著:5スレ目163殿
修理の犬 その11の続き



回収した畿内の鉄砲を運びつつ、織田軍三万は東進した。
先を進む兵には、杭・木材を運ばせてある。

(*‘ω‘ *) 信長 (第六天より誅伐せん! ……とは言ったものの)

(*‘ω‘ *) (あの武田の老将どもが、この布陣においそれと掛かってくる筈は無いぽっぽ)

この戦で勝利を得るには、武田軍が織田の陣に攻めかかってこなければならない。
武田を戦わずに撤退させてはならないのだ。

(*‘ω‘ *) (となれば、一つか二つは策を打たねば……)

信長の中で、一つの策は既に決まっていた。

(*‘ω‘ *) 「信盛!」

( <●><●>) 佐久間信盛 「はっ!」

(*‘ω‘ *) 「戦場に着いたら、お前は武田に内通するぽっぽ!」

(; <●><●>) 「は?」

(*‘ω‘ *) 「分からんか……? 本当に内通するのではない。 苦肉計ぽっぽ!」

味方の中から偽りの内通者を敵に送り、情報判断を誤らせる策である。
勝利へ向かう策の一つがこれだった。

(*‘ω‘ *) 「“勝頼様が攻めかかってきたら織田を裏切りますゆえ、どうかお引き立てを”と書状を送るぽっぽ!」

(; <●><●>) 「何故私が……。 戦が終われば、私は敵から凄まじい恨みを買うのが分かってます!」

(*‘ω‘ *) 「三方ヶ原に出陣したお前なら、武田の連中も名を知っているぽっぽ。 それに……」

(#‘ω‘ *) 「戦わずに撤退した事、まだ許しておらぬ」

(; <●><●>) 「わ、分かってます! すぐに草案を練ります!」


(*‘ω‘ *) (これだけでは足りぬ。 あと一つ……)

信長は馬上で思案し続けた。



                       ミ《,M,,》シ           
                        <ゝ(`∞´)ノ>
                        ミ`д´ ミ             
               ∧_.ヘ     /~( ソ )~ヽ     ∧_∧       
              / \※>   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\   <※  /ヽ       
           ∧_.ヘ `Д´ミ /              \  (ω・´| ヘ_∧      
           / \※>   /                 \    <※ /ヽ    
         ∧_.ヘ ^ω^) /                 \ (´昌`ヘ_∧   
        / \※>  /                       \  <※ /ヽ  
      //≡/ 'A`) /                          \ (´<_`|≡ヽ
      i^i( ⊃  /                           \⊂  )i^i
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伝令兵 「織田軍数万、設楽ヶ原に布陣! その中に信長の旗印は見られませぬ!」

(`д´)勝頼 「どういう事だ。 織田軍を信長が率いておらんのか」

 ('A`) 穴山信君 「そんな筈は無いな。 必ず、信長自身が決戦と定めて出張っている」

( ^ω^) 「……という事は、まだ後続の部隊があるということだお」

(`・ω・´) 「おそらく、そこに信長本隊も……」

彡`Д´ミ 「我等は一万五千。 織田軍はまだ続く上に、徳川も加わろう。 ここは撤退すべきかと」

(`д´) 「兵の数のみが戦を決めるわけではない。 言わば、こちらも信長と家康の首を取る好機なのだ」


(`д´) 「隼人、織田軍の陣容を見定めよ! 信長着陣までに長篠城を落とす!」 

{´昌`} 原昌胤 「……承知しました」

(;`・ω・) (三方ヶ原の逆となるのは避けねば……)

