原因は、分からないが今日の晩御飯はなんだか気まずく、まずかった。うまい事言ってるんじゃなく、ガチでまずかった。
二人に何があったのかなぞ知る由もない。ていうか、今は自分のことで精一杯だ。

まずいご飯を無理矢理食べて、無言という点を除いていつも通りに三人で片付けをはじめる。
その後も会話はなく、私もお風呂に入ってとっとと寝ることにした。



原因は、私だ。今日の晩御飯はとても気まずく、まずかった。うまい事言ってるんじゃなく、ガチでまずかった。
私らしくないことをしてしまった。純愛だとか考えていたが、冷静に考えれば只の嫉妬。…いや、『ただの』ではないか。

とりあえず、ハルカ姉様には申し訳ないが、まずいご飯を無理矢理食べて、無言という点を除いていつも通りに三人で片付けをはじめる。
その後も会話はなく、私もお風呂に入ってとっとと寝ることにした。


ハルカ姉様、ごめんなさい。



今日の我が家は不穏だ。
晩御飯はとても気まずく、まずかった。うまい事を言っているわけではなく、ガチでまずかった。

チアキが嫉妬を覚えた。覚えてしまった。あれからカナ達がどうなったかは聞いていないけれど、もし付き合うことになったなら…
とりあえず、このまずいご飯を無理矢理食べて、無言という点を除いていつも通りに三人で片付けをはじめる。
その後も会話はなく、私もお風呂に入ってとっとと寝ることにした。



私もいつか、恋なんてするのかな。



俺はやけくそだった。どうしても南をモノにしたいという強力な独占欲が俺の中で芽生え、気づいたら襲っていた。南は怯えていたに違いない。違いないのに…。
南は、頬を染めて潤んだ瞳で見つめてきた。俺の全細胞がお前を欲しがっている。
そしてまた逆に、南のモノになりたいとも思った。縦、俺が分子になったとしても、南にたっぷりと呼吸して欲しい。
この想いは、「好き」なんかじゃない。なら何か。



俺は、それを口に出していた。



南は全く抵抗してこなかった。俺は、南の艶やかな様子に魅せられていた。
触りたい。弄りたい。犯したい。俺は南に間違いなく欲情していた。
だが、理性が働く。俺の目的は『こんなこと』じゃない。俺は、ついさっき口にした言葉を再び発する。
「付き合ってくれ!」



南は頷いた。顔を真っ赤にして目を背けながら、こっくりと。
俺の理性は崩壊した。



悪くない気分だ。はっきりとしない意識の中でも、「愛してる」という言葉だけは幾度も鳴り響く。
「愛してる」だなんて陳腐なせりふ、最近はCMくらいでしか聞かない。
陳腐だ。かなり陳腐だ。そして、その陳腐な言葉に私はかなり、惚れた。
私は頷くほか無かったのだ。




思い返す。三年前、初めて挑戦状を貰った。あれはやっぱり…。
ということは、藤岡はずっと、ずっと私のこの勘違いに…?






何故か、目からお水が出てきた。



「あっ、ご、ごめん!」
え?
藤岡の手の力が抜けた。なんか勘違いしているみたいだ。
にしても、なんて狼狽えようだ。さっきまでのナイスガイが嘘のようだ。
「くくっ」
私はこらえきれずに、声をあげて笑った。
「な、なんだよ!」
「あはははっ、だってさっきまでと感じが違いすぎるんだもん!くははっ!」
「えぇ!?」
藤岡はとても困っているようだ。「ごまかす」にはやりすぎただろうか。私は落ち着いて深呼吸をする。
「ご、ごめんごめん!ふぅ…」
よし、落ち着いた。
「ま、まあ、藤岡がそこまで私を想っているというのなら仕方がない。お前の愛を快く受け取ろう。」
「あ、あぁ。」
「よし!」
上から目線で言ってみたものの、心臓は再び爆発的に動き出す。いっそ爆発させたい。
「藤岡、私を抱け!」



藤岡の目が点になる。



だ、抱けってどういうことだよ。カップル成立したからって、そんなすぐに「する」もんなのか?
いや、それはダメだ。そりゃ妄想の中では南をムチャクチャにしているけど、あくまでも妄想だ。現実で高校生が「する」なんて不良だ。
でも、南はこんなにも求めている。俺のことを欲している。俺だって、南が欲しい。

「…み、南。本当にいいのか?」
俺はおずおずと尋ねる。
「ばっ!…そ、その位、大したことないし。それに、その、な、彼氏彼女なんだからさ、一応。」
か、可愛い!こんなにも照れる南を見たものが俺のほかにいるのだろうか。って、問題はそこじゃない!
俺と南との性意識に差がありすぎる。それとも俺は考えすぎなのか。きっとそうなのかもしれない。
それに、もし世間的に「非常識」だったとしても、俺は南の欲求に応えるべきだ。
俺は南の前ではチキン~無力~だ。もしここで断ったら、振られるかもしれない。そんな考えが頭をよぎる。

決断すべきだ。彼氏なのだから堂々とすればいい。俺は心で深呼吸をする。
大丈夫だ。俺は、南の彼氏、南の男だ。

俺は南の肩に手を添えた。今度は掴むのではなく優しく。そして、さっきみたいに怖がらせないよう極力優しく、耳元で呟く。
「するよ。」
南が何かを言おうとしたその前に、俺はその唇にキスをした。


最終更新:2008年02月23日 21:36