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こころひとつ 1-7

 翌朝、ラムザを除く一行は、一足早く食堂に集結した。オーウェルは、もういつものオーウェルに戻っている。サマンサも、エリーの後ろで小さくなっており、昨日の決意の面影はほとんど感じられない。必然、場をリードするのはエリーになった。
「私とサマンサは、寝る前と起きてからと、もう一度話し合ったわ。私たちは行く。それでいいのよね、サマンサ」
 小さくこくりと頷くサマンサは、もういつものサマンサだ。
「オレはもう、変えるつもりはなかったよ」
「ボ、ボクも……です」
 バグシーとブランドルの決意は、固まりにくいが、一度固まれば揺るがない。それだけ、彼らが勇気を振り絞ったことが、痛いほど伝わってくる。
 全員の目が、一斉にオーウェルに向く。サマンサでさえも、遠慮がちな視線をオーウェルに送った。もうオーウェルの決断しかない。仮にオーウェルが行かないという決断を下したとしても、今さら結論を変更する者はいないだろうが、少なくとも旅のモチベーションは変わる。厳しいようだが、オーウェル以外の貴族育ちに慣れすぎた一行にとっては、これから待ち受ける運命は過酷すぎる。命を落とすかも知れない。「経験者」の有無は、それだけ、パーティーの行く末に影を落とす。
「オーウェル!」
「オレは、戻るなんて一言も言ってなかったはずだがな。お前らみたいな足手まといと一緒に行くのが嫌だっただけだ」
 エリーの拳が、オーウェルの頭に飛んだ。本気で殴ろうとした訳ではない。喜びと安堵が入り交じった鉄拳だった。
「もう、気を持たせるようなことばっかりして! このバカ!」
「うるせえよ、男女」
 バカでも許されない世界に、オーウェルは生きてきた。しかし、賢かったからといって、許されてきたわけでもない。それならばいっそ、行けるところまでバカになってやろう。その結果として命を落とすならば、それも悪くない。オーウェルに芽生えた、暗くて明るい決意は、まだ誰にも伝わっていなかったが、彼らはこの時から、本当の仲間になれたのかも知れなかった。

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最終更新:2009年07月05日 02:28