あの時は、徳川を見事に誘い出して撃退した。無闇に攻めかかれば、今回は逆になる。
昌景らには昌信との約束がある。是が非でも、決戦は避けなければならない。



   _ミ k                     7/////___
 / -Nlk √ヽ              , -' て 'カ ///彳⌒i
 i /⌒Yl `^\\           _/ _ -二   'ィ イ//   l
 l Y  Y   _,_\ ,        //_,,,_      lリ//    l
 ! ! r"イ  彳⌒_\ ,    , /' /_⌒弋     kh k,  l
  \  イ   , (*うy,ヽ   lf  / (*う_       lハ _/  l
   ヾ yイ,_`,_`,_~` '- `ォ   !l  '  - '", _,' _,' '  lハ _,,y /
    ` /ィ1.,_`,_ `  ::l       ' ' '     jハハ  /   よーし、その調子!
    /イl        ::l              jハ 人      
    //1       j               Yハハ\
      ハ  ヵクク/ヾ_ ^` ヽ\\ヽヽ丶   yハハハ
      ハ/ /入`t- ,_~_ __,,, ,,,  ァ`\\ /ルイハリ\
      /メ    YT..’   ̄‘--'チ/     メヽ--┐`ヽ`
        `    キ::::...  ..:::_ ,ヲノ    /  l  )  l
        人   ヾ ニ二 孑'    /  ,/   _,イ
         ハ           / ィ ' _, -~"xy\
         /X        y// _,/  _,Xメ'   入,,___ __
        /   //`メ+/,_/y'//_, ィ   _,Xメ'   /     ̄


羽柴秀吉 「清州の城壁直しやら、墨俣を思い出すわぁ!」



翌朝になると、設楽ヶ原の中央を流れる連吾川に沿い、柵が築かれていた。
柵の内では数万の織田軍がこちらを睨んでいる。

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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /⌒ヽ  何だお、あの柵は……?:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/了==了、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::   
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       ,..     -―''´ ̄ ゙̄"゙゙"  ーu-'-u-      \
ィ爻ミ、_ _, ,,,..;;'''´  '''' ""''           ´''``''ー-、,   ノ            ,ミ、
三ミ,_,..;;;'''''''´'                '"""  '''''"   ,'〉  爻、        ,爻ミ、        _,ミ、
''´'      "''' "" '''"                  ,,-'/ 、彡ミ,      `=爻ミミ_        ィ爻ミ、_
""'"''""               "''''"""''"   ,,-'''゙ / _爻爻ミ      ., 爻彡ミミ、_     `シ爻彡ミ
   '" "" ''''' "" "''   "''''''"       ,,-''ll:::l::{  =爻彡ミミ、_     爻シ彡ミミミミ    爻彡{ミミ;
                        ,/l/:::: .〈::.| _,爻彡ミミ;x_   =彡ミ 爻爻彡ミミミ= -爻爻ミミミ;、
             ''"''''""""''    /(` .L:::::l||::: | 彡ミミミミミ=- :: ,爻 爻爻ミ |::|彡ミミミミ、 ,爻彡|::|ミミミ、

{´昌`} 「修理殿」

( ^ω^) 「おお、隼人。 何なんだお、織田軍の陣容は」

{´昌`} 「あれはもはや陣ではありません。 あれは砦……いや、城です」

( ^ω^) 「それ程の堅さになったのかお……。 けど、真正面から攻めなければ、あれはただの柵だお」

{´昌`} 「どうするかは分かりませんが、我等を真正面から攻めさせる手を使ってくるのでは……」

( ^ω^) 「そんな手、乗らなきゃいいだけだお」



五月十八日、信長が着陣。織田本隊の旗印が設楽ヶ原に翻る。
信長本陣では、家康が援軍の礼を述べていた。


 (=゚ω゚) 家康 「信長殿、此度は誠に忝うござる……」

(*‘ω‘ *) 「良い良い。 家康にやっと恩を返せて、この信長も嬉しいぽっぽ」


 (#゚ω゚) (ったりめーだよぅ! やっと重い腰上げやがって……大うつけが!)

(#‘ω‘ *) (武田の先陣となってとは良くも言ったものぽっぽ! 三方ヶ原で惨敗した男が!)


