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『ナイトメア・オブ・ナナリー』


(キャラ) ナナリー・ランペルージ、シュラ



最初に感じたのは、冷たい夜風だった。頰を撫で、栗色の髪をわずかに揺らす、湿り気を含んだ風。次に感じたのは、硬い座面と背もたれ。そして、膝の上に置かれた自分の細い手。
ナナリーは車椅子に座っていた。


「……ここは?」


声が震えた。自分の声だというのに、まるで他人のように遠く聞こえる。視界は相変わらず何も見えない。暗闇だけがナナリーを包んでいる。
しかし、いつもとは明らかに違う。
空気の匂いが違う。コンクリートと金属の混じった人工的な匂い。耳を澄ませば、風に混じって微かな物音が聞こえる。遠くのビルが軋むような音、看板が風で揺れる音。
首に違和感を覚えた。硬く冷たい輪っか。指で触れてみると、それは首輪だった。金属製で、肌に直接食い込むような感触。
心臓が早鐘のように鳴り始めた。不安が、暗闇の中で急速に膨らんでいく。
ナナリーは必死に記憶を辿った。最後のは……アッシュフォード学園の生徒会室だったはず。兄が少し遅くなるから、先に紅茶を淹れて待っていようと思ったところまで。
それなのに、今はここ。
ナナリーは唇を噛んだ。


「お兄様……?」


声が自然と零れ落ちた。不安げで、か細い声。こんな時、いつも傍にいてくれた兄を思い浮かべる。


「お兄様も、ここにいるのですか……?」


返事はない。当然だ。ここがどこかもわからないのに。
命の授業。これは現実だ。どこに危険があるかも、どこが安全かも、何もわからない。
ただ一つだけ、はっきりしていること。
ナナリーは今、殺し合いのゲームに放り込まれたのだということ。
そして——


「お兄様……どうか、無事でいてください」


暗闇の中で、ナナリーは小さく祈るように呟いた。
その祈りが果たして届く相手が、この街にいるのかどうかもわからないまま。
その時、気配が近づいてきた。
荒々しい足音。重いブーツがアスファルトを踏みしめる音。


「誰……ですか?」


声をかけた。震えを抑えきれず、か細くなる。
すると、相手が足を止めた。少し離れた位置で、笑うような気配がした。


「おお、嬢ちゃんか。こんな暗いところで一人ぼっちとは災難だな。俺はシュラだ。よろしく頼むぜ」


低い飄々とした男の声。粗暴さを含みつつ、どこか軽い調子を装っている。
ナナリーは警戒を強めながらも丁寧に答えた。


「私、ナナリー・ランペルージです。突然こんなところに連れてこられて……あなたも同じ状況ですか?」


シュラは少し近づいてきた。足音がゆっくり。車椅子から少し距離を置いた位置で止まる。


「そうだな。俺もいきなりこの首輪を付けられてわけがわからねえ状況だ。だが安心しろ、嬢ちゃん。こんなクソみたいなゲーム乗るつもりはねえよ。首謀者を逮捕してこの悪趣味な茶番を終わらせる。それが俺たちワイルドハントの仕事だ」

「あの、お兄様を見ていませんか? ルルーシュという名前なのですが」


不安げに尋ねる。ナナリーにとってそれが一番重要なことだった。
シュラは小さく笑った。


「兄貴がいるのか。さあな、まだ見つけちゃいねえが一緒に探してみようぜ。女の子一人でこの街をうろつくのは危ないからな。俺が守ってやるよ」

「……お願いします、シュラさん」


車椅子が動き始めた。シュラが後ろから押してくれている。


「俺の親父は大臣でな。こういう卑劣な行為は大嫌いだ。嬢ちゃんみたいな可愛い子を巻き込むなんて絶対に許せねえよ」


シュラは軽く笑った。ワイルドハントが首謀者を逮捕するという話も、自信たっぷりに繰り返す。彼の言葉は一見頼もしく聞こえるがナナリーの心の奥に小さな棘のような違和感を残していた。


無人の渋谷の夜道を車椅子はゆっくりと進む。
夜風が冷たく頰を撫でる中、ナナリーは決意した。


「シュラさん……少し手を握らせていただけますか?」


ナナリーは静かに言った。声は穏やかだが指先はわずかに震えていた。


「別にかまわねえが」


シュラは大きな手を差し出してきた。ナナリーはそっとその手を両手で包み込んだ。こうして手に触れただけで、相手の心や真意をある程度見抜くことができる。
温かく、力強い手。表面上は好漢を装っているが、奥底に渦巻く暗い感情、暴力的な衝動、残忍な喜びのようなものが、微かに伝わってくる。


「改めてお聞きします。シュラさん……この殺し合いを止める気は本当にあるのですか?」


シュラは少し間を置いて力強く答えた。


「もちろんだぜ。ワイルドハントの名にかけて首謀者をぶっ飛ばしてこのゲームを終わらせる。それが俺の役目だ」


その瞬間、ナナリーははっきりと言った。


「……それは、嘘です」


言葉が夜の空気に溶け込んだ。
一瞬の沈黙。
シュラの手に、わずかな緊張が走ったのがわかった。
その直後——


「……めんどくせえ」


シュラの声が変わった。飄々とした好漢の仮面が剥がれ落ち、粗暴で残忍な本性が露わになる。低い、獣のような唸り声。
次の瞬間、激しい衝撃がナナリーの体を襲った。


「っ……!」


殴打の音が響き、車椅子が横倒しになる。体が宙を舞い、アスファルトに叩きつけられた。膝と肘、肩が強く地面に打ちつけられ、激痛が走る。息が詰まり、視えない目から涙が溢れそうになる。
車椅子は数メートル先まで転がり、ナナリーは地面にうつ伏せに倒れていた。首輪が肌に食い込み、冷たい感触が恐怖を増幅させる。
シュラの足音が、ゆっくりと近づいてくる。荒い息遣い、嘲るような笑い声。


