【名前】神崎蘭子
【出典】アイドルマスターシンデレラガールズ
【性別】女
【名セリフ】
「闇に飲まれよ!(訳:お疲れ様です!)」

【人物像】
彼の者、『瞳』の持ち主にして、数多の天使たち屍の上に君臨せし堕天使である。
その高貴なる言葉は只人の理解を超越するも、故にこそ触れ得ざる美しさにて衆愚共を魅了する。
されど漆黒の翼に反し、彼女の魂は真白き輝きを帯びており、天使にして堕天使、魔王にして一人の少女である。
(訳:神崎蘭子とは、アイドルであり、出典の二〇〇近いアイドルの中で一番人気の現シンデレラ・ガールである。
   熊本弁と通称される厨二病的な言い回しと、ゴスロリもバッチリ似合う美しい容姿は非常に魅力的。
   また、同時翻訳で見られる彼女の内面は非常にいい子であり、そのギャップも大変愛らしく照れさせたり慌てさせたりしたい一人の可愛い女の子である)

【本ロワでの動向】
以下、本ロワでの動向を普通に解説。
厨二病をこじらせているとはいえ、普通の少女である蘭子は突如巻き込まれた殺し合いに途方に暮れるかと思いきや……。

「我がグリモワールが!? おのれ、魔王に仇なす者達よ!(私のスケッチブックが~。うぅ、プロデューサー以外に見られちゃったら恥ずかしいよ~)」

なんだか別のところで慌てていた。流石はトップアイドル、変なところで度胸があると言うべきか。
幸い私物として見逃されていたプロデューサーの写真を見つけたことで、頑張らないとと気合を入れ直し、落ち着きを取り戻す。
が、そこは厨二病を極めて世界の頂点に立った神崎蘭子。すぐさままた弾けることに。

蘭子「冷たい炎が、世界の全てを包み込む。漆黒の花よ、開け!
   死者と生者、ゼロにて交わりし時、永劫の檻より魔の龍は放たれる!
   漆黒の帳降りし時、冥府の瞳は開かれる! 舞い降りろ闇よ!
   ……ああ、どれも素敵。私もこういう口上、自分で考えていってみたいな~」

なんと彼女に支給されていたのは、1.シンクロ召喚口上全集 2.正田作品詠唱全集 3.型月設定資料本という厨二病御用達セット。
キラキラと目を輝かせこれらを読みふけり、詠唱までしだす蘭子ちゃん。
活き活きとした彼女は大変可愛らしいのだが、しかしここは殺し合いの地。
そんな目立つ行為をしていれば、人が寄ってこない訳もなく……

詠唱の張本人である覇吐と竜胆とマリィ、シンクロ召喚を知らないにも関わらずデュエリストの本能で丸藤亮が駆けつける。
なにせアイドル、発声はお手のものだったせいで存外響いており、部隊慣れした蘭子ちゃんもあまりの恥ずかしさに顔を真赤にしていた。
しかし4人が4人とも支給品に縁のある者だと知ると一転、目を輝かせて詰め寄っていく。
覇吐と竜胆は勢いに押され戸惑うばかりだったが、一人、亮の反応だけは違った。

亮「よせ、今の俺にはそんな目で見られる資格はない」

蘭子と同じくスターダムの頂点に君臨しながらも、どん底にまで転落し、地獄から返り咲いた亮。
闇に呑まれたのでもなく、狂ったのでもなく、自分の意志で力を求めて変わった男は何か眩しい物を見るように蘭子のことを見つめていた。

亮「俺もかつては輝くステージにいた、スターダムを駆け上っている自覚もあった、上り続けられるという自信もあった、上りつめてやろうという夢もあった。
  だが、俺はたった一度の負けが引き金で絶不調に陥り、歓声は瞬く間に罵声に変わった。カイザーに代わって付けられた蔑称は『最下位ザー』だ。
  俺はとことんまで落ち続けた、そして……地獄に落ちた」
蘭子「地獄……?」
亮「生き地獄というやつだ。夢を、理想を、信念を、持ちながらにして転がり落ち、泥にまみれて尚、捨て切れぬものが見る……現実という名の地獄だ。
  地獄から帰って来た男、ヘルカイザーと呼ばれているが、なんのことはない。俺は今も地獄の中で足掻いて、もがいているだけだ」

蘭子もまた、亮の様子から自身と同じプロだと察し、厨二心をくすぐられることもなく、真剣に彼の言葉に耳を傾ける。
もしかしたらそれは蘭子にもありえる未来。
頂点を極めた以上、後はもう落ち続けるしかない。
それでも。それでもと蘭子は亮に告げる。
そうしたらまた何度だって生まれ変わるのだと。魂の輝く新たな形態に再誕するんだと。
その言葉に弟と同じようなことを言うのだなと返し、俺もまたお前のように輝きたいと笑った亮と、蘭子は以後、名コンビ“デレカイザー”を結成することとなる。
カイザーがデレたわけではない。多分。

