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海難の書:第3章「海戦」

D&Dでは乗り物に乗って行う詳細な戦闘システムは今のところ準備されていない。しかしながら、正確な操船が重要となるようなD&Dの遭遇は比較的少ない。D&Dの戦闘はおおむね近接戦闘を主軸としており、乗り物の戦いを主軸とはしておらず、個々のキャラクターの規模でゲームを解決するのが最善である。D&D世界における船対船の戦いのほとんどは2つの方法で解決される:圧倒的な破壊力を持つ戦闘用魔法による方法か、あるいは引っ掛け鉤で繋ぎ止めて乗り込む方法である。
船対船の遭遇の間D&Dゲームを円滑に運営し続ける最良の方法は、あらゆる海戦において、関連するPCたちをできる限りすみやかに敵船への乗り込みアクションに加わらせることである。近接する以前に敵船を破壊するのに十分な魔法的火力を持っていないのであれば、戦いはいずれ血で滑りやすい甲板上での猛烈な接近戦へと移行するだろう――つまり、できる限り早く遭遇をこの決定的な段階へと移行することこそ、より良い方法である。


叙述的海戦

ここで紹介する海戦のルールはあまり細かく基準を分けた海戦システムではない。ここで紹介する叙述的海戦ルールは少数の船同士の決戦を表しており、大規模な海戦を取り扱うものではない。ここでは次のような事柄を前提としている:

  • 1ラウンドは通常の近接戦闘ルールと同じく6秒である。
  • 船を操船するキャラクターの技能は船の作戦行動にとって最も重要な要素である。
  • 実際の作戦行動の内容は問題とせず、ただお互いの船の間の距離と、互いの船の相対的な向きだけを問題とする。
  • 強力なキャラクターやモンスターは、あらゆる船が持ちうる最も決定的な兵器たりうる。


戦場の設定

戦闘を開始する前に、最初に準備しておくべきいくつかの事柄について説明する。

風力の決定

戦場の風力について決定する。これは通常は「第2章:船旅」で決定されたものと同じであるが、DMが特に戦闘中の風力についてその日の全般的天候と異なるものと見なすのであれば、それに応じて変更する。戦闘中は風向きについては考慮に入れない。すべての帆船が等しくその風力の影響を受ける。
:無風状態である。帆船は全く進むことができない。櫂を持つ船は凪であっても通常通りに航行できる。
微風:帆船は通常通りに進むことができる。櫂を持つ船も通常通りに進むことができる。
軟風:帆船はその帆走移動速度に+1mphで進むことができる。櫂を持つ船も通常通りに進むことができる。
強風:強風はその帆走移動速度に+2mphで進むことができる。遠隔武器攻撃ロールと聴覚に依存する【判断力】〈知覚〉判定に“不利”が与えられる。また強風は裸火を吹き消し、霧を吹き散らし、非魔法の手段による飛行をほとんど不可能にする。強風の中で飛行するクリーチャーはそのターンの終了時に着地しなければならず、さもなければ落下する。
暴風:暴風はその帆走移動速度に+3mphで進むことができる。その他すべての面で強風と同様に扱う。
台風:台風はその帆走移動速度に+4mphで進むことができる。その他すべての面で強風と同様に扱う。

降雨の決定

戦場の降雨について決定する。これは通常は「第2章:船旅」で決定されたものと同じであるが、DMが特に戦闘中の降雨についてその日の全般的天候と異なるものと見なすのであれば、それに応じて変更する。
霧が発生している場合、視界は0フィートになり、すべては重度の隠蔽に包まれる。強風よりも強い風が出ている場合、霧はすぐに吹き散らされてしまい、実質的に晴天か曇天と同じ扱いになる。
激しい降雨や降雪の範囲の中にいるあらゆるものは、軽度の隠蔽となり、この範囲内にいるクリーチャーは視覚に依存する【判断力】〈知覚〉判定に“不利”を受ける。また激しい降雨は裸火を消し、聴覚に依存する【判断力】〈知覚〉判定に“不利”を与える。

相対距離の決定

双方の船がお互いにどれだけの距離離れているかを決定する。通常、どちらかが何らかも戦闘行動を開始した段階で戦闘が開始される。通常はどちらかの船の最も長い射程の武器が届く距離になるまでは戦闘は開始されず、またそうした射程に入っても旗幟を鮮明にせずにできるだけ接近することを諮る場合もあるため、より短い距離まで近づくこともある。占術や使い魔による偵察などによってずっと遠い距離の段階で相手の船が戦闘準備を整えていることに気付くこともありうる。
戦闘開始前の段階では、各船はどのように移動したいのかを決定する必要があるだけである。君は他船に近づきたいのか、距離を保ちたいのか、あるいは離れたいのか? もし両船が同じ移動を行なうなら、その結果は明白なものとなる。
もし両船とも遠ざかることを決定したなら、それらは相手が視界の外に消えるまでか、あるいは一方の船が逃げることをやめる事を決意するまで、反対の方向に移動する。
もし両船とも近づくことを決めたなら、それらの間の距離はどちらかの船がその移動の方向を変更することを決めるまで、減少していく。武器の射程距離に入るまでであれば、いつでもその移動の方向を変更することができる。一般的に、それは近づいてきている船が最初に考えていたようなものではない事に気付くことができるような地点にまで来たときにそれは起こる――おそらくは、その相手が“ジョリー・ロジャー”(海賊旗)を掲げるか、黄色い“隔離旗”(訳注:船に伝染病が発生していることを示す黄色と黒の旗)を掲げていたり、あるいは十分近づいた結果、甲板にビホルダーがいることを視認したのかもしれない。もしどちらの船もその考えを変えないなら、2隻の船は戦闘可能な距離まで近づく。
もし両船が現在の距離を維持することを決めたなら、それらの間の距離は変化しない。ただし、もし片方の船が戦闘を避けたがるなら、追撃戦が行なわれる。

