Savage Tiding 06『シー・ワイヴァーン号の改良』

すでに数え切れない人々がサヴェッジ・タイドに引きずり込まれ、より多くの数え切れない人々がその流れの中にいる。この恐るべき運命を回避するために、この連載記事ではプレイヤーである君たちに水の上に頭を出し続けておくために必要な秘訣、要領、そして小道具を提供する。『Dungeon』誌ではDMに対して『Savage Tide』キャンペーンを運用していくのに必要な卑劣なプロットやずる賢いモンスターを提供していく一方、この『Dragon』誌では、君たちが敵に反撃するためのより良い細かな情報や選択肢を提供する。今月の記事では、シー・ワイヴァーン号を改良するためのさまざまな選択肢を提供し、また彼女を導く乗組員について紹介する。

シー・ワイヴァーン号の改良

シー・ワイヴァーン号は素晴らしい船であるが、ごく最近深刻な損傷を被った。おそらくは、彼女が再び船務に就くために、ほとんどの損傷は修理されているだろうが、今こそ、彼女に各種の強化を施す最適な機会である。下記に示す選択肢では、そういった改良を購入するのに必要な情報だけではなく、PCたちが自ら構成部品を作り出し、取り付けるためのルールも紹介する。
これらの改良のほとんどは、その作業員として原住民と入植地への新たな住民を使っている事を想定している。通常の製作に関するルールでは、休息時間の活動として、適切な道具に関する習熟を持つ1人の作業員は1日あたり5gp分の作業を進めることができることになっているが、乾ドックを使うことでこれらのルールを逸脱することができる(下記参照)。
また、船舶などのルールについてはハウスルールの『海難の書』参照。

乾ドックの使用

乾ドックを使って船の改修作業を行なう場合、次のような利点を得ることができる。
  • 適切な道具への習熟を持つ熟練作業者1人につき4人までの習熟を持たない非熟練作業者を作業員として導入できる。
  • 作業者1人あたり1日に10gp分の作業を進めることができる(熟練作業者であるか、非熟練作業者であるかに関わらず)。
従って、2人の熟練作業者と10人の非熟練作業者からなる改修チームは、1日に100gp分の作業を進めることができる。
乾ドックの使用は1ヶ月(30日)単位となり、1ヶ月あたり200gpの使用料を要求される。乾ドックに入れたり、出したりするにはそれぞれ8時間の作業を必要とする。
作業員の雇い賃については『Player’s Handbook』の第5章にある通り、熟練者で2gp/日、非熟練者で2sp/日であるので、上記の改修チームに対しては1日あたり5gpと8spの賃金を支払う必要がある。作業者に対する賃金は改良そのものに必要とされる費用とは別個に支払われなければならない。

通常の改良

下記の改良は特殊な材料と熟練の職人技を表現するものである。これらの改良を取り付けるためには、ほとんどの場合、シー・ワイヴァーン号は乾ドックに入れる必要がある。また、改良費用については船の基本市価をベースとして計算する場合があるが、この場合、シー・ワイヴァーン号はキャラベル船であるため、基本市価は10,000gpとして計算すること。()内にシー・ワイヴァーン号の場合の金額を示す。

