著:3スレ目>>358殿
甲濃同盟と信友の恋の続き(著者は別人)



元亀元年(1570)、将軍・足利義昭の策謀により、各地の大名、勢力が一斉に反信長に立ち上がった
この年も終わりを迎えようとするころ、信濃高遠城より二千余りの人馬の一隊が進発した。
そしてこれを指揮するは精悍な顔立ちの壮年の武者。「武田の猛牛」秋山伯耆守信友である。
このころからすでに武田は徳川との小競り合いを幾度も行っていたが、織田家との同盟は名目上維持されていた。

(゚∀゚ )秋山「今回、美濃に入るのは逃亡した徳川からの人質、松平源三郎の捕縛。取り逃がしたのはおいらの不手際だからこの出陣もおいらの独断だけどね。」

(゚∀゚ )秋山「けどそれは名目上の話、本当は織田への挑発と、東美濃の戦力調査という点では御館様の意向もふくんでるんだけど…。」

(゚∀゚ )秋山「それにしても今回の出陣…責任上免れないし、織田との同盟に未練はないよ(元々そういう計画だし)…。」

(゚∀゚;)秋山「どうしてもなぜか引っかかるところがあるんだよね…。」

信友の心のしこりの原因は東美濃の中心たる要塞、岩村城にあった。文治元年(1185)の昔に築かれたこの岩村城は
山城でありながら信濃、尾張、三河に接する交通の要衝であり、来るべき信玄上洛の為にはいずれ抑えておかねばならない。
またここを抑えれば信長の本拠たる岐阜は目と鼻の先となり、織田の動きを大きく牽制する事も可能であった。
しかし信長もこの地の重要性を見過ごしていたわけではなかった。この岩村城は創建以来、地頭の遠山一族が治めていた。
今の当主である景任は取り立てて優れた将と言うほどではなかったが、四百年の長きにわたりここを治めて来ただけあり
この地を守らんとする意志は固く、一族・地元の土豪や農民たちとの結束も強かった。そこで信長は先年彼らを懐柔し
美貌の主と知られた叔母・つやを景任に嫁がせた。これにより景任はますます奮起し、東美濃防衛の意欲は並々ならぬものになっていた。



だからと言って怖気づく信友ではなかったが、問題はそのつやの方にあった。織田武田の同盟締結の折、信友は答礼の使者として
岐阜に赴いていたが、この時遠目で見たつやに目を奪われ、さらに微笑み返された(ただ単に儀礼的なものであろうが)ものだから
密かに彼女に対する慕情を募らせていた。すでに彼女が遠山家に嫁ぐことを聞き、半ば諦めていたのだが、今回の出陣で再び彼女のことが心をよぎったのだ。

(゚∀゚;)秋山「まさかこんな形で彼女の事を思い出すなんてね…。諏訪の大明神さまも恋の道には御加護をくださらないらしい(まあ、おいらの横恋慕に近いんだけど)。」

さて一方の岩村城内も信友の侵入を受け、慌しい様相を呈してきた。

( ´Α`)遠山景任「おのれ信玄入道!信長公との盟約を破り、わが領土を侵すとは!!!すぐさま打って出、迎え撃ってくれる。」

州*‘ ω‘リおつや「景任様…秋山伯耆は音に聞く猛将と聞き及んでおりまする…。小勢とはいえ油断はなりませぬ。ここは信長殿のお力をお借りになっては。」

( ´Α`)遠山景任「つやよ。そなたの心配もっともじゃが…このような小勢相手に援軍を呼べばわれらの面子が立たぬ。ここは早急に独力で討ち果たさねばならぬ。」

( ´Α`)遠山景任「それにわれら一族と近隣の国衆だけでもやつらを上回る手勢、さらに常々盟約を結んでおる奥三河の奥平、菅沼殿らも既にこちらに進発したとのこと。」

( ´Α`)遠山景任「双方合わせれば五千を下らぬ軍勢、地の利もわれらにあり。いかな秋山と言えど倍近くの兵相手では敵うまいて。」

州*‘ ω‘リおつや「しかし三河衆は所詮は余所者、いざと言うときに頼りになるかどうか…やはりここは念には念を…。」

( ´Α`)遠山景任「はは…それは杞憂というものぞ。ここが敵の手に落ちれば次に危ないのは彼ら、おそらくは死に物狂いで働いてくださるはずじゃ。」

( ´Α`)遠山景任「つや、信長公はわれらを買って下さっておる。それ故にわしのような者にそなたを嫁がせて下された。その期待に応える為にも、信長公の手を煩わすわけには行かぬのだ…。」