乗組員の配属

船に乗っている者たちの誰が操船に関わる役割を負った乗組員であるかを決定する。乗組員の人数が最適人数を満たしておらず、最小人数しかいない場合、各種の戦闘行動に支障が出る。また、戦場で乗組員が倒れたときに備えて、最適人数を上回る人数を乗組員としておくこともできるが、最適人数の2倍を上回る人数を乗組員として配属しておくことはできない(それ以上の人数が甲板上をうろうろすることは操船活動の邪魔になってしまう)。
乗組員を必要に応じて下記の役割に割り振ること:船長、舵手、漕ぎ手と甲板員。
海戦においては、操船に関わる乗組員の内、船長と舵手を除く全員を一体として扱う。 全員のhpを合算し、攻撃ボーナス、AC、セーヴ修正値、そして能力値修正値や技能修正値は平均値(端数切り捨て)を使用する。1人の乗組員を倒すのに十分なダメージを受けたとき、乗組員の人数は1人減少する。このとき、異なるhpを持つ者が混在する場合、低いhpの者から順番に倒されていく。
船長や舵手が倒された場合、合算した乗組員の中から交代要員を出すことができるが、その場合、抜けた人物の分のhpを合算したhpから除外すること。

船の追撃戦

DM の判断では、より速い方の船は、遅い方の船を常に捕まえることができるが、遅い船であっても、都合の良い風、潮流、あるいは沿岸地形を優位に駆使すること逃走をうまくこなすことができる。
船の追撃戦では『Dungeon Master’s Guide』の第8章に記述されている「追撃戦」のルールに、下記の変更を付した叙述的海戦のルールを用いる:
  1. 追撃戦ラウンドは30 分の長さである。
  2. 船の作戦行動は“回頭”、“接近”、“後退”、あるいは“距離維持”しか取ることができない。
  3. 船が1追撃戦ラウンドに移動する距離は、1 時間あたりのマイル(海里)数での移動速度の半分になる。たとえば、移動速度3 mph の船は1追撃戦ラウンドの間に1.5 マイル=9,000フィート移動する。[1 海里=6,000 フィート]
  4. 追撃戦はどちらかの船がそれを終了させることを決定したか、追撃している船が200 フィート以内に入るか、あるいは追撃している側がもはや獲物を見つけることができなくなった時点で終了する(10 マイル以上離れる、不可視状態になる、霧堤の中に乗り入れる、もっと大きな船の背後に隠れる、島影に隠れるなど)。

追撃戦の際には、『Dungeon Master’s Guide』の第8章に記述されている「追撃戦」のルールに説明されている通り、遭遇を刺激的なものとするべき面倒な事態がランダムに発生する。
船の追撃戦においては、各ラウンドの移動ステップにおいて、それぞれの船の進行方向と船の向き、そして移動速度を宣言する(ステップBとC)直前にd20をロールする。面倒な事態が発生したかどうかを決定するために「表:船の追撃戦での面倒な事態」を確認すること。もし面倒な事態が発生したなら、通常の追撃戦の場合とは異なり、それはその船の作戦行動に影響を及ぼす。
表:船の追撃戦での面倒な事態
d20 面倒な事態
1 水面下にあって見えない何か(クジラなどの巨大なクリーチャーや暗礁など)とぶつかってしまう。
即座に難易度13の浸水判定を行なわなければならず、失敗すると船殻ポイントに3d12[殴打]ダメージ(通常通りダメージ閾値は適用される)を受け、乗組員と乗員には「強風の中の船旅」にある通りの危険を受ける。
成功すればその半分のダメージを受ける。
2 突如風向きが変わるか潮流の流れが変わり、そのラウンドを含め1d4ラウンド間だけ自船の移動速度に修正を受ける。
1d4をロールすること:1=-2 mph;2=-1 mph;3=+1 mph;4=+2 mph。
3 どこか遠方で発生した大波が押し寄せてくる。
難易度15の操船判定を行なわなければならず、失敗すると大波を被ることになり、甲板上にいる乗組員は難易度15の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわなければならない。
失敗すると伏せ状態になり、叩きつけられて1d6[殴打]ダメージを受ける。
5以上の差で失敗した者は船外に押し流され落水する。(第4章の「船外への落水」参照)
4 渡り鳥か海鳥の群れ(スウォーム・オヴ・レイヴンズのデータを用いる)が甲板上に突っ込んでくる。
甲板上のランダムに決定された1d6人に対して機会攻撃を行なう(命中+4;命中時:2d6[刺突]ダメージ)。
5 索具や櫂などの推進装置に予期せぬ不具合が発生する。
難易度13の操船判定を行なわなければならず、失敗すると推進装置ポイントに3d12[殴打]ダメージを受け、成功するとその半分のダメージを受ける。
6 激しい潮風が船長をはじめとする甲板上の乗組員全員の眼に吹き付ける。
難易度10の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならない。
船長がセーヴに失敗したなら指揮アクション、舵手が失敗したなら操舵アクション、乗組員が失敗したなら操帆アクションについて、たとえそのラウンドにそのアクションを取っていたとしても、そのアクションを取らなかったものと見なされる。(櫂漕ぎアクションには影響しない。)
7 船の針路に渦巻きが出現する。
難易度13の操船判定を行なわなければならず、失敗するとそのラウンドは一切移動できない。
成功すると半分の移動速度で移動できる。
8 進路の先の水面に漂流物(海草の塊、漁網、遺棄船など)が見える。
回避するために難易度13の操船判定を行なわなければならず、失敗すると船殻ポイントに3d12[殴打]ダメージ(ダメージ閾値は通常通りに適用される)を受け、そのラウンドの移動では移動速度に1mphのペナルティを受ける。
成功すればダメージを受けず、移動速度も減少しない。
9 打ち寄せる波や吹き付ける突風などによって船内で何がしかの騒動(積み荷が崩れるとか、帆を繋ぐロープがほどけるなど)が起こり、その事態への対応に時間を取られてしまう。
そのラウンドは特殊な作戦行動が取れない。
10 その海域に固有のクリーチャーが船の後を追撃してくる。
DMがその海域に適切なクリーチャーを選択する。
11~20 面倒な事態は起きない。


