コンセプト:マジックパンクエセ和風スペオペ、実体関連モデルSQL、ジェネリック新世界より、ハイパーインフレロボバトル
なお、以下の設定を、必ずしも作中メインの文明圏が認識・理解しているとは限りません
唯(ゆい)の帝国
舞台となる惑星間文明体。構成種族は「人間」のみであり、その健常な個体すべてに魔術が発現している。そのため法・技術・教育・工業・経済・軍事etc.あらゆる領域において、魔術の存在が所与となっている。
人口はおよそ【未定、100~2000ぐらい? 後々の自由度を考えてぼかすか?】億人。
うち九割が、『巨像大陸』と呼ばれる超巨大居住構造体<メガストラクチュアル・アーコロジー>内で生活している。巨像大陸はほぼ完全な自給自足が可能であり、これをそのまま移民船とした外宇宙進出も、すでに理論上は実現可能。
が、最高指導者たる『天帝』の強い意向により、その版図は数百年間、太陽系内で停滞している。
うち九割が、『巨像大陸』と呼ばれる超巨大居住構造体<メガストラクチュアル・アーコロジー>内で生活している。巨像大陸はほぼ完全な自給自足が可能であり、これをそのまま移民船とした外宇宙進出も、すでに理論上は実現可能。
が、最高指導者たる『天帝』の強い意向により、その版図は数百年間、太陽系内で停滞している。
政体としては、中央の支配が非常に緩く、各巨像大陸ごとの自治権が極めて強い。
帝国憲法に反しない限り(※)において、それぞれが独自の立法・司法・行政組織を持つことが可能。軍や警察などの暴力装置の在りようについても、帝国憲法の制約は極めて緩い。
中央政府への拠出金こそ求められるが、それ以外の財政は独立しており、税制についても自由に決定可能。どころか、独自の通貨発行権さえ有している。
帝国憲法に反しない限り(※)において、それぞれが独自の立法・司法・行政組織を持つことが可能。軍や警察などの暴力装置の在りようについても、帝国憲法の制約は極めて緩い。
中央政府への拠出金こそ求められるが、それ以外の財政は独立しており、税制についても自由に決定可能。どころか、独自の通貨発行権さえ有している。
加えて巨像大陸間の協定や通商においても、必要なのは当事者内の合意のみであり、そこに中央からの承認は必要ない。
まれに起こる、巨像大陸間での武力衝突に対してさえ、中央は、求められれば調停を行う程度であり、積極的には動かない。
まれに起こる、巨像大陸間での武力衝突に対してさえ、中央は、求められれば調停を行う程度であり、積極的には動かない。
(※外宇宙進出は、帝国憲法が禁じる数少ないものの一つ)
このあまりの非干渉っぷりは、惰弱さゆえの弱腰か? 天帝は、もはや形骸化した権威に過ぎないのか? と言えば、そんなことはまったくない。
天帝直下、中央たる巨像帝都が、唯の帝国の興りから現在に至るまで、経済・文化のみならず、武力においても最強の座を保ち続けていることは、万人が知るところである。
つまり統治能力の不足ではなく、あえての・極度の放任主義である、と言える。これを支配の責任の放棄であると批判する声もある。巨像大陸の政府がいかな悪政を敷こうが、帝国憲法に抵触しない限り、基本的に中央政府が是正を求めることはない。それでついに革命が起きたとして、その阻止にも動かない。革命が成功すれば、新政権と必要なやり取りをするのみである。
天帝直下、中央たる巨像帝都が、唯の帝国の興りから現在に至るまで、経済・文化のみならず、武力においても最強の座を保ち続けていることは、万人が知るところである。
つまり統治能力の不足ではなく、あえての・極度の放任主義である、と言える。これを支配の責任の放棄であると批判する声もある。巨像大陸の政府がいかな悪政を敷こうが、帝国憲法に抵触しない限り、基本的に中央政府が是正を求めることはない。それでついに革命が起きたとして、その阻止にも動かない。革命が成功すれば、新政権と必要なやり取りをするのみである。
実際のところ、〝現実的な〟語彙で表現するならば、
『唯の帝国』という枠組みは、既知/現行の人類文明圏すべてを包括し/意味する言葉であり、巨像大陸の方が〝国家的〟存在である。
『唯の帝国』という枠組みは、既知/現行の人類文明圏すべてを包括し/意味する言葉であり、巨像大陸の方が〝国家的〟存在である。
メタ含む立ち位置:
唯の帝国、という枠組みは、インセンティブ設計を目的としている。これはメタ的な意図のみならず、作中レイヤーの事実としても同じ。
マクロなインセンティブ設計は、現実においても政府に期待される機能だが、唯の帝国の場合、機能の一つではなく、それこそが(天帝ほかごくわずかな人間のみが知る)存在意義となっている。
極度の放任の中で、なお人々を『望ましい』方向へと『自発的に』歩ませる〝誘導する権力〟が、唯の帝国の/中央政府の/天帝の核心であって、目に見える〝強制する権力〟は、そのための手段に過ぎない。
マクロなインセンティブ設計は、現実においても政府に期待される機能だが、唯の帝国の場合、機能の一つではなく、それこそが(天帝ほかごくわずかな人間のみが知る)存在意義となっている。
極度の放任の中で、なお人々を『望ましい』方向へと『自発的に』歩ませる〝誘導する権力〟が、唯の帝国の/中央政府の/天帝の核心であって、目に見える〝強制する権力〟は、そのための手段に過ぎない。
現行の人類文明圏の全体にざっくり方向づけするための装置で枠、
各個人/組織/共同体を複層的かつ自律的なエージェントとする超巨大探索アルゴリズム-の指向性を定める目的関数であるので、
唯の帝国そのものの善悪や功罪はあんまり取り上げないかも/だいぶあくどいこともやってるけど
各個人/組織/共同体を複層的かつ自律的なエージェントとする超巨大探索アルゴリズム-の指向性を定める目的関数であるので、
唯の帝国そのものの善悪や功罪はあんまり取り上げないかも/だいぶあくどいこともやってるけど
魂
幽接生物の脳髄、またはそれに相当する情報処理装置に対し、量子力学的なゆらぎに乗じて『どこか』から干渉してくる『なにか』。
湿潤なる計算機<ウェットウェア>に接続される、存在しない計算機<ヴェイパーウェア>。ゴースト。
物理的に観測が可能なのは、脳内の量子現象に、明らかな偏りが──つまり、理論上は起こりうるが実際の確率としては起こりえない〝奇跡的偶然〟が、特定のパターンをもって、ヒト脳内で毎秒発生し続けている、という結果のみ。
湿潤なる計算機<ウェットウェア>に接続される、存在しない計算機<ヴェイパーウェア>。ゴースト。
物理的に観測が可能なのは、脳内の量子現象に、明らかな偏りが──つまり、理論上は起こりうるが実際の確率としては起こりえない〝奇跡的偶然〟が、特定のパターンをもって、ヒト脳内で毎秒発生し続けている、という結果のみ。
この奇跡的偶然が引き起こされる干渉点を〝銀枝〟。具体的な干渉パターンを〝銀紋〟と呼称する。だいたい、健康な成人で銀枝の総数は二十万程度。静的な固定点ではなく、その座標も変動的かつ流動的。
(量子脳理論、それなりにいい感じに収めるのはどうすればいいか……という悩み。
既存の微小管かイオンチャネルで処理するか、あるいは脳を通り抜けてくニュートリノの衝突可能性をいじくって間接的に脳内の任意の座標に電子をポップアップさせる……みたいなのもアリかも?)