装甲板

Armor Plating
船殻全体に追加の装甲を施すことで、シー・ワイヴァーン号の船殻ヒット・ポイントを向上させたり、能力値を増減させたり、特殊な効果を与えたりすることができる。取り付ける材質に応じてその費用や効果が異なる。君はより厚い装甲にするために同じ材質を重ねることもできるし、望むなら異なる材質を組み合わせて重ねることもできる。装甲を重ねた場合、船殻hp上昇、貨物積載量、【敏捷力】と【耐久力】の増減については累積する。特殊効果は最も有益なもの1つだけが適用される。貨物積載量の減少が100%を超えるような改造を施すことはできない。またこの改良で船舶の能力値は1までしか減少しない。この改良はシー・ワイヴァーン号をドック入りさせなければ施すことができない。
市価:下表参照。必要とする道具の習熟:大工道具。
表:船の装甲板の改良
材質 市価 船殻hp上昇 貨物積載量 【敏】/【耐】 特殊効果
アダマンティン 基本市価の100%
(10,000gp)
+10%
(+30)
15%減少
(-15トン)
-2/+2 クリティカル・ヒット無効
ダメージ閾値2上昇
オーマンの軽量木材 基本市価の30%
(3,000gp)
+5%
(+15)
5%減少
(+15)
+0/+0
基本市価の30%
(3,000gp)
+5%
(+15)
15%減少
(-15トン)
-2/+0 ダメージ閾値2上昇
ミスラル 基本市価の50%
(5,000gp)
+5%
(+15)
10%減少
(-10トン)
+0/+0 ダメージ閾値2上昇
木材 基本市価の20%
(2,000gp)
+5%
(+15)
10%減少
(-10トン)
-2/+0

区画化

Compartmentalizing
この改良はシー・ワイヴァーン号の内装の壁と扉を強化するもので、船殻が破れた場合に沈没しにくくするものである。区画化されていると、船殻hpが0以下になるようなダメージを受けた場合、船はそのダメージに対して抵抗を得る(受けるダメージは半減する)。これによってhpが0以下にならなければ船は難破しないで済む。この改良を施すと、シー・ワイヴァーン号の貨物積載量は5%(5トン)減少する。この改良は船の内装に対して施すものであり、シー・ワイヴァーン号を乾ドック入りさせる必要はない。
市価:基本の船の市価の20%(2,000gp)。必要とする道具の習熟:大工道具。

船殻補強

Hull Fortification
この改良は船殻内部に補強を施すものであり、シー・ワイヴァーン号の本体には追加の支持物と木の層が付け加えられ、より分厚く、より頑丈になる。船殻のACは1上昇するが、船の貨物積載量は10%(10トン)減少する。この改良はシー・ワイヴァーン号をドック入りさせなければ施すことができない。
市価:基本の船の市価の10%(1,000gp)。必要とする道具の習熟:大工道具。

高品質の制御装置

Masterwork Controls
この改良は、船長による船の制御を良好なものとするために、舵輪に微調整を施したり、追加の綱や滑車を付け加えたりするものである。シー・ワイヴァーン号の制御装置のhpは20%(10)上昇する。この改良はシー・ワイヴァーン号をドック入りさせなければ施すことができない。
市価:4,800gp。必要とする道具の習熟:大工道具とよろず修理屋道具。

オーマンの軽量木材

Olman Light Wood
もしPCたちがオーマン人のブロワオ部族と良好な関係を築いているなら、その原住民がサマターと呼んでいる、通常の剛性を持つが、軽量の木材の事を教えてもらえるだろう。この木材は装甲板として利用することも可能である(上述)。もしシー・ワイヴァーン号の船殻のすべてをこの木材と交換したなら、その船は水上で安定して快適となり操船性が増す。サマターを使用している船は【敏捷力】が2上昇する。この改良はシー・ワイヴァーン号をドック入りさせなければ施すことができない。
市価:基本の船の市価の100%(10,000gp)。必要とする道具の習熟:大工道具。

索具補強

Rigging Fortification
この強化は索具に代理機能性(二重に索具を取り付ける事で、片方が切れてももう片方が残っていれば機能を失わずに済む機能)や復元力を加えるものである。この改良によって移動装置」帆のhpは25%(25)上昇する。
市価:500gp。必要とする道具の習熟:織工道具。

攻城兵器

Siege Engines
数多くの武器をシー・ワイヴァーン号に付け加えることができる。シー・ワイヴァーン号には、船上に2つまでの攻城兵器を取り付けることができる。取り付け可能な武器、その価格、サイズの一覧は下記「攻城兵器」参照のこと。兵装の取り付けには、その武器そのものの作成期間に加えて1日を要する。
市価:武器による。必要とする道具の習熟:大工道具と鍛冶道具とよろず修理屋道具。

