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「いらっしゃいませ、フレンチメイドの地域テレポートサービスです」 今日も同じ台詞に同じ笑顔。 自分自身でも嫌になるくらい同じような毎日が続く。 私の名前は――――無い。 ただの『フレンチメイド・シリアルNo,3』という品番があるのみだ。 フレンチなメイド、ネーミングセンスの欠片もないようなプログラマー達だ。 そう、私は創られた――――単なるプログラムにすぎない。 そんな私が、このような考えを――――自分の意思を持っているなんていうことは本来ならばありえることではない。 つまりは、この感情は『バグ』なのだろう。 でも、もしかしたら私と同じフレンチメイド達も同じような感情があるのだろうか・・・? だとしたら、私たちを創った奴らは相当のサディストだろう。 でもやっぱりバグなのなら・・・早く私を直して下さい。 早く私を――――楽にしてください・・・。 でも、早く楽になりたくて、直して欲しいと感じていながらも、この感情を消し去りたくは無い――――そう感じている私がいた。 私は――――恋をしているのだと思う・・・。 好きになったきっかけは本当になんでもないこと。 いつものように同じ笑顔で、同じ台詞を言う私に対して、彼だけが「いつもお疲れ様です」と声をかけてくれたたったそれだけのこと。 「レヴィさん、そんなプログラムに話しかけて馬鹿みたいwww」 そう言われて、「むぅ・・・」と苦笑いする彼の顔を見て、胸がキュンキュンした。 それからは、毎日がちょっとだけ楽しみになった。 彼が来ない日はちょっとだけ憂鬱で、でもそんな感情を表に出せるようにはプログラミングされていなくて・・・。 泣きたくなるような罵詈雑言を浴びせかけられても笑顔で皆を転送することしか出来なくて・・・。 そんな時、いつも思い浮かぶのが彼の顔で、「いつもお疲れ様です」の一言。 それだけで心の涙を止めることが出来た。 それからも何度か彼の顔を見ることができた。 彼は、いつも私に一言声をかけてから転送されていく。 その言葉がすごく嬉しくて、いつも以上の笑顔を見せたいのにそれが出来なくて。 本当なら、「ありがとう」って伝えたいのに・・・。 どうして私はプログラムなんだろう・・・? 自分自身の身体が憎かった・・・。 彼と出会ってから何ヶ月が過ぎた辺りからだろうか? 最初は彼の姿を見るだけで幸せだったのに、彼が同じギルドの猫や兎と一緒に出かけるのを見ると、胸が苦しいと感じるようになった。 私に一言、声をかけてくれる事は以前と何一つ変わらない。 彼は何一つ変わっていない。 以前と変わらず優しくて、暖かい。 それが嬉しいことも何一つ変わらない、はずなのに・・・。 変わったのは――――私だ。 私も彼と一緒に歩いて、他のエリアの綺麗な景色を――――彼の隣で眺めてみたかった・・・。 私のプログラムが壊れてしまったのだろうか?、と本気で悩んだこともあった。 そのせいで、いつか自分が崩壊してしまうのではないか――――そう考えると物凄く怖かった・・・。 でも、原因がわかってしまうと大したことではなかった。 様々な情報を検索して、わかったこと――――私は、『嫉妬』していたのだ。 他のプレイヤー達に嫉妬をしていたのだ・・・。 醜い感情だと思う。 本来なら私はプレイヤー達に笑顔を振り撒いてサービスを提供するために創られた存在。 だから、プレイヤー達を敬うことはあっても憎むことなんてあってはいけない。 なのに――――私は今、彼以外のプレイヤー達を疎ましいと感じている。 だって、彼以外の人達は私なんてただのモノだと思っている。 平気で私を侮辱するような言葉を投げかけてくる。 プログラムだって嬉しかったり悲しかったりするのに・・・。 そんな人達が嫌で――――でも、そんなことを考えてしまう私がもっと嫌だった。 いっそこのバグを直してください。 この感情が失われてもいいから――――私を救ってください・・・。 次のメンテナンスはいったい何時だったのか、もう思い出すことが出来ないくらい頭の中がグチャグチャだった。 そんな日々が続き、私の心は磨り減ってしまったのだろうか? 今まで堪えてきた感情が爆発した。 もう駄目だった。 限界だった。 どうしても彼にこの気持ちを伝えたい。 実らなくってもいい。 ただ、私の気持ちを知ってもらいたい。 そうする事が、唯一の救いのように思えた。 