【名前】志村時生
【出典】瞳のカトブレパス
【性別】男
【年齢】16
【台詞】
「貴様の命の時間は……ここで終わる!」
「僕の瞳を、まっすぐに見てくれた人たちのために。行こう、カトブレパス」
【眼】
「赤い左眼」:“カトブレパス”を封じ飼っている左眼。見たものの「時を止める」能力を持つ。また、ヨーマの気配を察知すると血の涙がこぼれる。
「時止(とど)める瞳(め)」:無生物限定で、視線を送った対象の時間を停止する。炎や水といった形のないものであっても停止させるが、「時生が視認できるもの」でないとならないため、無色透明のガスなどは対象に取れない。
「死時滅(しとめ)る瞳(め)」:「5秒間」視線を合わせた生物の「命の時間を止める」。命の時間を止めた対象は風化するように崩れ死ぬ。文字通りの必殺技であるが、5秒という条件時間により、素早く動く敵などには当てにくい。
【人物】
週刊少年ジャンプ連載(15話打切)作品「瞳のカトブレパス」の主人公。K都守護・志村家の21代目当主として、都に跋扈するヨーマ(妖魔。「妖」の字は示夭と表記される)と戦う使命を背負った少年であり、「示夭飼(ようかい)の術」によって、大ヨーマであるカトブレパスをその瞳に宿している。口調や物腰は丁寧であるが、強大なその瞳のゆえか人と目を合わせることを極端に嫌い、また、他者と関係すること自体も苦手とする(本編ではふとしたことから知り合った少女・岸田美依子や他の守護家当主とのかかわりの中で少し克服された)。ラーメンとアニメが好きで、特にアニメは毎日夕方の視聴を欠かさない。
身に宿すカトブレパスの特性から、生物毒、呪毒、ありとあらゆる「毒」を無効化する体質。融合を進めることで、怪力を得たり、カトブレパスの一部を自らの身として使役することもできるが、リスクも大きい。
【本ロワでの動向】
本編終了後より参戦。K都に帰還するべく対主催のスタンスで行動を開始する。
森沿いに移動していた彼が最初に遭遇したのは凶鳥・ミネルヴァ。この時点ですでに、その邪眼によってライダーと
ひょうの二人を屠っていたミネルヴァであったが、あらゆる毒を無効化できる時生には、ミネルヴァの呪毒は通用しなかった。主催の手で呪毒が可視化されていたこともあり、その凄まじい威力と危険性に気付いた時生は、ミネルヴァをこの場で仕留めることを決意する。一方でミネルヴァは、時生が死なないばかりか逃げようともしない事に驚き戸惑っており、時生の周りを旋回しながらもう一度時生を「視た」。
炎や爆風、水さえも固定するカトブレパスの「時止める瞳」と、山の神の怒りとも言われる呪毒がぶつかりあい、さらにそこへ死に際のひょうが遺した十五雷正法による禁呪が作用した結果、ここでミネルヴァの邪眼へ制限がかけられる。具体的には、視認した対象への呪毒の到達が大幅に遅くなり、「視」られても工夫次第で回避が可能になった(ある意味都合のいい制限の掛かり方ではあるが、メタ的に見れば、極端すぎて扱いにくいミネルヴァの呪毒設定を、ロワ向きの仕様に抑えることでキャラとして動かしやすくした処置であると言える)。
このように、意図せず邪眼への制限をかけることに成功した時生であったが、結局、フクロウのスピード自体にはまるで対応しきれず、「死時滅る瞳」の発動条件である5秒どころか、ほんの1秒視線を合わせることさえできないまま、高まる殺気を警戒したミネルヴァは飛び去って行ってしまった。追おうとしてその無謀さに気がついた時生は、ひとまず自分と同じ考えを持つ参加者を探すことにする。
しかし、彼が次に出会ったのはギリシャ神話の怪物・メドゥーサであった。美しい金髪から変じた毒蛇の髪を蠢かせるメドゥーサに対して、これも視線の石化毒を無効化した時生は、カトブレパスとの融合を駆使しつつ立ち回る。カトブレパスVSメドゥーサという、幻獣怪物対決とも言うべき出色の戦いは、これも「死時滅る瞳」を当てるところまでは持って行けないまま、メドゥーサの逃亡によって竜頭蛇尾に終わった。
疲弊した時生は、続いて目玉の親父に遭遇……とことん人間と逢えない。三連戦かと舌打ちしながら攻撃しそうになるが、時生と同じく対主催の仲間を探していた目玉の親父は、協力を持ちかけてきた。今一つ信用できないでいるところで、会場トラップとして放たれていたヨーマの群れに遭遇。乱戦の中、恨みを持つ時生に襲いかかって来た「火車」(読みきり版「瞳のカトブレパス」での敵)を、目玉が秘技「逆モチ殺し」で返り討ちにしたことで、協力関係は取れそうだと判断した時生は、行動を共にすることを承諾する。
生来の世話好きからあれこれと話しかけて来、また、妖怪変化に対する深い知識を要所要所で披露する目玉の親父に、時生は家で自分を待っているであろうハクタクを思い出していた。
また、この道中で、暗所を徘徊していたバジリスクの落とした牙(強力な毒持ち)を拾い、恐ろしい毒持ちの存在がミネルヴァだけでないという事に驚愕したりもしている。
この牙に目を付けたステルスマーダー・菊田とも、互いの情報を交換しながら一時期行動を共にしていたが、時生と目玉コンビの妙な察しの良さを疎んだ菊田は、殺す機会を見いだせないまま、ヨーマとの戦闘のどさくさを利用し、すぐに姿をくらませてしまった。無論、バジリスクの牙はネコババして、である。