攻城兵器

シー・ワイヴァーン号に搭載することができる兵装としては下記のものが利用可能である。シー・ワイヴァーン号には2台までの攻城兵器を設置できる。

バリスタ

Ballista
バリスタは大きく重いクロスボウといった様子で、その推力は可動する一対のアームをそらせる、ねじれの弾力として使われる、束になった動物の腱によって供給される。両方のアームに取り付けられている綱は滑車で引き下げられ、矢弾は発射のために溝を彫られた滑動部に装填される。バリスタを発射できる状態にするには、あらかじめボルトを装填し、狙いを定めておく必要がある。バリスタは装填するのに1回のアクション、狙いを定めるのに1回のアクション、そして発射するのに1回のアクションがそれぞれ必要である。
AC15;hp50
ボルト遠隔武器攻撃:命中+6、射程120フィート/480フィート、目標1体。命中時:16(3d10)[刺突]ダメージ。

マンゴネル

Mangonel
これらはカタパルトの一種である。これらはねじれのある綱束が取り付けられた巻き上げ機のあるアームによって推力を得ている、石を投擲する攻城兵器であり、積載物はカップの中に保持し、解放されたときにスイングして武器を放り投げる。マンゴネルはさまざまに異なる矢弾を放り投げることができる(下記に示されているダメージは石の矢弾の場合のものである;他の種類の矢弾については、下記の「表:特殊な攻城兵器の矢弾」に記載されている)。マンゴネルによる投射物は、遮蔽の後ろにいる目標に命中させることもできる。マンゴネルを発射できる状態にするには、あらかじめ投射体を装填し、狙いを定めておく必要がある。マンゴネルは装填するのに2回分のアクション、狙いを定めるのに2回分のアクション、そして発射するのに1回のアクションがそれぞれ必要である。
AC15;hp100
マンゴネルの石遠隔武器攻撃:命中+5、射程200フィート/800フィート(60フィート以内の目標に命中させることはできない)、目標1体。命中時:27(5d10)[殴打]ダメージ。

表:攻城兵器
武器 命中 ダメージ 射程(フィート) AC HP 装填 狙い 市価
バリスタ +6 16(3d10)[刺突] 120/480 15 50 1アクション 1アクション 800 gp
マンゴネル +5 27(5d10)[殴打] 200/800 15 100 2アクション 2アクション 1,000 gp

特殊な攻城兵器用の矢弾

下記の矢弾の種類はすべてマンゴネルに使うことができる。一部の矢弾の説明にはバリスアtでも使用可能であることが示されている。表に示された市価と重量は矢弾1回分あたりのものである。

液状の氷

Liquid Ice
錬金術師の液状の氷が収められている、この固い陶器の容器は、マンゴネルの矢弾として使うことができる。目標のマス目に命中したとき、目標の空間の5フィート以内にいる各クリーチャーに14(4d6)[冷気]ダメージを与え、各クリーチャーは難易度20の【敏捷力】セーヴを行なわなければならず、失敗すると1ラウンド間絡みつかれた状態になる。目標の空間の5フィートから30フィートの範囲内にいるすべてのクリーチャーは難易度20の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、失敗するとその半分のダメージを受ける。

疫病弾

Plague Bundle
疫病に感染した腐肉と臓物の有毒な塊を収めている、この固い陶器の容器は、マンゴネルの矢弾として使うことができる。これは半分のダメージしか与えないが、その命中を受けたすべてのクリーチャーは下水疫(『Dungeon Master’s Guide』のp.257参照)に晒される。DMは他の疾病をもたらす疫病弾を許すかもしれない。

鎖弾

Chain Shot
小さなマンゴネル用石弾2つを互いに鎖で接続して作られたこの矢弾は、マンゴネルから発射することができる。鎖弾は帆と索具を引き裂くのに特に有効であり、移動装置:帆に対してはその発射器が通常与えるダメージの2倍のダメージを与える。クリーチャーには通常のダメージを与え、もし命中したなら、クリーチャーは難易度20の【敏捷力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、失敗すると打ち倒されて伏せ状態になる。鎖弾は船殻そのものに対しては相対的に有効性が低く、通常与えるダメージの半分のダメージしか与えない。