イニシアチブと戦術的優位

叙述的海戦においては、双方の船長と操船に関わる乗組員ではないメンバーだけがイニシアチブをロールする。
操船に関わる乗組員は個別のイニシアチブをロールしない。なぜなら、最も高位の士官から順々に下位の者に対して命令を伝えていって全体として操船を行なっているためである。彼らは船長のイニシアチブ順に同時に行動を行なっているものと見なす。
それ以外の点では通常通りにイニシアチブを決定する。しかしながら、船はイニシアチブ順において特定のキャラクターのターンに移動するわけではない――代わりに、各ラウンドの最後に、船同士の相対的な位置関係を更新する。事実上、舵を握っていたり、他の船を操船するための数多くの小さな作業を行なっていたりするキャラクター(あるいはキャラクターたち)は、ある1ラウンドの間ずっとその作業を行なっているものと見なすことができ、その累積効果をラウンドの最後に計算して調整するということになる。
ラウンドの最後における移動ステップは、そのラウンドのすべてのキャラクターの行動の後に行ない、下記のステップで行われる:
A.必要なら、戦術的優位の決定(通常は最初のラウンド)。
B.劣勢な船(戦術的優位を失っている船)が進行方向と船の向き、そして移動速度を宣言する。
C.優勢な船(戦術的優位を有する船)が進行方向と船の向き、そして移動速度を宣言する。
D.船が移動する。宣言した進行方向に基づいて、船の距離を調整する。
E.もしあるなら、劣勢な船が特殊な作戦行動を解決する。
F.もしあるなら、優勢な船が特殊な作戦行動を解決する。
G.もしあるなら、戦術的優位を再決定するための対抗操船判定を行なう。
H.ラウンド終了。

戦術的優位

あらゆる海戦の間、どちらかの船が戦術的優位を握る。戦術的優位は、航行上の船の優位な位置取り(たとえば、敵の風上など)、狭い水域での作戦行動をする余地のあるすばしこい船、あるいは単純により経験を積んだ船長によって操船されているといったような事を反映するものである。
戦術的優位の決定:海戦の遭遇開始時、関わる各船の指揮官が、その戦いの最初の時点に、戦術的優位を保持する側を決定するために対抗操船判定を行なう(結果が引き分けの場合、より高いダイスのロール結果を出した船長が勝者となる)。
戦術的優位の維持:いったん戦術的優位が確立されたなら、次に示すような出来事の1つが起こるまでは勝者がそれを維持することになり、それが起こった時点で、各ラウンドの移動ステップにおけるGの段階で新たな対抗操船判定を行ない、戦術的優位を保持する船を再度決定する。
  • 優勢な船の指揮官が、指揮アクションを取らなかった。
  • 舵手が操舵アクションを取らなかった。
  • 最小人数の乗組員が櫂漕ぎアクションないしは操帆アクションを取らなかった。
  • 優勢な船が浸水判定に失敗した。
  • 優勢な船の推進装置ポイントが半減するか0になった。
  • 劣勢な船が特殊な作戦行動「回り込み」の実行に成功した。
  • 優勢な船が「引っ掛け鉤掛け」、「体当たり攻撃」、「櫂破壊攻撃」の特殊な作戦行動に失敗した。

戦術的優位を保持しているという事は、敵の移動を見たうえで作戦行動を考える事ができるという事を意味する。また優勢な船はより効果的に距離を詰めたり、開いたりできる。

操船のためのアクション

戦闘中に操船に関わっていないキャラクターのほとんどは、彼らの選択した行動を自由に行なうことができる。彼らは毎ラウンド甲板上を移動し、呪文を発動し、彼らが考えうる最善のことを何でも行うことができる。しかしながら、操船に関わっている者は操船のために行動の多くを費やさなければならない。
船長:船の指揮をする人物は、毎ラウンド、乗組員の行動を命令したり、敵の行動を見張ったりするためにそのアクションかボーナス・アクション(指揮アクション)を使わなければならない。判定は必要としない。指揮アクションを取らなかったラウンドには特殊な作戦行動を取ることができない。また、移動速度、進行方向、船の向きを変更できない。またすべての操船判定と浸水判定、そしてセーヴィング・スローに“不利”を受ける。
舵手:船の舵を握っている人物は、毎ラウンド指揮官による命令に従って航路を変更するためのアクション(操舵アクション)を使用しなければならない。操舵アクションを取らなかったラウンドには特殊な作戦行動を取ることができない。また、進行方向、船の向きを変更できない。またすべての操船判定と浸水判定、そしてセーヴィング・スローに“不利”を受ける。
漕ぎ手と甲板員:櫂で漕ぐことで移動する船では、最小人数の漕ぎ手が櫂で漕ぐことを引き受けるためのアクション(櫂漕ぎアクション)を使う必要がある。帆船を操るためには、最小人数の甲板員や見張りとなる乗組員が帆を展帆・縮帆したり、索具を調節したりするためのアクション(操帆アクション)を使う必要がある。最小人数の乗組員が櫂漕ぎアクションか操帆アクションを取らなかったラウンドには、移動速度に次のような制限や変更を受ける。
櫂を使って航行中。そのラウンドの移動速度は0になる。
帆を使って航行中。そのラウンドは移動速度を変更することができない(前のラウンドと同じ移動速度で航行する)。
櫂と帆を併用して航行中。帆だけを使って航行する場合の移動速度になる。


海戦時の操船

君の船と敵船との相対的な位置関係は、5つの主要な要素だけで表される:船同士の距離、君の船の進行方向、君の船の移動速度、敵船の進行方向、敵船の移動速度の5つである。

相対距離

海で互いに決闘している2隻の船の間の距離は、互いに対して取りうる呪文、武器、戦術を決定する上で決定的に重要な事柄である:500フィート離れた船に乗っている敵乗組員にとって、スピアの投擲や、近距離呪文などはそれほどの脅威とならないであろう。敵船にどのように近づくか(そして敵船をどのようにして君の船に近づけさせるか)という事を決定するのは、あらゆる船長にとって面倒な戦術的挑戦である。
戦闘の毎ラウンドの終了時、互いの船の進行方向と航行速度を元に相対距離を更新する。双方の航行速度を足した分が毎ラウンド60フィートで近づいている2隻の船は、当然、彼らが体当たりするか、お互いに通り過ぎるまで毎ラウンド60フィートずつ距離を縮めていき、そうなった時点からは、どちらかが回頭するまで毎ラウンド60フィートで距離を開いていく。
開始時の距離:もしその遭遇の状況に応じた戦闘開始時における距離が分からないのであれば、一般的な戦いは(2d6+2)×100フィートで開始されるものと見なす。