既存の微小管かイオンチャネルで処理するか、あるいは脳を通り抜けてくニュートリノの衝突可能性をいじくって間接的に脳内の任意の座標に電子をポップアップさせる……みたいなのもアリかも?)
なお、魂はただ脳に干渉するだけでなく、銀枝を通じて脳から情報を取得している、と推定されており、脳の物理状態に応じて銀紋も随時、変化する。
つまり魂とは、所与の定数でも一方的な操作主体でもなく、魂と脳とのカオス的な相互作用の総体こそが、心、人格、表層意識、意志決定、ヒト精神のすべてである。この精神モデルにおいて、心身は一元論でも二元論でもなく、同時にそのどちらでもある、『二つの構成要素からなる一つの系』として記述される。
つまり魂とは、所与の定数でも一方的な操作主体でもなく、魂と脳とのカオス的な相互作用の総体こそが、心、人格、表層意識、意志決定、ヒト精神のすべてである。この精神モデルにおいて、心身は一元論でも二元論でもなく、同時にそのどちらでもある、『二つの構成要素からなる一つの系』として記述される。
ちなみに魂が宿りうる/銀枝が根を張る情報処理装置は、干渉による擾乱を許容し、それすら己の内に取り込める、柔軟で冗長なシステムでなければならない。
(つまり、現実の半導体コンピューターは、トンネル効果の発生確率なんかに干渉しまくってもエラー訂正されるOR訂正能力を超えれば落ちるだけで、その干渉までも含めた系の構築ができない、ゆえに有機ニューロンネットワークとは違い、魂の器たりえない)
銀枝のフラクタル性
幽接生物とは、その物理的な神経系に『向こう側』からの極微の干渉点である銀枝が分布している生物である。
視座のスケールを上げたとき、それは物質宇宙に『向こう側』からの極微の干渉点である幽接生物が分布している、とも表現できる。
視座のスケールを上げたとき、それは物質宇宙に『向こう側』からの極微の干渉点である幽接生物が分布している、とも表現できる。
霊渉力学<サイコキネティクス>
魂が引き起こす『奇跡的偶然』、銀枝とその銀紋について取り扱う科学体系。
魔術
物理領域の因果的閉包性を引き裂き連続性を切り裂いて、思うがままに現実を変容させる力。
同時に、個人に核兵器以上の殺傷能力をもたらし、あるいは分子一つの痕跡すら残さない完全犯罪を可能にしてしまう、社会の不安因子でもある。
同時に、個人に核兵器以上の殺傷能力をもたらし、あるいは分子一つの痕跡すら残さない完全犯罪を可能にしてしまう、社会の不安因子でもある。
魔術の、〝社会的〟本質について
純物理技術と魔術の、社会的な意味の差とは、なにか。
極めて強固な属人性に起因する、能力の絶大な個体格差。銃は手離せるが、魔術行使能は人から切り離せない、その潜在的脅威性。挙げられるものは多い。
極めて強固な属人性に起因する、能力の絶大な個体格差。銃は手離せるが、魔術行使能は人から切り離せない、その潜在的脅威性。挙げられるものは多い。
しかし実のところ、十分に長い時間スケールにおいては、これらの差は、すべて無化される運命にある。
固有魔術は解析され汎用化されるし、高度な物理技術が普及すれば、必然的に殺傷や隠蔽といった行為も高度化される。神経系への繊細な介入が可能となれば、安全のため、魔術行使能を一時的にマスクすることも可能になるだろう。
固有魔術は解析され汎用化されるし、高度な物理技術が普及すれば、必然的に殺傷や隠蔽といった行為も高度化される。神経系への繊細な介入が可能となれば、安全のため、魔術行使能を一時的にマスクすることも可能になるだろう。
ならば社会を──ひいては文明の発展を語る上で、魔術と純物理技術の、もっとも根本的な違いとはなにか?
それは、魔術は絶対的に『人口に律速された』資源であり、『乗数的な発展が起こらない』、ということである。
それは、魔術は絶対的に『人口に律速された』資源であり、『乗数的な発展が起こらない』、ということである。
魔術几盤
几盤は『きばん』と読む。
後述する概括構造体を格納するテーブルにして、あらゆる魔術に不可欠な基盤となるハードウェア。ひとつの知性種族の標準的かつ統合的な環世界。
平たくいえば、結晶化した集合無意識であり、物理的な実体は持たない。物理世界と相互作用できるのは、幽接種族、すなわちヒトの脳を介してのみ。
後述する概括構造体を格納するテーブルにして、あらゆる魔術に不可欠な基盤となるハードウェア。ひとつの知性種族の標準的かつ統合的な環世界。
平たくいえば、結晶化した集合無意識であり、物理的な実体は持たない。物理世界と相互作用できるのは、幽接種族、すなわちヒトの脳を介してのみ。
魔術における情報処理の大半は魔術几盤に丸投げされているが、精緻な概括構造体や、複雑な幽式などを扱う場合には、個体<クライアント>側にも相応の能力が要求される(割合としてはさして変わらない。百の1%と一億の1%には当然大きな差があるというだけ)。
概括構造体
人の処理能力からすれば無限に等しい、物質世界を構成する状態ベクトルの奔流を、『石』『水』『いまわたしが触れているコレ』『あの家』などの巨視的・抽象的な概念で括った構造体。
ヒトの認識やイメージという曖昧で抽象的なものと、確たる物理現象という莫大な情報の渦を相互に翻訳する、インターフェイスとしての役割を持つ。
微妙に長いので、【概体】と略される場合も多い。
ヒトの認識やイメージという曖昧で抽象的なものと、確たる物理現象という莫大な情報の渦を相互に翻訳する、インターフェイスとしての役割を持つ。
微妙に長いので、【概体】と略される場合も多い。
概括構造体の改変は、すなわち概括構造体というインターフェイスへの入力──により引き起こされる実物理状態への改変であり、また実体の変化もまた、概括構造体の構成パラメーターの変化としてリアルタイムで反映される。
本質的にはインターフェイスであり、実用上は解像度を落とした鏡像、と言える。
本質的にはインターフェイスであり、実用上は解像度を落とした鏡像、と言える。
あらゆる魔術は、概括構造体の作成によって始まる。この概括構造体が割当てられた何らかの事象を、『可操作状態』にある、と呼称する。
なお、概括構造体の『括り方』は、同じ実体に対しても用途の差、流派の差、言語の差、主体となる個人の感覚の/知識の/世界観の/処理能力の差……etc.などで無数の差が出る。特に流体などは、固体に比べて『括り方』の差が大きく出やすい。
改変可能なのは概括構造体というインターフェイスが入出力として持つパラメーターのみであり、かつその精度も、概括構造体作成時の解像度が上限となる。
