250 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg:2007/12/30(日) 23:41:43
そうだな……ここは一つ、雛苺の力を借りよう。
何しろ雛苺は、水銀燈と同じ薔薇乙女《ローゼンメイデン》だ。
ひょっとしたら、何か目覚めさせる方法を知っているかもしれない。
そうじゃなくても、俺には思いつかないような、子供ならではの発想に期待できるし。
そんなわけで、俺は雛苺と目線の高さを同じにしながら、改めて声をかけた。
「雛苺、頼みがあるんだ」
「うゆ?」
「雛苺もさ、水銀燈を起こすのを手伝ってくれないか?」
「え? ヒナが?」
俺にお願いされるとは思っていなかったのか、驚きの声を上げる雛苺。
畳み掛けるように、両手をパン、と合わせて拝みこむ。
「ああ、雛苺が、これなら絶対起きる! って思うようなやり方でさ」
「ん~と……うん、わかったの!」
雛苺は、口元に人差し指を当てて、じっくり考えるようなそぶりを見せた後、大きく頷いた。
「じゃあ、ちょっと待っててねー!」
「え? あっ……」
止める暇もあればこそ。
雛苺は全速力で、土蔵の外へと飛び出して行ってしまった。
「……何か、道具を取りに行ったのかな?」
もしや、薔薇乙女に伝わる目覚めの薬、とか?
……まさかな。
人形である彼女たちに、薬で治すという概念があるとは思えない。
そうすると、いったい何を……?
「うーん、気になるなぁ」
しかし、気にしてばかりもいられない。
待っている間、俺自身も何か手を講じておかなければ。
さて、何をするべきか……。
最終更新:2008年01月17日 20:56