「嬢ちゃん、勘がいいじゃねえか」


本性を現したシュラの気配が、圧倒的な暴力と残忍さを放っていた。
ナナリーは痛む体を起こそうと必死に手を突いた。暗闇の中で、ただ一人。兄様の名を、心の中で叫びながら。
次の瞬間、激しい衝撃がナナリーの体を襲った。


「っあ……!」


殴打の音が夜の渋谷に響く。車椅子から転倒したナナリーの腹部に、ブーツの強烈な蹴りが叩き込まれた。息が詰まり、激痛が全身を駆け巡る。ナナリーは地面にうつ伏せになり、必死に腕で体を支えようとしたが、次の殴打が背中を襲う。


「がはっ……!」


痛みで聴覚が一瞬遠のき、耳鳴りがする。シュラの荒い息遣いと、嘲るような笑い声だけがはっきり聞こえる。


「慣れねえ芝居は辞めだ」


当初の予定では好漢を装ってナナリーを安心させ近くの建物に連れ込むつもりだった。
人間は性行為の最中が一番隙が生じる。バトルロワイヤルという何処から襲撃されてもおかしくない状況下において野外で性行為に及ぶほどシュラは馬鹿ではない。


「そもそも俺はチャンプみてえな趣味じゃねえからな。ガキじゃ今一つ唆らなかったんだ」


しかし盲目と侮っていた少女に本性を見抜かれてしまった。
ならばもういい。元より配下の道化師のような性癖ではないため未練も薄い。

シュラは何度も何度も蹴りを入れた。腹部、肋骨、背中、頭部。容赦のない攻撃がナナリーの細い体を何度も跳ねさせる。血がアスファルトに飛び散る。


「お兄様……お兄様……!」


ナナリーは弱々しく兄の名を呼び続けた。声は震え涙が視えない瞳から溢れ落ちる。痛みと恐怖で体が言うことを聞かない。手は地面を掻き、必死に這いずろうとするが、シュラがそれを許さない。
興奮した様子で笑いながらナナリーの髪を掴んで顔を上げさせた。


「名前はルルーシュだったか?安心しろよ。見つけたら嬢ちゃんの最後はちゃんと伝えてやる。そのあとに殺すけどな!」


拳が振り下ろされる。頰が腫れ上がり、唇が裂け、鼻から血が流れる。ナナリーの意識は朦朧とし、暗闇がさらに深くなる。
シュラはさらに激しく暴力を振るい続けた。蹴り、踏みつけ、殴打。ナナリーの体はもはや人形のように地面に叩きつけられ、骨の軋む音、肉の潰れる音が夜の静寂に響く。


「お兄様……助けて」


最後の言葉を搾り出すように呟いた瞬間、シュラはナナリーの首を両手で掴み、力任せにねじった。

ゴキッ——

不気味な音が響き、ナナリーの体からすべての力が抜けた。
首が不自然に曲がり、意識が急速に遠のいていく。首輪の冷たい感触だけが最後に残る。
ナナリーの細い体がアスファルトの上に倒れた。栗色の髪が血で汚れ藤色の瞳は永遠に開くことのないままだった。


【ナナリー・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡】


シュラは彼女の亡骸を冷たく見下ろし、ゆっくりと息を吐いた。顔に刻まれた十文字の傷が夜の街灯に浮かび上がる。


「可愛い顔してたが所詮は玩具だ。次はもっと遊びがいのある女がいいな」


シュラがこの場に連れてこられたのは、ワイルドハントが結成された直後のタイミングであった。
大臣オネストの息子としてワイルドハントを率いる立場を与えられたばかりの頃——まだ自分が絶対的な権力者であるという驕りが頂点に達していた時期である。
このゲームにおいて、シュラは優勝そのものを最優先とは考えていなかった。彼にとって本当の愉しみは大臣の息子として暴虐の限りを尽くす残虐な快楽にあった。
もし他のワイルドハントのメンバーも参加していた場合、連携を呼びかけ世界ランクの殺戮者集団として獲物を蹂躙する。
イェーガーズの面々がいたなら大臣オネストの威光を最大限に振りかざして従わせるつもりだ。大臣の息子である俺の命令だと一言で黙らせる自信がシュラにはあった。
エスデスだろうがだろうが関係ない。大臣の息子という絶対的な立場を利用すれば、帝国の人間は誰も逆らえない。そう高を括っていた。
そしてもしナナリーの兄であるルルーシュとかいう男がこの街の何処かにいるのなら、それは最高の玩具になるとシュラは薄暗い笑みを浮かべた。


「妹をなぶり殺しにした話を、たっぷり聞かせてから殺してやるのも面白えな……へへっ」


彼の笑い声が、無人の夜の渋谷に低く響いた。残忍で暴力に満ち、一切の道徳を欠いた笑い声だった。
無人の渋谷の夜に、シュラは次の獲物を求めて歩き出す。荒々しい足音が静かな街に響いた。


【シュラ@アカメが斬る!】
[状態]:健康、高揚
[装備]:帝具「次元方陣シャンバラ」
[道具]:基本支給品一式、不明支給品× 1~2
[思考]:バトルロワイヤルを徹底的に楽しむ。
1:ワイルドハントのメンバーがいた場合、連携して獲物を蹂躙する。
2:イェーガーズがいたら大臣の威光を振りかざして服従させる。
3:エスデスだろうが大臣の息子である俺に逆らえるわけがねえ。
4:ナナリーの兄、ルルーシュがいるなら妹をなぶり殺しにした詳細を聞かせてから殺す。






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最終更新:2026年08月15日 12:42