【名前】アレックス・ルイ・アームストロング
【性別】男
【出展】鋼の錬金術師
【所属】関東軍
【設定】
アメストリス軍中央司令部に在籍する軍人、年齢は35歳、身長220㎝。、階級は少佐。
同時にエドワード・エルリックやロイ・マスタング大佐と同じく国家錬金術師資格を持つ。二つ名は「豪腕」。
アメストリス屈指の名門であり、長年将校を数多く輩出してきた「アームストロング家」の生まれで、一家に代々伝わる「芸術的錬金術」をはじめ、様々な技能を修めた文武両道の人物。軍部内でエルリック兄弟の成り行きを認知する理解者の一人であり、様々な局面で彼らに協力する。
スキンヘッドにカールのかかった前髪が一房だけ垂れた独創的な髪型と、同じく毛先がカールした口ひげが特徴で髪色はいずれも金。
目元は彫りが深く眉毛がない、下睫毛がやや長めで顎は太く、割れている。
原作でも(純粋な人間の中では)一二を争う筋骨隆々とした巨体の持ち主。
厳つい外見とは裏腹に、情に厚く涙もろく、軍人としては優しすぎる性格。
一人称は「我が輩」だが威厳ある口調を用いるが、礼節を重んじ、上官や目上の人物(両親や姉、年上の人物)、その他施しを受けた他人などに敬意を持って接することができる紳士でもある。
軍人として国家に対する忠誠と誇りを抱いているものの、その非情になりきれない性格ゆえ、ときには他者から軍人として不向きであるという旨の言葉を投げかけられることもある。
かつてのイシュヴァール人殲滅戦では、女子供老人など無抵抗な民まで粛清される惨状に戦意喪失し戦線から外されるなど不名誉な扱いを受けてしまったこともある。
また、大総統を含む上層部の腐敗についても、マスタングたちに真実を告げられるまで全く疑いようもなかったことなど、純真すぎる面もみられる。
一方で、旅先で出会ったマルコーのことを黙認したり、一時国外に出かけるために非合法な入国手続きをしたりと、意外にしたたかなところもある。
能力については意外にも脳筋ではなく、器用である。
戦闘においては、その外見や「豪腕」の二つ名に違わず強靭な腕力を駆使したパワフルな体術を得意とする。
両手に装着した錬成陣付きのガントレットにより錬金術を使用、対象を拳で殴ることで錬成が発動し、特に鉱物を形状変化させる錬成を得意としている。
矢や弾丸のように尖った石や巨大な壁などシンプルなものから、ポージングをキメた自身の彫像など妙に洗練されたデザインなど、そのバリエーションもバラエティに富んでいる。
また、上述の錬金術を含め、事あるごとに「我がアームストロング家に代々伝わりし○○術」という伝家の所作術を披露しており、「似顔絵術」や「読唇術」「尾行術」など戦闘以外にも多くの技能や知識を有しており、一見するとギャグのようだが、全て実際に上手く成功しているという器用さを作中で見せつけた。
参戦時期では不明だが、最低でも上述のイシュヴァール人殲滅戦の時ではないのは確かである。
【今ロワでの動向】
異世界召喚装置という謎の装置により、内戦下の大東亜共和国世界の関東軍側に召喚されたアームストロング。
一見落ち着きを払い、表面上はいつも通りのノリ+筋肉だったが、内心では内戦を愚かなものとして見て、同時に首輪をはめてまで戦わせようとする共和国に疑念を抱く。
関東軍関西軍の勝ち負けとは関係なく、内戦そのものを止めたいと願っていた。
そして軍人同士として鶴見やシローは軍人というポジションを活かして関東軍の参加者が首輪で粛清されないように腐心する。
無論、関東軍に今にも叛逆しそうな者もいたが、首輪が外れてない今はその時ではないと、説得する。
その上で、キラ・ユウマ・グリーグ・イプシロン・鶴見・ヨンファの軍人グループの派閥に入ることで、関東軍及び関西軍に無駄死にがでないように、早く内戦を終わらせられるように連携を深めた。
またアームストロングは、宝太郎やりんねと互いの錬金術についての違いとかの話をしたりなど、仲を良くしていった。
英寿と宝太郎とうっかり鉢合わせる形になった釘宮は暴れて二人を殺す気まんまんだったせいで首輪爆破をチラつかせられ、監視を強化されることになった釘宮にはアームストロングに錬金術云々聞かれた際もひとりだけ尋問みたいだった形をとっていた。
そのような形でアームストロングが軍人グループのスポークスマンになった。
だが集まっている者の中に鶴見中尉が混ざっているなど絵面がすごいことになっていた。
デラーズ、アームストロング、武田晴信など軍将達が会合して今後の戦略や首輪について話し合い(平行して筆談)している最中に伝令兵が来て、敵軍の名古屋基地襲撃や味方の越後基地襲撃を知らされることに。
特に後者については彼らは指示を出しておらず、関東軍の上層部や参加者の一部が独断で戦力を投入したらしいので、その勝手な行動に憤り焦ることに。
ひとまず晴信は長野方面にいた土方に緊急連絡して越後の軍神の足止めを指示、アームストロングも彼の黒雲カーに乗り込み爆速で高速道路を走らせ越後へと向かうことになった。
越後基地での戦闘は攻め込んだ関東軍側が不利であった。
そして見かけたのは友軍であるMSストライク・ダガーに乗る少女スレッタが関西軍の謎の空飛ぶ車(ファンファン)やヴァンツァーに追い詰められている所。
アームストロングは急いで救援に向かった。
そしてダガーはロケットの直撃で爆散
したかに見えたが、ノリスはロケットが当たる寸前にポージングを決めた筋肉男の彫像がダガーを守ったのを見逃さなかった。
ノリス「むぅ!?何奴!!」
アームストロング「悪いが、これ以上仲間を殺させるわけにはいかんのでな」
関東軍の筋肉もとい剛腕の錬金術師アームストロングが気絶したスレッタを抱える。
アームストロング「悪いがここは退かせてもらう。
貴殿たちの戦いは実に見事。
できればこんな下らぬ内戦で会いたくはなかった」
香織「逃がさない!」
スレッタを抱えたアームストロングは脱兎の如く逃げ出す。
香織は追撃のためにショットガンを乱射するが錬成された岩の壁で阻み、逃走に成功する。
一方、スレッタを抱えたまま越後基地から離れつつ、アームストロングは考える。
(確かに我々の方が不利な戦いだったが、ここに来て航空戦力以外、全軍撤退。
デラーズ殿、いったい何をするつもりか?)