 (=゚ω゚) 「おお、岐阜の兄上の御心遣い、生涯忘れませぬ!」

(*‘ω‘ *) 「浜松の弟よ! 困った時はお互い様ぽっぽ」


そのまま、本陣での軍議となった。

(*‘ω‘ *) 「さて、此度の合戦はいかに武田を誘うかにある……。 家康、何か策があるか?」

 (=゚ω゚) 「それについては、この酒井左衛門尉が是非に献策したいと」

家康は隣に侍っていた酒井忠次に促した。

(*‘ω‘ *) 「久しいな、酒井! そちの武名は耳に入ってくるぽっぽ! 遠慮無く申すが良い」

酒井忠次 「はっ、されば」


忠次は布陣図を指しながら策を述べた。



                                   _,,..-‐''`'ー-、_
 _,..-'''"~""''' ‐- ...,,___,,..-‐''~""''' ‐-~""''' ‐- ...,,__'''""~

                     ( <●><●>) 
               仝 ←丸山砦(佐久間・滝川ら四千) 
             # 
              #  
              #                            
(*‘ω‘ *)信長     #                      (`д´)勝頼ら武田軍      
              #                               仝 ←長篠城(奥平勢五百)
             #                             _,,..-‐''`'ー-、
(=゚ω゚)家康     #                                           
            #                                     ─────武田軍撤退路──────→ 
 │        #                                  仝 ←鳶ヶ巣山砦
 │                                        _,,..-‐''`'ー-、_ (河窪・三枝ら)
 │             _,..-'''"~""''' ‐- ...,,___,,..-‐''~""''' ‐-~""''' ‐- ..,..↑'''""~ (´。∀`) ( ´゚ω゚` )
 │                                           .│
 └─────別動隊(酒井ら三千).───────────────┘


酒井忠次 「夜陰に紛れて少数の兵で奇襲を加え、この鳶ヶ巣山砦を落としてしまうのです」

(*‘ω‘ *) 「……」

酒井忠次 「この砦は武田軍の撤退路にあり、ここを抑えてしまえば敵は袋の鼠……」

(*‘ω‘ *) 「退き口を失った敵は、突破口を求めてこちらに向かってくる……と?」

酒井忠次 「左様。 あとは信長殿の思い通り……」

(*‘ω‘ *) 「……ふふっ、はははは……」

   __   } 、 ! / ////`/ /: : : :_ノ
  /  |   ム } }////_,ィ ///: : ヽ   た
  /  /  `弌ェ!{ {ミィ/  }!| ///: : : ) 
 〈 〈    { a`j-`ラ,_9_,〃  // /: :}    わ
  \\    }ニ/ 彡 `一  *   / / )
 _「 l∠、   V   へ  _,、、、、   //:ヽ   け
└ァ rへ \   {___,ィ7ムヾ_ゞ-‐ミ㍉   /: : ノ
 Lィ」 / /, , '/ハ///-‐'´_r- '´! l`! ,  /:<   が 
   //・, '// /ΛT  ̄_、-‐¬‐!| l  // ヽ  ァ
   r_‐、 ', ////Λ }l:|:/    〃/ / /ノ  
   ノノ・///// ,、} |:|/   ,ィ/ ' / ,イ  ヽ !!
    ' / /// フ |ハL_、 -´//  ,ィイΛ:  :Y`Y`Y`
      / ,' バ \二, ̄ /  ,ィイ乂: : :
         ッ  }    ̄   ,ィイ乂: : : :

