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ステージに向かう途中の通路で体調を確認してみる。
たっぷり寝て頭もスッキリ、身体も軽い。
指もいつもより、動く――――まるで羽根が付いているみたいに。
「今日は最高のライヴが出来そうねぇ…」
自惚れではなく確信めいだ呟き。
気分が高まってきたのか、足も次第に急ぎだした。
こんなにドキドキしているのはいつ以来だろう。
理由なんてあるのだろうか。考えられるとしたら――――――

「ああ…そっか…あの二本がようやく出会えるんだ…」

果たせなかった約束。少し形は違ったかもしれない、けれど――――
「私、うれしいんだ――――めぐ…これでやっとだね…」

ステージ脇にはすでに私以外の全員が揃っていた。
軽く謝罪のジェスチャーを送ると皆がため息をはいた。
「ごめんなさいね」
「ちったぁ反省の色を見せるですよ!」
「だからぁ、謝ったじゃない…誓約書も書いたし」
「あれは当然のことなのだわ…ほら早く“アレ”をするわよ、時間も押し始めてるのだから」

私たちの“アレ”とはつまり――――――円陣だ。

皆で輪になり肩を組み、頭を中央に寄せてそれぞれが鼓舞の言霊を吐く。



――――「Maide des stolzen hohen Kommens stiegen (誇り高き薔薇の乙女たちよ)」


――――「Offenbar und andere kana Seele ist nicht ewig(その清らかな魂は永遠ではない)」


――――「Es wird bereits, daß wir jetzt tun sollten gefunden(私たちが為すべきことは既に分かっている)」


――――「Ist das, was? (それは何?)」


――――「…Allen Leuten Raserei wird gleichmäßig gegebe(全ての人々に等しく狂乱を)


――――「Und die Blume, die dem Heiligen steht, das nicht unter irgendeinem Zustand im Herzen verwelkt(そして、心に決して枯れない夢の花を)」

――――「Wenn ist, geht es. Es geht zum Platz, in dem wir sein sollten(ならば行きましょう…私たちのいるべき場所へ…)」


「さぁ…行くわよぉ…みんなぁ!」
「「「「「Es griff!!」」」」」


私の回りから一人…また一人…といなくなる度に湧き上がるのは巨大な歓声と熱。
それにアテラレそうになっていたら、登場が最後から二番目のメンバーがステージに向かいながら突然こう言った、

「水銀燈、あなたは今――――楽しんでる?」―――と。

真面目な顔して何を言うのかと思えば――――その質問には思わず苦笑をしてしまう。
私はこらえ切れずに笑いながらこう答えてやった。

「当たり前じゃなぁい…最高にハイってやつよぉ!」
「―――そう、よかったわね。いつもどおり遅れずについて来なさいな」
「それはこっちのセリフよぉ…」

そして彼女もステージに吸い込まれていった。
いよいよ私の番だ。
前回と同じように脇に置いてあるギターに近づく。
今日から新しくそこにもう一本のギターが加わっている。

「めぐ…今日もよろしくね――――今日から貴方にも頑張ってもらうからね?」
まだ真新しいそれに微笑みながら呟く。
そしてレスポール・カズタムを手に取り、いつもの光溢れるステージへと向かった―――――




――――今夜はとてもスポットライトが眩しい 


――――視界も頭も真っ白になる


――――そしてこの瞬間


――――私だけが味わえる孤独感


――――ああ、最高だ






    ねぇ、めぐ?

    あなたはここではないどこかで私のギターを見てくれてるかな

    私はこれからもこのバンドでギターを弾き続けるわぁ

    あなたが私を救ってくれたように

    私も見えない誰かを助けていきたい

    だからめぐ…あなたはどうか歌い続けて

    いつかまた私たちが出逢うその時まで

    ずっとずっと……



    「Memory of Black Guitar」
 第三章~The Ugly Girl Lughed,in a Strange New World                FIN 

 And…this story becomes the end of a show.
 Everyone who gives comment truly thank you!

 Please expect to the next work of the English gentleman.

  Then and to the day when it can encounter, Bye-Bye.


最終更新:2006年05月13日 00:13