770 :もしハサ ◆yfIvtTVRmA:2007/11/26(月) 00:19:59


構えるバゼット、対してハサンは椅子に深く座り込んでそのまま椅子ごとジャンプし
部屋の端、バゼットから一番遠い場所に移動する。

「ただし、私は戦いませんよ。奇想奇館の能力通り私はマスターと共にある事でしか
実力を発揮できない。と、いうか痛いのは嫌ですし、それに自分の手で拷問するのも
飽きまし―」

がこん。
数メートルはあった距離を一瞬で詰めたバゼットの鉄拳が髑髏の面を強打し言葉が
途切れる。
壁に叩きつけられた状態から身をよじりハサンは続く蹴りを紙一重でかわし、
今度は椅子から降り腹を揺らしながら走って逃げ出す。そしてさっきいた場所の反対、
対角線上の位置で振り返り、攻撃により割れて使い物にならなくなった仮面をはずした。

皮を剥ぎ鼻も削がれ個人を識別できるはずのない筋肉繊維むき出しの顔、しかし
その顔には嗜虐者特有の笑みが張り付いており、それ自体が新たな仮面だと一瞬錯覚
させるほどだった。

「人の話はちゃんと聞くべきですよ。周回プレイじゃないんだしイベントムービーを
スタートボタンでスキップする様なマネはダメですバゼットさん。さて、どうやら
貴方の相手が到着したようですよ」

ハサンの言葉と共にハサンの横にある扉、最初にバゼットが入ってきた扉から少年が
出てきた。ここに来るまでずっと走って来たのだろう。額には汗が浮かび肩が大きく
上下に揺れている。
少年はすぐ横にいるハサンに気付くそぶりも無く、バゼットに向かい話し出した。

「ようやく見つけた、あんたに頼みたい事があるんだ」
「・・・私に何か?」
「ああ、俺は衛宮士郎。あんたに助けてほし「ちぇりゃ」ガ―――――!」

士郎がバゼットに何かを伝えようとしたその隙にハサンが動き出す。
士郎の周辺の床から十本前後の長い腕が伸び体を覆い隠す。腕が引っ込み姿を現した
士郎の両手には墨で塗りつぶされたかのような真っ黒な二本の剣が握られていた。

「さあ、戦うのですマスター。その剣は英霊の端くれである私が作り出した作品です。
サーヴァント相手だとたいして役に立たないが人間同士の戦いなら十分な戦闘力アップ
間違いなしの業物ですよー。一人のマスターに肩入れするのは本当はいけない事ですが、
奇想奇館内に存在するマスターと私の敵を倒す為には仕方の無い事ですよね?
ええ、仕方の無い事なんですよ」

自分の手に握られた剣をまじまじと見つめる士郎。

「戦うのです、マスター。元々奇想奇館はこういった目的で使用される空間。
今こそ力を合わせ戦う時なのですよ」

じきにその目は狂気に染まっていき―、

[選択肢]
イ.バゼットに切りかかった。
ロ.ハサンに切りかかった。
ハ.自身の胸に剣を突き立てた。

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最終更新:2008年01月17日 18:28