進行方向と船の向き

基本的に、船が取りうる敵船との相対的な方向には次の3つがある:近づく、維持する、遠ざかる。また、敵船に対する船の向きには4つの向きがある:船首、船尾、右舷、左舷。
最適人数の乗組員を備えた船は、毎ラウンド船長が命じた進行方向を取ることができる。最適人数を下回るが、最小人数以上の乗組員がいる場合、船長が難易度10の操船判定に成功したラウンドにのみ、命じられた進行方向を取ることができる。
舵手が操舵アクションを取らなかったラウンドには進行方向の変更と船の向きの変更を行なうことができない。
近づく:船は大体において敵船を目指し、距離を縮めようとする。船の向きは帆船であれば敵船に対して船首を向けることになり、船首にある武器を使って攻撃できる。櫂を漕ぐ船であれば船首か船尾のどちらかを敵に向けることになり、その方向にある武器を使って攻撃できる。
維持する:船はその相対的な位置を維持しようとする。実際に距離を近づけも、遠ざけもしないような航路を辿りながら、水面を滑るように航行したり、帆走したりすることで、敵船からの距離を相対的に一定の距離に保とうとする操船である。敵船に対して船長が望む任意の向きを取ることができ、その方向にある武器で攻撃することができる。
遠ざかる:敵船から遠ざかる方向を目指し、2隻の船の間の距離を開くようにする。船の向きは帆船であれば敵船に対して船尾を向けることになり、船尾にある武器を使って攻撃できる。櫂を漕ぐ船であれば船首か船尾のどちらかを敵に向けることになり、その方向にある武器を使って攻撃できる。

移動速度

櫂で漕いで進む船は、最適人数の漕ぎ手が櫂漕ぎアクションを取っている限り、その最大移動速度までを制限とするだけで、ラウンド毎に任意の移動速度を設定できる。
最適人数を下回るが、最小人数以上の乗組員がいる場合、通常通りに航行することは可能であるが、1ラウンド目の終了時に乗組員全員が1レベルの消耗状態を得る。
最小人数を下回る場合、航行不能である。船は潮流に乗って流されることになる。
帆船については、加速や減速がそれほど簡単ではない。索具の調整、展帆や縮帆、その他さまざまな作業を行なうための操帆アクションを使う見張りや甲板員が最適人数確保されている場合には、帆船は1ラウンド毎に10フィートまで航行速度を変更することができる。(風や潮流に基づいた現在の最大移動速度まで)。
最適人数を下回るが、最小人数以上の乗組員がいる場合、1ラウンドに変更することができる移動速度は5フィートまでになる。
最小人数を下回る場合、移動速度の変更は不可能になり、風と潮流よって流されるままになる。

移動

叙述的海戦システムでは、船の移動は、単に各戦闘ラウンドの終了時に行なわれる一連の宣言によるだけである:君は敵船に近づきたいのか、そして船の向きをどの面を向けるようにしたいのか?
もし君が戦術的優位を保持しているなら、君の敵がはじめに進行方向(近づく、維持する、遠ざかる)を宣言しなければならない。その後、君は敵船の進行方向を確認した後で自らの進行方向を宣言する。
双方の船がその進行方向を宣言した後、それに応じて2隻の船の間の現在相対距離を調整する:
表:叙述的海戦での移動
優勢な船の進行方向 劣勢な船の進行方向
近づく 維持する 遠ざかる
近づく 合計を引く 優勢な船の速度を引く +/-差異
維持する 劣勢な船の速度の1/2を引く 変化なし 劣勢な船の速度の1/2を足す
遠ざかる +/-差異 優勢な船の速度を足す 合計を足す
合計を引く
2隻の船の移動速度を合算し、その数値を相対距離から差し引く。

優勢な船の速度を引く
戦術的優位を保持する船の移動速度の分を相対距離から差し引く。

+/-差異
その状況に適切な形で、2隻の船の移動速度の差異の分だけ相対距離を変化させる。もし速い方の船が遅い船に近づこうとしているなら、距離は縮まる;もし速い方の船が遅い船から遠ざかろうとしているなら、距離は広がる。

劣勢な船の速度の1/2を引く
戦術的優位を保持していない船の移動速度の1/2を相対距離から差し引く。

劣勢な船の速度の1/2を足す
戦術的優位を保持していない船の移動速度の1/2を相対距離に加算する。

優勢な船の速度を足す
戦術的優位を保持する船の移動速度を相対距離に加算する。

合計を足す
2隻の船の移動速度を合算し、その数値を相対距離に加算する。

君は距離を0やそれ以下にまでしてしまうこともできる。そうなった場合、戦術的優位を有する船は体当たり攻撃、引っ掛け鉤掛け、櫂破壊攻撃を試みる機会を得る;下記の特殊な作戦行動参照。もし戦術的優位を有する船が体当たりを選択しないなら、負の相対距離は早い方の船がもう一方を追い越したことを意味する(引っ掛け鉤掛けや乗り込みの絶好の機会となる;下記参照)。もし負の距離が船の全長よりも大きいなら、活動中の船は今やそれにふさわしい距離だけもう一方の船を追い越すことになる。元々は近づいていたどちらかの船(あるいは両方の船)は、今や遠ざかっている;もし追い越された時に、元々は遠ざかっていた船は、今や近づいている。
たとえば、2隻の船があるラウンドに40フィート離れて開始していた場合。両方が近づいており、片方が20フィート、もう一方が40フィートで移動している。この移動速度の合計は60フィートであるので、このラウンドの終了時には、相対距離は-20フィートに減少する。もし両方の船の長さがわずか10フィートであるなら、お互いに10フィートだけ相手を追い越してしまったことを意味し、元々はお互いに近づいていたので、今や両方が遠ざかっている――彼らは互いに船尾を向け合っており、離れる方向に向かっている。もし最低でも片方の船が20フィート以上の長さがあるなら、その船たちは、互いの舷側に面した状態でターンを終了する。