酒井忠次 「ひっ!」



(#‘ω‘ *) 「そのような下劣な策は夜盗狩りに用いるもの!」

(#‘ω‘ *) 「それを神聖なる軍議の場で出すでないわ! 酒井、お前はここにいる資格が無い!」

(#‘ω‘ *) 「とっとと下がるぽっぽ! 二度と顔を見せるな!」

酒井忠次 「……御免!」

忠次は唇を噛み締めながら陣幕の外へ出ていった。
信長の一喝に怯えてしまい、一座は誰も意見を出せず散会となった。


(#‘ω‘ *) 「……」

 (;=゚ω゚) 「信長殿、酒井も悪気があったわけでは……」

(*‘ω‘ *) 「勿論ぽっぽ。 すまぬが、もう一度酒井を呼んで貰いたい」

 (;=゚ω゚) 「……え? はぁ」


酒井忠次 「……何用でござるか」

暗い顔で戻ってきた忠次に向け、信長は詫びた。

(*‘ω‘ *) 「酒井! さっきはすまなかったぽっぽ」

酒井忠次 「は?」

(*‘ω‘ *) 「許せよ。 さっき怒ったのは、策が敵に洩れぬための芝居ぽっぽ」

 (=゚ω゚) 「おお、それでは!」

(*‘ω‘ *) 「良い案が無いか探していた所に、酒井の策は最適ぽっぽ!」

酒井忠次 「有難い御言葉にござる」

(*‘ω‘ *) 「酒井に兵三千と、鉄砲五百丁を預けよう。 鳶ヶ巣山砦、見事落としてみせよ」



信長はこれに並行して、佐久間信盛による苦肉計を進行させていた。

(; <●><●>) 「……と。 書状はこのような感じでいかがでしょうか」

(*‘ω‘ *) 「良し。 早速武田の本陣に送り届けるぽっぽ」

(; <●><●>) 「はっ、ただちに」

(*‘ω‘ *) 「策は尽くした……後は武田が引っ掛かるかぽっぽ……」



長篠城を落とせぬまま信長と対峙した勝頼には動揺が浮かんでいた。

(`・ω・´) 「いけませんぞ! あの陣立てに正面から向かうは愚行!」

(`д´) 「当然だ。 そんな事は考えておらん」

( ^ω^) 「勝頼様が撤退なさるならば、それがしが殿(しんがり)を引き受けますお」

(`д´) 「しかし、ここで退くのは勿体無い気もするな……」

この設楽ヶ原で信長と家康の首を取る事が父への供養ではないか、と勝頼は考えていた。
その為の策は無いかと思案している時、武田本陣に佐久間信盛の書状が届いた。

伝令兵 「勝頼様に向けての書状でござる」

(`д´) 「どれ……」

      ∧_∧
      ( `д´)/ ̄/ ̄/  ……
      ( 二二つ / と)
      |   /  /  /
       |    ̄| ̄ ̄

(`д´) 「ふふふ……ハハハハ! 勝てる、織田に勝てるぞ!」

(`・ω・´) 「何の書状でござる!?」

(`д´) 「織田の重臣、佐久間右衛門尉よりの書状だ! この勝頼に忠義を尽くしたい、と」

書状は内応の申し出だった。


一座がざわめく中ただ一人、信春だけが信玄の言葉を思い出していた。

彡`Д´ミ (佐久間だと……!?)

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ミ(´∀` (彡 「戦場に出るなり退いて行った将がいたな……」

彡`Д´ミ 「あれは織田方の援軍、佐久間右衛門尉でしょうな」

信玄は少し考えた後、信春に告げた。

ミ(´∀` (彡 「美濃よ。 佐久間の名、良く覚えておけ」

彡`Д´ミ 「……はっ」

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彡`Д´ミ 「……」



勝頼が書状を回覧させる。

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( <●><●>) 「急なお手紙を出した無礼、御許し頂きたい」