関東軍の現状の召喚者をまとめるデラーズには何か秘策があるのか、アームストロングは気になった。
戦況は全力で戦う晴信のお陰で謙信の足止めに成功し、アームストロング少佐たちの救助もあって関東軍の撤退は順調に進んでいた。
あとは勢いづく関西軍をコアファイター部隊で牽制して撤退の機を窺っていたが、そこへ伝令が入る。
『関東軍の撤退支援のため、毒ガス・GUSOUを使うと』
伝令通りに関西軍の越後基地にGUSOUは落ち、これから追撃掃討戦を始めようとした関西軍を一網打尽にした。
GUSOUの有効範囲外、遠くからそのおぞましい光景を見たアームストロングは絶句した。
このGUSOUにより越後基地の戦いはいちおう関東軍の勝利となるが、勝つために毒ガスを使用した件については右京やシローなどの反戦派の多くは怒り心頭。
さらに名古屋基地側は関西軍に敗北し、キラ死亡という悲報も入っている。
顔役だったのとデラーズの真意を知ってるので批判のトーンも弱かったので、派閥のスポークスマンだったアームストロングがデラーズ以上に直接色んなネームドになじられる回は「消せない罪」と呼ばれた。
アームストロング自身は毒ガス使用には反対なのであるが、あのまま戦いが続いてたらバラバラに新潟入りする関東軍が各個撃破されてたのもわかっていた。
少ないと言っても民間人に被害は出て、それでもあれ以上ネームドが死ぬことは防いだしで、あれ以上の最善の手を思いつかないので悩むことに。
現状、アームストロングに変わらず信頼を向けてくれるのはギニアスとか晴信とかわずかな者のみであった。
それから数日後、群馬のとある山村が突然連絡を絶ったということで、ゲロウジームたちが調査のためにヘリで偵察に向かうが、こちらも連絡が途絶。
続いて宝太郎とりんねもヘリで送り込まれるが、音信不通になってしまう。
宝太郎とりんねと交流を深めてたアームストロング、音信不通になった群馬に宝太郎たちが飛びたったと聞いてメンタルがやられることに。
自分も行こうか真剣に考えるがあそこに行くのは危険だというのは理解してしまい、なかなか動けない。
軍からの信用もガタ落ちでネームドはほとんど動かせないし、不要な犠牲を出す気もない。
それでもアームストロングの出した結論は…自分も群馬に向かうということだった。
自分がいく、という結論を出したが、群馬に行くための足がない。
そこで野戦病院から退院したスレッタが、自分がアームストロングを戦闘機であるコア・イージーに乗せて運ぶという。
スレッタが命の恩人であるアームストロングを慕ってるからこその提案であった。
なお。同時に居合わせたこーりんこと森近霖之助に舌打ちされた気がするが、今は無視した。
スレッタを危険地帯に連れて行くことに申し訳無さや不甲斐なさを感じながらも感謝して、コア・イージーに乗り込んだアームストロングはスレッタと共に群馬へと向かった。
そこにはガッチャードデイブレイク スチームホッパーと化した宝太郎が巨大な黒いドラゴン――ギャオスと戦っていた。
ガッチャードの方は必死で、何かに取り憑かれたかのようにギャオスを倒そうとしていた。
何かを感じ取ったアームストロングは降りて加勢し、スレッタもアームストロングが命の恩人であるがゆえに自分もコア・イージーでギャオスと戦う。
アームストロングは宝太郎に撤退を提案したが、りんねを殺されたらしく化け物を倒すまで逃げないと引かなかった。
それが原因で加治木やゲロウジームやアームストロングやスレッタを危険な目に巻き込んでるとは気付かず。
しかし、朝日が迫ると形成はアームストロングたちに傾く。
そう、ギャオスは日光が苦手だったのだ。
これはチャンスであると、宝太郎は必殺技を放ち、アームストロングとスレッタはギャオスを仕留めさせるための援護をする。
ところが、突然現れた関西軍のプロペラ魔戦闘機の機銃掃射により、宝太郎の必殺技は直撃せず、さらに跳弾がここまで生き残り宝太郎を応援していた加治木の命を奪った。
スレッタのコア・イージーが追撃をギャオスと魔戦闘機に仕掛けるも、一足遅く離脱されてしまった。
調査隊は宝太郎とギャオス戦が激化するにつれて怯えて透過してやり過ごしていたゲロウジームを残して全滅。
山村の住民は全てギャオスに喰いちらかされた。
ほぼ最悪の結末だった。
なおスレッタはゲロウジームがいきなり消えたことに気付き、後に宝太郎やアームストロングに伝えた。」
宝太郎「加治木は最期まで頑張ったのに、お前は……!」
戦いが終わり、透過を解いたゲロウジームに宝太郎がブチギレて掴みかかろうとする。
それでも助けれなかったのは事実だと反論せずされるがままだったゲロウジーム…スレッタやアームストロングは制止しようとするがど思わず彼らに怒鳴ってしまい、宝太郎は自己嫌悪に襲われていた。
宝太郎「ごめんなさい!二人は悪くないのに、悪いのはゲロウジームだけなのに……!」
自己嫌悪に陥ってスレッタとアームストロングに咄嗟に謝る宝太郎。
