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枯淡な書架 - (2014/03/31 (月) 01:07:41) の編集履歴(バックアップ)
水銀の招き猫 -Mercurial Cats-
人は、いつかは必ず死ぬということを思い知らなければ、生きているということを実感することもできない。
――ハイデッガー(1889~1976:哲学者)
小焼けの神社 -こやけのかむやしろ-
青春とは、奇妙なものだ。 外部は赤く輝いているが、内部ではなにも感じられないのだ。
――サルトル(1905~1980:哲学者)
ノアの惑星
孤独――訪ねるにはよい場所であるが、 滞在するのには寂しい場所である。
――ヘンリー=ショー(不明)
物理研究で何の役にも立てず苦悩する大学院生、三日月準[ミカツキ=ジュン]は、己の無能さと、教授からの聞き苦しい叱責から自殺を決意した。
暗雲が空を覆う深夜、富士の樹海奥深くへと足を運び、屍の見えない一人だけの死地を求め進む彼であったが、暗闇で足元が見えず、勾配の大きな洞穴に滑落してしまう。
体の節々に痛みを感じながら迷宮のような洞窟を彷徨い、ついに見つけた出口を抜けると、そこは元の樹海とは空気がまるで違う、澄んだ星空の下にある蔓の茂る森であった。
戸惑いを胸に秘めつつ蔓を払い往く中、突然目の前に人の言葉を話す栗鼠が現れる。
栗鼠の導かれるまま土踏む先には、松明に照らされた、荘厳な神殿があった。
神殿は天井が大きく開かれ、幾億の星が覗き、その下には石でできたひとつの椅子。
それに凭れ掛るは、自分よりも少しばかりか背の高い、黒髪の碧眼美女。