何か大きな失敗をしたような気がする内田・・・
そのころ第一組がお風呂に入ろうとしていた。

「よし、じゃあ先に湯船に入るから藤岡は少し脱衣所の外で待っててくれ。」
「分かった、おーぃトウマ俺達は後だぞ。」
「いや、トウマは濡れてるし先に入っててもらおう。」

そう言って先にカナとトウマがお風呂に入った。
万全を期すため、お湯の中が見えないようにお風呂には乳白色の入浴剤を投入、
作戦が失敗してもプリンがもらえるが、無事に成功した時はプリン2個を約束されているカナはいつになく真剣だ。

まずトウマには藤岡が入る前に、頭や体を洗い後は湯につかるだけの状態にさせる。
つまり藤岡が来た時には首まで湯につかっていると言う万全の態勢だ。

「南?・・・もう入って大丈夫かな?」
「えーっと・・・(トウマ、大丈夫か?)」
「(OK!)」
「よーし、藤岡入っていいぞー。」

その言葉を聞いて藤岡が脱衣所の扉をあけた。
そこには服も下着も脱いだカナが立っていた。

「おじゃまs・・・・え?!ご・・ごめんなさい!!」
「??? どうしたんだよ?もうトウマは入ってるし大丈夫だぞ?」
「ばっ・!!カナ、お前も入んなきゃ藤岡が入れないだろ!」
「え?あぁっ!悪い、藤岡。今度こそ大丈夫だ。」
「そ・・それじゃあ・・・お邪魔します。」
「洗濯物はかごに入れてくれれば洗っておくから。ハルカが。」

そう言われカゴの中を見ると、一番上に下着が脱ぎ捨てられていた。
お風呂に入った順番を考えると間違いなくカナの物だ。
藤岡はさっき見たカナの裸・脱ぎ捨てられた下着を見て、つい大きくしてしまう。

「(だめだ・・こんな状態じゃタオルを巻いても目立ちすぎて風呂になんて入れない・・・)」

そう思い、藤岡は自分の太もものあたりを思いっきり殴り、気持ちを落ち着かせた。



しばらくして藤岡が足を引きずりながら入ってきた。

「藤岡?お前けがしてたっけ?」
「えっと・・サッカーでちょっとね・・・」
「ふーん、とりあえず湯につかりなよ。」

南家のお風呂は、子供なら2人は余裕なのだが3人は少しキツイ。
しかし、この作戦において、藤岡とトウマを近づけることは最も危険・・・
その結果、重なるように藤岡が左端、それに寄り掛かるカナ、さらにそれに寄り掛かるトウマ。
藤岡の正面にはカナの背中がぴったりひっついていた。

「風呂は良いなぁ~。気持ちが安らぐよ。な?」
「お・・おぉ!常識だよ!」
「・・・・・・」
「藤岡もそうだろ?」
「・・・・・・え?」
「なんだお前、私の言ったこと聞いてなかったのか?」

この時、藤岡はカナの長い髪、柔らかい肌、お湯から少し見える胸の谷間・・・
そんなものは一切見ず、ひたすら田舎のおばあちゃんの事を考え、気を落ち着かせていた。



「さて、それじゃあそろそろお風呂出ようかな・・・」

トウマのこの一言でカナの顔がさらに真剣になる。
一番の山場、どうしてもトウマの裸が見えてしまう瞬間。
下はタオルで隠せるが、胸だけはどうしようもない。男が胸を隠すのはおかしすぎるからだ。
しかしトウマにはパッと見ただけで、女と分かるくらいの胸があった。

『ザバーッ!!』

トウマが立ち上がった・・・と同時にカナも立ちあがる。
確かにカナのおしりで藤岡にはトウマは見えなかった。
更に振り返るカナ、

「藤岡っ!私を見ろ!!」
「ぇぇっ?!!ちょっ・・・南?!」

慌てて立ち上がった藤岡は恥ずかしさの余り目線をそらした。
しかしその方向にはトウマがいた。カナはとっさに藤岡に抱きつき、
トウマのいる側の肩に自分の頭を置いて、藤岡にトウマが見えない様にした。
そして、その間にトウマはそそくさと出ていった。

「(ふぅ・・・これでプリン2つは私の物だ・・・)」
「あ・・あの・・南?」
「ん?どうかしたか藤岡?」

好きな女の子に裸で抱きつかれ、どうかしない男なんてこの世にいるのだろうか?
カナの顔が自分の顔の横に、胸は藤岡の胸元に押し付けられ、柔らかい太ももは少し動くたびに藤岡の股の間を刺激していた。
藤岡の顔がいつもには無い真剣な表情になった。
さすがのカナも異変に気づき、少し距離を置いた。

「ぉ・・・落ち着け藤岡、なっ。」
「南!!」
「は・・・はぃっ・・!!」
「おれ、もう我慢できないかも・・・」
「へっ・・我慢?」

慌てて立ちあがった藤岡の腰にはタオルは無く、
大きくなったモノを見たカナは、経験がなくともどういう意味か理解した。
しかし、この先どうしたらいいかが分からない。

「いやぁ・・私こう言うときどうしたらいいか分からないから・・・」
「手で・・・少しこすってくれれば・・・それでいいから。」
「そ・・それなら自分の手で・・・・」
「南の手でして欲しいんだ!今はそれ以上のことは望まないから!たのむっ!!」

しばらく考え込むカナ。
そして、そのやり取りを脱衣所で聞いているトウマに向かってカナが言った。



「おい!トウマ!!プリン3個だからなっ!!」

「わ・・・わかった!」


最終更新:2008年02月24日 00:24