特殊な作戦行動

船長は移動ステップにおいて、特殊な作戦行動を試みることを船の乗組員に命ずることができる。1隻の船は1ラウンドに1つの特殊な作戦行動を行なうことができる。
転覆の危険性:強風かそれ以上の風力の中で特殊な作戦行動を取る際には浸水判定を行なわなければならない。難易度は強風であれば15、暴風では18、台風では20である。嵐の中ではこの判定に“不利”が課される。失敗した回数を数えておき、連続して3回失敗すると転覆する。「転覆」の項を参照。

櫂破壊攻撃

Shear
戦術的優位を保持しており、敵の10フィート以内にいるなら(あるいは実際には敵を通り越したなら)、そして、敵船に櫂があるなら、敵の櫂を破壊しようと試みることができる。移動速度ゼロのときにはこの作戦行動を取ることはできない。
櫂破壊攻撃を試みる船の船長は、敵船のACに対する攻撃ロールを行なう。
櫂破壊攻撃が命中したのであれば、推進装置ポイントと漕ぎ手である乗組員に対して、君の船とその移動速度による適切な体当たりダメージを与える。たとえば、もし航行速度10フィート毎に3d6ポイントの[殴打]ダメージを与える船が、体当たりしたときに航行速度30フィートで航行していたなら、9d6ポイントの[殴打]ダメージを与える。hpを合算している乗組員たちは、このダメージについて合算したhpの半分を超える分は無視する(攻撃対象となった櫂を持っている乗組員だけが被害を受けることを表現するため)。

回避行動

Evade
一連の唐突で予期しがたい回頭と速度の変更を行ない、敵船の攻撃を回避しようとする。移動速度ゼロのときにはこの作戦行動を取ることはできない。
この作戦行動を取った次のラウンドの間、船そのものと、船に乗っている全員のACと【敏捷力】セーヴィング・スローに+5のボーナスを得る。さらに、引っ掛け鉤掛けを仕掛けられた際に抵抗するための対抗操船判定にも+5のボーナスを得る。
こうした乱暴な動きのため、船に乗っている者は、次のラウンドのそれぞれのターンの開始時に難易度15の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわなければならない。セーヴに失敗すると倒れて伏せ状態に陥る。5以上の差で失敗すると倒れた際に手に持っていた物を落としてしまう。落とした物は1d6×5フィート離れた位置に落下する(それが船外であれば落水する;第4章の「船外への落水」参照)。
この作戦行動を行なう前のラウンドにおいて待機アクションを取り、回避行動に対する身構えをしていた者と、船の操船に関わっている乗組員は、リアクションを取ることでこのセーヴに自動的に成功することができる。

体当たり攻撃

Ram
戦術的優位を保持しており、敵の0フィート以内に近づいたなら(あるいは実際には敵船を通り過ぎたなら)、体当たり攻撃を試みることができる。体当たり攻撃が成功すると両船ともダメージを受け、両船とも移動速度0に減少する。移動速度ゼロのときにはこの作戦行動を取ることはできない。
体当たり攻撃を試みる船の船長は、敵船のACに対する攻撃ロールを行なう。
体当たり攻撃が命中したのであれば、船殻ポイントに対して君の船とその移動速度による適切な体当たりダメージを与える。たとえば、もし航行速度10フィート毎に3d6ポイントの[殴打]ダメージを与える船が、体当たりしたときに航行速度30フィートで航行していたなら、9d6ポイントの[殴打]ダメージを与える。もし君が体当たりした船が遠ざかる進行方向を取っているなら、君が与えるダメージは50%に減少する(君が背後から敵船を襲ったときには、体当たりの瞬間の相対移動速度は小さくなるのである)。また、体当たり攻撃を行なった側の船は与えたダメージの半分のダメージを受ける。
もし体当たり攻撃を仕掛けた船に船首衝角が装備されているなら、船首衝角に説明されている追加ダメージを与える。この追加ダメージ分は体当たりを仕掛けた側が受けるダメージ(与えたダメージの半分のダメージ)には影響を及ぼさない。
体当たり攻撃が命中した後、両方の船の移動速度がゼロになり、今や引っ掛け状態となる。

引っ掛け鉤掛け

Grapple
戦術的優位を保持しており、敵船の20フィート以内にいるなら、引っ掛け鉤掛けを試みることができる。もし敵の船長が引っ掛け鉤掛けを受け入れるなら、この試みは自動的に成功する、もし敵の船長が引っ掛けられることを望まないなら、互いの船長による対抗操船判定を行なう。これに勝利すれば、2隻の船は引っ掛け状態になる。
引っ掛け状態の船は移動速度ゼロになる。次の移動ステップにおいて、2隻の船は互いに隣接することになる(熱狂的な甲板員たちが、船が隣接した後のラウンドにおいて、船の間の狭間をロープからブランコ式に飛び移ったり、泳いだり、飛び越えたりして乗り越えようとすることができる)。

引っ掛け脱出

Fend Off
引っ掛け鉤掛けや体当たり攻撃などによって生じた引っ掛け状態から自船を自由にしようと試み、再び航行しようと試みることができる。敵船の船長との対抗操船判定に成功しなければならないが、その引っ掛け状態を開始した側の船長はこの判定に+5のボーナスを得る。もし脱出の試みに成功したなら、その船は再び移動し始めることができるようになる。

回り込み

Come About
激しく舵を切り、素早く航路を変更して敵船よりも優位な位置に船を付けようとする。移動速度10フィート未満のときにはこの作戦行動を取ることはできない。
移動速度を10フィート減少させ、船長は操船判定を行なう。優勢な船であれば難易度は10、劣勢な船であれば難易度15である。
この判定に成功すると、自分の船と敵の船の向きについて、新しい船の向きを選択できる。もし戦術的優位を保持していないなら、移動ステップのGの段階で再度の対抗操船判定を強いることができる。