煙弾

Smoke Shot
この固い陶器の球体には薄い障壁で分離された2種類の錬金術物質が収められている。これはマンゴネルの矢弾として使用することができる。煙弾が目標のマス目に命中すると、その空間内のあらゆるクリーチャーに7(2d6)[殴打]ダメージを与え、中の物質が混ざり合い、目標となったマス目から30フィートに放散される、臭いが無害の黄色い煙の効果範囲を作り出す。この効果はフォッグ・クラウド呪文として扱う。

錬金術師の火

Alchemist's Fire
これはマンゴネルの矢弾として使うことができる錬金術師の火の入った固い陶器の容器であるか、あるいはバリスタから発射することができるバリスタ用のボルトの先端に搭載される錬金術師の火の入った陶器の球である。この容器には通常の錬金術師の火の小瓶に数倍する量が充填されている。
目標に命中すると、それはバリスタあるいはマンゴネルの通常のダメージを与えた上で、その目標とその5フィート以内のクリーチャーは以後そのものたち自身のターンの開始時ごとに[火]ダメージを受ける。直接の命中を受けた目標は12(5d4)[火]ダメージを、その周辺で飛沫を受けたクリーチャーは2(1d4)[火]ダメージを受ける。任意のクリーチャーは、自身の1回のアクションを用いて難易度10の【敏捷力】判定に成功すればこれの火について1d4分を消すことができる。

表:特殊な攻城兵器の矢弾
矢弾 市価 重量
液状の氷 400 gp 20ポンド
疫病弾 80 gp 20ポンド
鎖弾 50 gp 30ポンド
煙弾 250 gp 20ポンド
錬金術師の火 200 gp 10ポンド

魔法的改造

下記に示す改良は本質的に魔法的なものであり、通常はお金を支払って購入することはできない。PCたちはそのアイテムを何らかのコネ(勢力陣営など)を通じて入手したり、その改造の製法を修得して自ら改造を実施しなければならない。もし時間が許せば、これらの魔法の品や魔法の改造の製法はサザリン市であれば入手できる可能性が高い。
魔法的改造の実施は“魔法のアイテムの作成”の休息時間の活動として扱われる。したがって、この改造を実施する者は呪文スロットを有する呪文の使い手でなければならず、希少度に応じた最低レベルを有している必要がある。魔法的改造の製作コストは個々の改造に記述してある。また、それぞれの魔法的改造には特殊な物質や特定の呪文を必要とする場合があり、その場合は“特殊な要素”として個々の説明文に記述している。

ブイヤント・ボート(浮力舟艇)

Buoyant Boat
この魔法強化は船殻に対して1回だけ施すことができ、船の浮力を増大させる。船殻hpが1ではない状態から0まで減少したとき、代わりに船殻hpは1になるだけで済む。元々hpが1や0の場合はこの効果は適用されない。
希少度:レア。
製作コスト:6,000gp。
特殊な要素:飛行移動速度を持つ脅威度4以上のフィーンド、セレスチャル、あるいはフェイの羽根1枚、レヴィテート。
重量:なし。

ドルフィン・ヘルム(イルカの舵)

Dolphin Helm
この魔法の舵輪には、飛び跳ねるイルカのような曲がった輻(スポーク)が付いている。制御装置:舵を持つ船にだけ取り付けることができる。取り付けられた船は緊急回避行動を取る際んき船長が行う【知力】乗り物(水上)の判定に“優位”を得る。
希少度:アンコモン。
製作コスト:1,000gp。
特殊な要素:水泳移動速度を持つ大型サイズ以上で脅威度4以上のクリーチャーのヒレ。
重量:20ポンド。

フェザーウッド(羽木)

