718 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/07/23(月) 04:38:20

「そっか、それじゃ遠坂達を探してくる」
「それじゃ盛りつけとかは私がやっちゃいますね」
「ああ、頼むな」

さて、居そうな場所といえば当然各々の部屋だろう。
「まずは……名城の部屋からだな」
最も手近な襖をノックする。
「名城、居るかー?」
「ッ! い、居る! 居るわ!」
中で物音がする。
「……?」
開けて良いものやら逡巡していると襖が一気に開いた。
「ど、どうしたの?」
なんか顔は赤いし息は切れてるし、服も乱れている。
ちらりと中を覗いてみるが何かがあったと言うわけでは無さそうだ。
「それはこっちの話……ああ、いや、夕飯の時間だから呼びに来たんだが」
何かのタイミングが悪かっただろうか?
「そ、そう……すぐ行くから、先に行ってて」
そう言うと同時に襖が閉められた。
……何かあったのだろうか?
「まあ……いいか」
言うべきことは言ったし、特に問題はないだろう。


さて……次は洋間に行くか。
和室と洋室を繋ぐ廊下のドアを開け。
「——!」
「……」
信じられない。
なんで目の前の黒豹は半裸なのか。
それも部屋じゃなくて廊下で。
廊下には真新しい服と下着、それに洋服が散乱している。
……着替えるなら普通は部屋だろう。
小学校の水泳の授業じゃあるまいし、なんでこう、廊下で着替えようとするのだろうか。
「なんでさ」
疑問符のない疑問文が口から漏れた。
「……そこの鍵をかけ忘れた」
「そうか……すまん」
できるだけ冷静に言って、ドアを閉めた。


「……ふう」
和室の方の縁側で一度溜息をつく。
なのは達もそうだが、名城も、蒔寺も妙な行動をしている。
この調子では居間にいた三枝さん達以外の全員が妙な行動をしているのではなかろうか。
「うーむ……謎だ」

——原因が自分にあることなど、桜との情事が筒抜けであったことなど、考えもしなかった。

「ん?」
視線を道場に向けると、電灯が点っていた。
「……誰か居るのか?」


深く、深く呼吸をする。
腰を落とし、膝を深く曲げ、拳を左右に開き、指を下に向ける。
そのままの体勢を続ける。

站椿。
中国拳法における基本鍛錬の一つ。
初めて僅か数十分であるが、汗が流れ出し、同時に体内で荒れ狂っていた性欲が流れ出そうとしている。
あと一時間もすれば落ち着くことが出来るだろう。
「何やってるんだ? 遠坂、ルヴィアもか」
だがそれは出来なかった。
「し、士郎!?」
「シェ、シェロ! どうしてここに!?」
途端に動揺して姿勢が崩れ、心臓が早鐘を打ち出す。
「いや、飯の時間なんだが……なんかみんな変なことしてるよな」
「ふ、ふーん、そう……」
「あ、あら、そうでしたの? 変ですわねー」
元々崩れていた站椿の型を止める。
ただそれだけの動きでポタポタと床に水分が垂れた。
その全てが汗では無かったのだが、それは誰も気にしなかった。


「えーっと、あとは……氷室か」
順当に考えれば宛がわれた……あの部屋にいるだろう。
でもなあ……コレまでのパターンからして、奇妙な行動を起こしていそうな気がしてならない……俺が行っても良いのやら。


パワーボム:自分で行くことにする
ラリアット:遠坂達に頼むことにしよう

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最終更新:2007年11月24日 14:27