1
同じ頃、浜松城では
/`ら^ヽ元忠「殿、甲軍は城攻めにかかりませぬな」
(=゚ω゚)家康「慎重な信玄公の事だ。 気味悪がって近寄らぬであろうよぅ」
今、浜松城は篝火に照らされ、城門は開け放たれたままであった。
どうぞ攻めてくださいと言わんばかりの光景は、逆に武田軍に不気味な印象を与えた。
(=゚ω゚)「それにしても元忠よ。 お主がおらねば、今頃わしは首だけで信玄公と対面していたと思うよぅ」
/`ら^ヽ「殿は普段落ち着いておられるのに、いざと言う時に頭に血が昇られる」
数刻前、家康の目には突き崩される自軍と怒涛の勢いで押し寄せてくる武田軍が映っていた。
(#゚ω゚)「放せ元忠! こうなれば潔く斬り死に遂げるのみであるよぅ!」
/`ら^ヽ「さても情けなきお方かな。 おい、馬引けぃ!」
元忠は家康を馬に乗せると馬首を浜松城の方へ向けさせた後、渾身の力を持って馬の尻を叩いた。
/`ら^ヽ「おぉ~、良く走りよるわ」
走り去る主君を見届けたあと、元忠は追撃する武田軍を相手に撤退を始めた。
軍を指揮しながらその様子を見ていた信春は、敵将の度胸と忠誠に感じ入っていた。
彡`Д´ミ「……正しい。 あの男の取った手段は正しい」
彡`Д´ミ「主は何があっても命を保たねばならぬ。 主が死ぬ時こそ国が滅びる時じゃからな」
彡`Д´ミ「鳥居彦右衛門……覚え置くぞ」
2
武田軍の上洛戦は信玄の死により中断された。
甲斐府中に戻った信春は激務に忙殺されたが、家族との団欒を忘れなかった。
彡`Д´ミ「おのうよ、息災であったか」
.'´ ヽヾ
/ イノ( ))〉
ゞゝ゚ -゚ノゝ
(/ヽヽyノノ
ソ /'ノ=ヾヽ
/__/__)ヽゝ
ゞゝ゚ -゚ノゝ「はい、父上」
信春は四女である“おのう”へ声をかけた。
彼女は府中の町でも評判になる程の美貌を持っており、縁談を持ち込む者が絶えなかった。
しかし信春が手放したがらず、嫁ぎ先を決めぬままでいる。
彡`Д´ミ「あぁ~、疲れたわい。 肩を揉んでくれんかの」
ゞゝ゚ -゚ノゝ「“不死身の鬼美濃”らしくもないですよ、父上」
彡`Д´ミ「わしも後数年で還暦じゃぞ。 老いには勝てぬよ」
ゞゝ゚ -゚ノゝ「しょうがない父上ですね」
彡`Д´ミ「あぁ~。 ……そう言えばこたびの戦で敵陣に珍しき男がいての……」
信春は何の気なしに元忠の事を語って聞かせた。
ゞゝ゚ -゚ノゝ「……素敵なお方ですね」
彡`Д´ミ「そうか? おのうにはもっと良い夫を……」
おのうはまだ見た事もない男へ思いを馳せた。
3
天正三年、背信した奥平貞昌を攻めるべく武田軍は長篠城へ侵攻した。
救援に駆けつけた織田・徳川連合軍と武田軍の間で戦が始まろうとしていた。
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彡`Д´ミ「(負ける……な)」
敵の陣構えを見て、老将はあっさりと判断した。
彡`Д´ミ「(さて……わしの役目は負け戦になった時のしんがり。 勝頼様を逃す事じゃな)」
彡`Д´ミ「(……十中十死ぬな)」
信春のやろうとしている事は、三方ヶ原で元忠がした事と同じだった。
信春は死を恐れなかった。だが心残りと言えば、この戦のあとの武田家と愛娘である“おのう”の事だった。
彡`Д´ミ「(なぁに、まだ弾正と岩村城の伯耆がおるわ)」
彡`Д´ミ「(おのうもあの器量じゃ。 いい夫を迎えるであろうよ)」
楽観的に考える事で、信春は雑念を掻き消した。これで潔く死ねる、そう思った。
突撃を命じる陣貝の音が響いた。
彡`Д´ミ「さてと……馬場美濃守出陣いたす!」
最終更新:2009年12月15日 22:05