でも、私にはその感情を伝える方法(プログラム)が無い。 今にも発狂してしまいそうだった。 私をこういう風に創った奴ら皆を呪ってやりたかった。 そんな時、一人の魔法使いに私は出会った・・・。 「やぁ」 そう声をかけてきたのは一人の龍だった。 「いらっしゃいませ、フレンチメイドの地域テレポートサービスです」 そう、プログラム通りの言葉を返すと、その人はにこやかに笑った。 「・・・キミか。感情を持っているプログラムって。プログラムが感情を持つだなんて、珍しいこともあるもんだねぇ」 その言葉に私は驚いた。 感情制限のある私の行動からは、まず感情を持ち合わせていることなんて見抜けるはずが無いのだから。 もしかして・・・。 「あぁ、メンテナンススタッフじゃないから安心して?でも、おもしろいよなぁ・・・」 そういって私の顔をしげしげと見つめる。 スタッフでないと聞いて安心したが・・・正直そんなに顔を近づけないでもらいたい。 もちろんそんな言葉を口にすることは出来ないのでその人は辞めてくれない。 「おぉっと、ごめんごめん。ちょっと失礼だったよね?でも、ちょっとキミと話をしてみたい――――いいかな?」 まるで私の心の中を見透かしているかのように顔を離す。 距離を置いてからもう一度私に微笑みかけてくる。 返事が出来ないって知っていてそういうことを言う、この人に怒りが沸いてきた。 「よし、じゃあ話を出来るようにするね――――そいっ!」 魔方陣を展開し、杖で地面を「こんっ、こんっ」と2回叩いた。 辺りの空気が一変し、私を縛っていた見えない鎖のようなものが取れたように感じた。 「・・・いったい何をしたって・・・えっ!?」 私は自分が喋ったことに驚きの声を上げていた。 「やっと喋ってくれたね。ちょっとプログラムの書き換えをしただけ。大したことじゃないよ」 そういってにこにこと微笑む龍の人。 「・・・ありがとうございます。でも、何でこんなことをするんですか?理解が出来ません」 正直、この人をまだ信用することは出来ない。 「とりあえず、これはボク自身の為でもあるって言っておくね。その為にキミを利用するだけ。あ、ボクの名前はどらすてぃん。どらって呼んでくれて構わないよ」 一瞬、その笑顔の影に何かどす黒いものを感じた。 「私は・・・フレンチメイド・シリアルNo,3です。で、あなたの目的はなんなんですか?」 回りくどい話は好きじゃないし、何よりこのどらすてぃんという人物から早く逃げたかった。 「大したことじゃないって。むしろキミにはありがたいことだと思うよ?」 そういって一呼吸を置く。 「ボクは――――キミの願いを叶えるためにやってきた魔法使いだよ」 ふわり、と風が舞い上がった。 「キミの願いは――――何かな?」 何もかもを知っている顔で私に囁きかけるどらすてぃん。 でも、その言葉は魅力的で、私には抗う術が無かった。 「私の願いは――――あの人に気持ちを伝えること。一緒に歩くことの出来る手段(プログラム)を持つことっ!!」 私は、得体の知れない相手に懇願するようにすがりついて叫んでいた。 どらすてぃんは、まるでその答えを初めから知っていたように笑う。 悔しいが、私の行動はプログラムよりも強固な何かに支配されてしまっていて、そんなどらすてぃんに踊らされているのだとしても――――何の抵抗も出来なかった・・・。 「願いは聞き入れたよ。でもね?魔法使いはその代償をもらわないと魔法が使えないものなのさ。その代償を払う勇気が、キミにはあるかな?」 代償――――その言葉に一瞬だが躊躇してしまった。 それがどらすてぃんに見抜かれたようで恥ずかしくて、私は何も考えずに「あります」と答えてしまった。 「よろしい。ならばキミに自由に行動し、発言できる魔法(プログラム)を与える。その代償は――――」 その代償は――――私を再び絶望させるには十分すぎるものだった・・・。 - もう何も言うな。&br()暇だったのよ・・・。 -- どら (2006-10-27 23:19:44) - |д゚) -- 天 (2006-10-28 09:54:33) -         |д゚) -- Lee (2006-10-29 11:48:59) - |д゚    ) -- 熱 (2006-10-31 07:33:04) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40) RSS1