たとえば『おおよその形状と運動ベクトル』しか取っていない概括構造体では、温度の把握や操作などはまったくできないし、唯一可能な形状と運動量の操作すらも『おおよそ』の大雑把にしかできない。しかし、このように粗く単純な概括構造体は、非常に速く、軽く、扱いやすい。
たとえば『おおよその形状と運動ベクトル』しか取っていない概括構造体では、温度の把握や操作などはまったくできないし、唯一可能な形状と運動量の操作すらも『おおよそ』の大雑把にしかできない。しかし、このように粗く単純な概括構造体は、非常に速く、軽く、扱いやすい。
一方で、子細に模られた概括構造体は、精密な観測や制御が可能なものの、遅くて重い。どのような概括構造体にも、それぞれ相性や長短、得手不得手が存在する。
なお、概括構造体は、以下の三つの条件によって消失する。
- 物理的な破壊や変質によって、実体が概括構造体の定義域から飛び出してしまった場合、鏡像として破綻し、砕け散る。
- 一定時間操作が行われなかった場合、魔術几盤から自動的に削除される。具体的な時間は概括構造体のサイズや周辺の魔術の使用状況に左右されるが、最大でも三十秒程度。短ければ五秒未満。
- 後述する『結締』を使う。
架層構造体
概括構造体や幽式そのものを抽象化して括った、言わば二次的・三次的な概括構造体のこと。
簡易な魔術においては物理実体と直結した概括構造体のみで十分であり、架層構造体は『魔術を制御する魔術』を含む高度魔術においてのみ使用される。
超高度魔術の場合、複数の架層構造体の同期や協働、その関係そのものを、更なる高次の架層構造体で括る、複雑怪奇な入れ子構造が形成される。
簡易な魔術においては物理実体と直結した概括構造体のみで十分であり、架層構造体は『魔術を制御する魔術』を含む高度魔術においてのみ使用される。
超高度魔術の場合、複数の架層構造体の同期や協働、その関係そのものを、更なる高次の架層構造体で括る、複雑怪奇な入れ子構造が形成される。
魔術四命令
あらゆる魔術は、『起象』『承述』『転纂』『結締』の四つの命令に帰結する。
どれだけ強力で複雑な魔術も、結局はこの四つを組み合わせることで実現される。
どれだけ強力で複雑な魔術も、結局はこの四つを組み合わせることで実現される。
『起象』
──魔術几盤上に概括構造体を新造し、付随して実世界上にも現象を引き起こす。
ゼロベースかつ一手で現実を改変できるため、後述する『承述&転纂』に比べて速く、また周囲の環境に左右されないが、燃費が悪い。
ゼロベースかつ一手で現実を改変できるため、後述する『承述&転纂』に比べて速く、また周囲の環境に左右されないが、燃費が悪い。
『承述』
──既存の実体を指定して読み取らせ、概括構造体を作成する。可操作状態にするだけで、それ自体は何の変化も起こさないため、基本的には『転纂』とセット。
ただし『鑑定魔術』や『走査魔術』と呼ばれる、物体のおおよその状態や組成を読み取るための、現実の変容を目的としない魔術は承述のみで完結する。
ただし『鑑定魔術』や『走査魔術』と呼ばれる、物体のおおよその状態や組成を読み取るための、現実の変容を目的としない魔術は承述のみで完結する。
『転纂』
──起象もしくは承述によって作成された概括構造体の変数を書き換え、連動して実体を改変する。一般に魔術的操作、と呼ばれるモノの大半がこれ。
前述した通り、あくまで改変可能なのは、概括構造体が含むパラメーターに限る。概括構造体の作成者と転纂者が別人である場合、『括り方』と『書き換え方』の相性の如何によっては、まるで力を発揮できないことも。
前述した通り、あくまで改変可能なのは、概括構造体が含むパラメーターに限る。概括構造体の作成者と転纂者が別人である場合、『括り方』と『書き換え方』の相性の如何によっては、まるで力を発揮できないことも。
『結締』
──概括構造体を魔術几盤上から破却する。
その際、実体も連動させて消し去るかどうかを選択可能で、連動させない場合は操作不能になった実体が残される。この場合、『承述』により新たな概括構造体を作成すれば、再び魔術的操作が可能となる。
その際、実体も連動させて消し去るかどうかを選択可能で、連動させない場合は操作不能になった実体が残される。この場合、『承述』により新たな概括構造体を作成すれば、再び魔術的操作が可能となる。
(案:むしろ基本的には概括構造体の消去は実体を道連れにしていくのが普通で、ゆえに
- ただ承述しただけで時限消去爆弾となる
- 自身に概括構造体を設定して操作する自己強化系の魔術は、被弾等により実体と概括構造体がズレた時のリスクがとんでもない/一応部位刻みの小さな概括構造体にブロック化しておくことで、肉体すべての消滅は防げるが、小分けするほど処理能力が要求される……
みたいなロジック、締諦で〆た場合のみ実体を残すことができる、みたいのもアリかなーと思ったけどこれはこれでバランスが極端になりそうなので検討中、ただ極端な方が面白い、みたいな感覚もある)
魔術四能程
個人の魔術行使能を、四つに区分したパラメータ。
とはいえ、一言に『因索』に優れるといってもその〝精度〟に優れる者と〝射程〟に優れる者ではまるで異なるし、
『応儀』も使う魔術ごとにパフォーマンスの相性差というものが生じるため、実際の評価基準はさらに細分化・条件区分などされている。
とはいえ、一言に『因索』に優れるといってもその〝精度〟に優れる者と〝射程〟に優れる者ではまるで異なるし、
『応儀』も使う魔術ごとにパフォーマンスの相性差というものが生じるため、実際の評価基準はさらに細分化・条件区分などされている。
『因索<いんさく>』
──魔術几盤からの情報の取得速度や精度、射程を指す。Input。
四命令中の『起象』『承述』、すべての魔術行使の始点である概括構造体の作成に、特に強く影響する。
四命令中の『起象』『承述』、すべての魔術行使の始点である概括構造体の作成に、特に強く影響する。
『果覧<がらん>』
──魔術几盤への情報の出力速度や精度、射程を指す。Output。
他の三能が優れていても、果覧の能態が不足している場合、概括構造体の改変→実体の改変という魔術行使の最終工程において、大きなボトルネックが生じてしまう。
他の三能が優れていても、果覧の能態が不足している場合、概括構造体の改変→実体の改変という魔術行使の最終工程において、大きなボトルネックが生じてしまう。
『応儀<おうぎ>』
──魔術的な情報処理能力を指す。Processor。
魔術行使における全プロセスにおいて非常に重要な能程である。
魔術行使における全プロセスにおいて非常に重要な能程である。
『報録<ほうろく>』