海戦での攻撃

敵船との戦いにおいて最も効果的な方法は、敵船に横付けして乗り込むことである、しかしながら、状況によっては、遠隔から魔法、大砲、飛び道具を射撃することによって打ち破ること試みるべき場合もある。どんなに悪くとも、君の遠隔攻撃は敵乗組員を殺したり負傷させたりすることができるだろうし、それによって、後で行なわれる乗り込みアクションにおいて、そうしない場合よりも簡単に事が運ぶようになるだろう。
船には船殻ポイントと推進装置ポイントの2種類のヒット・ポイントがあり、それぞれ個別に攻撃目標となりうる。
船殻を目標とする:船は物品であるため、[精神]と[毒]ダメージに対する完全耐性を持つ。またダメージ閾値があるため、閾値を下回るダメージは無視する。
推進装置を目標とする:推進装置とは帆、索具、櫂などを指しており、物品であるため、[精神]と[毒]ダメージに対する完全耐性を持つ。ただし、船殻と異なり、ダメージ閾値は適用されない。
乗員を目標とする:船上にいる乗員――乗客、乗組員、あるいは士官たち――は、もちろん、攻撃の目標となりうる。しかしながら、船上では容易に遮蔽を取ることができる。もしその攻撃が他の船に対する不意討ちとして行なわれたなら、あらゆる乗組員は1/2遮蔽を持つ(ACと【敏捷力】セーヴに+2のボーナス)。不意討ちしなかったときには、あらゆる乗組員が可能な限り遮蔽の背後に隠れるような行動を取るため、3/4遮蔽(ACと【敏捷力】セーヴに+5のボーナス)を持つものと見なす。舷窓やハッチの内側にいる人員は完全遮蔽を持ち、直接に目標として狙うことはできない。また一般に、船首楼や船尾楼を備えた船の場合、敵に対して船首や船尾を向けている場合は、それぞれ船首楼や船尾楼にいる人員と、マストや帆桁の上にいる人員以外は敵船に対して完全遮蔽を得ており、直接に狙うことはできない。hpを合算している乗組員たちが船首楼や船尾楼を持つ船に乗っていて、敵船に船首や船尾を向けている場合、全体の4分の3の乗組員は完全遮蔽を得ていると見なし、合算したhpの4分の1を超えるダメージは無視する。
兵器を目標とする:バリスタやマンゴネルといった搭載兵器を攻撃目標とすることも可能である。これらは独自のACとヒット・ポイントやダメージに対する完全耐性などを持つ。データについては個別の説明参照。

着火性の攻撃

木製の船は浮かぶ火口箱ではない(少なくとも、火薬庫が導入させるまでは)。火は船を破壊することができるが、それは1本の火矢では不十分である。[火]ダメージには船のダメージ閾値は適用されない。
火矢を放つ:アローやボルトの先端に油を染み込ませた布を巻き付けておき、発射の直前に点火することで火矢を放つことができる。松明を手にした1人が1回のアクションで10人の射手がつがえているアローやボルトに点火することが可能である。矢を準備して火を点けるために1ラウンドを要し(その間射手はじっと待っている必要がある)、その後で射手が狙いをつけて発射するためにもう1ラウンドを要するため、火矢は1ラウンドおきに1回だけ発射できる。火矢1本につき油1瓶(1パイント=1/8ガロン)を要する。火矢は通常のダメージに加えて1d6[火]ダメージを与え、着用されていたり、持ち運ばれていたりしない可燃性の物品を着火させる。
火弾を放つ:バリスタのボルトや、マンゴネルとトレビュチェットの石弾にも油を染み込ませた布を巻き付けて発射することができる。これらについては操作する作業員の手で点火することができるが、操作に要するアクションが1回増えるため、射撃までに要するラウンド数が1ラウンド長くなってしまう(ヘヴィ・バリスタであれば3ラウンドに1回ではなく4ラウンドに1回になる)。火弾1つにつき油2瓶(2パイント=1/4ガロン)を要する。火弾は通常のダメージに加えて2d6[火]ダメージを与え、着用されていたり、持ち運ばれていたりしない可燃性の物品を着火させる。
着火:着火させることができるような効果(説明に可燃性の物品に着火させると記述されている呪文や効果;火矢や火弾、ファイアーボール呪文など)に船が晒されたときには、船は浸水判定を行なう。戦闘に備えている船(帆や綱を湿らせておき、手元に砂や水の入ったバケツを用意しておく)はこのセーヴに“優位”を得る。難易度は5+被った[火]ダメージに等しい。着火した数と着火箇所が船殻であるのか、推進装置であるのかは個別に管理する。
船上に着火したなら、毎ラウンドの移動ステップの開始時に、着火した箇所に応じて船殻ポイントか推進装置ポイントに対し、着火した箇所1か所につき1d4[火]ダメージを受ける。このときダメージを決定するd4ダイスで4を出した箇所の火は燃え広がり、次のラウンドには着火箇所が1ヶ所増える。もし船殻ないし推進装置に、それぞれについて4ヶ所以上着火箇所があるが、もう一方には着火箇所がない場合(船殻が4ヶ所以上着火箇所があり、推進装置は着火していないとき、あるいは推進装置が4ヶ所以上着火箇所があり、船殻は着火していないとき)、まだ着火していない箇所へと燃え広がり、新しい着火箇所はまだ着火していない箇所になる。
そのラウンドに初めて着火箇所の5フィート以内に入ったか、着火箇所の5フィート以内でターンを開始したクリーチャーは難易度10の【敏捷力】セーヴィング・スローに成功しなければ、同じ[火]ダメージを受ける。成功すればダメージを受けずに済む。複数の着火箇所の5フィート以内にいる場合、それに従って複数回のセーヴを行なう必要がある。
火を消す:アクションとして、キャラクターは叩いたり、踏んだり燃えている物をばら撒いたり、炎に砂や水をかけたり、それらに類する努力を行なうことで、5フィート以内にある着火箇所1つを消そうと試みることができる。難易度10の【筋力】〈運動〉判定に成功すれば着火箇所1ヶ所を消火できる;このとき難易度20に成功していれば5フィート以内の着火箇所2ヶ所を消火できる。クリエイト・ウォーター呪文は、5ガロン分の水を作り出して雨のように降らす毎に着火箇所1か所を消火する。