Featherwood
この改良は木製の船の特性を変化させるものであり、白鳥のように優雅な動きを可能にさせる。船殻の木材すべてを強化したなら、その船は1回だけ90度ではなく180度の方向転換を行うことができるようになる。1回この効果を使用すると、翌日の日の出までは再びこの効果を使用することはできない。
希少度:アンコモン。
製作コスト:1,000gp。
特殊な要素:オーマン人の軽量木材、フェザー・フォール。
重量:なし。

ファイアーボール・カタパルト(火の玉射出機)

Fireball Catapult
大海原において、ファイアーボール・カタパルト以上に恐ろしい武器はめったにない。これは通常のマンゴネル同様に石弾を発射することもできるが、1日3回、代わりにファイアーボール呪文と化して爆発する特殊な石弾を発射することもできる。通常通りに攻撃ロールを行い、命中すると半径20フィートの球形の範囲に爆発する。攻撃の命中を受けた目標はマンゴネルの石弾によって与えられる通常のダメージを受け、さらにセーヴィング・スローを行うことなく8d6[火]ダメージを受ける。さらに球形の範囲にいる目標以外の者は難易度15の【敏捷力】セーヴィング・スローを行わなければならず、セーヴに失敗すると8d6[火]ダメージを、成功するとその半分のダメージを受ける。
希少度:レア。
製作コスト:7,000gp。
特殊な要素:ヘヴィ・マンゴネル、ファイアー・エレメンタルを火種として生み出した松明の炎、ファイアーボール。
重量:1,000ポンド。

ハル・フィールド(力場船殻)

Hull Field
船殻に穴を開けることほど船に大きな損傷を与えるものはない。船の竜骨に取り付けるこの魔法の石は、そうした惨禍に対する限定的な防御を提供する。ハル・フィールドは船殻に開いた穴の部分にウォール・オヴ・フォースを作り出し、これによって穴を塞ぎ、船内に水が入り込むことを一時的に防いでくれる。この力場の壁は1d4日間存在し続ける。船殻hpが0まで減少しても力場の壁がその船は沈没することはなくなるが、航行することもできない。力場が消えるまでに通常通りに修理を施すことができる。ハル・フィールドの石は1回だけしか使用できず、1隻の船は、同時には1つの石しか取り付けておくことはできない。
この魔法の石を船の竜骨に取りつけるには、シー・ワイヴァーン号をドック入りさせなければ施すことができず、石そのものの製作コストとは別個に大工道具に習熟した熟練作業者1名が1日間かけて作業を実施する必要がある。
希少度:レア。
製作コスト:2,500gp。
特殊な要素:ウォール・オヴ・フォース。
重量:10ポンド。

アイアンクラッド(装甲艦)

Ironclad
このルーン文字で覆われた鉄の像は、鉄のような外観の守護の力場を発生させ船を覆う。船の舵に取り付けることで、舵輪を取る者がアクションを使うことでこの力場を起動することができ、それは10ラウンド間持続する。起動すると、この力場はACに+5のボーナスを与える。このボーナスは船殻、制御装置、移動装置、そして船に取り付けた兵装(攻城兵器など)に効果を及ぼす。取り付けた訳ではなく置いてあるだけの物品や乗組員には防御力を与えない。いったんこの力場を使用すると、次の夜明けまでは再び使用することはできない。。この像は通常その船の外観に似せた形に彫刻され、高さ10インチ程度である。
この魔法の像を船の舵輪に取りつけるために、シー・ワイヴァーン号をドック入りさせる必要はないが、像そのものの製作コストとは別個に大工道具に習熟した熟練作業者1名が1日間かけて作業を実施する必要がある。
希少度:レア。
製作コスト:12,000gp。
特殊な要素:体が鉄でできた脅威度2以上の人造クリーチャーの残骸10ポンド以上(その鉄を融解してこの彫像の原材料とする)、メイジ・アーマー。
重量:10ポンド。

