571 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/09/30(日) 03:34:23
扉を蹴破り、突入する事だ。
蹴飛ばし、倒れる扉を目眩ましにして先制の一撃を与え、そのまま離脱する。
基本的だが、そう間違った物でもないだろう。
とはいえ、室内の気配は非常に濃すぎて敵であろう存在の様子は分からない。
なればこそ、蹴破ることは既定の路線とはいえ多少の慎重さは必要だろう。
決断と共に全力で蹴り飛ばす寸前、あるコメディーを思い出す。
強く蹴りすぎて扉全体ではなく蹴った部分だけが吹き飛ぶというシーンだ。
ちなみにその直後に蹴った方は銃弾で蜂の巣にされた。
こういう場面で、そんなことを考える程度に余裕はあるらしい。
古ぼけた蛍光灯の明かりの下で微かに笑ってしまった。
僅かに力を加減し、扉を蹴破り突入した。
「な」
突入した瞬間、動きを止め、立ち尽くしてしまった。
目眩ましとなるはずの扉は派手に音を立てて床に倒れた。
古ぼけた蛍光灯の人工的な光は弱い物だが、彼女の目には室内の様子が詳らかに映された。
故に動きを止めたのだ。
それは予想の外の物だった。
そこにあったのは快楽に染まる多数の少年少女。
ある者は体を折り重ねて倒れ、またある者は体を重ねている。
共通してその瞳は何者も映さず、口元から涎が落ち、意味を為さぬ声や荒い息が漏れ出ているのが聞こえてくる。
僅かに少年少女達の隙間から見える床は一面が湿っていた。
それが何を意味するかは言うまでもなく、この狂宴がどれほどの物であったか、どれだけ続いているのかを思わせずには居られない。
なんだこれは。
これに何の意味がある。
その問いに答えられるとすれば、それは。
「んんっ!」
部屋の奥で、宴の中で少女の体を舌で弄ぶ魔術師らしき男の存在をおいて他にあるまい。
こちらに気付いて居るであろうに、少女の体を弄ぶことに主眼を置き、臍から肩口までを執拗に舐る。
そこで少女は限界を迎えたのか、足から力が抜け、倒れ込む。
倒れ込む少女を抱き上げ、口中を舐り、股間をまさぐりながらながら侵入してきたライダーに微笑みかける。
少女の瞳は光を失ったまま、体を快楽によって痙攣させながら悦びの声を上げる。
そこに理由があったのか無かったのか、男の笑顔が癪に障った。
ライダーは今すぐにでもあの男の頭を粉砕してしまいたかった。
だが両者の間には少年少女が何人も居た。
この宴の意味はまるで分かりはしなかったが、この人海は既に男の盾となっている。
そしてこの濃厚に過ぎる性臭は集中力を削いでいく。
ライダーは――
最終更新:2008年01月17日 19:12