487 名前:Fate/testarossa ◆JtheEeHibM[sage 二日目・言峰教会 - パートナーの意見 ~ 『最強の敵』] 投稿日:2007/11/12(月) 12:06:31
「そうだな……フェイトの意見を聞きたい」
ほぼ素人の自分だけで決めるより、フェイトの意見を取り入れたほうがいいだろう。
それに、これから一緒に戦っていくと決めたのだ。
パートナーの意見はちゃんと聞くべきだ。
「―――ベストは、ちゃんとした組織で保護してもらうことだけど」
フェイトの発言には否定的なニュアンスが含まれていた。
教会で匿ってもらうつもりでついていった氷室が帰ってきたのだ、交渉に失敗した事に気付いているのだろう。
それを受けて、遠坂が補足する。
「教会は当てにならないわ。監督役は事後処理しかしない」
「だったら、どちらかが匿うべきだと思う。
目撃者は消すというのがルールなら、どこにいても危険なことは変わらない。
それよりはちゃんと守る力のあるほうがずっと安全だから」
……やはり、そうなるのだろう。
言峰神父が言っていたことではあったが、冷静に考えるならそれが正しい。
だがそのあとは、言峰とはまた少し違う話になった。
「そして出来るなら、まだランサーに知られていないアーチャー達の方がいい」
「―――うちの場所を知らない奴なんていないでしょうけど。
衛宮君より私の方っていうのは、まあ妥当だと思うわ。外敵への備えは万全だし」
そこのモグリは管理者(セカンドオーナー)を知らなかったけど、なんて嫌な視線を向けつつ、遠坂が提案に頷く。
「と……遠坂、いいのか?」
「別にいいわよ。
綺礼も言ってたでしょ、最後まで守り抜くのと聖杯を手に入れるのは同じだって。
どうせ私達が最後まで勝ち抜くんだからついでよ」
なんだかとても漢らしく引き受けてくれた。
後ろのアーチャーも口を挟まないところを見ると、異論は無いようだ。
「氷室さんも、それでいいかしら?」
「……まあ、反対する程の理由はないな」
「じゃあ決まりね。さっさと帰りましょ」
遠坂に先を促され、俺たちは教会を後にした。
488 名前:Fate/testarossa ◆JtheEeHibM[sage 二日目・言峰教会 - パートナーの意見 ~ 『最強の敵』] 投稿日:2007/11/12(月) 12:07:21
四人で坂を下りていく。
前方では遠坂と氷室が今後の打ち合わせをしている。
「しかし、遠坂嬢の家に泊まるのか」
「? 何か問題でもあるの?」
「いや、友人にどう言うべきか思案してみただけだ」
「気にすることないと思うけど」
「まあ、そうなのだが………む、そうだった」
坂道を下りきり、そこで氷室が足を止めた。
この先は単純な分かれ道だ。
それぞれ、新都の駅前に続く大通りと、深山町に繋がる大橋に続いている。
「すまないが、少しマンションまで寄ってはくれないか?
着替えを取りに行きたいのだが」
振り返り、氷室が提案してくる。
確かに、氷室は学校からずっと制服のままだ。
巻き込まれてから休む間が無かったのだから当然なのだが、このまま着の身着のままで行動を続けるのも大変だろう。
「昼間のうちに動いたほうがいいでしょ? 明日になさい」
だがその提案は、遠坂によってにべも無く一蹴された。
「そうは言うがな」
「心配しなくても着替えぐらい貸すわよ」
「貸してくれることはいいのだが……いや、気にするまい」
まだ何か言いたそうではあったが、氷室はその話題を切り上げてしまった。
いったい何だったのだろう?
「なら行くわよ。
新都に来たついでに探し物をしたかったけど、そうも言ってられないし」
くるりと先に向き直り、歩を進める遠坂。
―――だが。
「――――」
あまりの唐突さで、その足はピタリと止まってしまった。
「……遠坂?」
彼女は先を見たまま動かない。
目をやると―――そこには。
【Desolation Giant】:白い少女と、巌の如くそびえ立つ、異形の大男がいた。
【Marauding Knight】:白い少女と、月夜にあってなお昏い、黒い甲冑の騎士がいた。
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最終更新:2007年12月29日 11:38