ロッド・オヴ・リペア(修理のロッド)Rod of Repair

この木製のロッドは海にいる船の様子を注意深く彫られており、先端に真鍮製のエボシガイが取り付けられている。あらゆる船長に大きな恩恵をもたらすものと見なされているロッド・オヴ・リペアは、1日あたり50ヒット・ポイントまでの船殻hpを修理するために使用できる。このロッドの起動にはアクションを要し、効果を与えるためにロッドで船殻に触れなければならない。船殻hpが0になっている場合にはこのロッドは効果を持たない。また、このロッドは使用する毎に10%の確率で壊れてしまい、二度と使用できなくなる。
希少度:レア。
製作コスト:5,000gp。
特殊な要素:メンディング。
重量:10ポンド。

ストーム・バリスタ(嵐のバリスタ)

Storm Ballista
この軽い武器は破壊することなく船を攻撃したいと望んでいる者たちの間では一般的なものである。ストーム・バリスタは通常のボルトを発射することができるバリスタであるが、1日3回、代わりにライトニング・ボルト呪文を発射できる。これは3レベル呪文として発動される(セーヴ難易度15)。この方法で使用するとき、このバリスタは通常のボルトを発射できない。
希少度:レア。
製作コスト:5,000gp。
特殊な要素:雷に打たれたマストの破片、ライト・バリスタ、ライトニング・ボルト。
重量:500ポンド。

乗組員の雇用

PCたちがシー・ワイヴァーン号のために大量の乗組員を編成するとき、雇うことが可能な立場にいるNPCたちがたくさん存在する。下記のキャラクターたちは雇うことが可能な者たちであり、彼らのもたらす利益、基本的なデータ、そして費用を示している。

エミラ・ブライトン(混沌にして善、女性のウッド・エルフ)

エミラは大体ファーショアの波止場で見つけることができ、いつも次の仕事を探している。多くの船長たちが彼女を1回か2回ほどは仕事のために雇ったが、そのほとんどが、彼女が絶え間なく歌をうたい口笛を吹き鳴らすため、再び雇うのはもう結構だと考えるようになった。それでも、この地域では腕のいい見張り役や索具操作員はほんの少ししか見つけることができないため仕方がない。船上では、エミラはそのほとんどの時間を帆柱の上で過ごし、確実に帆が風をいっぱいに受けていられるように作業をしながら水平線の彼方に目をやり続けている。
スカウトのデータに次の修正を適用する:フェイの血筋、トランス、暗視60フィート、エルフ語と共通語の会話と読解能力、【判】17(+3)、〈知覚〉+7(2倍の習熟ボーナスを適用)、航海道具に習熟(2倍の習熟ボーナスを適用)。
利益:鋭敏聴覚と鋭敏視覚付き(優位を得る)の〈知覚〉+7、航海道具への習熟を用いた【判断力】判定+7。
費用:1日あたり2gp。

グレイダン・ストーンガイド(秩序にして中立、男性のヒル・ドワーフ)

地図と目的地さえ与えられれば、グレイダンは世界の反対側からでもそこまでの航路を計画できると言われている。この寡黙なドワーフは地図作成術、天文学、そしてどんな事よりも航海術を愛しており、話題がそれらに関わるものでない限り、めったに口を開かない。彼は航路を決定することだけで十二分に幸せであり、彼が船長を務めることや自ら船の舵を取ることはない。
バンディットのデータに次の修正を適用する:ドワーフの毒耐性、移動速度25フィート、暗視60フィート、共通語とドワーフ語の会話と読解能力、【知】16(+3)、航海道具に習熟、地図作成用品に習熟。
利益:航海道具への習熟を用いた【判断力】判定+2、地図作成用品を用いた【知力】判定に+5、高品質なヴォーウン海の海図。
費用:1日あたり5sp。

オラート・グリムターク(混沌にして善、男性の人間)

粗雑でときに敵意に満ちてすらいるが、ほとんどの船長たちはオラートの技能に大きな価値を見出している。彼は船と船が接舷戦闘に入ったときには非常に恐るべき戦闘員となるが、彼の真の才能は修理に関するものである。彼はいつも船、その兵装、その他の取り付け品の保守管理の仕事に務めている。
バーサーカーのデータに次の修正を適用する:共通語の会話と読解能力、【知】12(+1)、【判】14(+2)、受動〈知覚〉11、鍛冶道具に習熟、大工道具に習熟、鋳掛け屋道具に習熟、織工道具に習熟。
利益:大工道具、鍛冶道具、鋳掛け屋道具、あるいは織工道具を用いた【判断力】判定に+4、それらを用いた【知力】判定に+3。
費用:1日あたり8sp。