──概括構造体や幽式の、同時保持能力を指す。Memory。
この能態が、操作可能な概括構造体のサイズ上限や、実行可能な幽式の複雑さの上限を定める。
この能態が、操作可能な概括構造体のサイズ上限や、実行可能な幽式の複雑さの上限を定める。
幽覚
魔術几盤と接続し、魔術的な情報を処理する感覚系。基本的には拡張現実めいて、基本的な五感、もしくは言語的な認知に上乗りするかたちで翻訳される。
物理的・生理的な現象としては、視覚野や体性感覚野に根を張った銀枝によって、あたかも『実際にそのような現実を感覚しているかのように』神経網の状態が銀紋によって調整される。これによって発生する、主観的な視覚効果を幽光、聴覚効果を幽音などと呼称する。
他者の魔術を見る/聞く/etc.、受動的な幽覚は、現実と同程度の共通性を持つ。つまりその魔術の行使者でなく・かつ健常な視覚機能を持つAが見る幽光と、同条件のBが見る幽光は、完全に同一ではないにせよ、ある程度近しい。
一方で、自ら魔術を行使する場合の能動的な幽覚に関しては、どの感覚系や認知機能をトリガーにするのがもっとも効率が良いか? という点に大きな個人差がある。
主に視覚をトリガーとして魔術を行使するものを視覚型幽覚者、体性感覚をトリガーとするものを体性型幽覚者、などと呼ぶ。
主に視覚をトリガーとして魔術を行使するものを視覚型幽覚者、体性感覚をトリガーとするものを体性型幽覚者、などと呼ぶ。
純粋幽覚者
魔術几盤との接続に用いられる感覚系、いわゆる幽覚は、
たいていは視覚、あるいは触覚、あるいは聴覚、あるいは言語的認知──の拡張として処理・解釈される。
しかしまれに、既存の五感や言語への翻訳を介すことなく、純粋に魔術几盤上の情報の奔流を、ただありのままに扱える者も、少数存在する。
たいていは視覚、あるいは触覚、あるいは聴覚、あるいは言語的認知──の拡張として処理・解釈される。
しかしまれに、既存の五感や言語への翻訳を介すことなく、純粋に魔術几盤上の情報の奔流を、ただありのままに扱える者も、少数存在する。
彼ら彼女らは魔術という万能のツールを、第五の肢として振るい外界を書き換え、第六の感覚として万物を把握する。
こと魔術の才において、純粋幽覚者とそれ以外には、決して超えられない壁がある、と言える。
こと魔術の才において、純粋幽覚者とそれ以外には、決して超えられない壁がある、と言える。
しかしそれぞれが独自固有の感覚系を構築している、というまさにその理由から、
一般的なカリキュラムでの魔術教育は極めて非効率的であるし、また当人が他人にその業を伝える・教えることも非常に困難。
集団による魔術の協働実行などに組み込むこともほぼ不可能。
一般的なカリキュラムでの魔術教育は極めて非効率的であるし、また当人が他人にその業を伝える・教えることも非常に困難。
集団による魔術の協働実行などに組み込むこともほぼ不可能。
総じて、良くも悪くも突出した個である、といえる。
純粋幽覚による超魔術知覚、およびそれを用いた他者の識別について
二次的な幽覚は、大元の一次感覚に制約される。瞼を閉じた状態で幽光だけが見えることはないし、喧噪の中で幽音を〝聞き分ける〟のも難しい。
しかし純粋幽覚は、純粋に魔術几盤のみに開かれた知覚チャンネルであるため、物理的な遮断や擾乱を受けない。その知覚範囲内において、純粋幽覚者に対し、魔術行使を隠すことは不可能である。
そしてこの『魔術行使』は、意識的なものに限定されない。
万人が有する、無意識的で微弱な体内恒常魔術についても、純粋幽覚者からは丸見え(※)となる。
しかし純粋幽覚は、純粋に魔術几盤のみに開かれた知覚チャンネルであるため、物理的な遮断や擾乱を受けない。その知覚範囲内において、純粋幽覚者に対し、魔術行使を隠すことは不可能である。
そしてこの『魔術行使』は、意識的なものに限定されない。
万人が有する、無意識的で微弱な体内恒常魔術についても、純粋幽覚者からは丸見え(※)となる。
(※視覚依存の非純粋幽覚者向けの表現。正確には、視覚からも独立しているからこその純粋幽覚であるため、“見え”という表現は適切でない)
(※通常、微弱な体内恒常魔術は、視覚としては皮膚によって遮蔽され、聴覚や嗅覚などでも、素の脈拍や自然音、体臭などに紛れるため、既存の感覚系に頼る幽覚で他者のそれを感知するのはほぼ不可能)
(※通常、微弱な体内恒常魔術は、視覚としては皮膚によって遮蔽され、聴覚や嗅覚などでも、素の脈拍や自然音、体臭などに紛れるため、既存の感覚系に頼る幽覚で他者のそれを感知するのはほぼ不可能)
このため背後も壁越しも関係なく、知覚範囲内のあらゆる人間を、レーダーめいて把握可能。
また体内恒常魔術にもそれぞれ個性が存在しているため、これにより他者を識別することも、知覚精度と記憶次第では可能となる。
これに依存しすぎた純粋幽覚者は、しばしば相貌失認的な特性を獲得する。顔の造作ではなく、体内恒常魔術のパターンで他者を識別するようになるのである。
また体内恒常魔術にもそれぞれ個性が存在しているため、これにより他者を識別することも、知覚精度と記憶次第では可能となる。
これに依存しすぎた純粋幽覚者は、しばしば相貌失認的な特性を獲得する。顔の造作ではなく、体内恒常魔術のパターンで他者を識別するようになるのである。
生きた他人を相手にするうちは特に不都合はないが、写真や肖像画、遺体などの顔が分からなくなるのが難点。
純粋幽覚者の危険性について
非純粋型の幽覚者──すなわち既存の感覚系や知覚系を介すことで、二次的に魔術几盤と接続している大多数の人間にとっては、感情や衝動、反射による魔術の暴発は起こりえない。
必ず『思考』の集中と、数瞬~数秒の『時間』を要するために、咄嗟に手が出ることはあっても魔術が出ることはないのである。
非純粋幽覚者が魔術で他者を殺傷したとき、そこには必ず、確固たる害意が存在する。
必ず『思考』の集中と、数瞬~数秒の『時間』を要するために、咄嗟に手が出ることはあっても魔術が出ることはないのである。
非純粋幽覚者が魔術で他者を殺傷したとき、そこには必ず、確固たる害意が存在する。
しかし、純粋幽覚者は思考を必要とせず、感覚や直感のみで魔術行使が可能であり、その所要時間は限りなくゼロ秒に近い。
些細な口喧嘩で、一瞬の強い怒りを抱いただけで、次の瞬間には相手が惨殺死体になりかねない。
精神の鍛練や薬物の投与など、この危険性を軽減する手段は複数考案されてはいるものの、もっとも確実な手段は、敬して遠ざけ、そもそも接近を避けることになる。
些細な口喧嘩で、一瞬の強い怒りを抱いただけで、次の瞬間には相手が惨殺死体になりかねない。
