222 :はじめてのさーう゛ぁんと ◆XksB4AwhxU:2007/10/30(火) 20:20:14


前:スリーサイズは?





(ずばり、アンサラーちゃんのスリーサイズは!?)

 言った瞬間。ぴしり、と。空気が凍る音がした。
 己の本能に従い、天の声の後押しも得て、聖杯も戦争もサーヴァントもかなぐり捨てて聞いた。シークタイムゼロセコンド。脊髄反射もびっくりだぜ。
 ――きっちり十秒後、その空気を引き裂いたのは、心なしか声が上ずったアンサラーちゃん。

(そっそっ、それを聞いて、お前は何がしたいのだ!)
(何って……ナニ?)
(ナっ……!?)
(もちろん冗談だよ?)

 ぷるぷると震えて(姿は見えないので、俺の想像だが)、アンサラーちゃんは抑えた声で、

(お前は、私に、そんなふざけたことを、聞くために、呼んだのか?)

 と言った。
 ヤバイ。萌えるかも。

(――すまん、少し調子に乗りすぎた。真面目に聞くよ)
(そうしてくれ。でないと私は――)
(俺と結婚しないか?)
(――。…………、)
(俺と結婚しないか?)
(繰り返すな。とりあえず歯を食い縛って丹田《たんでん》に力を込めて障害物の無いところに移動しろ)
(? な)

 何で、と聞く前に、『ソレ』は起こった。怒った。脳に膨大な情報が氾濫する。気持ち悪い/脳髄に直接ぶち込まれ/気持ち悪い/耳の穴に鉄パイプを通したように/気持ち悪い/手が匂いを受信し/気持ち悪い/口が色をくぁwせふじこlp



――始まりの刑罰は5種、生命刑、身体刑、自由刑、名誉刑、財産刑、様々な罪と泥と闇と悪意が回り周り続ける刑罰を与えよ『断首、追放、去勢による人権排除』『肉体を呵責し嗜虐する事の溜飲降下』『名誉栄誉を没収する群体総意による抹殺』『資産財産を凍結する我欲と裁決による嘲笑』死刑懲役禁固拘留罰金科料、私怨による罪、私欲による罪、無意識を被る罪、自意識を謳う罪、内乱、勧誘、詐称、窃盗、強盗、誘拐、自傷、強姦、放火、爆破、侵害過失致死、集団暴力、業務致死、過信による事故、誤診による事故、隠蔽。益を得る為に犯す。己を得る為に犯す。愛を得る為に犯す。徳を得る為に犯す。自分の為に■す。窃盗罪横領罪詐欺罪隠蔽罪殺人罪器物犯罪犯罪犯罪私怨による攻撃攻撃攻撃攻撃汚い汚い汚い汚いおまえは汚い償え償え償え償え償えあらゆる暴力あらゆる罪状あらゆる被害者から償え償え『この世は、人でない人に支配されている』罪を正すための良心を知れ罪を正す為の刑罰を知れ。人の良性は此処にあり、余りにも多く有り触れるが故にその総量に気付かない。罪を隠す為の暴力を知れ。罪を隠す為の権力を知れ。人の悪性は此処にあり、余りにも少なく在り辛いが故に、その存在が浮き彫りになる。百の良性と一の悪性。バランスをとる為に悪性は強く輝き有象無象の良性と拮抗する為強大で凶悪な『悪』として君臨する。始まりの刑罰は五に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す勧誘、詐称、窃盗、強盗、誘拐、自傷、強姦、放火、爆破、侵害汚い汚い汚い汚いおまえは汚い償え償え償え償えあらゆる暴力あらゆる罪状あらゆる被害者から償え償え『死んで』償え!!!!!!キ……キキ、キキキキキキキ!タベロタベロタベロタベロ、骨ノ髄マデ食イ尽クセ! 救いナンテありはシナイ娯楽なんてアリハしない、ツマらないツマラナイ、人間ナンテツマラナイ! ツマラナイクダラナイ、ウバイアイコロシアイ!ソウシテ自滅シロ自滅シロ、ツマラナイナラ自滅シロ! キ、キキ、キキキ、キキキキキキキキキキキキキ───キキ、キ、キ。ひ。ひひひ、あははははははは!蛮脳ハ改革シ衆生コレニ賛同スルコト一千年。学ビ食シ生カシ殺シ称エル事サラニ一千。麗シキカナ、毒素ツイニ四肢ヲ浸シ汝ラヲ畜生へ進化進化進化セシメン……!ヒ、ヒヒヒ、平伏ス土下座ル末路ワヌ!切開無惨ニモ失敗シ無能名声栄光罪状コレ弐オイテ騎士ノ勲章ヲ我ニ我ニ我ニ与エ脳ハ腐敗シ魂魄初回ヨリ既ニ無ク第二生産、第二生産、第二生産、大量出荷!魂魄ノ華 爛ト枯レ、杯ノ蜜ハ腐乱ト成熟ヲ謳イ例外ナク全テ ニ配給、嗚呼、是即無価値ニ候…………!!!!――



