1
源左衛門他の諸将は甲斐府中へ帰陣した。
(`・ω・´)昌景「さてと、お主はすぐ箕輪に帰らねばならんな」
(;^ω^)工藤源左衛門「おっおーん! 出世は嬉しいけど忙しいお!」
(`・ω・´)「これから更に忙しくなるのだぞ」
( ^ω^)「分かってるお!」
(`・ω・´)「……それと」
昌景は源左衛門の腕に抱かれた犬を見つめた。
(U´ω`)「わんわんお!」
(`・ω・´)「その犬の事、お主の妻おツン殿に言わなければな」
(;^ω^)「……それが難題だお」
(`・ω・´)「あれほど気丈なおツン殿が、犬が苦手なのだものな」
(;^ω^)「……」
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おツンが幼少の頃のこと、府中の町を歩いていたおツンに一匹の狂犬が襲いかかってきた。
ξ(;、 ;*ξ おツン「きゃああああ!」
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ヽ ゝ、;; / _ ▼| /:|
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`'ー-'-'‐´ } ミ |
ξ(;、 ;*ξ おツン 「ふっ、ふん! 何よ、別に怖くないんだから!」
それは武家の娘としての虚勢だったが、内心では死を覚悟していた。
ξ(;、 ;*ξ おツン (私ここで死ぬのね……)
狂犬が飛びかからんとしたその時――――
2
/⌒ヽ
(^ω^ ))⊃+―――― 工藤源左衛門、参るお!
L⊃ y ( 彡 +
/ (⌒ヽ
(__/(__|ミ
飛ぶ様に走ってきた少年は刀の峰を薙ぎ払い、犬の鼻っ柱に叩き込んだ。
狂犬はのた打ち回った後きゃんきゃん、と悲鳴をあげながら走り去って行った。
(;^ω^)「ふー……。 もう大丈夫だお」
ξ(゚、 ゚*ξ 「あなたは……」
(;^ω^)「(さっき格好良く名乗った筈だお!)それがしは工藤下総が次男、工藤源左衛門だお」
ξ(゚、 ゚*ξ 「下総守様の……。 申し遅れました。 わたしは内藤相模の妹、ツンでございます」
( ^ω^)「おお! それがしの父とそなたの兄は莫逆の友だお!」
ξ(゚、 ゚*ξ 「危ない所を助けて頂き……」
( ^ω^) 「あー、気にしなくていいお」
源左衛門は礼を言おうとするおツンを遮った。
( ^ω^)「あ、足を擦りむいてるお。 どれ、それがしが背負って内藤殿の家まで送るお」
ξ///)ξ 「そんな……!」
( ^ω^)「いいおいいお。 よいしょっと」
おツンはあっという間に源左衛門に背負われた。
(;^ω^)「う……重いお」
呟いた源左衛門の頭をおツンが小突いた。
(;^ω^)「何するおー!? それがしは命の恩人だお!」
ξ(゚、 ゚*ξ 「うるさいわね! さっさと歩きなさい!」
(;^ω^) (さっきまでの態度はどこにいったんだお)
3
おツンが背負われ帰ってきた所を見て、兄・内藤相模守虎資は仰天した。
しかし、野犬に襲われそうになった所を助けられたと聞き、すぐに小躍りして喜び恍惚とした眼差しで源左衛門を見つめた。
ξ゚±゚) 虎資「婿殿! これからもおツンを宜しくお願い申す」
(;^ω^)ξ///)ξ 「む、婿殿!?」
ξ゚±゚) 「良いではないか! 下総にもわしから言っておく!」
この後、源左衛門の父と内藤虎資は主君・武田信虎に誅された。
しかし源左衛門とおツンは二人で流浪などの苦難を越え、結ばれたのだった。
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(;^ω^) 「あれ以来、おツンは犬が苦手で……」
(`・ω・´)「まぁなる様にしかなるまい。 わしは兄者の墓に帰った事を報告せねばならんのでこの辺でな」
( ^ω^)「さらばだお!」
(U´ω`) 「くぅ~ん」
昌景と別れてから、源左衛門は思案する。
( ^ω^) (それがしとおツンの間にはまだ子供が出来んお……)
( ^ω^) (これから城代やら将として、家を空ける日も多くなるお)
( ^ω^) (その間、こいつがおツンの寂しさを紛らわせてくれれば……)
(U´ω`) 「くぅ~ん」
(;^ω^)「なんて考えてる内に我が家だお!」
4
源左衛門は自邸の門だというのに覚悟をしてくぐった。犬は背に抱えて腕を後ろに回して抑え、前からは見えないようにしている。
ξ(゚、 ゚*ξ 「あなた様、お帰りなさいませ」
(;^ω^)「た、只今帰ったお~」
ξ(゚、 ゚*ξ 「御城代に成られたそうで! 配下の方から聞きましたわ!」
(;^ω^)「こ、これもおツンの内助があってこそだお~」
ξ///)ξ 「なッ……別に! あなたが可哀相だからやってあげただけで!」
(;^ω^) (さりげなく切り出せるかお……?)
ξ(゚、 ゚*ξ 「ところで背に何を隠して……?」
(;^ω^)ギクッ!
ξ(゚、 ゚*ξ 「まさか土産に花でも摘んできたので?」
(;^ω^)「あっあっ、見ちゃ駄目だお!」
(U´ω`)「わんわんお!」
ξ(゚、 ゚*ξ 「……」
5
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(`‐ω‐´)「兄者……只今帰りました」
(`‐ω‐´)「源左の出世……我が事のように嬉しく思います」
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(;゙゚'ω゚')「何じゃ!? おツン殿の叫び声か?」
ξ(゚、 ゚#ξ 「あなたって人は何を考えて!?」
(;^ω^)「わーっ!? 違うんだお! 話せば分かるお!」
ξ(゚、 ゚#ξ 「何です?」
(;^ω^)「えーっと、これは……」
(U´ω`) 「くぅ~ん」
7
(;^ω^)「これは……そう、忍犬だお!」
ξ(゚、 ゚#ξ 「忍犬というのは!?」
(;^ω^)「敵の目を掻い潜って、書状をやり取りしたりする為の伝達役だお!」
(;^ω^)「これからそれがしは忙しくなるお……敵地からおツンへの愛文を運んでくれる部下だお! この犬は!」
ξ(゚、 ゚#ξ 「……」
(;^ω^)ドキドキ
ξ(゚、 ゚*ξ 「そういう事なら……しょうがないわね」
( ^ω^)「お!? さすがおツンだお!」
ξ(゚、 ゚*ξ 「それに狂犬のようには見えないし」
(U´ω`) 「わんわんお!」
( ^ω^)「それがしそっくりで可愛らしい顔してるお」
ξ(゚、 ゚*ξ 「あなたにそっくりで地味な顔だわ」
(;^ω^)「ちょ、おまwww」
源左衛門必死の嘘であった。
この二年後、工藤源左衛門は内藤の名跡を継ぐ事を許され、内藤修理亮昌豊と名乗る。
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( ^ω^)「さーて、それがしの良い所も見せた所で」
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最終更新:2010年06月13日 19:54