1
十一月、佐久間信盛率いる三千の援軍は浜松城に入城した。
(=゚ω゚) 家康 「佐久間殿、援軍かたじけない」
( <●><●>) 信盛 「いやいや、三千ぽっちで申し訳無いのは分かってます」
(=゚ω゚) 「そんな事は無いよぅ。 武田との戦を前にして心強いよぅ」
( <●><●>) (……家康殿は武田と正面から戦うおつもりか。 これは不味いですね)
(=゚ω゚) 「戦は来月中になろう。 それまでごゆるりとされよ」
( <●><●>) 「御心遣い、かたじけない」
( <●><●>) (徳川殿の兵は多く見ても一万足らず、我ら援軍を加えても一万三千は届かない……)
( <●><●>) (対して、武田は倍以上の兵数。 城を数多落として士気も高いでしょう……)
( <●><●>) (まぁ戦までまだありますし、家康殿を説得する事も出来るでしょう)
十二月十九日、武田軍は二俣城を開城させた。
ミ(´∀` (彡 信玄「思ったより日が掛かったな」
ミ `Д´ 彡 信春「次はいよいよ家康の本拠、浜松城ですな」
ミ(´∀` (彡 「籠城戦はしたくないのう……」
信玄は軍配を弄びながら思案する。
ミ(´∀` (彡 「……!」
ミ(´∀` (彡 「隼人、逆さ魚鱗で進軍するぞ!」
信玄は陣馬奉行である原昌胤に向けて叫んだ。
{´昌`} 昌胤 「魚鱗の陣を逆さにした形……でしょうか」
ミ(´∀` (彡 「左様。 良いか、皆聞け……」
2
それから三日後、十二月二十二日。
/`ら^ヽ鳥居元忠 「殿! 武田軍、ここ浜松城へ進軍中! 間も無く見えますぞ!」
(=゚ω゚) 「来おったか!」
( <●><●>) 「いいですね、家康様。 話した通り籠城し、上様(信長)の救援を待つのです」
(=゚ω゚) 「……うむ」
信盛は既に家康の説得を済ませていた。
城から望むと武田軍がこちらに向かってくるのが分かる。
進軍する兵の雑踏が聞こえ、先頭を進む兵が浜松城の前に来た時……。
{´昌`} 昌胤「良し、いいでしょう。 皆、駆けるぞ!」
/´〉,、 | ̄|rヘ
l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/ ∧ /~7 /)
二コ ,| r三'_」 r--、 (/ /二~|/_/∠/
/__」 _,,,ニコ〈 〈〉 / ̄ 」 /^ヽ、 /〉
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ハハ彡 /ト'ヾヽ l=j, (,、 i`i`彡0fト'ヾヽ ヽミ彡/ |二|
ゞゝ──ゝ /、 ゝX 彡ゝoノ ハハ/ソ/⌒ゝ / ゝ 彡ゝoノ /| iヽ |二|
( ' Y''''ノ\ 彡 /、 ゝx彡ヾ > )、__ノ彡ミ= | 、ノ 彡くミヽノミ= o,| ||ol. |二|
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3
先頭を進む原昌胤の部隊が進軍を速めた。
それに引きずられるように、全軍が浜松城の目前を駆ける。
ミ(´∀` (彡 「……」
昌胤の部隊の後ろにいた信玄が浜松城を見上げる。
(=゚ω゚) (……あれが、武田信玄か?)
ミ《,M,》彡
ゝ(´∞`)ノ> 彡
彡_e ´∀` 3`-、_
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家康と目の合った信玄は、ぺこり、と軽い会釈をした。
まるで、悪いね通らせて貰うよ、と告げている様に家康には見えた。
(#゚ω゚) 「~~~~ッ!!」
続けて、きらびやかな旗印に率いられた部隊が、洪水の様に浜松城の前を駆け抜けていった。
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(`・ω・´) 「あれが家康か……」
( ^ω^) 「ここで討ち取れれば、後が楽になるお」
(=゚ω゚) 「信玄の嫡子・勝頼、内藤修理、あの赤備えは山県、穴山……」
最後に、馬場美濃守、小山田信茂らが駆け去って、浜松城は静寂に包まれた。
4
( <●><●>) 「家康殿、良かったですね」
(#゚ω゚) 「何がだよぅ」
( <●><●>) 「実は武田と戦わずに済んでほっとしてるでしょ? わかってます」
(#゚ω゚) ブチッ!