海戦での魔法

クリーチャーは呪文で船を攻撃することができる。船は物体であるため、クリーチャーだけを目標とすることができる呪文は船には何の効果もない。しかしながら、前述の通り、船は乗組員によって能動的に運航され操船されているため、呪文効果に対してセーヴィング・スローを行なうことができる(第1章の「船のセーヴィング・スロー」参照)。
船上での大部分の効果は通常通りに決定することができる。しかしながら、特定の呪文は海戦では異なる効果を持つ。これらの呪文の効果は下記に説明されている。DMはこれらの例示を、ここに示されていない他の呪文がどのように船に影響を与えるかを決定するためのガイドラインとして使うことができる。ほとんどの部分について、これらの効果は船対船の海戦の間だけ適用され、船上における通常の戦闘では適用されないが、DMの決定次第ではいくつかの効果(着火など)を適用し続けることができる。

アースクウェイク
この呪文は大洋の深い水の中では効果を持たない。

アイス・ストーム、スリート・ストーム
これらの呪文によって作り出される雹、雪、そして氷は船と共に移動しないが、甲板は凍っているものと見なされる。またこれらの呪文は消火のための追加のセーヴィング・スローを行なうことを船に許可する。

アニメイト・オブジェクツ
この呪文は超大型サイズを超える物品には効果を持たないため、長さ15フィートを超える船に自律行動能力を与えるためにこれを使うことはできない。

インセンディエリ・クラウド
この呪文によって作り出される雲は船と共に移動しないが、術者は船と共に雲を移動させるために精神集中を行なうことができる。この呪文は船上を着火させることができる。

ウィンド・ウォール
この呪文の効果は、それが船に固定されたなら、船と共に移動する。

ウォール・オヴ・アイス、グローブ・オヴ・インヴァルナラビリティ、レオムンズ・タイニー・ハット
これらの呪文によって作り出された効果は船と共に移動する。

ウォール・オヴ・ファイアー
甲板に発動されたウォール・オヴ・ファイアーは船と共に移動し、船上を着火させる。そうでなければ、この壁は船と共に移動せず、船上を着火させない。

ウォール・オヴ・フォース、オティルークス・レジリエント・スフィアー、フォースケージ
これらの呪文の効果は、それらを船に固定したのであれば、船と共に移動する。さもなければ、これらは船と共に移動せず、それらに向かって突っ込んだ船は自船の現在の移動速度から算出される体当たり攻撃のダメージを受ける。

オティルークス・フリージング・スフィアー
この呪文は船そのものではなく、船の周囲の水を目標とすることで、船を氷の中に捕えようとするために使うことができる。氷を壊して脱出するまでは移動速度は0になる。

ガーズ・アンド・ウォーズ、モルデンカイネンズ・プライヴェイト・サンクタム
これらの呪文は船上で発動することができる。

ガシアス・フォーム
ガス形態を取っているクリーチャーは船と共に移動しない。

ガスト・オヴ・ウィンド
この呪文によって作り出される強風は術者を起点とするため、術者が帆のすぐ後ろに立っている場合にはその移動速度に影響を及ぼし、帆走している場合にだけ移動速度を+1 mph上昇させる。

クラウドキル、スティンキング・クラウド、フォッグ・クラウド、ブレード・バリアー
これらの呪文で作りだされる効果は船と共に移動しない。

コール・ライトニング、スコーチング・レイ、ストーム・オヴ・ヴェンジャンス、チェイン・ライトニング、ライトニング・アロー、ライトニング・ボルト
これらの呪文は船上を着火させない。

コントロール・ウェザー
この呪文によって戦場の風力を変更することができる。

コントロール・ウォーター
この呪文の効果の選択肢に応じた効果が及ぼされる。
“氾濫”の効果に対しては呪文の説明にある通りの効果を受ける(超大型サイズかそれよりも小さい乗り物は大波と共に移動させられ、25%の確率で転覆する)。
“水の分割”で作られた溝に入り込んだ船は落下し、落下した距離に応じた落下ダメージを受ける。また船は形成された水の壁を超えることはできない。
“流れの変更”の効果によって船の移動速度を1~3 mphの範囲で増減させることができる。
“渦巻き”の効果で作られた渦に船が入り込むと、自動的に2d8[殴打]ダメージを受け、以後この渦の中に留まる限り毎ラウンド2d8[殴打]ダメージを受ける。また自動的に毎ラウンド10フィートずつ中心部に引き込まれていき、この渦から自力で脱出することはできない。

ディスインテグレイト
この呪文は船に対して船がクリーチャーであるかのように船殻ポイントにダメージを与える。

ディメンジョン・ドア、テレポーテーション・サークル、テレポート
船は常に移動しているため、瞬間移動の呪文の術者は船上に瞬間移動するための視線を確保していなければならない。あるいは、術者は初めに特定の船を念視しておき、然る後即座に念視した目的地に瞬間移動しなければならない。発動の少しの遅れでもあれば、船がその念視した場所から移動したことを意味し、呪文は失敗する。

ディレイド・ブラスト・ファイアーボール、バーニング・ハンズ、ファイアー・ストーム、ファイアーボール、ファイアー・ボルト、フレイミング・スフィアー、メテオ・スウォーム
これらの呪文は船上を着火させる。

パスウォール
もしこの呪文が船の船殻に対して発動されたなら、即座に難易度20の浸水判定を行なわなければならず、失敗すると船は持続時間の間傾き状態になり、この傾き状態はこの呪文が終了するまで維持される。以後、毎ラウンド移動ステップの開始時に難易度15の浸水判定を行なわなければならない。この判定に失敗するとその船は(まだなっていないなら)傾き状態になる。この判定に3回失敗すると、移動速度が0になり沈没が始まる。この判定で出目20をロールするか、あるいは3回成功すると安定化し、沈没は起こらない。沈没する前に呪文が終了すれば沈没の可能性はなくなり、傾き状態も終了する。

ファイアー・シールド、フレイム・ストライク、フレイム・ブレード、プロデュース・フレイム
これらの呪文は船が[火]ダメージを与えるが着火させない。

ファブリケイト
この呪文によって作り出される物質は船を修理するために使うことができる。

プリズマティック・ウォール、プリズマティック・スプレー
これらの呪文は、船がこの呪文効果を通過して[火]ダメージに対するそのセーヴィング・スローで出目1をロールしない限り、船上を着火させない。プリズマティック・ウォールは船に固定されたなら船と共に移動する。そうでなければ、それは船と共に移動しない。