だが申し訳無さそうにしてるゲロウジームは名指しで悪者扱いしてるのが宝太郎から、彼が言っていたガッチャが失われてることをよく表してる。
アームストロングはその場を収めるべく、なんとか説得しようとするが、その前にスレッタから最悪の援護射撃が……
スレッタ「違います!ゲロウジームさんは何も悪くない!
悪いのはあの怪獣と、あのプロペラ機のパイロット…関西軍なんです!」
スレッタは群馬の山村やりんねたち死亡の責任は全て関西軍にあるとした。
宝太郎「そうか。たしかにこんな戦争が起こっていなければ、あんな怪獣や関西軍のパイロット達が居なければ誰も死ななかった。
……だから関西軍は倒さなきゃダメだったんだ!」
メンタルボロボロの宝太郎にスレッタの言葉は効いてしまった。
おかげで宝太郎はギャオスと魔戦闘機のパイロットを第一に恨み、次に関西軍を恨んだ。
関西軍を敵で、早急に戦争を終わらせるべきだと関西軍全体に恨みを向けたのだ。
アームストロングはもはや何も言えなかった。
彼自身は決して無能ではないんだけど軍人としては優しすぎたのだ。
スレッタを連れてきたのは戦力的には正解だったのだが、普段は優しいスレッタが関西軍にヘイトを貯めていたこと、そこから宝太郎まで戦の狂気に飲まれたのは予想できなかった。
そして群馬の山村を生き残った四人は帰還するが、たったの二人しか救えなかったことに指揮をしていたアームストロングに非難が集中。
アームストロングの信頼が地に落ちたどころか泥にまみれることに。
ゲロウジームしか救出できなかったとか宝太郎が主戦派に転向したことまで責められて反論しないのは人間ができてるとも言えるが……
そしてそこに声をかけるのが鶴見中尉だった。
鶴見「少佐がいなければ、彼を助けることはできなかった……貴方の活躍で全滅するはずだった部下を救えたのです」
付け加えて鶴見中尉、新潟出身だと言って故郷に毒ガスをまかれたことは悲しいとアームストロングに負い目を感じさせつつ軍人として言われたら嬉しいことを言ってくるので、傷心のアームストロングに刺さるのだった。
次に浜名湖基地、佐渡島基地で戦闘があったが、関東軍の宝太郎、ゲロウジーム、スレッタ、アームストロングは両作戦では不参加となる。
宝太郎は失明した片目を始め、適切な治療が必要だった件があり、スレッタは大戦力になると思われる機械生命体スペルビアとの適合を急ぐため、ゲロウジームとアームストロングはメンタルがやられてて、すぐの出撃は不可能とされたためである。
スペルビアとの適合を頑張るスレッタの周りにアームストロングのみならず、宝太郎、敷島、グリーグのような主戦派や、こーりんや
MURのようなメタ的な危険人物、更には鶴見みたいに何か企んでそうな奴まで絡んできて仲良くなるのはひたすら不穏と読者には呼ばれた。
それまでと人間関係少し変わったけどアームストロングや鶴見といった新しい仲間とも触れ合う機会が増えて少しは一人で思いつめることがなくなった宝太郎。
同じようにそれまでの仲間と一緒にいる時間が減って無茶な訓練に明け暮れていたスレッタを気遣う余裕が生まれてきたな。
内戦も後半戦が見えてきて当初とは違った交友が増えてきていた。
そんななか、すっかり暇になったアームストロングはゲロウジームの申し出もあり、彼を鍛えることに、これはむしろアームストロング側のメンタルの回復に寄与することになった。
時は経ち、この内戦の一つの転換点とされ、総力戦が予想される桶狭間の戦いが始まろうとしていた。
一気に大阪までの侵攻ルートを作りたい関東軍とそれを絶対に阻止したい関西軍の、おそらく大作戦になるため、アームストロング含めた召喚者全員参戦を関東軍から指示された。
航空輸送機ミデアで運ばれるアームストロングたちだったがそこへ、ダリルが率いる狙撃に特化したジムスナイパー部隊による待ち伏せを受ける。
アームストロングが乗っていたミデアも墜落、錬金術を使いなんとか無事に脱出した。
まずはダリルのジムスナイパー部隊を倒さないと味方の犠牲が増える一方だ。
幸いというべきか、その狙撃部隊の近くに降り立てたため、ジムスナイパー部隊討伐のために、単身向かうのだった。
そして錬金術を使い、桶狭間の土や岩から棘や壁を錬成してジムスナイパー部隊を妨害するアームストロング。
しかし倒すには戦力が足りない、特に最も手練れのダリル機には……
その時。関西軍モブ兵士の乗るジムスナイパー一機の頭部がミサイルで吹き飛ぶ。
それをやったのは佐渡島の戦闘で行方不明となっていた味方の溝口(ヨンファ)だ。
彼はどこで手に入れたのか、自動車とミサイルランチャーを担いで現れ、共闘することになった。
ジムスナイパーは装備の関係上、近接戦には向いてないので何気にアームストロングと溝口の白兵戦法はクリティカル。
ダリル機はマシンガンのような近接装備を持ってきたとはいえ、的が小さいので流石に当たらない。
このまま押し切れるかと思った時、ダリルの援護として現れる鬼龍。
ぶつかり合うアームストロングと鬼龍さんの筋肉!ついでに溝口!