精神の鍛練や薬物の投与など、この危険性を軽減する手段は複数考案されてはいるものの、もっとも確実な手段は、敬して遠ざけ、そもそも接近を避けることになる。
幽式
四命令に条件分岐等を織り込み、複雑に組み合わせることで作られた、高度な自律性を持つ魔術。
幽式を書き出す人間を『幽綴者』と呼ぶ。基本的には言語型や数理型の幽覚者が得意とすることが多い。純粋幽覚者が書き出す幽式は、未知のクオリアで記述されるため、本人以外には再現どころか解読すら不可能。
一族秘伝の業や、企業秘密として、高度な幽式は、その内容を秘匿されるケースが多い。
幽式を書き出す人間を『幽綴者』と呼ぶ。基本的には言語型や数理型の幽覚者が得意とすることが多い。純粋幽覚者が書き出す幽式は、未知のクオリアで記述されるため、本人以外には再現どころか解読すら不可能。
一族秘伝の業や、企業秘密として、高度な幽式は、その内容を秘匿されるケースが多い。
大雑把にいえばプログラミングされた魔術だが、弱点として、魔術几盤の揮発性が挙げられる。
魔術を止めれば消去されてしまうため、次に使いたい時には一から組み直す必要があり、かといって常駐させれば術者の思考的・精神的なリソースを消費し続ける。
このため、幽式に長けた人間の中にも、大別して『発動のたび、組み直すのが非常に速い』タイプと、『常駐させ、それによる負担を軽減・無視できる』の二種が存在する。
魔術を止めれば消去されてしまうため、次に使いたい時には一から組み直す必要があり、かといって常駐させれば術者の思考的・精神的なリソースを消費し続ける。
このため、幽式に長けた人間の中にも、大別して『発動のたび、組み直すのが非常に速い』タイプと、『常駐させ、それによる負担を軽減・無視できる』の二種が存在する。
生体系魔術
その名の通り、生体組織の生成や操作、強化などを行う魔術。用途は医療、食料生産、バイオドローンなど。
物理的観点からは化学系魔術の一部に分類されるが、人間の素朴な体感および実用面での特長から、生体系魔術は化学系からは独立した体系として、教育・訓練・運用されている。
物理的観点からは化学系魔術の一部に分類されるが、人間の素朴な体感および実用面での特長から、生体系魔術は化学系からは独立した体系として、教育・訓練・運用されている。
体内恒常魔術系、および自己学習
低位の生体系魔術と、中位の化学系魔術を比較したとき、物理現象としての複雑さや緻密さでは、低位の生体系魔術の方が遥かに高い。
しかし、魔術の難度としては、より複雑で、より緻密であるはずの、低位の生体系魔術の方が、易しい。
この逆転の原因は、赤子のときから常時、無意識下で展開され続ける体内恒常魔術系である。他ならぬ自分自身を材料に、無数の学習が重ねられた結果、生体系魔術はその現象としての複雑さに反して、他系統の魔術よりも易しい魔術となる。
別の言い方をすれば、化学系魔術のうち、体内恒常魔術系-の自己学習の恩恵を受けて大きく難度が緩和されるものを『生体系魔術』と呼ぶ。
しかし、魔術の難度としては、より複雑で、より緻密であるはずの、低位の生体系魔術の方が、易しい。
この逆転の原因は、赤子のときから常時、無意識下で展開され続ける体内恒常魔術系である。他ならぬ自分自身を材料に、無数の学習が重ねられた結果、生体系魔術はその現象としての複雑さに反して、他系統の魔術よりも易しい魔術となる。
別の言い方をすれば、化学系魔術のうち、体内恒常魔術系-の自己学習の恩恵を受けて大きく難度が緩和されるものを『生体系魔術』と呼ぶ。
なお、体内恒常魔術系そのものと、そこから学習される生体モデルについては、あくまで個体固有であり、標準規格は存在しない。そのため一定の『外れ値』が、自然発生する。
具体的には、体内恒常魔術系については、物理的な代謝系との間にしばしば特異なフィードバックループが引き起こされ、その結果としての形態異常や特異体質を生じさせる。それは、必ずしも機能障害には結びつかない。生理機能は損なわれず、あるいは成長した体内恒常魔術系が補うようになり、総体としての健康は維持されたまま、常人とはかけ離れた異相となる。
具体的には、体内恒常魔術系については、物理的な代謝系との間にしばしば特異なフィードバックループが引き起こされ、その結果としての形態異常や特異体質を生じさせる。それは、必ずしも機能障害には結びつかない。生理機能は損なわれず、あるいは成長した体内恒常魔術系が補うようになり、総体としての健康は維持されたまま、常人とはかけ離れた異相となる。
また、体内恒常魔術系から学習される生体モデルについても、やはり個々が無意識に構築するものであるため、個人差が大きい。
大半の人間が構築する生体モデルは、
大半の人間が構築する生体モデルは、
- 基本的には自分自身を最高効率とし
- 自分以外の人間に対しても、効率は低下するがそのまま適用可能。
- 人間以外の生物に対しては、そのままの適用は困難だが、意識的な技能習得の下地や基礎にはなる。より人間に近い生物ほど難度緩和の恩恵は大きく、具体的には菌類や植物よりは動物の方がよく、無脊椎動物よりは脊椎動物の方がよく、魚類よりは哺乳類の方がよい。
- あくまで相対的な難度緩和であり、絶対値ではない。複雑な哺乳類よりも、単純な虫の方がなお容易い、ということはありえる。俗な表現をすれば、一万円の商品から三割引きされるよりも、二千円の一割引きの方が安い。
- まったくの非生物、もしくは恒常性や自己複製能を付与されていても金属や珪素基盤の、非・生体高分子からなる物品は、生体モデルの恩恵には一切預かれない。
といった程度の汎用性になるが、
極度に対象が狭く、同じ人間であってすら自分以外は対象外なモデルや、逆に極めて抽象性・汎用性が高く、植物や真菌までも自分の肉体と同程度に取り扱えるモデルも存在する。
極度に対象が狭く、同じ人間であってすら自分以外は対象外なモデルや、逆に極めて抽象性・汎用性が高く、植物や真菌までも自分の肉体と同程度に取り扱えるモデルも存在する。
培養液
簡易生体組織
純粋光学魔術
架蟻系魔術
架蟻系魔術による完全結晶の精錬について
刻銘魔術、魔銘
刻血
本来は再現・模倣が困難もしくは不可能な刻銘魔術を、なお継承可能にするために行われる遺伝子操作のこと。
オリジナルの魔銘保持者の脳活動から、抽象化された機能のみを抽出し、コンパクトな専用神経網、通称『魔術野』として再設計。遺伝子上にエンコードされ刻まれる。
刻血による刻銘魔術の継承が、帝室や匱族(きぞく)の持つ権力の、最大の裏付けである。