( <●><●>) 「仏道を蔑ろにし、足利将軍家に叛く主には愛想が尽きました」

( <●><●>) 「それに、先年の三方ヶ原における武田の方々の戦振りに感銘を受けました」

( <●><●>) 「勝頼様らが攻めかかれば、佐久間隊は織田本陣に殺到し、信長の首を上げましょう」

( <●><●>) 「その暁には、どうか重臣の端に佐久間を加えて頂きたい」

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(`・ω・´) 「何と……信長の重臣が……」

(`д´) 「どうだ! あの柵の内で味方に謀反されては、逃げようがあるまい!」

( ^ω^) 「確かにそうだお……」

(`д´) 「佐久間は確かに三方ヶ原に来ておる! 我等と戦う恐怖を知っておるのだ」

彡`Д´ミ 「……」


回って来た佐久間の書状を、信春はゆっくりと読む。

彡`Д´ミ 「なるほど……確かに佐久間の書状でござろう……だが!」


            ∧,,∧  
           彡`Д´ミミ, 
   | ̄ ̄ ̄〉,ァ''"       ゙ア´ ̄`/ ̄ ̄ ̄ ̄|
   |     `r´、、__ l ! ィ彡,ャァ'" ,,..,,、\     |
 ,-┴-、   〈.,, ``''ヽ,,,  ''"´   ゙''ヾミ,r/.く     |__
/ .-┬⊃  <    ,;,, ;;; ,,;;       ,fr::<,   rニ-─`、
! ;;ニ|(;<●>/    ';;;;;;;;;;;'      ,!;V:.:ノ<●>)┬─‐ j
\_|    <    ':;;;;;:'      ,;;/;;:.:/:〈      |二ニ ノ
   |    <    人__,,,;;;;;ノ/N/:/:.<     |`ー"
   |__/:ト-―テ" ⌒ `ヾj ::;;;;}/:.:.:∠____|
        l   ' -:十:‐' ゙l,  〃:.:.:/:.リ      ビリィィィ
        l   t,,__,災_,ノl  f:.リ:.:./:.j


彡`Д´ミ 「……こんなもの、信ずるに値せぬ」


10
書状を引き裂いた信春を勝頼が睨む。

(`д´) 「美濃、貴様……!」

彡`Д´ミ 「佐久間は三方ヶ原には来ましたが、戦わずに退いておりますぞ」

(`д´) 「何だと?」

彡`Д´ミ 「すなわち、我等の戦に感銘を受けたというのは嘘。 おそらく、これ全てが偽内通でござろう」

(`д´) 「お前の独断で決める事が出来るか!」

彡`Д´ミ 「よろしい。 では、わしが今から佐久間のこもる丸山砦を攻めてこよう」

信春の発言は本陣の重臣たちを驚かせた。

(`・ω・´) 「み、美濃殿……」

彡`Д´ミ 「勝頼様らはそれによって、佐久間の真意を見定めて下され」

言うなり、信春は立ち上がって本陣を出て行った。



信春は馬場隊の内から七百の精鋭を率いて、四千の籠る丸山砦に向かう。
昌景と昌豊が本陣から追いかけてきた。

( ^ω^) 「美濃殿! たった七百で大丈夫かお!?」

彡`Д´ミ 「心配するな、修理。 佐久間らが相手なら七百でも多いくらいよ」

(`・ω・´) 「美濃殿は武田に無くてはならぬお方。 どうか無理はなさらぬ様に」

彡`Д´ミ 「分かっとる。 お主らは佐久間の動向を良く見ておくのだ」

                                   _,,..-‐''`'ー-、_
 _,..-'''"~""''' ‐- ...,,___,,..-‐''~""''' ‐-~""''' ‐- ...,,__'''""~

                     ( <●><●>) 
               仝 ←丸山砦(佐久間・滝川ら四千) 
             # 
              #    ↑
              #    └彡`Д´ミ――――――――――                     
(*‘ω‘ *)信長     #      馬場隊七百            (`д´)勝頼ら武田軍一万五千      
              #                               仝 ←長篠城(奥平勢五百)
             #                             _,,..-‐''`'ー-、
(=゚ω゚)家康     #                                           
            #                                    
          #                                  仝 ←鳶ヶ巣山砦
                                          _,,..-‐''`'ー-、_ (河窪・三枝ら)
                _,..-'''"~""''' ‐- ...,,___,,..-‐''~""''' ‐-~""''' ‐- ..,..  '''""~ (´。∀`) ( ´゚ω゚` )


11
   ミ、     \::::::........   _,,,;;;;:::::::...............:::::::;;;;;;;;;;ーー'''''~~ )::ノ~
 ゝ   ト、    λ-ーー<        ノミ~/: ゝ      (:::(
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       彡( 彡`) ∧.,,.   
  ,,.;;::::..,   [=  弋つ ゚_)
        |  | /  / 
,,.;;::::..,  ._____l、_〃ヽ /.,  チンケな砦よな
     /  ヽ、. |_,l  )   
    //、   ゝし'  |.,,. 
    Vl l.   ノ--┬.| |   
     | | ノ    || ||.,,.;;::::..,
.       ||.|.|      || ||    
,,.;;::::.., /|/| ,,.;;::::..,/| /|,,.;;::::..