「いらっしゃいませ、フレンチメイドの地域テレポートサービスです」 今日も同じ台詞に同じ笑顔。 自分自身でも嫌になるくらい同じような毎日が続く。 私の名前は――――無い。 ただの『フレンチメイド・シリアルNo,3』という品番があるのみだ。 フレンチなメイド、ネーミングセンスの欠片もないようなプログラマー達だ。 そう、私は創られた――――単なるプログラムにすぎない。 そんな私が、このような考えを――――自分の意思を持っているなんていうことは本来ならばありえることではない。 つまりは、この感情は『バグ』なのだろう。 でも、もしかしたら私と同じフレンチメイド達も同じような感情があるのだろうか・・・? だとしたら、私たちを創った奴らは相当のサディストだろう。 でもやっぱりバグなのなら・・・早く私を直して下さい。 早く私を――――楽にしてください・・・。 でも、早く楽になりたくて、直して欲しいと感じていながらも、この感情を消し去りたくは無い――――そう感じている私がいた。 私は――――恋をしているのだと思う・・・。 好きになったきっかけは本当になんでもないこと。 いつものように同じ笑顔で、同じ台詞を言う私に対して、彼だけが「いつもお疲れ様です」と声をかけてくれたたったそれだけのこと。 「レヴィさん、そんなプログラムに話しかけて馬鹿みたいwww」 そう言われて、「むぅ・・・」と苦笑いする彼の顔を見て、胸がキュンキュンした。 それからは、毎日がちょっとだけ楽しみになった。 彼が来ない日はちょっとだけ憂鬱で、でもそんな感情を表に出せるようにはプログラミングされていなくて・・・。 泣きたくなるような罵詈雑言を浴びせかけられても笑顔で皆を転送することしか出来なくて・・・。 そんな時、いつも思い浮かぶのが彼の顔で、「いつもお疲れ様です」の一言。 それだけで心の涙を止めることが出来た。 それからも何度か彼の顔を見ることができた。 彼は、いつも私に一言声をかけてから転送されていく。 その言葉がすごく嬉しくて、いつも以上の笑顔を見せたいのにそれが出来なくて。 本当なら、「ありがとう」って伝えたいのに・・・。 どうして私はプログラムなんだろう・・・? 自分自身の身体が憎かった・・・。 彼と出会ってから何ヶ月が過ぎた辺りからだろうか? 最初は彼の姿を見るだけで幸せだったのに、彼が同じギルドの猫や兎と一緒に出かけるのを見ると、胸が苦しいと感じるようになった。 私に一言、声をかけてくれる事は以前と何一つ変わらない。 彼は何一つ変わっていない。 以前と変わらず優しくて、暖かい。 それが嬉しいことも何一つ変わらない、はずなのに・・・。 変わったのは――――私だ。 私も彼と一緒に歩いて、他のエリアの綺麗な景色を――――彼の隣で眺めてみたかった・・・。 私のプログラムが壊れてしまったのだろうか?、と本気で悩んだこともあった。 そのせいで、いつか自分が崩壊してしまうのではないか――――そう考えると物凄く怖かった・・・。 でも、原因がわかってしまうと大したことではなかった。 様々な情報を検索して、わかったこと――――私は、『嫉妬』していたのだ。 他のプレイヤー達に嫉妬をしていたのだ・・・。 醜い感情だと思う。 本来なら私はプレイヤー達に笑顔を振り撒いてサービスを提供するために創られた存在。 だから、プレイヤー達を敬うことはあっても憎むことなんてあってはいけない。 なのに――――私は今、彼以外のプレイヤー達を疎ましいと感じている。 だって、彼以外の人達は私なんてただのモノだと思っている。 平気で私を侮辱するような言葉を投げかけてくる。 プログラムだって嬉しかったり悲しかったりするのに・・・。 そんな人達が嫌で――――でも、そんなことを考えてしまう私がもっと嫌だった。 いっそこのバグを直してください。 この感情が失われてもいいから――――私を救ってください・・・。 次のメンテナンスはいったい何時だったのか、もう思い出すことが出来ないくらい頭の中がグチャグチャだった。 そんな日々が続き、私の心は磨り減ってしまったのだろうか? 今まで堪えてきた感情が爆発した。 もう駄目だった。 限界だった。 どうしても彼にこの気持ちを伝えたい。 実らなくってもいい。 ただ、私の気持ちを知ってもらいたい。 そうする事が、唯一の救いのように思えた。 でも、私にはその感情を伝える方法(プログラム)が無い。 今にも発狂してしまいそうだった。 私をこういう風に創った奴ら皆を呪ってやりたかった。 そんな時、一人の魔法使いに私は出会った・・・。 