こうして大所帯になった蘭子たちだが、そのメンバーはなんとすぐに二倍以上に膨れ上がることに。
覇吐竜胆マリィに会いに来た綿月姉妹を含め、ハルヒ率いるSOS団にみんなまとめて団員入りされたからだ。
どうにもこれは、ハルヒの能力が発動して彼女に都合のいいメンツが集まった結果らしい。
数々の中二パワーを手に入れる機会を目にしながら常に直前で躊躇う一般人な蘭子にしても、実は常識人のハルヒと気が合うことに。
といっても、普通にいい子な蘭子とトラブルメイカーなハルヒではいつも蘭子が振り回される形になっていたのだが。
特に顕著な例は、通称“やみのま事件”である。
難解な言葉で喋る蘭子に、分かるように話しなさいよとプッツンしたハルヒがふと思い立ったのだ。
じゃあいっそ、こっちもやみのまし続けてやる、と。

ハルヒ「闇に飲まれよ!(おいーっす!)」
亮「闇に飲まれよ(すごい)」
トゥバン「闇に飲まれよ(お前達、からかうのはおよしなさい)」
覇吐「闇に飲まれよ(なんでなんとなく通じるんだろう)」

真っ赤になって涙目になった蘭子ちゃんマジ漆黒の堕天使。
また、トゥバンに支給されていた蘭子のCDをめぐってこんな一幕も。

トゥバン「ほう、これもカガクの産物なのか」
ハルヒ「へー、蘭子って本当にアイドルだったのね。それじゃあトゥバンに科学の凄さを伝える為に、早速聴いてみましょう」
蘭子「えっ? えっ!?」
(蘭子の歌が流れる)
亮「ふむ。味がある」
トゥバン「わしが知るどの歌とも違うが……うむ、良きものということは忽ちに分かる」

アイドルなので人前で歌うことは慣れっこなはずの蘭子。
自身が歌うのならまだ唄に熱中できるも、自らの詩、しかも厨二ソングが親しい人たちに聞かれあまつさえ絶賛されるという公開処刑には耐えれず赤面する。
ちなみにこの蘭子の歌、“華蕾夢ミル狂詩曲~魂ノ導~”には公式の訳はない。
が、どうやら恋の歌らしく、覇吐竜胆マリィには普通に通じていた模様。
マリィいわく、蓮をいじめた火傷の人の詠唱に少しだけ似ているらしい。
覇吐はノリノリでつまりこういうこったと歌詞解釈をしようとしたが、相手がいないところでそれは無粋だろうとした竜胆に止められたため、結局は謎のままである。
蘭子ちゃんのこの時の慌てようから察するに、どうやら彼らの解釈は間違ってはいないようだが。
尚、このCD騒動から転じたカラオケ大会みたいなものでは、蘭子はマリィとギロチンの歌デュエットを披露。
物騒な歌詞とはいえそこは蘭子、ノリノリで堕天使と女神のデュエットをなし、これにはどこぞの水銀も大いに満足していたらしい。


こうして珍道中を繰り広げていたSOS団だが、平和は長続きしなかった。
ジョーカーのよからぬことで豊姫が五代に誤殺され、五代も聖なる泉が枯れ果て凄まじき戦士に。
この時、五代は最後の理性でみんなを殺してしまいたくないとSOS団から離脱。
各地で猛威をふるい、仮面ライダーが要警戒人物になる事態にまで発展。
その後、五代は剣崎に討たれるも、この時の剣崎の姿がよりにもよってジョーカーだった為に、
殺害現場を遠くから目撃した、事情を知らないSOS団の面々の大半が「五代が化け物に殺された」と誤解することに。
五代の死と豊姫殺害の真実を確かめる為に、トゥバンと依姫が離脱し、残るSOS団は剣崎が迎え入れられたチームサティスファクションへ接触。
亮は五代の様子にダークネス吹雪を重ね、また融合事故を起こした剣崎を助けたこともあり人なりを知っていたため、事件に作為的なものを感じる。
決闘者特有の超視力で他のメンツより細かく場面を見ていたことも合わさって、五代を狂わせた何者かの存在をこの時点で懸念。
亮もまた調査のためにSOS団を離脱してしまう。
そんな亮が心配で放っておけなかった蘭子も亮を追ってSOS団を抜けることに。

蘭子「我、貴殿に決闘の是非を問う!(私にデュエルを教えてくれませんか?)」
カイザー「闇に飲まれよ(普通に喋れ)。
      お前の熊本弁は分からんことも無いが、流石に疲れる」
蘭子「……はい」(しゅーん)
誰だ「闇が呑まれた」言ったの。

カイザー「ところで、この大量のカードはどうした?」
蘭子「拾いました!」

いや、本当に心配だったんだって!
一説には単にデュエルに興味があっただけではと囁かれていたが、実際はデュエルを建前に亮についていった模様。
現に蘭子は決闘脳になることはなく、亮とのデュエルも純粋に楽しんでいた。
召喚口上を必死に考えるあまり逆に口調を忘れて素で喋ってしまった蘭子に、亮もまたカイザーとしてリスペクトデュエルを掲げていた時代を思い出していた。

