槇原敬之は反則だ。チートと言い換えてもいい。
何故あれほど、全年代の男の心を抉ることができるのか。読心能力か何かが備わっている可能性がある。
「遠く遠く」を最近よく聞く。テレビでも時々出てくるし、トリビュートも多く出ている。
今自分が暮らしている町に「タワー」があるか、「新幹線」が走っているかは別にしても、おおむね、学生生活を終えて、独り暮らしを始めた男(或いは女の可能性もある)の普遍的な心情を鮮やかに描き出している。
新入社員のスーツ姿に、思わず吹き出してしまう人も多いだろう。それほど、あの姿に、「七五三」という形容はよく似合う。それでも、ありふれた日々を連綿と紡いでいく内に、やがて身体の一部になっていく。ネクタイも、自分で選べるようになる。
七五三から脱却できたころ、ふと、思う。
「俺、何やってんのやろ?」
そんな時、電話の向こうの声に励まされた人も、数多くいることだろう。その相手は、親かも知れないし、親友かも知れないし、恋人かも知れない。
「帰ってきて、いいんだよ」
本当は、駄目なのかも知れない。自分で選んだ仕事を放棄して逃げるのは。でも、この一言で、どれだけ救われる人がいるのだろう。
忙しい日々の中で、自分が自分でいられなくなることが、ままある。自分は自分でいてはいけないのだろうか、という思いにさえ陥る。
もちろん、変わらなくてはいけないのも確かだ。それまで通りの生き方が通用しない場面にも、数多く直面することだろう。
それでも、「なくしちゃだめなこと」は、一人一人の中に、必ずある。夢、希望、大切な想い……。そんな大事なものでさえ、埋没してしまいそうになる。
だから、槇原は言うのだ。
大事なのは 変わってくこと 変わらずにいること、と。
この曲を聴くと、とりあえずもうちょいやってみようという気になる。ドーピング効果もある。
つくづく、槇原敬之はチートだ。
最終更新:2009年07月23日 22:38