丸山砦の前で馬を止めた信春は大音声を上げた。

彡`Д´ミ 「馬場美濃守見参! 織田の弱兵ども、出て参れ!!」


(; <●><●>) 「なッ!? あれは馬場美濃!」

櫓に上がった信盛は、馬場美濃の姿を見て仰天した。
丸山砦の城兵は急な敵の出現に驚き、立ちつくす。


彡`Д´ミ 「良し、前方の部隊は槍衾を組み鉄砲を放て! 後方の者は矢を射かけよ!」

(; <●><●>) 「応戦しなさい! 馬場美濃を討ち取るんです!」


佐久間・滝川隊四千と馬場隊七百の交戦が始まった。

彡`Д´ミ 「どれ、わしも弓を引くかね」

激戦の中、信春はそばの者から弓を受け取る。


12
信春の弓は他の者の倍はある強弓だった。にも関わらず、馬上でも楽々と引く。
とても還暦を過ぎた老将には思えなかった。

                  /ヽ 
                /   ヽ 
              /      ヽ     
            /∧ ∧  .    ヽ ギギギギ……
     /i/i   (∩/ 彡`Д´ミ     _||__  
   / ・, 彡  | ヽノ(- 、, - `⌒ー-ー' ヽ「 
  /ゝ、ノ.  彡 ゝ丿ヽ\ 、   /ー---r'    
 ヽ´/ \   彡ゝ丿ヽヽ---ノ)_|___/         
      \    彡>╋━━━━|  / `ヽ彡ミ彡ミ≡ 、
        ヽ(===ヽ/  /ノ   | /  〈       
      /''ー-ゝ    ヽ / ̄ \レ    ヽ,,,, 
      / (ヽ,,   丿 ⊆ゝ   ,,,,ノ-ヽ      ̄マ 
     ヽ く ヽ_ノー-ー'''''' ̄    '''ー--,,,,_  ヽ
    / ゝヾノ                 く ゝ ヾ ヽ_
   / ヽ                      ヽゞヽ ヽゞヽ
     ̄                        ̄    ̄ 

彡`Д´ミ 「佐久間は……と。 ああ、あそこか」

立派な具足を纏う将を櫓の上に見つけ、信春は矢を向ける。


彡`Д´ミ (もはや貴様の偽内通は明白だ。 主の許しは得ずとも討ってくれよう)

信玄の行う権謀術数を長年に渡り見てきた信春にとって、信長の謀略など児戯に等しい。

彡`Д´ミ (我らを浅はかな謀に掛ける貴様は許せん! 散れ!!)

                             
                    |ヽ     ─_=ニ ̄_ニ_ ̄─_ニ ̄_ニ二三_ ̄─ニ二∑>━━━━━━━━==>
                    | ヽ 
                    |  ヽ  ビシュン!      
              ∧ ∧  . |   ヽ  
     /i/i   (∩  彡`Д´ミ  |   _||__  
   / ・, 彡  | ヽノ(- 、, - `⌒ー-ー' ヽ「 
  /ゝ、ノ.  彡 ゝ丿ヽ\ 、   /ー---r'   
 ヽ´/ \   彡ゝ丿ヽヽ---ノ)_|___/         
      \    彡>╋━━━━|  / `ヽ彡ミ彡ミ≡ 
        ヽ(===ヽ/  /ノ   | /  〈       
      /''ー-ゝ    ヽ / ̄   レ    ヽ,,,, 
      / (ヽ,,   丿 ⊆ゝ   ,,,,ノ-ヽ      ̄マ 
     ヽ く ヽ_ノー-ー'''''' ̄    '''ー--,,,,_  ヽ
    / ゝヾノ                 く ゝ ヾ ヽ_
   / ヽ                      ヽゞヽ ヽゞヽ
     ̄                        ̄    ̄ 
弦を放れた矢は凄まじい勢いで、櫓に登った信盛へ向かってゆく。

その時、梅雨のこの時期には珍しい強い風が吹いた。

彡`Д´ミ (……む!?)