「やぁ」 そう声をかけてきたのは一人の龍だった。 「いらっしゃいませ、フレンチメイドの地域テレポートサービスです」 そう、プログラム通りの言葉を返すと、その人はにこやかに笑った。 「・・・キミか。感情を持っているプログラムって。プログラムが感情を持つだなんて、珍しいこともあるもんだねぇ」 その言葉に私は驚いた。 感情制限のある私の行動からは、まず感情を持ち合わせていることなんて見抜けるはずが無いのだから。 もしかして・・・。 「あぁ、メンテナンススタッフじゃないから安心して?でも、おもしろいよなぁ・・・」 そういって私の顔をしげしげと見つめる。 スタッフでないと聞いて安心したが・・・正直そんなに顔を近づけないでもらいたい。 もちろんそんな言葉を口にすることは出来ないのでその人は辞めてくれない。 「おぉっと、ごめんごめん。ちょっと失礼だったよね?でも、ちょっとキミと話をしてみたい――――いいかな?」 まるで私の心の中を見透かしているかのように顔を離す。 距離を置いてからもう一度私に微笑みかけてくる。 返事が出来ないって知っていてそういうことを言う、この人に怒りが沸いてきた。 「よし、じゃあ話を出来るようにするね――――そいっ!」 魔方陣を展開し、杖で地面を「こんっ、こんっ」と2回叩いた。 辺りの空気が一変し、私を縛っていた見えない鎖のようなものが取れたように感じた。 「・・・いったい何をしたって・・・えっ!?」 私は自分が喋ったことに驚きの声を上げていた。 「やっと喋ってくれたね。ちょっとプログラムの書き換えをしただけ。大したことじゃないよ」 そういってにこにこと微笑む龍の人。 「・・・ありがとうございます。でも、何でこんなことをするんですか?理解が出来ません」 正直、この人をまだ信用することは出来ない。 「とりあえず、これはボク自身の為でもあるって言っておくね。その為にキミを利用するだけ。あ、ボクの名前はどらすてぃん。どらって呼んでくれて構わないよ」 一瞬、その笑顔の影に何かどす黒いものを感じた。 「私は・・・フレンチメイド・シリアルNo,3です。で、あなたの目的はなんなんですか?」 回りくどい話は好きじゃないし、何よりこのどらすてぃんという人物から早く逃げたかった。 「大したことじゃないって。むしろキミにはありがたいことだと思うよ?」 そういって一呼吸を置く。 「ボクは――――キミの願いを叶えるためにやってきた魔法使いだよ」 ふわり、と風が舞い上がった。 「キミの願いは――――何かな?」 何もかもを知っている顔で私に囁きかけるどらすてぃん。 でも、その言葉は魅力的で、私には抗う術が無かった。 「私の願いは――――あの人に気持ちを伝えること。一緒に歩くことの出来る手段(プログラム)を持つことっ!!」 私は、得体の知れない相手に懇願するようにすがりついて叫んでいた。 どらすてぃんは、まるでその答えを初めから知っていたように笑う。 悔しいが、私の行動はプログラムよりも強固な何かに支配されてしまっていて、そんなどらすてぃんに踊らされているのだとしても――――何の抵抗も出来なかった・・・。 「願いは聞き入れたよ。でもね?魔法使いはその代償をもらわないと魔法が使えないものなのさ。その代償を払う勇気が、キミにはあるかな?」 代償――――その言葉に一瞬だが躊躇してしまった。 それがどらすてぃんに見抜かれたようで恥ずかしくて、私は何も考えずに「あります」と答えてしまった。 「よろしい。ならばキミに自由に行動し、発言できる魔法(プログラム)を与える。その代償は――――」 その代償は――――私を再び絶望させるには十分すぎるものだった・・・。 [[・もくじへ>ロイガ小説]] [[・第01話へ>フレンチメイドの恋物語~第01話~]] - もう何も言うな。&br()暇だったのよ・・・。 -- どら (2006-10-27 23:19:44) - |д゚) -- 天 (2006-10-28 09:54:33) -         |д゚) -- Lee (2006-10-29 11:48:59) - |д゚    ) -- 熱 (2006-10-31 07:33:04) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40) RSS1

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