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週刊新潮「危ない地球」の歩き方

週刊新潮「危ない地球」の歩き方(2010年4月29日号 pp.40-43 抜粋)


 「最大12連休」という曜日の並びに恵まれ、50万人が海外を目指す今年のゴールデンウィーク。だがそれは、日本人をカモにしようと待ち構える詐欺者やコソ泥にとっても絶好のチャンスだ。決して引っかかってはいけない、あんな手口、こんな罠を誌上公開!

タイ (強姦、イカサマ・トランプ)


 そもそもバンコクの日本大使館は、93~08年まで連続で邦人の”援護件数”が在外公館中1位。政治的な緊張状態がなかったとしても、タイは決して気が抜けない国なのである。

「たとえばチェンマイでは、バックパッカー的な日本人女性を狙った強姦事件が相次いでいます」(タイ在住の邦人)

 そして、こんな話も。

「数年前にバンコクで、ひどい目に遭いました」

 回想するのは20代の男性会社員である。

「街中で40歳前後の中年夫婦に声をかけられ仲良くなり、
”日本でビジネスをやりたいが、大使館からもらった日本語の資料を、家で英語に訳してくれないか。ランチくらい作るから”
と頼まれたんです。そのくらいならと承諾しました。彼らの家に着いてみると、資料の翻訳については一切話が出ず、なぜかトランプが始まり、やがて彼らの親戚とおぼしきオジさんが現れて
”私はディーラーだ。『ブラックジャック』で必ず勝てる方法を教えてあげるよ”
と言うのです」

 そして、イカサマの手口を伝授されると、今度は
”実践してみよう”
と、対戦相手としてビジネスマン風シンガポール人が呼ばれた。

「たしかに、オジさんがイカサマを仕掛けてくれるので何度やっても僕が勝つ。シンガポール人が
”これで最後にしよう”
と100万バーツ(約300万円)を場に持ち出してきた時にも、僕の持ち札の合計は既に『21』、つまりブラックジャックでは最強の数になっていました。が、シンガポール人は
”もし僕が買ったら君はこれだけの金額を支払えるか”
と言う。するとオジさんは
”俺に任せとけ。なんとか工面する。ただ、君も持っているだけは出してほしい。今ある現金とカードを見せて”
と。見せるだけならとクレジットカード、その時持っていた現金約3万円、一眼レフカメラも言われるままに見せました。オジさんが
”足りない分は俺が明日用意するから、今双方が出した現金はうちの金庫に預かっておく”
と言うので、一旦ゲームは凍結となりました」

 だが、翌日、教えられた番号に電話してもつながらず、住所もデタラメ。連れていかれた場所も割り出せず、預けた3万円はキレイに持ち去られたのである。

インドネシア、ベトナム (イカサマ・トランプ)


 実は、トランプを使ったこうした詐欺は、細部を変えてインドネシア・バリ島など各地に存在する。とりわけ最近、多くの日本人がカモにされているのがベトナムである。ホーチミンの力代理店社員の話。

「一人旅、それも従順そうな若い女性が狙われやすいようです。ドンコイ通り、グエン通り、レロイ通りなどショッピング街を歩いていると、
”妹が今度留学するので日本のことを教えてほしい”
などと自宅に誘われ、ポーカーに引き込まれる。あとは、最初は勝たせてもらえるが、次第に負けがこみ、親切にも夫婦が貸してくれたお金もなくなって……という筋書き通りの展開です。彼らはキャッシング限度額をよく知っていて、4000万ドン(約20万円)ほど勝った段階でATMに連れていって、その場で支払わせるわけです。最高では1万4000米ドル(約130万円)取られた例もある。この場合は複数のカードで金(きん)を買わせて、それを換金したんです。ベトナムの通貨は1万ドンが約50円ほどとケタが違いすぎるので大金を取られたという実感がないんでしょう。お金を払った後で
”明日も遊ぼう”
と誘われ、どうしようかとツアコンに相談して、ようやく洗脳が解けた人もいましたね」

イタリア (ニセモノの鳩の糞でスリ)


