投げナイフ
Throwing knife,Throwing dagger
歴史:11世紀~現代
地域:全世界
全長:5cm~30cm
重量:0.1kg~0.5kg程度
ナイフが投擲武器として認識されたのは、野営中の兵士が戯れに的当てで
競い合っていたのが始まりである…というのが有力な通説だが、それが
いつ頃の事なのかははっきりしていない。
ただ、同時期には既に見世物としても用いられていたという話があり、
的当てにせよ大道芸にせよ、刃物を用いるのであれば突き刺さりやすい
ダガーを選ぶのが妥当との推測から、登場年代は同じ11世紀とした。
フィクションにおいては、どの作品にも必ずといっていいほど使い手が存在し、
投擲武器の代表格とも呼べるこの武器だが、残念ながら現実世界においては
「投擲専用のナイフ」というのはおおむね「趣味や見世物の範疇」として
(少なくとも大多数の識者には)認識されている。
そもそもナイフで確実に相手を殺傷するには接近して攻撃する必要があり、
武器をひとつ手放し、かつそれを敵に奪取されるリスクを負ってまで
非効率な攻撃を行う事には意味がない――というのが彼らの主張である。
しかしながら、これは現在のような軍用のファイティングナイフに限った
「近接戦闘用のナイフを投擲武器に転用する場合」の話である。
(更に言えば、軍用ナイフの投擲訓練をしている部隊も存在する)
中世の同時期には日本の
手裏剣、アフリカ圏のウォシェレ、中華圏の飛刀や
鏢(ひょう)のように、世界各国で投擲専用の刃物が見られ、うち幾つかは
ダガーより更に大型の携行武器である。
よって、現代の事情をもって「現実の中世ヨーロッパに投げナイフは
存在しなかった」と結論付けるのは、あまりに乱暴であろう。
明確な資料こそ残っていないものの、恐らくはダガー、広刃の短剣、円錐型、
針のようなもの、果ては食事用ナイフを研いだものまで、様々な「投げナイフ」が
存在していたであろう事は想像に難くない。
最終更新:2014年08月21日 23:46