闘において、銀河眼の光子竜を呼び出さないなどあり得ん!
 リバースカード、オープン! トライアングル・イヴォルブ!
 自分フィールド上のレベル5以上のモンスターを選択し、そのモンスターを3体分のエクシーズ素材とする! 俺は、銀河眼の光子竜を選択!
 そしてレベル8の銀河眼の光子竜で、オーバーレイ!」

カイトの身体から紅きバリアンのオーラが発せられると同時に、フォトンチェンジが解除される。

「3体分のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!
                                                      ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン
 逆巻く銀河よ、今こそ怒涛の光となりてその姿を現すがいい! 降臨せよ、我が魂! 超銀河眼の光子龍!」

ATK 4500
RANK★★★★
   ★★★★

「トライアングル・イヴォルブの効果で選択したモンスターをエクシーズ素材としたモンスターエクシーズは、攻撃力が1000ポイントダウンする」

ATK 4500
  ↓
ATK 3500

「超銀河眼の光子龍の効果発動! 銀河眼の光子竜をエクシーズ素材としてこのカードがエクシーズ召喚に成功した時、
 このカード以外のフィールド上の全てのモンスターのモンスター効果を無効にする! フォトン・ハウリング!
 そして魔法カード、オーバーレイ・リジェネレートを発動! フィールド上のモンスターエクシーズのオーバーレイユニットを一つ増やす!」
「何だと!? Dark Knightの効果を忘れたのか!?」
「貴様こそ、超銀河眼の光子龍の第二の効果を忘れたか?」
「第二の効果……? !! く、まさか……」
「超銀河眼の光子龍の第二の効果を発動! オーバーレイユニットを一つ使い、このモンスター以外のオーバーレイユニットを全て吸収!
 このターン攻撃力を吸収したオーバーレイユニットの数×500ポイントアップし、さらに吸収した数だけ攻撃できる!」

ATK 3500
  ↓
ATK 6000

「攻撃力6000の5回攻撃だと!?」
「行け、超銀河眼の光子龍! アルティメット・フォトン・ストリーム!!」

アルティメット・フォトン・ストリームがノーブル・デーモンとラグナ・インフィニティを襲い、破壊した。

「続けてS・H・Dark Knightへ攻撃! アルティメット・フォトン・ストリーム!!」
「ぐああああああああ!!」

LP 5100
  ↓
LP 1900

「超銀河眼の光子龍が連続攻撃出来るのはモンスターのみ……だが、超銀河眼の時空龍の攻撃がまだ残っている!
 やれ、超銀河眼の時空龍! ナッシュにダイレクトアタック! アルティメット・タキオン・スパイラル!!」
「ぐ……ま、まだだ……! 罠発動! ディープ・カーレント!
 ダイレクトアタックを受ける時、その攻撃を無効にし、バトルを終了させる!」
「防がれたか……だがこれでオーバーハンドレットカオスナンバーズをフィールドに揃える事は難しくなったはずだ。
 残念だったな。貴様の狙いなど俺は全て見通しているぞ。俺はこれでターンエン、」
「罠発動! オーバーハンドレッド・カオス・ユニバース!」
「何!?」
「俺の狙いを見抜けた事は褒めてやる。だが詰めが甘かったな。
 このカードはこのターン破壊されたカオスオーバーハンドレットナンバーズを全て特殊召喚する!
 蘇れ、S・H・Dark Knight! 光堕天使ノーブル・デーモン! 神葬零嬢ラグナ・インフィニティ!」

DEF 1500        DEF   2400         DEF  2400
RANK★★★★★     RANK★★★★★     RANK★★★★★

「バカな、先程破壊したオーバーハンドレットカオスナンバーズが……!」
「それだけじゃねえ! この効果で特殊召喚したモンスターの数だけ、
 エクストラデッキからカオスオーバーハンドレットナンバーズを選択し、相手フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する!」
「何だと……!?」
          マスカレード・マジシャン
「現れろ、CNo.104 仮面魔踏士アンブラル!」

DEF 1500
RANK★★★★★
    バーニングナックラー
「CNo.105 BK 彗星のカエストス!」

DEF 2000
RANK★★★★★

「CNo.106 溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド!」

DEF 2000
RANK★★★★★

「く……これで、全てのオーバーハンドレットカオスナンバーズがフィールドに……! 超銀河眼の光子龍の効果を逆手に取られるとは……!」
「……超銀河眼の光子龍の効果を使って俺のモンスターを一掃しようとする事ぐらい、読めていた」
「貴様、まさか……」
「そうさ、お前の行動は全て俺の想定内ってことさ。
 その事にも気付かず俺の考えている事を見通していたと思っていたとは……とんだロマンチストだな!」
「貴様……!!」

だがカイトに今打てる手立ては無く、このままターンの終了を宣言するしかなかった。

「俺はこれでターンエンドだ……」
「俺のターン……ドロー!! 見るがいい……これが俺の……いや、バリアン七皇の真の力!
 俺はエクストラデッキから冀望皇バリアンの効果発動!」
「エクストラデッキからモンスター効果を発動させるだと……」
「フィールドにカオスオーバーハンドレットナンバーズが三体以上いる時、それらの全てをレベル7のエクシーズ素材として扱い、このカードをエクシーズ召喚する事が出来る!
 俺はレベル7となったS・H・Dark Knight、光堕天使ノーブル・デーモン、神葬零嬢ラグナ・インフィニティ、
 仮面魔踏士アンブラル、BK 彗星のカエストス、溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド、そして超銀河眼の時空龍で、オーバーレイ!
 七体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!
                                             カオスエクシーズ
 混沌の具現たる軍神よ……切なる望みを我が元へ。集え、七皇の力! CX 冀望皇バリアン!」

ATK   0
RANK★★★★
   ★★★




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最終更新:2014年11月28日 22:47