 以前はカッターでの切り裂き窃盗などが多かったイタリアでは、盗む技術の高度化が見られるという。

「ミラノのドゥオーモ前でのことです。そのツアーには海外旅行歴が40回以上、イタリアだけでも10回以上という60代のご夫婦が参加していて、自分たちだけは盗難など大丈夫、と仰っていたんですが」

 振り返るのはベテラン・コンダクター氏だ。

「ドゥオーモからの帰路、
”いやあ、鳩に糞を引っ掛けられましてね。でも、親切なご夫婦が拭いてくれて”
と仰るので、もしやと思ったら、案の定、夫はジャケットの内ポケットの現金200ユーロ(約2万5000円)を、妻はバッグの財布からほぼ同額を盗まれていました。ジャケットの”糞”は絵の具を混合したもののようで、予めそれをふりかけた上で声をかけたんでしょう。東欧系に見える40代の男女で、夫はカメラを提げていたそうです。
”糞を拭く”フリをしながらジャケットやバッグを探ったのでしょうが、外ポケットのパスポートには手をつけず、バッグのチャックなども元通りという、まさに職人芸でした」

スペイン・バルセロナ (ニセ警官がクレジットカード強奪)、 スペイン以外の各国も


 以前は「首絞め強盗」なる荒っぽい手口が知られていたスペイン・バルセロナで最近はやっているのが「ニセ警官」によるクレジットカード強奪だ。同地在住の写真家が言う。

「2~3人組で一芝居打つんです。サグラダ・ファミリア教会やグエル公園などの観光地で、まず外国人観光客役が日本人に道を尋ねる。話をしていると、今度は警察官役がやってきて、その観光客役に職務質問をするわけです。名前・住所・電話番号・クレジットカード番号とその暗証番号。観光客役は素直に全部答えて、解放される。次に日本人に訊くわけですが、ちょっと不審に思っても、前の人も答えたのだからと応じてしまう。で、暗証番号を言った瞬間、犯人はカードを奪い逃げていく。慌ててカードを止めても、それまでの15分ほどの間に限度額いっぱいの金を引き出されてしまうんです」

 実はこの「ニセ警官」、スペインだけでなく各国に共通する手口ゆえ、カードは見せない、暗証番号は絶対に言わない用心が必要なのだが……

ドイツ・フランクフルト (過剰防衛ゆえ公務執行妨害で逮捕)


 一方で、警戒し過ぎても大事に至る危険がある。

「3年ほど前、ドイツのフランクフルトでの話です」

 旅行代理店社員が言う。

「空港で私服警官に呼び止められた日本人学生が、相手をニセ警官と思い込み、パスポート提示を断固拒否。その際、仲間の学生たちが警官を取り囲む形になったため添乗員と学生33名が公務執行妨害で逮捕され、一人30ユーロの罰金でようやく釈放されました」

 常に”本物”である可能性を念頭に置き、公務執行妨害や侮辱行為とならないよう注意が必要というわけ。

ロシア (警官にお金を巻き上げられる)


 だが、本物なら本物で問題なのがロシアの場合……。

「こちらでは、警察官が理不尽な難癖をつけてお金を巻き上げていく、というのが日常茶飯事なんです」

 日本料理店の店員が言う。

「お酒を飲んで通りを歩いているだけで呼び止められ、パスポートを持っていないと1万円ほどの罰金を取られる。なかには、日本人に
”一緒に飲みに行こう”
と持ちかけ、最後には拳銃をちらつかせて飲み代を全額払わせる輩もいるんです。ただ、ロシアでも中国人窃盗団が暗躍しているため、同じような顔つきの日本人がマークされるのは、ある程度は仕方ないのですが」

中国・上海 (携帯スリ、偽ブランド品)


「万博を控えて、治安は良くはなっているのですが、地方から出てきたみすぼらしい身なりの少年スリ集団が観光客を狙っている」

 上海の事情通が指摘する。

「特に狙われるのが、携帯電話。中国の携帯は、日本でいうプリペイド方式でICカードを差し込めば、どの携帯でも使える。日本の携帯も、中をイジれば使えるようです。高額の機種もありますから、携帯スリは割がいい商売なんです。日本人は、携帯をジーンズのポケットからのぞかせていたり荷物の上に置いたままにする人が多くて、危なっかしい限りですよ」

