「はぁ……」

漸く、謎の薬の効果が収まってきたようだ。
なんであんなところにあんな物があったんだろうか。
とにかく、ここを早く離れてこの殺し合いに乗っていない人を探さないと。
いや、その前に何でもいいから身を守れるものを探すべきか?
そんなふうに、私が思案に暮れていると……。

目の前に、メカメかしい変わった箱が。
……これって、風のうわさに聞いた『出題ボックス』?
何が出るかわからないとも聞くし、問題が難しいとも聞く。
だけど、やるっきゃない。解かなきゃ何ももらえないんだもん!
気合いを入れろ、緑川なお!何事も挑戦だっ。
そんなわけで、私は件の箱に近づいた……。

私の気配を感じたかのように、箱がひとりでに起動した。
モニターと、キーボード。出題ボックスはちょっとしたパソコンみたいな感じだった。
画面に映る、文字。

『ここ、食肉工場を拠点とするチーム食肉工場組。最終的な人数は?』

は、は、は、は、はいィィィィィ!?ナニコレ、究極に難しいよ!
ていうか、食肉工場組とかいうそのままズバリなチームのことなんて知らないし!
頭を振っても、バシバシ叩いても、グリグリしても、答えは出てこない。
仕方ないよ、知らないんだもん!
なーんてやっている間に、残り時間が減っていく。
こうなったら……究極奥義『当てずっぽう』。
私やみゆきちゃん達のいる、プリキュアと同じ人数の……!

「5」

を、入力。
時間のカウント音が消える。静かだ。

パッパパパーパッパパパパー♪

電子音で構成された安っぽいファンファーレ音が、この辺に反響した。

『お見事、正解です』

モニターに映る、文字。どうやらあっていたようだ。
軽く脱力した。適当に押したら、合っていたなんて。
こんなこと、今までなかったよ……。
まあ、でも。これで何らかのものが手に入るのだ。
ここは素直に喜んどかないと、ね。

キーボードがパッカーンといった風に開く。
まぶしい光とともに、『何か』のシルエットが浮かんだ。
一体何が出てくるというのだろう。
やがて、光が薄まって、薄まって、薄まって、消えた。
そこにあったのは……。

「段ボール箱……?」
そう、段ボール箱だった。『産地直送!美味な梨』とある。
さっきとはまた別な意味で脱力した。
武器ではなく、食料が出てきたのだから。
まあでも、「腹が減ってはナントヤラ」っていうし。
ここはもらっておこう。梨も嫌いじゃないしね。

割り切りつつ、箱を持ち上げる。……えっ、異様に軽い?
疑問に思いつつ、箱をいったん地面に置き……開けた。
その箱の中にあったのは……

「あんたにあげるものは、無し!」

と、書かれたたった一枚の紙だった。

「ズコー!!」

私は、ズコーッとコケた。蟹股で。

……空が、青いなあ。



【一日目・12時35分/食肉工場近辺】
【緑川なお@バンダイロワ】
【状態】疲労(中)、ズコー
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】
基本:殺し合いには乗らない。
1:出題ボックスェ……
2:なんでもいいから、ください

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最終更新:2020年06月21日 22:28