ダリルが「大丈夫かな」とこっそりこぼしたのは内緒である。
溝口も撃術で応戦するがナイフを弾滑りですかされたところに蠢蟹掌を受け心臓に大きなダメージを負う。
弐撃決殺を受ける寸前でアームストロングがカットに成功したが、溝口は一発でKOされてしまった。
追撃にダリルのジムに溝口が踏まれかけるが、寸でのところでアームストロングが運んで離脱したので事なきを得た。
アームストロングも戦略的撤退を選択する。
それはアームストロングたちがダリル部隊の足止めをしている間に関東軍側が航空優勢を勝ち取ったからである。
関西軍飛行隊長長のガーディルマン落伍、ギャオス離脱、関西軍飛行隊壊滅。
制空権を完全に奪われ、こーりん率いるガンタンク隊が勢いづいたため、二人も後退してアームストロングたちを追ってこなかった。
一旦、後方まで負傷した溝口を連れて退避したアームストロング。
その先で待っていた前線が押し上がったことで前進してきたガンタンク部隊の長であるこーりん、そして後からパニック状態のスレッタがスペルビアから降りて、アームストロングの上裸に泣きついた。
アームストロング「どうしたのだスレッタ・マーキュリー?」
スレッタ「私、マイキーさんを…マイキーさんを殺してしまいました!」
アームストロング「なんと…」
泣きじゃくるスレッタと困惑を隠せないアームストロングを尻目にスペルビアとこーりんは不可解な事象について話し合う。
スペルビア「スレッタはマイキーを守ろうとしただけだ、だが、どういうわけかマイキーは尖兵(ブロリー)を守ろうとして、果てたのだ」
こーりん「ふーん、なるほどね」
スペルビア「何がなるほどなのだ?」
こーりん「マイキーの行為は立派な利敵行為じゃないか。
周りの奴らもスレッタを非難するよりなぜ関西軍の尖兵を倒さない?
思うにマイキーは…いや、東京卍會は、関西軍の回し者だったんじゃないか?」
スペルビア「憶測の域は出ぬ話だが、可能性もゼロではあるまい……が」
こーりん「これはただの直感だけど、奴らはきっと集団で関東軍を抜ける。
仮にそうなれば推測は当たってたことになるね」
アームストロング的には関東軍を抜ける「何か」があるならそれで良いとも思っていた。
しかし、敵兵を庇い、スレッタがマイキーを殺してしまったとはいえ、それはあくまで事故。
彼女の言い分は聞いても良かったハズだ。
関東軍を抜けられる「何か」を自分やスレッタに教えにこないのは、どうにも腑に落ちない部分があった。
そんなことを考えるアームストロングの頭上の空を1発の巡航ミサイルが通過していった。
その直後、溝口を担いだアームストロングの背中から生温い感触がし、合流していたスレッタの顔が青ざめる。
この時、スレッタはマイキーを誤殺したことでパニックに陥っていたので首輪爆破でヨンファが死んだことに気付けなかった。
こーりんとスペルビアもまだ困惑気味で気付けなかった。
スレッタ「アームストロングさん、どうして」
溝口を担いでいたアームストロングはヨンファを降ろして状態を確認するとヨンファは死んでいた。
理由はよくわからない……だが思うに関東軍を裏切ったか、上層部を怒らせる何らかの手段を取ってしまったのだと、アームストロングは予測する。
そして戦場の真ん中でEMPが発動し、首輪の機能が一時的にダウンする。
しかしアームストロング、スレッタ、スペルビア、こーりん、その他関東軍側に残った兵士の首輪は解除されることはなかった。
全員首輪解除者のいる現場から遠い後方にいるから仕方ない部分もあるが、スレッタ、スペルビアは東京卍會からの危険視されてるので言わずもがな。
こーりんは卍會(反逆者)になることに旨味を感じていない。
アームストロングは……スレッタを修羅の道に引き込んでしまった責任を感じていて、なんとか間違った道に踏み外さないように見守っていくために関東軍として戦う道を選んだという
一方、宝太郎も前線から戻ってきたが、スレッタやアームストロングは虚空に向けて会話しだすほど壊れが加速している彼を見てられないと曇ることに。
桶狭間の戦いは。巨大な機械生命体ヴェルム・ヴィータの介入もあり、関東軍側の勝利で終わった。
そして桶狭間からほど近い基地にネームドたちは移動・休息をすることに。
ヴェルムはこの戦いの真実……らしきことを残ったネームドの面々に話した。
元々、別の星からやってきたヴェルムはこの星の住人と共生を目指しており、人類に豊かさを与え、場合によっては死すら超越する「異世界召喚装置」を作り上げた。