 その他にも、

「上海の偽ブランド品市場は4年前、当局の手で潰されましたが、逆に業者が野に放たれることになった。錦江飯店やホテルオークラ系の花園飯店など日本人がよく使うホテル周辺は、
“グッチやプラダの密輸入品を買わないか?”
などと客引きが声をかけてくる。うかうかと応じると入り組んだ路地裏の店に連れて行かれ、偽ブランド品を買うまで帰してくれません」(同)

米国・ハワイ (人食いバクテリア)


「ハワイ島には”ホットポンド”と呼ばれる天然の温泉プールがありますが、ここには人食いバクテリアが生息しています。免疫が弱っているとき、擦り傷などから体内に入ると組織の壊死が起こる。まだ日本人の死者こそいないが、高齢の白人が亡くなっています。ワイピオ渓谷を流れる川にもこのバクテリアがいるので、”水を飲むな”という髑髏のマークつき看板が出ているんです」(現地のツアコン)

米国・ニューヨーク (危険)


 ニューヨークでは最近、マンハッタン南東のブルックリンが”おしゃれスポット”として持て囃されているという。NY在住の翻訳家が解説する。

「人気のクラブや高級チョコレート店などが次々にでき、アーティスト村も形成されています。でも、ここは元々ハーレムよりさらに所得の低い黒人の住む街で、今でも薬物中毒者が多く発砲音も絶えない。地元に住む日本人小学生が他の地区の友達と街を歩いていた時、友達の風船が割れてしまった。その瞬間、地元の子はさっと地面に身を伏せた。”発砲音”に自然に体が反応したんですね。マンハッタンと人気クラブを往復するバスツアーが好評のようですが、往路の車内からお酒が飲めるという楽しみもあるけれど、行き帰りが”安全”だから、みんなバスツアーを利用するんです」

インドネシア・バリ (露出狂? 追い掛け)


 バリでは、こんな事例も報告されている。被害者は「東方神起」ジェジェン似の男子学生である。

「20区のマクドナルドの窓際で、遅い夕食を取っていた時のことです。コンコンと窓を叩く音がするので外を見ると、ブルース・ウィリスを少しメタボにしたような男性が、ニカッと笑いかけてきた。反射的に微笑みを返すと、今度は自分の股間を指さすんです。見ると、チャックから飛び出したイチモツを窓ガラスに押しつけていたんです。これはヤバいと思って店内の死角に移動したんですが、男は店の中まで追いかけてくる。僕はチキンナゲットが大好物で最後に残してあったのですが、泣く泣く置いて逃げました」

 海外では、男性の”貞操”も危ういのである。

火山灰 (ヨーロッパの空路が麻痺した場合の日本への帰国)


 まず誰しも考えるのがスペイン・マドリッドへの脱出。パリからならTGV(フランス版新幹線)とスペインの特急を乗り継いで、所要12時間。直行の夜行列車フランシスコ・デ・ゴヤ号ならパリ発19時47分、所要13時間半で翌朝9時過ぎに着く。そこから、バンコク、ジャカルタ、イスタンブール、ドーハ、ドバイなど日本への直行便があり、なおかつ火山灰の影響をうけない空港をめざす。

 マドリッドの便が手配できない場合には、次善の策としてポルトガル・リスボン(パリから19時間)あたりを目指すことになるが……

 ちなみにそれでもダメという最悪の場合はどうか。ギリシャのアテネまでは、途中海路(イタリア・アンコナ~ギリシャ・パトラ)を利用し、パリから鉄道を乗り継いで42時間。ベルリンからなら47時間。滞在先が東欧方面なら、トルコ・イスタンブールまで、ウィーンから36時間。プラハから39時間。そしてベルリンからなら、やはり44時間!

 これとて座席が取れ、列車が時刻通り走ればの話である。家族の結婚式の予定でも無ければ、空路が復旧するまで滞在先で待機していたほうが賢明かも。









最終更新:2012年01月28日 23:42
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