その後、デレカイザーコンビは八雲紫の件で同じくチームサティスファクションへと接触し、敢えて別行動を選んだアドルフ組と行動を共にする。
アドルフにはなんと蘭子語録という蘭子の熊本弁の完全訳本が支給されており、ここでも蘭子は恥ずかしがることに。
とはいえそのおかげでアドルフたちとの交流はスムーズに進んだ。
続くシンジと愉快な仲間たちとの出会いでは、彼らも八雲紫の被害を受けていたため、合流は叶わなかったものの、蘭子は空目に一方的に熱視線送っていた。
覚醒魔王は魔王陛下に心惹かれるものがあったらしい。当然だが空目は彼女に無関心だった。
結局、熊本弁のことや一方的に熱視線を送る女に辟易したことあのある十神に悪態をつかれて涙目になり、蒼衣とシンジに慰められる蘭子ちゃんマジ女神。
ただ、この時、熊本弁への否定にだけはこの私が私でありアイドル神崎蘭子であると胸を張って言い返していた。
このことは、十神が自身とは違う他者を理解しようと変わった一因や、シンジが自分を貫こうと前を向く要因の一つになった。

シンジたちと別れてからも暫くは、大暴れするベヨネッタの姿を見ないようアドルフが蘭子の目を手で塞ぐなどの微笑ましい(?)時間が続いた。
しかし総軍大戦が起きると事態は一変。
際限なく溢れ出す死者たちの群れに、蘭子たちもまた飲み込まれていく。
数の暴力の猛威を他の誰よりも理解していたアドルフは、総軍大戦の主犯の一人、アーカードに目をつけられたことを利用して、囮となり蘭子たちを逃がす。
仲間たちとは散り散りになるも蘭子は亮に庇われながら何とか死者の川から逃げ延びる。
一際強い雷音にアドルフさんも逃げ延びてくれたんだと喜び振り返るも、そこにいたのは雷の牛車を駆る征服王イスカンダルだった。
各種支給品によりヘタイロイの英雄たちを強化し亡者たちを蹂躙しながらも勝者となることを目指す征服王。
王を名乗る彼は皇帝――ヘルカイザーを名乗る亮を放っておくはずもなく命をかけたデュエルの火蓋が切って落とされる。
亮が狙うはDNA改造手術と超融合のコンボによるヘタイロイを全吸収してのキメラティックオーバードラゴン。
だが、心臓を患っていた亮はコンボの完成を目前にして倒れ伏してしまう。
あっけない結末なれど、これもまた勝負とし、亮の命を奪おうとするイスカンダル。
その一撃を止めたのは、両手を広げ、亮の盾となって立ちふさがった蘭子だった。

ライダー「なぁ、小娘よ。そこをどきはせんか。余は暴君だが、武器も持たぬ小娘を殺す趣味はないのだがなぁ」
蘭子「私を求める者たちに道を示すのが、私の役目! 私みたいに輝きたいと言ってくれた友に輝く希望を!」

その言葉に思うところがあったのか、動きを止めるライダー。
その隙をついて亮のデッキから抜き放ったサイバードラゴンに亮を託して逃し、蘭子は追わせないとライダーに対峙する。

ライダー「道を示すと言ったな、小娘。その言葉、口先だけでなければ、あるいは余を止められるやも知れぬぞ?」

どこか期待するように言い残し、蘭子を素通りし、亮を追おうとするライダー。
引き止めねばならない。追わせてはならない。でも、どうやって?

蘭子はたった一つの手段しか思い浮かばなかった。
そして神崎蘭子の最期のステージが始まる。

平和を歌うでもなく、非戦を祈るでもなく、紡ぐはお願いシンデレラ。
アイドルを夢見るなんてことのない少女たちの歌。
でもそれゆえに、神崎蘭子の飾らない心をどこまでも歌ったそんな歌に――ヘタイロイの兵たちが一人、また一人と口を閉じ、足を止める。
叫んでいてはこの歌声が聞こえないから。進軍していてはこの歌声をかき消してしまうから。
彼らにも矜持はある。誰一人蘭子を振り返りはしない。だがそれでも。いつしか、誰も彼もが彼女の歌を聞いていた。

異文化に理解を示し、世界中を制覇して回ったライダーだ。
この歌よりうまい歌はいくらでも聞いた。綺麗な声の持ち主だって何人でもいた。
ああ、それなのに、どうしてだろう。何故、この歌はこうも胸に響くのか。
その答えをライダーは知っていた。

ライダー「見事だ、小娘。いや、灰かぶりの女王よ」

蝶よ花よと愛でられ、恋に焦がれるだけならただの小娘だ。
けれど、誰よりも鮮烈に生き、諸人を魅せ、すべての少女たちの羨望を束ね、その道標として立つのならそれは王だ。
アイドルたちの頂点。少女たちの夢。ファンたちの希望――シンデレラ・ガール。

故に神崎蘭子は征服王イスカンダルの敵足り得た。
転身するライダーとヘタイロイ。
一人の少女を殺すには過剰すぎる戦力なれど、それこそが一人の王に送られた敬意の表れで。

その光景に蘭子は震え泣きながらも、

(わたし……ちゃんと、守れた……か、な……)

涙の後にまた笑って一四年の生涯に幕を下ろした。

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最終更新:2013年12月22日 00:55