98 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/06/06(水) 05:23:55

玄関の戸を開け、そこで少女達に遭遇した。
『それ』の様子を察するに、イリヤやノインと打ち解けようとなのはが何やら二人にやったらしい。
二人は怒りと笑いとを同時に浮かべながらなのはの良く伸びる頬を引っ張っていた。
軽く引っ張っているのはこの位置からでも良く分かったし、引っ張っている二人も笑いの比率の方が明らかに大きい。
その証拠に「痛い痛い」と良いながらもなのはは笑っていたし、三人の様子を一歩下がって見ているフェイトも隠しきれずに大笑いし

ていた。

だからそれはとっても微笑ましい光景で、ホリィや桜と一緒に笑ってしまった。


「……ん?」
「……はれ?」
その笑い声で、四人がこっちの存在に気付いた。
四人の動きは止まり、視線が一カ所に……ホリィに?
「か……」
か?
「可愛いー!」
最初に動いたのが誰か分からぬほど、四人が一斉にホリィに走り寄ってきた。

「え? え?」
ホリィは訳も分からぬと言った表情で四人に可愛がられている。
比べる前から何となく思っていたが……ホリィってちっちゃいよなぁ、四人と比べても。
イリヤ達の方が頭一つ分は軽く大きい。
大凡……1メートルあるかないかって位だろうか。
その位の大きさともなれば……年の頃は3から5って所だろう。
仮にその通りだとして、何故あの家にいたのか、という疑問はまるで解決しない。
とは言っても、どう聞けばいいものやら。
今はそんな話を切り出す雰囲気でも状況でもないし、下手に聞けば心の傷を抉るような事にもなりかねない。

それはよろしくない。
実によろしくない。
……ともあれ。
「四人とも、そこまでにしておいてやってくれ」
そのままエスカレートするとキスとかまでやりそうな可愛がりようだったのでとりあえず止めておくことにしよう。
……それはそれで見ていて楽しそうではあるがホリィが物凄く混乱するかもしれない、既にかなり面食らっているし。
「えっと、ホリィちゃんっていうの? わたし、高町なのは、よろしくねっ」
手を握って笑顔のまま上下にぶんぶんと振る。
……元気いっぱいだなぁ。

昨日受けたであろうダメージの影響はまるで見えない。
フェイトの方は、注意して見ていると僅かに動きが鈍い。
意識的にか無意識的にか、ダメージを受けた左足を庇うような動きをしているのが見て取れる。
勿論それは蚊ほどの儚さではあったのだが、それを見てしまったのは死にかけたという経験故、だろうか?

なのはの自己紹介を始まりに各々自己紹介をしていく。
最後にホリィが頭を下げて、五人の自己紹介が終わった。
「それで……士郎さん、この子、どうしたんですか?」
怪我の影響も多少あるのだろうか、一歩下がって冷静だったフェイトが聞いてきた。
「そうね、私も帰る前にその辺りは聞いておきたいわね」
……そうだった。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去る。
2日連続での宿泊はさすがにアウトなのか、イリヤは城に帰らねばならないんだった。
「それじゃあ、居間で話すよ」
まあ、もう桜と遠坂には話したんだけど、ホリィに聞いておきたいこともあるし、丁度良いか。

とりあえず——


リーグ:全員を集めよう
タイタン:茶くらいは用意しておくか
ヴァルダー:夕食の支度はやってしまおう

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最終更新:2007年11月24日 13:57