厳密には、匱族の血筋『だけ』では、固有魔術は継承されない。魔術野の遺伝情報はデフォルトでは休眠状態であり、まったく魔術野として発現することはない。
帝室によって編集された塩基配列を、さらに帝室がエピジェネティックに『解錠』することで、初めて魔術野が発現するようになり、刻銘魔術が使用可能となる。
一度解錠し、発現した魔術野の再封印はできないが、『次代』『継承』を完全に抑えていることが、各匱族に対する帝室の、絶対的な首輪と言える。
オリジナルの魔銘保持者の脳活動から、抽象化された機能のみを抽出し、コンパクトな専用神経網、通称『魔術野』として再設計。遺伝子上にエンコードされ刻まれる。
刻血による刻銘魔術の継承が、帝室や匱族(きぞく)の持つ権力の、最大の裏付けである。
厳密には、匱族の血筋『だけ』では、固有魔術は継承されない。魔術野の遺伝情報はデフォルトでは休眠状態であり、まったく魔術野として発現することはない。
帝室によって編集された塩基配列を、さらに帝室がエピジェネティックに『解錠』することで、初めて魔術野が発現するようになり、刻銘魔術が使用可能となる。
一度解錠し、発現した魔術野の再封印はできないが、『次代』『継承』を完全に抑えていることが、各匱族に対する帝室の、絶対的な首輪と言える。
贋脳
後天的な外科手術によって、魔銘保持者の脳髄の模造神経塊<オルガノイド>を埋め込み、その固有魔術を模倣可能にしたもの。
刻血との最大の違いは、魔術に必要な脳機能・神経活動のみの抽出ではなく、オリジナルの脳をほぼそのままシュリンクしている点。
加えてあくまで遺伝子操作の結果として『本人の器官』として発現・成長する魔術野とは異なり、再現された『別人の器官』である点である。
そのため本人の脳と贋脳の間での拒絶反応や、オリジナルの記憶の流入による自我混濁等、リスクが大きく、また単純な性能でも劣っている。
総じて、刻血に比べて粗悪であり、もっぱら闇社会や反体制勢力によって利用される。
刻血との最大の違いは、魔術に必要な脳機能・神経活動のみの抽出ではなく、オリジナルの脳をほぼそのままシュリンクしている点。
加えてあくまで遺伝子操作の結果として『本人の器官』として発現・成長する魔術野とは異なり、再現された『別人の器官』である点である。
そのため本人の脳と贋脳の間での拒絶反応や、オリジナルの記憶の流入による自我混濁等、リスクが大きく、また単純な性能でも劣っている。
総じて、刻血に比べて粗悪であり、もっぱら闇社会や反体制勢力によって利用される。
匱族
魔銘保持者を祖とし、刻血によってその実力と権力とを継承し続ける一族のこと。
特権階級であると同時に、その特異な魔術の才によってインフラ等を担う責務を負い、魔術接絡網を介した固有魔術のサーバーとして、巨像大陸ごとに規定の人数が配置されている。
遺伝による特殊な才──あるいは機能──をアイデンティティとする点から、純粋な『家族』や『氏族』というよりも、半ば『種族』や『品種』としての性質を持ち、総勢何千人の匱族のなかで、しかし各人の面識は、同じ巨像大陸に属する同僚十人のみ──のようなケースも珍しくはない。
特権階級であると同時に、その特異な魔術の才によってインフラ等を担う責務を負い、魔術接絡網を介した固有魔術のサーバーとして、巨像大陸ごとに規定の人数が配置されている。
遺伝による特殊な才──あるいは機能──をアイデンティティとする点から、純粋な『家族』や『氏族』というよりも、半ば『種族』や『品種』としての性質を持ち、総勢何千人の匱族のなかで、しかし各人の面識は、同じ巨像大陸に属する同僚十人のみ──のようなケースも珍しくはない。
帝室、帝族
刻血、すなわち『刻銘魔術を継承可能にする刻銘魔術』を継承している、〝天帝〟に連なる一族。統暦世界最大の権力者。
実のところ帝族の刻銘魔術は更に包括的な能力であり、『刻血を行う刻血幽式』は彼らの力の一端に過ぎない。
実のところ帝族の刻銘魔術は更に包括的な能力であり、『刻血を行う刻血幽式』は彼らの力の一端に過ぎない。
個体圏域<インディビデュアル・レルム>
あらゆる人間/幽接生命が生得的に持つ、自身の肉体を範囲とした魔術的な支配権。
『自身の肉体』には服や靴、今この瞬間に把持しているモノなども含まれる。
『自身の肉体』には服や靴、今この瞬間に把持しているモノなども含まれる。
その機能の半分は、ありとあらゆる魔術干渉に対する絶対的な防御圏。
当人がいっさい注意を向けていなくとも、どころか睡眠中であってすら、自身を対象とするあらゆる魔術。起象や転纂はおろか、それ自体は変化を生まない承述や結締までも含めた四命令すべてを拒絶<レジスト>する。
当人がいっさい注意を向けていなくとも、どころか睡眠中であってすら、自身を対象とするあらゆる魔術。起象や転纂はおろか、それ自体は変化を生まない承述や結締までも含めた四命令すべてを拒絶<レジスト>する。
そしてもう半分が、当人が許容する、ホワイトリストに入れた魔術のみは、非常に『通りを良く』──きわめて優れた効率で実行可能である、というもの。
まったく同じタンパク質操作の魔術であっても、豚ロースに対するそれと、『当人が許容している』人体へのそれ。
どころか同じ石ころに対する魔術であっても、路傍に落ちているそれと、誰かが握りしめた上で許容している場合のそれでは、必要な魔術リソースには非常に大きな差が生じる。
どころか同じ石ころに対する魔術であっても、路傍に落ちているそれと、誰かが握りしめた上で許容している場合のそれでは、必要な魔術リソースには非常に大きな差が生じる。
ちなみにこの性質上、魔術文明における医療の現場では、『患者の意識を取り戻す』意義が非魔術文明以上に大きい。ホワイトリスト式である以上、当人に意識がなければ、医療魔術すら弾かれてしまう。
また、死体や最初から魂を持たない生物は、個体圏域を持たない。つまり意識が戻っていないのに医療魔術が通ってしまったとしたら、それ自体が死亡確認になるということ。
また、死体や最初から魂を持たない生物は、個体圏域を持たない。つまり意識が戻っていないのに医療魔術が通ってしまったとしたら、それ自体が死亡確認になるということ。
巨像大陸
居住者から徴収される莫大な魔力によって維持・運営される、
ヒト型をした超巨大居住構造物<メガストラクチュアル・アーコロジー>。
ヒト型をした超巨大居住構造物<メガストラクチュアル・アーコロジー>。
基本的にほぼ完全な気密性と自己完結性を持ち、あるものは海底に接地して立ち歩き、あるものはガス型惑星の雲海を揺蕩い、またあるものは虚空の宇宙を泳いでいる。
なぜ、ヒト型なのか?
