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一、乙女たるもの薔薇のように咲き誇れ

《Rosen's story【Ⅱ.Sugar's House】》 

「お疲れさまかしら。これ、飲み物かしらー」
「汗、拭いてね」
 ライブ後、汗だくだくのメンバーに飲み物と汗拭きを渡す金糸雀と雪華綺晶。
「あー、疲れたですぅ」
「でもお客さん盛り上がってくれたのー」
「そこのヤクルト取ってぇ」
 メンバーは思い思いの休息を取り始めた頃、楽屋をノックする人物がいた。
「どなたかしら?」
 金糸雀がドアを開けるとそこには一人の男性が立っていた。
「はじめまして。マネージャーさんですか?」
「そうかしら」
「私、白崎と申します。少々話があるので…」
 と、言いながら二人は楽屋を出た。
「今のぉ、何だと思うぅ?」
 水銀燈がニヤリと笑いながら提示する。
「まさか、愛の告白…ではないですね」
「差し入れのうにゅーかもしれないのー」
「焼売…」
「皆、不謹慎だよ…」
 思い思い勝手なことを言っているメンバーを嗜めるが、一斉に非難の視線を浴びた蒼星石。
「何よぉじゃあ蒼星石は気にならないって言うのぉ?」
「そりゃ気にはなるけど…」
「ほぉらやっぱり…」
「皆、凄いかしらー!」
 バン、と勢い良く金糸雀がドアを開けた。
「騒がしいわ。何だっていうの?」
「凄いかしら!凄いかしら!やっとRozenMaidenが認められたかしら!…ひっ!」
「ぐたぐたと喧しい…さっさと言いなさい…」
「ご、ご、ごめんなさいかしら!」
 頭を結っていた髪飾りの鋭利な部分を金糸雀に向けて、薔薇水晶は言った。
「実は、『Sugar's House』でソロライブが行なわれることになったかしら」

Illust ID:Gw+4T/8xO 氏(45th take)

 金糸雀の言葉に皆は目を丸くした。
 この『Sugar's House』とはロックバンドを志すもの達の登龍門とされているライブハウスであり、ここで成功すれば人気は鰻登り。
「じゃあ、さっきの白崎さんって…」
「『Sugar's House』の責任者かしら」
 開いた口が塞がらないとはこのことで皆、ポカーンとしている。
「ライブはいつなの?」
「三ヵ月先かしら」
「そう…学園祭が被ってくるわね。時間は?」
「休憩も入れて二時間弱、しかも衣裳、歌、休憩時間の取り方、殆どセルフプロデュースかしらー」
 なるほど、ハードルが高い。
 メンバー全員の技量だけでは賄えない部分も見ようというのだ。
「今、既存曲が十曲…新曲が二曲は欲しいとこね」
「なんか燃えて来たですぅ!」
 結局その後、嫌がる水銀燈を巻き込んで円陣を組んだのである。
「うわー、もう暗いの!」
 結局あーだこーだと言ってる間に夜はとっぷりと暮れた。
「しょ、しょうがない奴ですねぇ、蒼星石は。そんなに恐いなら翠星石が手を繋いでやるです」
「僕は何も言ってないよ」
「お父様に怒られてしまう…早く、帰ろう」
「た……けて!」
 真紅達が歩き出そうとすると、助けを求める声がした。
「…めて…ださい!……」
 どうやら一人の女の子が男二人に絡まれているらしい。
「どうするぅ、蒼星石ぃ?」
「そりゃあ勿論…カバンお願いね!」
 二人は同時に走りだした。
 水銀燈が一人の男の肩をぎゅっと力を込めて握る。
「……っ!誰だ!?」
「ちょっとぉ、女の子にそういう言い方ないんじゃなぁい?だからモテないのよぉ」
「んだと、貴様…ぅあ!」
 男二人が振り向いた瞬間に蒼星石が片方の背中に上段蹴りをかます。
 見事に決まり男は大の字に倒れた。
「お前…ざけんなっ!」
 蒼星石には勝てないと判断したもう一人の男が、水銀燈に殴りにかかる。
 地面と水平に振られた拳を水銀燈はしゃがむ事で避け、そのまま目の前にある男の足を払った。
「…ぐぁっ!」
 男はそのまま横に倒れ強か肩を打ち付けた。
「大丈夫?怪我はない?」
「駄目よぉ。こんなとこ一人でうろついてたら」

Illust ID:Gw+4T/8xO 氏(45th take)

「すみません、ありがとうございます!」
 二人が女の子に気を取られている間に最初に倒れた男が覚醒し起き上がろうとした。
「ぎゃっ!」
 ところが二人のもとへ向かおうとした翠星石に後頭部を踏まれ、再び呆気なく倒れた。
「さぁすが、蒼星石は強いですぅ」
 強いのもそのはず二人は昔、合気道を習っていたのである。
 そして八人は帰路へと着いたのである。
「…嫌な…予感がする…」
 と言う、薔薇水晶の呟きは誰の耳にも届かなかった。

「ったく…昨日はひどい目にあったな…」
 一人の男はもう一人にそう言った。
 ひどい目、というのは蒼星石と水銀燈に昨日けっちょんけっちょんにされたことである。
「………」
「おい、無視すんなよ!」
「なぁ、昨日の二人、結構可愛かったよな」
「はぁ?」
「質問に答えろ」
「…まぁ、オレは髪の短いほうが好みだったけど、二人とも可愛かったよ」
「上手く行けば二人どころがあそこにいた全員が手に入るぞ」
「はぁ?」
「上手く行けば、な」
 と、小さなあるモノを右手で弄びながら言った。

つづく


最終更新:2006年07月21日 02:16
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