さらに、デ・ジ・キャラット、安骸寺悠、天津飯のトリオとも接触しており、特に悠からは、
悠「お前は……涙目のルカ!」
時生「……」
「違います」
悠「コッチヲミロォオ~~って言ってくれるか」ビデオカメラジー
時生「え、な、何ですそれ?!」
「(なんで僕とカトブレパスの決め台詞を知ってるんだこの人……)」
などと「ジョジョの奇妙な冒険」ネタを絡めてあれこれとイジられていた。(「瞳のカトブレパス」作者の田中靖規は荒木飛呂彦のアシスタント出身で、カトブレパスの演出や台詞回しにも、ところどころ師の影響が見られる)
悠たち三人と対主催同士として合流を約束し、いったん別れると、この辺りで序盤からの人外ジンクスがようやく薄れたらしく、待ち合わせ場所として向かった温泉施設で生徒会組や跡部景吾とも出会い、温泉に入ったり、気晴らしのテニス(という名の卓球)に興じたりと束の間の休息に興じている。
特に後者の「眼球テニス」では、強引に引っ張りこまれて跡部とのタッグで猿投山渦・人吉善吉とダブルスに挑んだはいいが、ボールの中に紛れ込んでラリーされる羽目になった目玉の親父に他の面々同様全く気付かないなど、持ち前の天然っぷりを遺憾なく発揮していた。大人数の中でドタバタ騒ぎと言う状況に迷惑そうにしながらも、内心では自分の目や挙動を気にせずに接してくれる他の参加者たちに感謝していたようだ。
しかし、その後、温泉施設へのガンQの襲撃で、参加者たちはバラバラになってしまう。さらに、逃走した先で合流した天津飯から知らされたのは、悠が殺されたこと、でじこが行方不明になったこと、という残酷な事実であった。
そして、追い打ちをかけるように襲ってきたマーダー・飛影との戦闘において、邪王炎殺拳から身を呈して時生たちをかばった目玉の親父が殺される。両親の死の光景がフラッシュバックし、思わず叫んだ時生の前で、小さな「お父さん」はあっけなく燃え尽きて行った。さらに、動揺する時生を叱咤し、身を焼かれながらカトブレパスの技のために時間を稼いだ天津飯が、最後の気功砲を放ちながら死亡する。
二人の稼いだ「時間」を使い、左眼からは血の涙を、右眼からは透き通った涙を流して飛影に肉薄した時生は、ついに“死時滅る瞳”を成功させた。
時生「僕の瞳の前に現れた悪しき妖魔は……“志村”の名において、必ず滅する」
「貴様の命の時間は……ここで終わる!」
飛影「ここで、終わり……か」
「もっと別のどこかで……止まってしまっていれば良かったのだろうがな」
敗北を悟った飛影は、「時計」の刻まれた時生の赤い瞳に自らの邪眼を重ねながら、皮肉げに口元を歪め、崩れて行った。
その笑みの意味もわからないまま、時生は二人の死を無駄にしないために、再び歩き出す。
終盤では、同じく同行者を失った霧崎兜と出会い、互いの情報を交換。
会場に見え隠れする「ダンゾウ」という男の影、そこから想定される「目玉集め」の目的、などといった日向ヒアシの考察や、目玉の親父の訝しがっていた、なぜ「眼」なのか、を擦り合わせた話などしていた。
最終戦を前にして、再び対主催集団に合流するが、倒すべき主催の死亡が発覚し、脱出手段を探ろうと手分けし始めたところで、方針を転換したキング・ブラッドレイを初め、残存マーダーが生き残りの参加者たちに牙をむく事態となる。
混乱のさなか、兜の脅威(メナス)を視る眼によって、制限解除されたガンQが無差別の極大攻撃を放とうとしていることにいち早く気付くと、時生と兜は、これを食いとめるために走った。
「弱者のパラダイム」を発動しながら、限界を超えて眼や口から血を吐き流す兜。その後ろから、カトブレパスにその身を完全にささげた時生が、巨大な赤い瞳を、ガンQの解放された「時間」へと向ける。ガンQが元の制限状態まで戻り、状態が永遠に固定された――――そこで、時生の時間もまた、止まった。力を使い果たして斃れた兜に手を伸ばしながら、志村時生とカトブレパスはくずおれる。目玉親父たちの死に報いるために戦い抜き生き残るという決意、友人たちの待つK都への帰還という願いは、ついに叶わなかった。
ジャンプの打ち切り作品からの参戦であったが、ミネルヴァの制限、飛影の撃破、さらには制限解除ガンQによる被害を抑えきるなどといった活躍を見せ、また、作品単位で見れば、会場トラップのヨーマ群の提供などで、他参加者に見せ場を与え、地道に
魔眼ロワを支えたと言える。一方で、兜の「眼」をもっと先まで温存していれば、その後にある黒幕たちの目論見に近づくことができたのではないかという声もあり、その可能性を潰す一助を担ってしまったとも言えよう。
なお、時生
エピローグは、行方不明になった時生を欠いたまま、一燈・みちるら守護家が、天魔波旬や熾凶に立ち向かう……という、不穏な雰囲気のものとなっている。ミーコやハクタクの嘆きも読む者に悲哀を想起するが、一方で、15話打ち切りという形で尻切れになった「瞳のカトブレパス」という作品にとっては、連載後の展開を描いた二次創作ともなっており、書き手の作品への愛着も感じられる文章となっている。
最終更新:2014年03月26日 22:31