それは万人が持つ個体圏域を、都市~国家規模までに拡張するためである。
それは万人が持つ個体圏域を、都市~国家規模までに拡張するためである。
魔術を己の肉体として捉える体性型幽覚者を核に据え、
その数十~数千km規模の巨躯の全身に、幽式による擬似神経網を張り巡らせた巨像大陸は、まぎれもなく一人の『人間』。
肉の身ならぬ小惑星の削り出しであったとしても、一つの『人体』に他ならない。
その数十~数千km規模の巨躯の全身に、幽式による擬似神経網を張り巡らせた巨像大陸は、まぎれもなく一人の『人間』。
肉の身ならぬ小惑星の削り出しであったとしても、一つの『人体』に他ならない。
つまり、巨像大陸の内側では、魔術という個人が所持するには強すぎる暴力を一括して抑制できると同時に、
管理機構に届出・承認された魔術に限っては、巨像大陸の外側ではありえないほどの高効率で実行可能となる。
巨像大陸それ自体の維持に費やされる莫大な魔術的リソースも、同規模かつ巨像『ではない』/人体『ではない』超巨大居住構造物と比較すれば、非常に軽く、安上がり。
管理機構に届出・承認された魔術に限っては、巨像大陸の外側ではありえないほどの高効率で実行可能となる。
巨像大陸それ自体の維持に費やされる莫大な魔術的リソースも、同規模かつ巨像『ではない』/人体『ではない』超巨大居住構造物と比較すれば、非常に軽く、安上がり。
なお、核に据えられた人間──通称『身柱<みばしら>』は、あまりにも巨大すぎる身体からフィードバックされる莫大な情報によって、その精神が希薄化。
ただ個体圏域を展開し、通す魔術と通さない魔術を選り分けるだけの生体機構と化す。
現状、巨像大陸というシステムは、人身御供無しには成り立たない。
また身柱は、常に数人の予備が用意されており、なんらかの理由で現用の身柱が突然死を遂げたとしても、シームレスに移行が可能。
ただ個体圏域を展開し、通す魔術と通さない魔術を選り分けるだけの生体機構と化す。
現状、巨像大陸というシステムは、人身御供無しには成り立たない。
また身柱は、常に数人の予備が用意されており、なんらかの理由で現用の身柱が突然死を遂げたとしても、シームレスに移行が可能。
魔術接絡網における、巨像大陸の優位性について
魔力および魔術処理能の共有を、もっとも効率的に行う手段は物理的な接触である。
そして巨像大陸という『人間』は、その内部に存在する全ての人間と『物理的に接触している』ことになる。
そのため、魔術的なネットワークのハブとしても、巨像大陸という居住構造体の優位性は、絶大なものがある。
そして巨像大陸という『人間』は、その内部に存在する全ての人間と『物理的に接触している』ことになる。
そのため、魔術的なネットワークのハブとしても、巨像大陸という居住構造体の優位性は、絶大なものがある。
無感暗域
巨像大陸は、それが巨像大陸として機能している限り、常に内部に個体圏域(=魔術の使用可不可を定めるフィールド)が展開されているが、
部分的に擬似神経が壊死・麻痺などすれば、その区画内では魔術の選り分け/フィルタリングが停止。
益害や敵味方を問わずにほぼ全ての魔術が封じられた状態になり、これを無感暗域と呼称する。
部分的に擬似神経が壊死・麻痺などすれば、その区画内では魔術の選り分け/フィルタリングが停止。
益害や敵味方を問わずにほぼ全ての魔術が封じられた状態になり、これを無感暗域と呼称する。
なまじ巨像大陸が物理的にも魔術的にも巨大すぎることから、発生してしまった無感暗域は、基本的に修復できない。身柱の交代時も、なまじ機能がシームレスに移行される分、発生した暗域まで引き継いでしまう。つまり年を経るたびに暗域は増加する一方であり、これが巨像大陸の『老化』と言える。
本来、巨像大陸の内部で、その駆動幽式の管理権を持つ者に、戦って勝つことは不可能である。
こちらの魔術は自分自身を基点としたもの以外すべてが無効化され、一方で向こうは内部空間の全座標を、最高の効率で、魔術行使の基点にできる。文字通り、空間そのものが敵/味方になるのだから、対抗のしようがない。
こちらの魔術は自分自身を基点としたもの以外すべてが無効化され、一方で向こうは内部空間の全座標を、最高の効率で、魔術行使の基点にできる。文字通り、空間そのものが敵/味方になるのだから、対抗のしようがない。
しかし無感暗域の中においては、誰もが『自分自身を基点とした魔術しか使えない』という、ある意味で平等な環境になる。つまり対抗の目が出る。
そのため反体制レジスタンスや、敵対する外部勢力の侵入部隊などが拠点や橋頭保に使う場合も多く、この場合、無感暗域と正常な区画の境界が、熾烈な戦場となる。
そのため反体制レジスタンスや、敵対する外部勢力の侵入部隊などが拠点や橋頭保に使う場合も多く、この場合、無感暗域と正常な区画の境界が、熾烈な戦場となる。
【咒刷装<じゅさつそう>】
【作中時系列の作中最初に出てくる文明圏】における戦略兵器となる、強化外骨格。
魔術という万能の改変ツールが存在するこの文明圏において、『戦車』や『戦闘機』はおよそ戦力たりえない。
魔術という万能の改変ツールが存在するこの文明圏において、『戦車』や『戦闘機』はおよそ戦力たりえない。
なぜなら、人間が乗り込んでいても『人体ではない』搭乗型兵器は、個体圏域による対魔術防御を持たない。
それはつまり、制御部に、燃料タンクに、弾薬庫にフレームに──ありとあらゆるバイタルパートが、敵性の魔術によって、直に干渉されうるということ。直接に状態を書き換えられては、いかなる防御も装甲も、一切無益というほかない。
それはつまり、制御部に、燃料タンクに、弾薬庫にフレームに──ありとあらゆるバイタルパートが、敵性の魔術によって、直に干渉されうるということ。直接に状態を書き換えられては、いかなる防御も装甲も、一切無益というほかない。
しかし鎧う装甲、あくまで人体の延長である咒刷装は、纏う主体の個体圏域の恩恵に預かれる。つまり、敵性のあらゆる魔術をレジストしつつ、自身が使う強化・支援魔術は、最大の効率で使用できるということ。
そして咒刷装を咒刷装たらしめるのは、行使する魔術・魔力が、必ずしも纏う個人のものだけではない、という点にある。
銃後の高位魔術師たちの『楽団』が組み上げた高度な幽式に、共同体構成員から少しずつ汲み上げた莫大な魔力を流し込むことで成立する、超巨大・超高出力・超高精度の魔術ネットワーク。
それを最高効率で外界に解き放つ出力ノードこそが咒刷装の本質であり、物理実体としての鎧は氷山の一角に過ぎない。
銃後の高位魔術師たちの『楽団』が組み上げた高度な幽式に、共同体構成員から少しずつ汲み上げた莫大な魔力を流し込むことで成立する、超巨大・超高出力・超高精度の魔術ネットワーク。
それを最高効率で外界に解き放つ出力ノードこそが咒刷装の本質であり、物理実体としての鎧は氷山の一角に過ぎない。
『群』の力を凝集され代表する、最強の『個』たる魔導鎧は、恒星などの超がつく極限環境を除けば、宇宙のほぼ全領域で活動可能。