ミラージュ・アーケイン
この呪文の目的において、船は建造物と見なされる。

モルデンカイネンズ・マグニフィセント・マンション、ロープ・トリック
これらの呪文によって作り出される異次元空間への入り口は船と共に移動しない。

リヴァース・グラヴィティ
この呪文による影響を与えるには、船全体が呪文の効果範囲内に収まらなければならないが、船の甲板上にいるクリーチャーと物品は通常通りに影響を受ける。もし船全体が影響を受け、50フィートを超えて落下して戻るなら、着水するときに難易度20の浸水判定を成功させなければならず、失敗するとその船殻ポイントは0に減少する。


ダメージ、転覆、沈没、修理

船にダメージを与えるというのは、その船殻ポイントや推進装置ポイントにダメージを与えることを意味する。船は、受けたダメージに応じて、複数の異なる段階の効果を被っていく。最終的には沈没してしまうこともあるし、また残りヒット・ポイントに関わらず転覆することもある。被ったダメージは回復することができる。

船殻ポイントへのダメージ

船の船殻ポイントがそのヒット・ポイント最大値の半分以下にまで減少したなら、毎ラウンド移動ステップの開始時に難易度15の浸水判定を行なわなければならない。この判定に失敗するとその船は傾き状態になる。判定に成功してこの時点では傾き状態に陥らなかった場合であっても、船殻ポイントが最大値の半分以下である間、ダメージを受けたラウンドには移動ステップの開始時にこの判定を繰り返し行なわなければならない。
船殻ポイントが0ヒット・ポイントまで減少すると船殻に深刻な損傷を受け沈没するかもしれない。移動速度は最大でも1 mphにまで減少し、毎ラウンド移動ステップの開始時に難易度15の浸水判定を行なわなければならない。この判定に失敗するとその船は(まだなっていないなら)傾き状態になる。この判定に3回失敗すると、移動速度が0になり沈没が始まる。この判定で出目20をロールするか、あるいは3回成功するとひとまず安定化し、すぐに沈没する心配はなくなる。しかし、さらにダメージを受けると再び浸水判定を行なうことになり、同じように3回失敗すると沈没が始まる。3回成功するか出目20を出せば再び安定化する。
傾き状態:右舷か左舷のどちらかに大きく傾く。船の移動速度は1 mph減少する(最低でも1 mphまで)。傾き状態の船はすべての操船判定に“不利”を受ける。戦闘の間、傾き状態の船は海に向かって片側に傾斜する。欄干や他の支えに捕まることができないあらゆるクリーチャーは、すべての移動が移動困難地形として扱われる。伏せ状態に陥ったクリーチャーは水に向かって1d6×10フィート滑り落ちる。船殻ポイントが最大値の半分以上にまで回復すると傾き状態は終了する。

推進装置ポイントへのダメージ

推進装置ポイントがそのヒット・ポイント最大値の半分以下にまで減少したなら、移動速度は半分に減少し、すべての操船判定に“不利”を受ける。
推進装置ポイントが0ヒット・ポイントまで減少すると、水の上で停滞し、もはや自力で移動することができなくなる。

転覆

強風にあおられてひっくり返ってしまうとか、無理な操船によってバランスを崩すなど、船はさまざまな原因で転覆しうる。
転覆した船舶は上下が逆転し、完全に移動できなくなる。裏返しになった船舶の中に残された空気によって、数日あるいは数週間に渡って浮かんだままでいることもあるが、船舶を適切な位置に戻すことはほとんど不可能である。生き残った乗組員は通常、露出している船体に群がり、生活物資もないままに救助を待ち望むことになる。転覆させるのは、プレシオサウルスやドラゴン・タートルといったある種の水棲クリーチャーに好まれる攻撃方法である。
転覆した船がいつ沈没し始めるかはDMが秘密裏に「表:転覆船の沈没時間」でロールして決定する。
表:転覆船の沈没時間
d12 沈没が始まるのは・・・
1 転覆直後
2~5 転覆から1d10分後
6~9 転覆から1d6×10分後
10~11 転覆から1d20×1時間後
12 転覆から1d20日後

沈没

沈没状態にまで陥った船舶は移動できない(ただし、強力な風や潮流は、一時の間その配船を押し流し続けることができる)。沈没していく船舶が完全に波の下に消え去るまでには沈没開始から1d100分かかる。その船舶が強風より強い風の中にあるならこの時間は半分になり、嵐の中にあるなら4分の1になる。このようにして船が沈没を始めると、水面に大きな渦が生じ、水面を泳ぐ者は難易度15の【筋力】〈運動〉判定に成功しなければ渦と共に水底に引きずり込まれる。
船舶が水面下に消えた後、水底に着床するまで毎ラウンド200フィートの割合で“落下”する。ずっとその船に乗っていた者は、船が水底にぶつかった時、4d6[殴打]ダメージを受ける。

ダメージの修理

ダメージを受けた船舶は修理によってそのヒット・ポイントを回復することができる。ダメージの修理には応急措置的なものと、ドックに入れて修理を施すものの2種類がある。
応急措置:最小人員の乗組員が修理作業に当たることができ、その中の少なくとも5分の1(端数切り上げ)の者が大工道具に習熟しており、実際に大工道具を有しているのであれば、ダメージを受けた船は、船舶を停泊させている間に修理することができる。1日(8時間)時間と、0.1トンの船舶修理資材を消費すると、船の船殻ポイントと推進装置ポイントの両方が1ポイントずつ回復する。戦闘中や嵐の中では応急手当を実行することはできない。
船渠入り修理:大規模な修理には造船所の技術と資材を必要とする。ダメージを受けた船は岸に引き揚げるか、あるいは船渠入りさせなければならない。船渠入り修理では、その船の修理期間と市価の8分の1に相当する資材を費やす毎に船殻ポイントと推進装置ポイントの両方について最大値の4分の1を回復する。
たとえばキャラベルは300hp、市価10,000gp、修理期間25日であるので、船渠入り修理では25日と1,250gpをかけることで75hpを回復できる。応急措置の場合、75hpを回復するには75日と7.5トンの船舶修理資材(1,500gp相当)を必要とする。


最終更新:2017年09月29日 22:15