(#゚ω゚) 「武田を追撃致す! 出陣じゃ!」
(; <●><●>) 「お待ちくだされ! 放って行かせてしまうのです!」
(#゚ω゚) 「領地を勝手に進軍されて平気な者がいるかよぅ!」
(; <●><●>) 「しかし我らは一万とわずか……。 あちらは二万七千を超えております」
(#゚ω゚) 「兵数など問うところでは無い! 運は天にある!」
(; <●><●>) (あ~ぁ……)
武田軍の先頭、原昌胤隊は三方ヶ原の外れ、祝田の坂に差し掛かっていた。
{´昌`} 「よし、止まりなさい!」
昌胤の号令で全軍が止まる。
ミ(´∀` (彡 「さーて、どうかな……」
信玄は心底嬉しそうに、床几に腰掛けた。
5
(=゚ω゚) 「きっと今頃、武田は祝田の坂を下る頃……」
(=゚ω゚) 「坂の上に陣取り、攻めれば勝機はある!」
徳川・織田の連合軍も三方ヶ原に出た。そこで、恐るべきものを目にした。
(;゚ω゚) 「こっ! これは!」
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||三方ヶ原||||||||||||||||||||
(;゚ω゚)徳川 (; <●><●>)織田
(-@∀@)小山田
彡`Д´ミ馬場 (`・ω・´)山県
('A`)穴山 ( ^ω^)内藤
(`д´)勝頼
(`又′)小幡 (’ー’*)高坂 ( `ハ´)跡部 ( ´_ゝ`)真田
ミ(´∀` (彡信玄
横田 {´昌`}原
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そこには、重厚な魚鱗の陣を敷いた武田軍二万七千があった。
二俣城からの進軍は、全て家康が出てくる事を見抜いての信玄の采配であった。
予め魚鱗の陣のまま進軍し、祝田の坂の手前で反転。 追撃する徳川を迎え撃つ、完璧な作戦である。
ミ(´∀` (彡 「ほれ、かかった!」
{´昌`} 「恐るべきはお館様の用兵よ……」
ミ(´∀` (彡 「小山田に伝えよ、石礫を浴びせ徳川を誘え、とな」
6
徳川・織田連合軍には恐慌が広がる。
(;゚ω゚) 「いっ、急ぎ鶴翼の陣を敷け!」
佐久間信盛は既に撤退に掛かっていた。
( <●><●>) 「これまでですね。 我が部隊は退かせて戴きます」
/`ら^ヽ 「殿! 佐久間殿が退かれますぞ!」
(#゚ω゚) 「元忠! 問いただして来い!」
/`ら^ヽ 「佐久間殿! 何ゆえ兵を退かれる!」
( <●><●>) 「私が出陣をお止めしたにも関わらず兵を出し、このような窮地に陥ったからです」
/`ら^ヽ 「殿が討たれるやも知れぬ! お力添えを戴きたい!」
( <●><●>) 「私は徳川の家臣ではありません。 このままでは大切な兵を失う事がわかってます」
( <●><●>) 「徳川殿は己が分を誤った。 付き合いかねます」
元忠は去ってゆく信盛の背中に言い放った。
/`ら^ヽ 「佐久間殿は天下に薄情者の名を残すであろう!」
( <●><●>) 「……わかってます」
戦闘はわずか一刻(二時間)程であったが、徳川は大敗し、多くの将と兵を失った。
最終更新:2010年06月13日 20:01