1曲目を歌い終わると真紅はステージの前に歩み寄る。
スポットライトが後ろから真紅を照らす。
無数の突き上げられた腕と歓声がホールを揺らしている。
フゥ~、大きく息を吸い込とマイクに向かって・・・。
「ねぇ、真紅ぅ、真紅ったらァ~」
水銀燈に肩をゆすられた真紅は眠りから覚める。
「あらッ、私、眠っていたのだわ・・・フゥワァァ~」
大きなアクビをして背伸びをする真紅を横目で見る水銀燈。
「もう東京に入ったわよォ~。それにしても凄い街ねぇ~」
真紅達が住んでいた海沿いの地方都市とは比べ物にならないスケールで
東京は真紅と水銀燈の目の前にその存在感をもって現れた。
バスの窓越しに流れる高層ビルの群れを見ながらニヤリと笑う水銀燈。
「ウフフ、今日からこの街が私達のぉ街になるのねぇ~」
「そうよ、私達のロックでこの街を取ってやるのだわ!」
真紅は力強く言った後、水銀燈の顔を覗き込むように見る。
「ところで水銀燈?貴方、お金いくら持ってるの?」
「けっこう持ってるわよぉ~、ほぉら」
水銀燈は札が詰まったサイフとバックの中から出した小型のセカンド
バックの中身を真紅に見せる。
「水銀燈、これはどういう事なの? 貴女、まさかライブの前の日に
あったコンビニ強盗の犯人じゃないでしょうね?」
「何を言うのぉ~。これは家にあったァ壷とかぁ、絵画とかぁ、色々
売っちゃったァァ~。ウフフフ」
「凄いわね水銀燈。これなら住む所も悩まなくてイイのだわ」
「真紅はいくら持ってるのぉ?」
「お腹がすいてきたのだわ」
「ねぇ、お金どれくらい持ってきたのぉ~?」
「ホラ、見て水銀燈、あのビルって都庁なのだわ」
「真紅ぅ、せめてぇ10万単位のぉ金は持ってるんでしょうねぇ~?」
「さっきから見てるけど芸能人はいないのだわ」
「真紅ぅ!」
無言のまま真紅はサイフを出すと水銀燈に渡す。中身を確かめる水銀燈の
顔色が変わっていく頃、真紅と水銀燈の夢を乗せたバスは東京駅へと着いた。
東京駅で口論を始める真紅と水銀燈。
この2人が中心となったバンドがやがて全てのミュージックシーンを
塗り変えることになるとは道行く人々は気付いていなかった。
Legend of Rozen Maiden(最終章・序幕 完)
~最終章・夢の扉編に続く~
最終更新:2006年05月17日 18:05