13
キィ――――――――ン……

(; <●><●>) 「ん……何です? この音は……」

     ‥ __,ィァ..,─、 “,, /::\ィヘ ,,ヾ;:;マ;;’∧.  マ :l:l l;:〉〈:{. 〃.,“
  〝;"”;; Ⅴ:::/ ./::::::」,.-、|:::::_/.|::::〉〟\:;\;.ヘ  ∨.Ⅳf./;/ .χ″   .
    __/:::::〉 レ'´,ー'.レ'_,.ィ ̄ ",勹,㍉;:`゙厶 .マ.|;:;レ:/─レ_   ・
.竺ニ”─一f::::::レ<´|…-_/:::::/;; _」:::::二>l:Ⅹ;:;∧. Ⅵ:;:/f :::f :::::::},,"〝
   ,イ _」::::::::_;>‐'_/:::_::::::::|./´:::::_:::「;:;∨_ ̄二、ヘ .マ/:::| :::! .::::/:}r‐.、
.  /::'<:::_::::::Г __ .「:::::/ .|:::: l.レ'./:/|:::| Zェ、;:;`ー、_,ハ l:__人.:|..:::/:/ .::::::〉_
 /:::::_;.匕..|:::::| .「::::|レ'´  ._」:::::{ /:/ .|://:,∠_“~`…‐.t:;:;:;:;ヽ.}─.、_:: ./..:::ヽ
. レ'´ /::::| |:::::| .|:::/,, ../::::_/ .レ′.´/::f. >ミ>、_ ,'ヌfゞ;:;:;ハ._\ .〉'..::__,ィ′
.   /::::: | |::::::〉レ′_/:: /     _」::/. \{_.ノ`トリ〈ム∠_ \ゝ.`く :::::〉  ,,,,,,
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         ,ィ─       .}.ハ |  〈 `ー、ニ 、ヽ  l{  /,.イ~!|ヾ:;.“     ,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;
        / x-─‐-、   ソ Ⅴ.  `ー─、、__У f!/.メ‐'/ jl:;ゞ;:!.  ,   ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
   / '´. ′/ルr┴くY >一イ.;:  ハ r'     ヾ゙   .,イ ,/`ー'イ;:〈`^’〟‥  ''''';;;;;''''''''''
  / .,ィ-─¬冖  ̄_ 二二二/.;:  ∧ヽ、_      /_/,フ,ニ´\;lヾ〟∵ "
.  ′/    _,ィ.,ニ二ィ一' ̄: :f ;:    ::\:::: ̄ア′/´ /ニ.し'.∧l:;ト,ヾ ~ `

(; <○><○>) 「……!!」


風によって僅かに逸れた矢は、信盛の横にいた小姓の頭を貫き、その小姓ごと後ろの壁に突き立った。
矢どころか、まるで槍が飛んで来たようだった。


彡`Д´ミ 「ちっ! 外したか」

彡`Д´ミ (佐久間とやら……まだ少しだけ運があるようだ)


あの鬼のような矢は、次は間違いなく自分の頭を貫くだろう。
信盛は蒼白となり、退却の命を下した。

(; <●><●>) 「退け! 退くんです!」


信春は柵の内に逃げ込んだ佐久間らを追わず、僅かの兵を丸山砦に置いて本陣に戻った。


14
武田軍は兵卒までもが信春の活躍を見ていた。戻って来た馬場隊を歓声で迎える。

彡`Д´ミ 「さて、御覧頂けたかな」

(`д´) 「見事だ、美濃守」

( ^ω^) 「美濃殿の武勇、いにしえの黄忠漢升にも劣らぬお!」


彡`Д´ミ 「どうあれ、佐久間の真意がお分かり頂けたかな」

(`д´) 「ああ、武田軍は機を見て退くとしよう。 大儀であった」


信春の豪勇が佐久間の詐略を暴いた。
しかし、五月二十日の夜、鳶ヶ巣山砦に織田徳川の別動隊が迫ろうとしていた。

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最終更新:2010年08月01日 15:15