ところが召喚者の中に裏切り者が出て、3機あった召喚装置の1つを強奪(もう1機は地震で喪失)されてしまった。
その強奪した者たちが今の関西軍であると。
仮に関西軍に関東軍側に残った装置を奪われれば、私利私欲に使うだろう。
また、これまでの関東軍側の虐殺や大量破壊兵器使用の責任は全て溝口とデラーズの独断であると語った。
先ほど溝口が首輪を爆破された理由はこれだったのかとアームストロングは理解する。
「真実」の話を聞いた面子の反応も様々だった。
ヴェルムの言葉を真実と鵜呑みにし、なお関西軍への敵意を高めるスレッタ、敷島、宝太郎。
話に違和感を感じるが確たる証拠もないので口に出せないアームストロング、ゲロウジーム。
「だから何だ?」と真実そのものに興味はなく報酬目当てに関東軍として戦っていくつもりのシャロ、グリーグ。
ただ戦を求めるスペルビア。
この話には裏があると思いつつ、後でヴェルムと交渉して甘い汁を啜れないかと考えるこーりん、MURであった。
桶狭間の戦いから後日、奈良県が暴走したギャオス・グラトニーの襲来を受ける。
関西軍の占領地でも奥の方なので、関東軍からは救援には迎えない。
ギャオスに復讐心を燃やす宝太郎が他の者の手を払いのけて勝手に危険を承知で奈良県へ出撃したが、ヴェルムの指示により他の者は待機するように言われ、従うしかなかった。
アームストロングとスレッタは関西軍はともかく、デラーズら反戦派を主軸とした第三軍ならきっと動いてくれると期待したが、いつまで経っても第三軍が動いたという情報は出ず、信じていた二人は余計に曇るのだった。
そんななか、宝太郎がギャオスを殺したいがために独断で奈良県にバイクを走らせて行ってしまった。
スレッタやアームストロングが追いかけようとするが、ヴェルムに止められてしまう。
なお、関西軍の県内に入るのでモブ関西軍の妨害を受けたが、1人で来たことが功を為し、宝太郎は難なく突破できた模様。
桶狭間の戦いが終わり、奈良県がギャオスグラトニー襲来の報道が流れたその日の夜のこと......
アームストロングとこーりんは次の作戦が始まる前にシャワーを浴びていた。
アームストロングからはシャワーでは流しきれない辛気臭さを出していた。
というのも彼は群馬県での件以来全ての頑張りは空回り、宝太郎は壊れ、スレッタは迷い、デラーズたちは離反、他の関東軍の面子は戦争を肯定。
もはや自分はこの内戦でどうすれば良いかわからず、シャワーを浴びながらため息を吐いていた。
その時だった、二人の前に彼女が現れたのは。
スレッタ「アームストロングさん、リンノスケさん……」
アームストロング「ス、スレッタ・マーキュリー!?」
こーりん「おいおい、裸じゃないか?!」
スレッタ「ごごご、ごめんなさい、シャワー交代の時間を間違えました……でも……」
スレッタが裸でシャワールームに現れたことに驚くアームストロング(全裸)と、流石にこの展開は予測してなかったこーりん(全裸)は狼狽える。
しかし彼女の表情は慌てた表情からすぐに羞恥とは違う泣き顔に代わるのだった。
スレッタ「アームストロングさん、リンノスケさん、私もう、自分でもどうすれば良いかわからないんです」
アームストロング「スレッタ……」
こーりん「どうしたのさ?、言ってみてごらん」
スレッタ「ミオリネさんに振られた、マイキーさんを殺してしまった、……東卍失格と言われた私にはもう何も残ってない……
それこそ私にはもう二人しかいないんです」
アームストロングは理解する、頑張りが空回りしたり悩んでいたのは自分だけではないと。
そしてスレッタは越後以来の命の恩人である自分を頼っているのだと。
対するこーりんも、自分が想像していた以上に自分がスレッタに人として信頼を向けられていたことに複雑な感情を抱いていた……
アームストロングは悩みではち切れそうになっているスレッタを優しく抱き締めた。
アームストロング「我輩もだ、スレッタ・マーキュリー」
スレッタ「アームストロングさん…」
アームストロング「我輩はお主を助けた事に関する責任がある。
スレッタがマイキー殿を死なせてしまった事故は我輩の責任でもある。
お主が地獄に堕ちるべきとあらば、我輩も共に堕ちよう。
お主は1人じゃない、我輩も共に戦おう」
スレッタ「アームストロングさん!」
二人は強く抱き締めあった。
お互いの心臓の高鳴りを感じつつ......