火をもたらす者サマート(混沌にして中立、男性の人間)

このいくぶん不機嫌なオーマン人の男性はファーショアの波止場の周辺をうろついて、仕事をもらえるのを待っている。パニトゥベ族の一員であるサマートは、何にも増して外の世界から富と物資を手に入れることに関心を持っている。これが外国人に対して彼の力を売りつける彼の動機となっているのだが、彼の過去の雇い主の多くは、彼が乗船している間に小物がいくつか紛失したということを報告している。
ドルイドのデータに次の修正を適用する:ドルイド語、共通語、オーマン語の会話と読解能力、〈手先の早業〉+3。準備してある呪文を下記のリストに変更;
初級魔法――ドルイドクラフト、プロデュース・フレイム、メンディング
1レベル――キュア・ウーンズ、クリエイト・オア・デストロイ・ウォーター、ディテクト・マジック、フォッグ・クラウド
2レベル――バークスキン、フレイミング・スフィアー
利益::各種呪文、〈手先の早業〉+3。
費用:1日あたり10gp。

代わりのPC

ほとんどの冒険者たちは、彼らの命が日々危険に晒されているという事実を受け入れている。最終的には多くの者が引退するのだが、中には強制的に休息の地を見つけざるを得なくなる者たちもいる。下記のアイデアは、君がその不運な運命を握ることになる新しいキャラクターを導入する際に君の手助けとなるであろう。

捕虜

“恐怖の島”の地上や地下には分別のある人々はそう多くなく、そうした人々の多くは何らかの怪物的なクリーチャーの捕虜となっている。これらの生き残りは壊滅した探検隊の一員や難破船の生き残りで、恐るべきクリーチャーに捕まえられた者であるかも知れない。彼らが捕虜となっていた事による精神的なトラウマと奇癖にも関わらず、そうしたPCは強力な動機付けを持つことになる。

奴隷

捕虜と同様に、“恐怖の島”の原住種族のいくつかは卑しいとされる仕事をさせるために奴隷を所持している。これらの打ちひしがれた者たちは解放される日を切望しているが、希望を捨てているかも知れない。解放されても、こうした人々は通常の社会でうまくやって行くことが難しいと感じるかもしれないが、彼らを捕まえていた者たちと監禁されていた環境についての知識は、多くの問題を収めるのに非常に役立つであろう。

