ニギメダナ-捌話『蓬莱館事件』


 その日の朝、我々は起床した後、退館手続きを済ませ朝食をとりに商店街へ。
朝食も無事済ませて我々は念願の温泉に入ることになった。
 我々はまたもや安いところを探し回った。だがしかし、さすがのチャグ、なかなか見つからなかった。
 セジュ先輩が、歩くのが疲れたと言って路上に座り込んでしまった。
あの巨大な体を長時間動かしていたのなら無理もあるまい。そして先輩はまた叫んだ。
「お金なら全部僕が出しますから、とにかくあそこの温泉に入りましょう」
とセジュ先輩が指さしたのは立派で絢爛豪華な温泉施設であった。
             ◆
 その温泉施設は「蓬莱館」という巨大な建物であった。
我々がロビーを歩いていると、見たことのある顔が見えた。
彼は我らがグブンゲオ上等学校の校長、スン・ソビンであった。
そしてキムジェ先輩が話しかけた。「校長先生!お元気ですか」
「ん?グブンゲオの生徒かの?」
「はい。海苔倶楽部ですよ」
「ああ、アレじゃな、養殖をしてるとかいう」
「はい、今はキンジョンへ海苔の果胞子を貰いに行っているところなんです」
「ほお。――君は・・・セジュ君じゃないか」
さすがセジュ先輩である。大財閥の息子であることだけあって有名なのであろう。
 その後、我々は校長と別れ、温泉に入ることとした。
             ◆
 「気持ちいいですね!先輩!」と叫んだのはヤンである。
そして叫びながら私にお湯をかけてくる。
「おい、やめろ!」と言って私はヤンにかけ返す。
「やったなぁ~!」
 こうして私とヤンはお湯かけ合戦に突入してしまったのだが
とある音によってそれは終わった。今となってはあまり覚えていないがもの凄い音であったと思う。
 『ババンッ!』我々がお湯かけ合戦をし、先輩の方々が笑っている直中、その音はした。
「なんだ?」音がした瞬間は静まっていた浴場内がざわめき始めた。
「おい、あれ銃声じゃないのか?」となりで温泉に入っている男性が呟いた。
その言葉によってさらに浴場内のざわめきが激しくなった。
急いで浴場を出る人、何が起きたのか分からず口をあんぐり開けている人、
子供を抱きかかえる父親、パニックに陥っている人・・・
 そして我々は先輩の指示に従い、とにかく浴場を出ることにした。
「おい、何が起きたんだよ!?」とヤンに尋ねられた。
「俺にも分かんねえよ」
 我々は素早く着替え、脱衣所を出た。出たとたんに人がごったがえしていた。
「こちらには近づかないで下さい!危険です!」施設の職員の声が響き渡る。
 一番背の高いキムジェ先輩が言った。
「おい、人が倒れてるぞ」
             ◆
 殺人事件が起きのだ。



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最終更新:2011年05月25日 15:41