166 名前: Fateサスペンス劇場 ◆7hlrIIlK1U [sage] 投稿日: 2006/08/20(日) 11:56:08

三、大丈夫か俺!

 なんて事だ。自分の悲鳴で目覚めたのか。そういえば、異常に寝汗をかいている。滴る汗を腕で拭って、そのあまりに気色悪い感触に呆然となった。嘘だろ? なんで自分の腕がこんなに気持ち悪く感じるんだ? 生まれてからずっと親しんで来た、何の変哲もない腕なのに。筋肉で堅くてごつごつしてる、どこにでもある男の腕。……おとこの、うで?

「大丈夫ですか先輩っ!? きゃあっ! だれかっ! 姉さん! 先輩がっ! しっかりしてください先輩っ!」

 あの悲鳴を聞きつけたのか。真っ先に駆け付けてくれたのは桜だった。心配そうな顔。寝巻きのままの体。頬に触れるのは、少し冷たくシットリした指先。そして、豊かで柔らかい女性らしい胸。胸。乳房。喰らいたくなった。

 怖かった。思い出せもしない悪夢がじゃない。自分自身が怖かった。体中は業火に焼かれて灼熱して、欲望はマグマのように噴火しそう。犯したかった。犯したくなんてなかった。ずっと大切にして来た妹分を、優しく包んでくれた桜という女性を、衝動に負けて傷つけたくなんてなかったから。だから―――、怖かった。

「さく、ら……」
「はいっ、桜です。わたしですから、そんなに怖がらないで!」
「に、げろ」

 早く逃げろ。この部屋から。俺から。女が欲しい。渇望していた。獣欲に耐えきれない。悪夢を上塗りする情熱が欲しい。泣きつき甘えれば桜はきっと受け入れてくれるだろう。だから怖い。こんなにもおまえが欲しくて、こんなにもおまえを抱きたくて。きっと壊してしまうから。

 そう、だから逃げてほしかった。なのに桜は微笑んで―――。

「先輩になら、壊されてもいいですよ、わたし。……うん。それってとても幸せかも」

 なんて、静かに胸元に抱き寄せてくれた。

 押し倒した体勢のまま、桜の肉体が痙攣する。背中には彼女の爪。絶頂に昇る度、皮膚を裂き肉に食い込む優しい凶器。十、二十、切り裂かれた傷痕は数知れない。涙がとどめなく溢れている。惚けた口元からは涎が垂れ落ち、啜るととても甘かった。

「せんぱい……、せんぱい……」

 繰り返し、繰り返し、桜は俺を呼び続ける。その度に俺は口付けを返す。桜の瞳は虚ろになって、耳はとっくに蕩けてたから。

「ひゃっ、っぁあぁああああ! せんぱいぃー!」

 再び絶頂。桜の膣が収縮して、続けて俺が絶頂をこえる。最奥に激流を叩き付け、彼女の締まりをさらに楽しむ。もう数えきれない射精をした。それでも、欲望は全く萎えていない。

 腰が痛い。背骨が痛い。尿道が痛い。睾丸が悲鳴を上げている。出すものなんてとっくに残ってなかったし、体力だって枯れ果てている。肉棒を駆け抜ける快楽は痛覚にとって変わっていて、それは桜も同じだろう。だけど、そんな些事は関係なかった。桜が足りない。とにかく桜を貪りたい。腰の動きを再開させ、乱暴に体位をかえ、もっと深くと後ろから貫く。

「あっ、はぁっ……。せんぱい……、せんぱい……」



 時刻は既に11時をまわった。悪夢に飛び起きたのが5時前で、桜を押し倒したはそのすぐ後。あれから六時間。ギヤは全開全速力、ノンストップで休みなし。限界を振り切ったデスマーチは、まだまだその限界を見せていない。桜はずっと犯され続け、肢体の尽くを貪り尽くされている。

「ああ、ああぁぁ……、ふぁあぁぁ……」

 絶頂に次ぐ絶頂に叩き込まれ、もはや喋る事すら満足にできない。四肢は弛緩しきっていて、体位も何もかも俺の思うがままだった。秘花はどろどろと白濁にまみれ、菊座はぱっくり広がっいた。乳房は真っ赤に腫れていて、胃の中まで欲望で満たされてるはずだ。

 何度失神させただろう。どれほど桜を愛しただろう。一方的に思いの丈をぶつけ続けたのに、桜は健気にも応えてくれる。おぼろげな意識のなか、必死になって手足をからめてくる。なんて、愛おしい。だから、もっと―――。

 ―――壊したい。

 房を丁寧に愛撫して、長くきれいな髪に口付ける。どうせなら、始めからやり直そう。これ以上なく優しくして、桜の全てを壊してしまおう。

 自分でも驚くほど優しい声。だというのに何故か、あれだけ受け入れてくれた桜の瞳が、初めて恐怖の色に染まっていた。

「桜、一緒にいこう……」
「ひっ! せん……、ぱ……、い……?」

 愛しい乙女は、決して逃げられぬ運命とも知らずに後ずさった。

「いやぁあぁぁぁ……!」

 抵抗も構わず抱き締めた。肉棒はさらに活性化し、柔らかいお腹にあたっている。まるで陵辱のような、何よりも愛の為に愛し合う行為。桜の悲痛な叫び声をかき消すため、その可憐な唇を奪うとして―――。

「うちの妹にナニしとんじゃこのケダモノがっー!」






















「げっ、寝過ごした……」

 目覚めると既に一時を回っていた。昨日はそんなに疲れたのか。……まあ、疲れたんだろうな。その証拠にこれだけ寝ても体力が回復しきってない。

「あれ? 昨日はこのパジャマ着てたっけ?」

 記憶になにか違和感がある。何か大切な事を忘れてるような。何か致命的な事を仕出かしてしまったような。そういえばシーツも取り替えてあって、窓はまるで換気中のように全開だ。

「まあいいや。腹減った」

 寝起きは悪くないはずなんだが、どうも頭がぼんやりしてる。何故か後頭部がズキズキして、腰も痛くてたまらなかった。まだ若いのになあ。



 ―――で、リビングで俺を待受けていたのは
一、般若もかくやという遠坂だった。
二、気恥ずかしそうに笑う桜だった。
三、冷たく見下ろすイリヤだった。
四、プンスカ怒ったルヴィアだった。
五、アホ毛が付いてないセイバーだった。

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最終更新:2006年09月04日 17:15