SHADOWSHORE
比較的小さな暗闇海岸は、おそらくサザリン市の地区の中で最も悪名高い。この闘士地区の陰に寄り添っている細長い土地は、長いこと盗賊や殺し屋、そしてあらゆる種類の犯罪者たちの避難所となっている。一般的にここに住むのは、あまりに貧しくて盗賊が興味を持つような財産を持たない人々や、自らの財産を知恵や力で守り通すことができるような人々だけである。この地区の警備隊は事実上暗闇海岸のことを諦めきっており、この地区から著しく破壊的な出来事(家事や暴動など)が起こらない限り、たいていは地区の管理を市民に委ねてしまっている。
暗闇海岸を代表する貴族は他のどの地区よりも頻繁に入れ替わっており、伝統的にその地位は、敵から身を守ることができるだけの十分な強さを持つ一家(あるいは場合によっては個人)によって握られている。現在この肩書きを保持しているのはエミル・ドラクタス――十中八九その名前は偽名だが――である。暁の評議会は、もっと粗野ではなく、より頼りになる人物にこの地位を与えるのではないかという噂がある。おそらくはアメディオ交易会社のヴィコ・ビヴェニンのような人物を。しかし今はまだ、エミルの地位を揺るがせるような者は(ヴィコを含めて)いない。
闇市場
サザリン市の市場や商店は、実に幅広い品物とサービスを呼び物にしているが、ある種のものはお天道様の下では売りに出されることはない。習慣性のある麻薬、危険な動物、悪の魔法、奴隷、安物(そしておそらくは故買品)といったものは探す者たちは、警備隊の目の光っている場所でそれらを販売している者たちを見つけることはできない。しかしだからといって、そうした品物やサービスが販売されていないという訳ではない。
サザリン市には巨大な闇市場が存在しており、7つの地区すべてにそれらは存在している。闇市場を利用しようとする場合、
休息時間の活動として行なう必要がある。
盗賊ギルド
ほとんどの大きな都市には付き物であるのだが、サザリン市では事情がちょっと変わっており、現在、よく組織された大きな盗賊ギルドというものは存在していない。シー・プリンス国がこの都市の支配権を握る前の何年かは、アートフル・パロット(狡猾な鸚鵡)団という組織がサザリン市最大の強盗、巾着切り、犯罪者の一党であった。アートフル・パロット団はまた、シー・プリンス国による最初の犠牲者のひとつでもあり、彼らによる支配が始まった後の1年以内に、このギルドは完全に壊滅させられたのである。
シー・プリンス国の支配にある間、過酷な法律のために盗賊ギルドを形成することは不可能であった。しかし、サザリン市が独立を回復した今、この都市では組織犯罪の復興が目についてきている。現時点では、何十もの群小ギルドが支配権を巡ってお互いに闘争に明け暮れている状況であり、警備隊もこれらのグループの活動には十分警戒しているところではあるが、彼らが市民に危害を及ぼさない限り、彼らにあまり干渉しないでいる。しかし町の噂によれば、ある1つのグループがまんまと無視できないほどの勢力を確立してきたという事である――その組織はロータス・ドラゴン(蓮華竜)団という。本当にロータス・ドラゴン団が存在するとして、彼らはまだ、都市警備隊やサザリン市の民間の人々には、その存在をそれほど知られてはいないが、群小ギルドの活動が、昨年よりも漸減してきているという事実が、こうした噂に真実味を持たせている。
都市警備隊
サザリン市における本物のスラム街である暗闇海岸は、秘密や死がありふれた絶望的な場所である。地区の中で最小であり、他の地区の市民たちは、この地区で日常的に起こっている厄介事からは目を背ける傾向がある。あまりに乱暴で反抗的な他の地区警備隊のメンバーは、しばしば暗闇海岸に配属替えされる――明らかに懲罰的な意味合いである。暗闇海岸警備隊の間には堕落がはびこっており、彼らは海岸線だけを巡回しており、この地区の船男爵のいいなりであることが知られている。最も露骨な犯罪(放火、政府機関への攻撃、そして、その他のあからさまな凶悪犯罪)だけが行なわれており、暗闇海岸はサザリン市における犯罪分子の安息の地と化している。
市民
暗闇海岸は、サザリン市の社会のくずたちが滲みだしている場所である。もし君がここで生まれ育ったなら、君の子供時代は荒んだものであり、生き残るために誰かを殺したこともあったかもしれない。きっと君は死者から取り分をもらってきたことだろう;そうした死者はしばしば、路地や桟橋で見つかることになる。もし君が暴漢のような人物ではないなら、君は身を隠すのに多くの時間を費やしたり、喧嘩のコツを身につけたりしているであろう。君は、この地では営まれることが数少ない準合法の商売に保護を与えるためにやって来ているのかもしれないが、実際にこの通りで生まれ育った者である可能性の方が高い。ここでは信仰を見つけるのは難しいが、もし君がクレリックであるなら、おそらくはオリダマラを信仰しているであろうし、この盗賊の神格は、こうした意気消沈したスラム街では何がしかの存在感を持つことを知っている。
重要なNPC
エミル・ドラクタス(男性の人間)
このドラクタス邸の不届きな君主にして、暁の評議会における暗闇海岸の代議員である人物は、山賊王よりは多少ましという程度の人物である。
グレガー・スキーン(男性の人間)
船大工ギルドのギルド長であるグレガーは、この地区の乱暴者たちとの累代の揉め事にも関わらず、どうにかこうにか、彼らの家業と利権の支配権を維持している。
ジャルペ・ジン(男性のハーフオーク)
ジャルペ・ジンは、サザリン市の歴史上最も才能ある名士の1人であった、ドワーフの聖ウォーガル(彼女のその醜悪な外見にも関わらず、商人として成功した人物)に捧げられた社の番をしている、好感の持てる男性である。
ヴィコ・ビヴェニン(男性の人間)
なぜ、サザリン市で最も裕福な人物の1人が暗闇海岸に住んでいるのかは、彼を除くすべての人々にとって謎である。ヴィコは、サザリン市において最も成功した輸出入会社であるアメディオ交易会社のオーナーである。
暗闇海岸の主要な場所
1: 暗闇海岸都市警備隊詰所
2: カーマラインの社(鋭い感覚と辛うじての脱出の女神)
3: 皮を剥がれた男亭(居酒屋)
4: 狭い家(宿屋)
5: 聖ウォーガルの社(地区教会)
6: 正直者ブランクの店(金貸し)
7: 科学の小屋(奇形の見世物と博物館)
8: フィッシュリップ賭博場(居酒屋/賭博場)
9: 切れ込み入り斧(傭兵ギルド)
10: 棺桶不法占拠亭(宿屋)
11: ネルドレク雑貨店(日常品)
12: ドラクタス邸(地区の代議員)
13: 罠つくりギルド
14: 優しいネリーの店(薬剤師)
15: ビロードの陰影(売春宿)
16: 羽をむしられた鸚鵡亭(宿屋/居酒屋)
17: アリナラの雌狐屋(賭博場)
18: アメディオ交易会社(輸入/輸出)
19: 帆船つくりギルドホール
20: クロースの社(財宝と盗みの神格)
21: 最後の溝の恋人(売春宿)
22: ゴンドラ乗り場
23: まだ浮いてるよ!(安物のボートと船)
24: 黒い盾中隊(傭兵ギルド)
25: 船大工ギルドホール
26: シャンクのコレクション(安物の武器)
27: サザリン醸造酒製造所(ラム酒工場)
最終更新:2017年02月25日 21:46