州*‘ ω‘リおつや「そこまでおっしゃるのならば…御武運をお祈り申し上げまする。」

( ´Α`)遠山景任「うむではいってまいる。よしまずは一門と近在の土豪衆を集め評定、しかる後に打って出るぞ!」

州*‘ ω‘リおつや「………。」

遠ざかる夫の陣羽織を見つめつつつやは、女の感、いや虫の知らせというのか。なにやら、底知れぬ不安を感じていた。
夫が廊下を曲がり、その姿が見えなくなるとつやは足早に自室へと戻っていった。



一二月二十九日、景任の目論見どおり近在の土豪衆と奥三河の土豪たちが東美濃に参集、矢作川上流の上村川に木ノ実川・飯田洞川が合流する
上村において秋山勢と対峙した。

( ´Α`)景任「形勢・地の利ともに我等にあり、敵は方円陣を敷いて守りの体制に入っておるな。ここは一気に揉み潰すのみよ!かかれぇい!!」

法螺貝と陣太鼓とともに、五千の兵が一気に秋山勢二千に攻めかかった。このままぶつかれば秋山勢が打ち崩されるのは誰の目にも明らかであった。

(゚∀゚ )秋山「ふふ…数を頼みに総攻めを仕掛けてきたね。でも「猛牛」の名は伊達じゃないよ!それ!」

その時、それまで密集形態をとっていた秋山勢の半分余りが右舷に展開、まさに風の如く回り込むと
そのまま遠山勢の連合軍の中腹に横槍を入れた。突然の事態に連合軍は混乱し、方向転換もままならぬまま
その陣容は大きく崩れ始めた。

(;´Α`)景任「な…何と言う、見事な采配!だが寡兵での包囲など簡単に打ち破れるわ!ひるむなっ!!!」

ところがつやの懸念した最悪の事態がまさに起こってしまった。混乱する美濃勢を尻目に奥三河衆が我先にと
戦場から離脱し始めたのである!

(;´Α`)景任「なぜだっ!!!まだ勝機があるのに戦わぬ!!!こ…これがつやの…ぐわっ!!!」

その時、景任の左肩に一本の矢が突き立った。もんどりうって馬から転げ落ちる景任、すぐさま近習が
助け起こし、退避させる者の、大将の負傷がこの戦の勝敗を決定付けた

(゚∀゚ )秋山「よし!このまま一気に殲滅するよ!かかれぇ!!!」

攻守反転、美濃勢は一門の遠山景行父子、豪勇でしられた吉村吉蔵他、土豪衆三十有余人が討たれ
五百近い戦死者を出し逃走していった。勢いを得た、秋山勢は一両日のうちにそのまま東美濃を席巻
東美濃衆は景任の傷が思いのほか深かったせいもあって、満足な防戦すら敵わなかった。

(;´Α`)景任「くう、四百年に渡る先祖伝来の地をわしの代で失うとは…つやの言うとおりにしていればあるいは…。」

その時、景任は自軍の後方から軍馬の嘶きを耳にした。

(;´Α`)景任「あ…まさかあれは?!」

( ><)光秀「明智光秀見参!主命により東美濃衆にご助力いたします!」

(゚∀゚ )秋山「む?総攻撃に打って出たものだからこれ以上の援軍はないと踏んでいたけど、読みが甘かったかな?」

(゚∀゚ )秋山「元々城攻めに耐えうる兵力は持ってないし、ここらが潮時だね。撤退するよ!」

(;´Α`)景任「まさか、こうも早く援軍に駆けつけて下されるとは…。この景任、とんだ醜態をさらし面目次第もございませぬ。」

( ><)光秀「いえ、先日御内儀から至急の援軍を求める使いが参りまして駆けつけた次第です。」

(;´Α`)景任「つやが…あやつ…わしなどよりよほどこの地を治める器があるの屋も知れぬ…。」

信友は高遠城に無事撤退、信長も畿内の反抗勢力との戦いで手一杯と言う事で報復に移る事はなく
武田と織田の激突はもうしばらく先の話となる。そして信友とつやこの二人もやがて激動の渦に巻き込まれ
数奇な再開を果たす事になるのだが、それもまたしばらく先の話である。


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最終更新:2009年12月15日 23:34