二人の世界になったシャワールームに付け入る隙がないと見たこーりんはどこか残念そうに去ろうとする。
......なぜかスレッタを一人占めできなかった事に苛立ちを覚えながらも。
ところが
スレッタ「リンノスケさん、も」
こーりん「おや?」
スレッタ「ありがとうございます」
スレッタはアームストロングだけでなく、こーりんをも抱き締めた。
なぜだが、こーりんは悪い気はしなかったようだ。
こーりん「決めたよ、この戦争が終わったら君の処女を奪いに行く」
スレッタ「ふぇ?!」
アームストロング「なっ、森近殿!?」
こーりん「自分へのご褒美がないとやる気が出なくてね。
僕が抱くまで絶対に死なんでくれよスレッタ。
アームストロング少佐、いや、アームストロング。
戦争が終わるまでにどちらが彼女をものにできるか競争だ……今日のところはおやすみ」
こーりんはいつもの怪しげな笑顔を向けてシャワー室を後にした。
スレッタ「リンノスケさん……」
アームストロング(なんか我輩、勝手に恋敵にされてるのか……?)
こーりんの突然の恋の宣戦布告に困惑するアームストロングであった。
この後、二人もシャワー室を出たが、三人でシャワー室から出る姿が目撃されたため「三人はシャワー室でまぐわっていた」という噂が前線基地に流れた
グリーグ「お嬢ちゃんも案外好きモンだな、で、小娘の具合はどうだったんだよ? 少佐」
敷島「破廉恥と言いたいところだけど、これが文化の違いか、世界は広いな」
シャロ「……不潔」
ゲロウジーム「ええと、その、反応に困ります……」
MUR「女の体なんて抱いて何が気持ちいいんだゾ……」
スペルビア「これがOMIAIという奴か」
アームストロング・スレッタ「「ファ!?」」
「生まれたままの姿で抱き合った」のは事実なため、後から頬を赤らめるスレッタとアームストロング。
こーりんは逆に涼しい感じだった。
後日、防空網の守りも必要ではないかと、防空網の中枢にしている要塞に再建造した埼玉のグワデンに、アームストロング・ゲロウジーム・シャロは派遣されることになる。
関西軍の飛行隊は壊滅したとはいえ、何を飛ばしてくるかわからないから備えはあるべきという考えだと言う。
残る敷島・MURはヴェルムの護衛として残り、スレッタ・スペルビア・こーりん・グリーグは第三軍によるアプサラスⅢ奪取を危惧し、浜名湖基地に回されることになった。
埼玉に派遣されるその前に、アームストロングは強化アイテムとしてノロ入り魔界植物の種(
混沌ロワ5にてガリガリくんにねじ込まれたもの)をヴェルムから渡された。
これがあれば防御力と攻撃力に優れた植物魔人・荒魂拳士カクタス・ファントムになれるが、精神力次第で暴走の危険もあるが、戦後には治すための治療を行うらしい。
とはいえ流石に後がない時だけに使って欲しいとヴェルムからは言われた。
カクタスは拳と針と高耐久力がメインなのでバトルスタイルはだいたいアームストロングには合っていた。
元々のアームストロング家に代々伝わるの芸術的錬金術+筋肉に氷属性+幻覚耐性+高防御力が付加され、さらに毒針まで使えると仕様書には書いてあった。
そしてアームストロング、スレッタ、こーりんはそれぞれの戦場に赴く前にスペルビアの前で円陣を組むことに。
スレッタ「三人とも生きて、また帰ってきましょう」
こーりん「ああ、君を抱くまで死にたくないし、ライバルがいなくなるのもつまらないからね」
アームストロング「スレッタの初体験は……うむ、リンノスケ殿には奪わせたくないな」
スペルビア「これが友情というものか……背丈が同じならば私もエンジンに入りたかった」
戦争を通じて結果的に仲良しになった、この三人と一機。
はてさて、どんな運命が待ち受けるのやら。
そしてアームストロング、シャロ、ゲロウジームが埼玉のグワデンにたどり着いた時には既に第三軍に侵入されていた。
関東軍もじきに潜入に気付いて兵力を送り始め、シャロとゲロウジームも侵入者に対応すべく動き出した。
一方、グワデンを見晴らしの良い高所から観測するキャスターめぐみん、ゆんゆん、寿々花、ワンフォール。
潜入した者たちが戻ってくることを祈りつつ、万が一の時には爆裂魔法を放ってでも防空網を破壊すべく待機していた。
しかし、そんな彼女達の元にも関東軍のモブ兵士達、そしてアームストロングが現われる。