駆動幽式に込められた機能にもよるものの、無補給での三ヶ月以上の単独活動、1G1atm環境におけるマッハ数十の速度域での静音機動──などなど、数々の超人的な能力を発揮する。
駆動幽式に込められた機能にもよるものの、無補給での三ヶ月以上の単独活動、1G1atm環境におけるマッハ数十の速度域での静音機動──などなど、数々の超人的な能力を発揮する。
居住施設と戦術兵器という用途の差こそあれ、個体圏域の活用、共同体の魔術的リソースを一人に注ぎ込む、という根本的な発想では巨像大陸と変わらない。
が、咒刷装は人格の摩滅リスクを小さくすることも出来る。
(どう足掻いても人格が消失する巨像大陸と異なり、魔導鎧は駆動幽式の仕様、制御主体をどこに置くか、連続活動時間、などの様々なパラメータによって、当人への精神的負荷が大きく変わる)
(もちろん、使い潰す運用も可能)
が、咒刷装は人格の摩滅リスクを小さくすることも出来る。
(どう足掻いても人格が消失する巨像大陸と異なり、魔導鎧は駆動幽式の仕様、制御主体をどこに置くか、連続活動時間、などの様々なパラメータによって、当人への精神的負荷が大きく変わる)
(もちろん、使い潰す運用も可能)
咒刷装、ひいては魔術的リソースの集約という行為全般にかかる制約について
咒刷装は、共同体の魔術的リソースを一個体に凝集し、出力ノードとして利用する主力兵器である。
が、出力ノードとして利用する上で、ひとつ決定的な制約が生じてしまう。纏者の魔術的な出力容量の限界──四能程における〝果覧〟。
いかに処理能力やメモリーを共有・集約できたとしても、最終的に出力するのが纏者一人である以上、その出口の広さがすべてのボトルネックになってしまう。
この制約を唯一回避可能だったのが、生体系・架層系の『大縺華』
が、出力ノードとして利用する上で、ひとつ決定的な制約が生じてしまう。纏者の魔術的な出力容量の限界──四能程における〝果覧〟。
いかに処理能力やメモリーを共有・集約できたとしても、最終的に出力するのが纏者一人である以上、その出口の広さがすべてのボトルネックになってしまう。
この制約を唯一回避可能だったのが、生体系・架層系の『大縺華』
汎用化、千人単位
【機刷鎧<きさつがい>】
咒刷装のさらなる発展形。
【竜】
唯の帝国において、唯一人間に対抗しうる人類外知性。生体兵器の最高傑作。融人技術の忌むべき特異点。制御を外れた被造物。
ほぼ全ての個体が真空環境への完全な耐性を持ち、外太陽系に広く棲息するが、もっとも人口ならぬ竜口密度の高い領域としては、土星と木星のそれぞれ第二衛星が、竜の根城となっている。
ほぼ全ての個体が真空環境への完全な耐性を持ち、外太陽系に広く棲息するが、もっとも人口ならぬ竜口密度の高い領域としては、土星と木星のそれぞれ第二衛星が、竜の根城となっている。
まず前提として、魔術という事象改変能力、および魔術による改変の拒絶<レジスト>能力は、人類のみの特権である。
この特権ゆえに、獅子、熊、鯨……いかなる獣も、現生人類の脅威たりえない。その肉体がどれほど強大で頑健でも、対魔術防御を持たない以上、脳髄や心臓への直接干渉で即死する。
この特権ゆえに、獅子、熊、鯨……いかなる獣も、現生人類の脅威たりえない。その肉体がどれほど強大で頑健でも、対魔術防御を持たない以上、脳髄や心臓への直接干渉で即死する。
竜は違う。竜は対魔術防御を持つ。のみならず、人ひとりを遥かに上回る規模での魔術行使さえ可能とする。
人間しか持たない魔術の特権を、なぜ竜は持っているのか? その答えは単純で、その体内には最小で数人、最大で何千人もの人間が、竜の肉体と癒着融合するかたちで埋め込まれているからである。
生体系の融人兵器。それ自体は珍しいものではない。高グレードの傀従(※動物系使い魔)の強化に、人権を剥奪された重犯罪者が組み込まれることなど常識である。
融人技術の忌むべき特異点と竜が呼ばれる所以は、単に部品として人間を取り込み、維持できるからではない。そのまま、体内で人間を『殖やせる』という点にある。
巨大な体躯も高い知性も、鋭い爪牙も強靭な鱗も。すべて竜の本質ではない。極めて高度な自律性と自走性を備えた、人間牧場である──その一点が、竜を、他の人工生物や融人兵器とは別次元の存在に、人間の絶対性を絶対的に毀損する脅威たらしめている。
人間しか持たない魔術の特権を、なぜ竜は持っているのか? その答えは単純で、その体内には最小で数人、最大で何千人もの人間が、竜の肉体と癒着融合するかたちで埋め込まれているからである。
生体系の融人兵器。それ自体は珍しいものではない。高グレードの傀従(※動物系使い魔)の強化に、人権を剥奪された重犯罪者が組み込まれることなど常識である。
融人技術の忌むべき特異点と竜が呼ばれる所以は、単に部品として人間を取り込み、維持できるからではない。そのまま、体内で人間を『殖やせる』という点にある。
巨大な体躯も高い知性も、鋭い爪牙も強靭な鱗も。すべて竜の本質ではない。極めて高度な自律性と自走性を備えた、人間牧場である──その一点が、竜を、他の人工生物や融人兵器とは別次元の存在に、人間の絶対性を絶対的に毀損する脅威たらしめている。
彼らにとって、人間は必ずしも敵ではない。獲物でもない。それは親から引き継ぎ、生まれながらに内包する融合型器官であって、つまり人にとってのミトコンドリアに等しい。
追加で喰らう必要など皆無だが、一方で胎の中に抱えたそれを解放しろ、と言われても不可能である。引き剥がされることは死を意味する。
追加で喰らう必要など皆無だが、一方で胎の中に抱えたそれを解放しろ、と言われても不可能である。引き剥がされることは死を意味する。
唯の帝国との関わり
竜は平均的に、人間よりも利他的であり、善良で、好奇心が強い。また前述のとおり、追加で人間を捕食する必要は特にない。
それが自走する人間牧場であって、内部には竜の中で生まれて産んで老いて死ぬだけの人間が大量に詰まっている──ということに目をつぶれば、実害は何もない。
おぞましすぎて目をつぶれないため、大半の巨像大陸が、竜に対して敵対的な姿勢を示している。とはいえ竜の戦闘能力は極めて高く、生半可な戦力を差し向けては返り討ちに終わるだけ。帝国の全戦力の半分を費やせば竜の完全な殲滅も可能と試算されているものの、人対人の利害対立から、そこまでの大同は困難である──というパワーバランスから、小規模な紛争こそあれ、全面戦争には至っていない。
それが自走する人間牧場であって、内部には竜の中で生まれて産んで老いて死ぬだけの人間が大量に詰まっている──ということに目をつぶれば、実害は何もない。
おぞましすぎて目をつぶれないため、大半の巨像大陸が、竜に対して敵対的な姿勢を示している。とはいえ竜の戦闘能力は極めて高く、生半可な戦力を差し向けては返り討ちに終わるだけ。帝国の全戦力の半分を費やせば竜の完全な殲滅も可能と試算されているものの、人対人の利害対立から、そこまでの大同は困難である──というパワーバランスから、小規模な紛争こそあれ、全面戦争には至っていない。
小規模なコミュニティや海賊などは、竜と共存しているケースもある。