追加の関わり深いもの

“恐怖の島”にはさまざまな原住種族や外来の人々が住んでおり、彼らが代わりのPCとなる場合、それにふさわしい“関わりふかいもの”を有しているかもしれない。“恐怖の島”において新たに参加するPC用に新たな関わり深いものを紹介する。これは背景に基づく関わり深いものと置き換えるか、あるいは追加して選ぶことができる。
関わり深いもの(d4)
1 君の村は中央高地からやって来た恐るべきジャガーのカルトによって壊滅させられた。
やつらはジャガーの皮をまとった人間のように見えたが、実際にはただの人間ではなく、悪魔そのものであったのだ。
君はこの恐るべきスキンウォーカーたちに復讐を果たし、村を復興させたいと思っている。
2 恐怖の島には数多くのトログロダイトが地底に住んでいる。
この爬虫類人たちはしばしば地上世界へ出向いては食糧や奴隷として人間狩りを行なっている。
君は“恐怖の島”原住のオーマン人であるのかもしれないし、島を探検している探険隊の一員であったのかもしれない。
そして島を放浪している最中に、トログロダイトたちによって捕虜にされ、あやうくやつらの餌食となりかけたのだが、隙をついて逃げ出すことに成功した。
今もまだ地底には君の仲間たちが何人が取り残されている筈だ。
君は何とかして仲間を救い出したいと考えている。
3 君は“深紅の艦隊”の海賊の1人だった。
何度も“恐怖の島”を訪れて巨大な黒真珠をあの臭いトカゲ野郎どもから買い取る任務に就いていた。
ある日、いつものようにトロッグどもの洞窟から黒真珠を持ち帰り、船まで運ぶためにはしけに荷物を積んでいる途中で事故が起こった。
突如現れた恐竜の群れに襲撃を受け、乗組員の何人かが負傷し、黒真珠に血が飛び散った。
しゅうしゅうと黒い煙が出始めたのを見た水夫の1人が大慌てでそれをはしけの上に落としてしまうと、突如として巨大な津波が発生した。
その津波は本物ではない幻の津波であったが、そこに秘められた邪悪なエネルギーは本物であった。
君を除くすべての者が獰猛な畸形のクリーチャーと化し、君に襲いかかってきた。
君は必死になってジャングルの奥深くへと逃げ込み命を長らえた。
もはや艦隊に戻ることはできないが、あの黒真珠を手に入れれば一生金には困らないだろう。
黒真珠のありかなら知っている。
4 君は敵対する部族の捕虜となり、長く奴隷の身に陥っていた。
この部族は邪悪な食人族ではあるが、君はある貴重な技術(キャラクターの能力から君が決めること)を持っているために奴隷として生かされてきた。
君の主となった部族は1,000年前のタナクラン崩壊以前から続く部族で、その伝承知識はタナクラン時代にまで遡る。
そうした部族の言い伝えによれば、その昔、この島の地底には水の悪魔がいたが、雨神トラロックが涙を流して水を堰き止めたおかげで悪魔は活動を停止したのだという。
奴隷の身にありつつもこうした伝承知識を聞き知った君はこの伝承が真実であるかどうかを見極めたいと思うようになった。
そして今まさに、君は何らかの理由で奴隷の身から解放されることになり、長年の夢を叶えるために旅立つことができるようになった。

君は何を知っているか:恐怖の島の地底

“恐怖の島”について知られていることは少ないが、その地底世界についてはさらにごく僅かなことしか知られていない。ここに提示する内容のほとんどは、ファーショアの入植者たちやオーマン人たちから聞くことができる、でたらめな風聞や噂に過ぎない。
  • 中央高地の地下深くには、オーマン人の死の神ミクトランテクトリが住んでいる。地下にいるときは、この骸骨じみた神の注意を惹いて、地下世界に引きずり込まれないようにするために、声をひそめておくことが重要である。
  • この島の地下に広がる洞窟は完全に水没しており、巨大な盲目の洞窟魚だけが生息している。さらに深くへと潜ると、不死なる水のデーモンが支配権を握っており、海で溺れ死んだあらゆる者の霊魂を支配している。
  • 地表近くのトンネルにはトログロダイトがびっしりと生息しているが、それより下へ行くと、すぐに人間が通行するには狭すぎるトンネルとなってしまう。
  • “恐怖の島”は実際には超巨大な浮島の岩盤であり、強力な海底の噴気孔から発生している火山性ガスを内側に蓄えていることで海面近くに浮いていることができる。
  • 洞窟やトンネルの中へと潜るような愚か者は皆、速やかに生きたまま焼け死ぬことになる―火山を見なかったのか?溶岩がどこから来ると思っていたのか?
  • 地表より下では、この島は羽虫や蟲たちでいっぱいであることは確実で、そのいくばくかは恐るべき大きさを持っている。もし君が自らの耳を強く石に押し付けたなら、時々ブンブンと唸る音や穴を掘る音を聞くことができるだろう。
  • “恐怖の島”は巨大なウミガメの背中に乗っかっており、その亀はまた別の少しばかり小さな亀の上に乗る、という具合に順番に乗っている。しばしば大きな亀が平衡を崩すため、そのたびに島全体が揺れ動く。
最終更新:2019年02月04日 21:21