そしてアームストロングはモブ兵士たちによる包囲を終え、逃げられなくなったところをワンフォールたちに襲いかかった。
その戦闘前にアームストロングは降伏勧告したけど寿々花達は応じず、やむを得なく戦闘になった形である。
ちなみにモブ兵士達も射撃援護しているから4人全員でアームストロングに挑む事はできず、数人は足止めを食らって射撃の外にいる者とアームストロングが戦うような感じになる。
反戦派寄りだと思っていたアームストロングが襲ってきて狼狽える寿々花。
しかもアームストロングはこの中で一番疲弊してる寿々花を的確に狙ってきて、演技とは思えなかった。
バックアップだけのつもりだったが、自分も戦わざるを得ないだろうと寿々花は応戦する。
一方、アームストロングとは別軍だったワンフォール、ゆんゆん、めぐみんはアームストロングを敵だとしっかり考える。
ワンフォール「くっ、敵に囲まれたか!だが淳之介のために、NLNSのみんなのために負けるわけにはいかない!ゆんゆん、寿々花……気を抜くなよ」
ゆんゆん「相手は結構手練れみたいね。めぐみんは後ろに下がってて!私達が戦うから!」
寿々花に対する攻め方からして、ある程度の力量を見抜くゆんゆん。
だがゆんゆんとアームストロングには悲しい程の実力差があった。
いや、これは世界と種族の違いゆえと言うべきか。
ゆんゆん「ライト・オブ・セイバー!」
それでもゆんゆんのライト・オブ・セイバーがアームストロングを貫き、致命傷を与える。
如何なる筋肉を誇ろうとも、この上級魔法に対抗策はない。
致命傷を受けたとはいえ、命拾いしただけでも十分すごいが……このままでは持たない。
そこでアームストロングは後がないとして、ノロ入り魔界植物の種を使い、植物魔人カクタス・ファントムになった。
スレッタの居場所を無くさないためにも、ここで死ぬわけにはいかないからである。
ゆんゆんは再度ライト・オブ・セイバーを放つが、ただでさえ筋骨隆々の男が高い防御力を誇るカクタスになったのだ。
ダメージこそ受けど、死にはしない。
寿々花「わかっています、斑さん。そちらも気を付けて!
…覚悟をお決めになられたのですね、アームストロング少佐…!」
援護に向かえないワンフォールにそう返しつつ、立て直し御刀九字兼定の切っ先をカクタス・アームストロングへと向ける寿々花。
寿々花(…止めたければ殴り倒して見ろと、言いたい可能性も無くはないですが……あの様子では望み薄、ですわね)
「…少佐、貴方にも、退けない理由があるのは分かりましたわ。
一度は死んだ筈の身、今更惜しくなどありませんが…全力で迎え撃たせて貰いますわよ、それがわたくしの貴方への礼儀という物、ですわ!
行きますわよ、ゆんゆんさん!」
雷の滅竜魔法を御刀に纏わせ、寿々花はゆんゆんと共に迎え撃つ。
ゆんゆん「はい、寿々花さん!私も一度は死んだ身ですが、そんな私を生き返らせてくれたシャロさんと遊星さんのために。そして大好きなめぐみんと一緒に居たいから……相手がどんな人でも全力で戦います!」
めぐみん「がんばってください、ゆんゆん!」
ゆんゆん「もちろんよ。この人にも何か事情がありそうだけど――殺す覚悟はもう決めたわ!ボトムレス・スワンプ!」
瞬間、巨大な沼がカクタスアームストロングの足下に発生して、動きを封じた。
その隙に、寿々花がカクタスアームストロングへ斬撃をくらわせる。
苦戦するアームストロング……そして相手にも引けない理由があるのだな、と。
むしろ内心では元・反戦派として彼女らを応援したいぐらいだった。
――耳につけていたインカムから第三軍が浜名湖基地周辺の町を焼いたという情報が届くまでは。
アームストロングは静かに怒りを滾らせた。
一瞬だけ第三軍に期待した自分が馬鹿だった。
第三軍は身内さえ助かるならなんでもする、それこそ関東軍や関西軍と大差ない集団であると。
いちおう虐殺の件は、GUSOH投下の際怒りを見せてた寿々花は承知では無さそうかつ、口ぶりからしてゆんゆんも知らないだろうという可能性はある。
だが、もしそうならすぐにでも関東軍に降伏するか、せめて第三軍を抜けて内戦から手を引くべきだろう。
第三軍がやったことは事実だからだ。
それにイシュヴァール人殲滅戦のように、そのような愚行に出た者が第三軍にすら居るのなら…!!
と、スレッタの為にもここで彼女らを倒すと攻勢を強めることに。
元よりスレッタの為、止まる気は無いアームストロング少佐。
仮に不殺で戦っていようと、不殺捨ててない可奈美がこの場で相手だったとしても、エドの事想起したりはするだろうけどそれはそれとして容赦する気は無かった。
着々とダメージは与えられているものの、本気を出し、カクタスと化した事で上がった防御力により中々倒れないアームストロング。
ゆんゆんが使った上級魔法「ライトニング・ストライク」を寿々花が喰らう事で滅竜魔導士としての特性で回復を試みたりもしたものの、それでもそれまでの疲労もあってとうとう写シを張るのが追いつかずに、寿々花は毒針を左手に刺されてしまう。
咄嗟に左手を斬り落とし、毒が全身に回るのを防いだけども、その隙をアームストロングが見逃すハズも無く……
アームストロング「…寿々花殿…悪く思うな!」
アームストロングの手が、寿々花の身体を貫いた。
寿々花「…ごふ、ぁ"…それは、こちらの台詞、ですわ…アームストロング、少佐…!!」
しかしただでは負けないと、寿々花は雷の滅竜魔法で自分を巻き込む形でアームストロングを攻撃。
そこから斬撃を飛ばすのではなく、直接ゼロ距離から斬る形で残った片腕を用いて滅竜奥義・武御雷を叩き込んだ。
寿々花は元ロワでカイドウの雷を喰らい、先程ゆんゆんのライトニング・ストライクを喰らって強化されてなければとっくに息絶えていただろう、それでも瀕死の状態ながら寿々花はゆんゆんへと呼びかける。
寿々花「今…ですわ、ゆんゆんさん…!!」
ゆんゆん「…はいっ…!!」
寿々花が命を賭して稼いだチャンスを、見逃す気はゆんゆんには無い。
寸前でアームストロングは手を寿々花から引き抜いたが、無理矢理迎撃しようとした結果体勢が崩れた。
ゆんゆん「ライト・オブ・セイバー!!」
アームストロングを貫き上へと突き上げ、そのまま遠くまで吹っ飛ばす事に成功。
そこからゆんゆんは寿々花の元へ駆け寄るも、もう彼女は手遅れ、死を待つだけだった。
一方、吹っ飛ばされたアームストロングだが、カクタスとなった事で上昇した防御力のお陰で消耗し疲労しつつも生き延びていた。
アームストロング「これが戦争で、無ければとは思う…恨みも吾輩には無い、だが…スレッタの為にも、この命ある限り、足掻く事は辞められんのだ…!!」
グワデンから距離は離され、おそらく第三軍の目論見は既に達せられているだろう。
しかしそれでも、アームストロングはグワデンの方へと戻らんとしていた。
一方その頃、基地内のカメラでゲロウジームと侵入者達の戦いを監視しているMURとヴェルムは、しかしその攻撃が勢いに欠けている事に気付いた。
MUR「GRUGMのケツの穴、この期におよんでまだヤル気がないようだ」
ヴェルム「それにシャロの首輪から生体反応がロストしました。アームストロング少佐も何故かグワデンから離れてしまったようです」
MUR「このままだと反乱軍のやりたい放題だゾ、関東軍冷えてるか~?」
ヴェルム「普通の兵士達でも太刀打ちできないでしょう…やむおえません、こうなったら基地を破壊しましょう」
MUR「決断が太すぎるッピ!防空網は諦めるん?」
ヴェルム「反乱軍を止められない以上、どのみち防空網は破壊されるのは必定。ならばできる限り多くの者を道連れにして敵戦力を削る事にしましょう」
そういうないなや、ヴェルムの瞳が点滅して何かしらの通信を送った。
すると、グワデンの50km圏内にある複数の基地からミサイルの射出準備が始まった。
その照準はグワデンのある座標に固定され、たとえ防空網が破壊されても確実に着弾するようになっていた。
そして無数のミサイルが点火して飛翔を開始、四方八方からグワデンへと迫っていった。
そして着弾。
アームストロングはまさか味方から撃たれるとは思っておらず、関西軍か第三軍の攻撃かとこれを予想。
ミサイルが飛来した余波でダメージを受けるめぐみん、ゆんゆん、ワンフォール。
しかしゆんゆんはいざという時のためにテレポート魔法のうち王都を消し、秘密基地を指定していた。
真っ先にめぐみんをテレポートさせ、次はワンフォールだという時……アームストロングが現れた・
彼はこうなったら第三軍諸共巻き添えにしようとしたのだ。
だが――
ゆんゆん「インフェルノ!」
アームストロング「ぐぁ!」
アームストロングの辺り一面を包む程の強力な火炎魔法、インフェルノでアームストロングを燃やす。
ワンフォール「今だ、ゆんゆん!」
ゆんゆん「わかりました、一秋さん!」
ただでさえ先程の戦いで多大なダメージを受けていたアームストロングだ。そこから更にインフェルノを受けてアームストロングに大きな隙が生じたのを見たゆんゆんはワンフォールさんをテレポートさせて、自身もテレポートした。
この危機的な状況では、自分たちだけ退避するのが精一杯だった。
アームストロングはボロボロになりながらもまだ生きて立ち続けていた。
アームストロング「申し訳ない、スレッタ……。
我輩は……第三軍の虐殺を許せない……」
満身創痍の身体を引きずりながら、歩き続けるアームストロング。
意識が朦朧としてもう無事に帰れるとは思えない。誰か一人でも道連れにせんとグワデン内に突撃して、ちょうどその時に第二波のミサイルが着弾した。
いかなカクタス・ファントムでもこの爆撃には耐えられない。
アームストロング(申し訳ない、スレッタ……リンノスケ殿……。
我輩は、もう……)
そしてアームストロングの生体反応がロストするのを、ヴェルムは見た。
グワデンに向かった関東軍は全滅だが、これでグワデンの仲間は第三軍に皆殺しにされたという嘘が真実味を帯びる。
一方、浜名湖戦を生き延びたスレッタはこーりんの死を含めて、敬愛していたアームストロングの死に涙した。
そして修羅が……否、アームストロングたちの優しさが「災厄の魔女」の錬成に寄与してしまうことになる……
最終更新:2025年06月16日 05:27