(――とりあえず雑多で膨大で攻性な情報を脳にぶち込んでみたが、どうだ?)

 涼やかなアンサラーちゃんの声が聞こえた途端、俺を蝕んで苛んで犯していた情報は影も形も無くなった。なので自動人形のように謝る。

(ゴメンナサイワタクシメガワルウゴザイマシタ)
(これ以上ふざけるなら、お前は史上初の、『情報で頭がパンクして脱落したサーヴァント』になるぞ?)
(ゴメンナサイワタクシメガワルウゴザイマシタ)


臨:サーヴァントを二人従えることは可能か?





(サーヴァントを二人従えることは可能なのか?)
(原則としてマスター一人に対してサーヴァント一騎が基本。よって、不可能と答えるのが正しいのだろうが……人の作った法には必ず穴がある。その穴を逆手に取れば、あるいは二騎従えることも可能だろう)
(つうかクソガキ……俺のマスターが、現に二人従えてるんだよな)
(――な、)

 何だと、と。アンサラーちゃんの驚愕の声。

(それは本当か?)
(嘘を吐くメリットなんて無いし。クソガキは確かに、俺とライダーさんを従えてるよ)
(……むぅ)

 しばらく思考したのち、俺に問い掛ける。

(ちなみにその方法は?)
(俺も知らない。っつうかそれが知りたくて、アンサラーちゃんを呼んだんだけど?)
(そうか……)
(アンサラーちゃんでも知らないことがあるんだ?)

 何だか、『全てを知ってるぜ、ふふん』というイメージがあったのだが。

(最初に言ったはずだが? 私は『答えを知り』『答えを返す』者だと。
 まあ、この件は私も興味があるから、調べておくとしよう)
(次は『答えを返せる』ように、か?)
(ああ)

 なるほど、さすがは仕事に生きる女。





兵:他のサーヴァントの情報は?





(他のサーヴァントの情報を教えてください!)
(いいだろう。ただし、お前が今まで会ったことのあるサーヴァントに限らせてもらうがな)
(……マジかよ。ってことはライダーさんとキャスターだけってことか……)

 この質問はあまり意味無かったかもな……。

(そう言うな。お前は真名が分かっただけで能力を推察できるほど、知識も経験もないだろう?)
(そりゃあそうだけど……まあいいか。ライダーさんは味方だから良いとして、キャスターの情報を教えてくれ。確か……真名は鰈ステーキだったか)
(カレイドステッキか。これは随分とまた……)

 呟いたっきり、何やら思索するような沈黙が返ってくる。
 いい加減痺れを切らしそうな頃、ようやくアンサラーちゃんは口を開ける。

(カレイドステッキは、かの宝石翁キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグが作った女性限定の魔術礼装で、契約した術者に莫大な魔力を供給するマジックブースターのようなもの。
 宝具は多元転身《プリズムトランス》で、使用者に並行世界の使用者のスキルをダウンロードすることができる。つまり、マスターを、マスターが望んだ姿に『変身』させることができる。
 マジカルルビーという声だけは可愛らしい人工天然精霊が宿っている。お前と会話していたのは、この人工天然精霊のようだな)
(何で奇妙な物《そんなもの》がサーヴァントなんてやってるんだ?)
(さあな、私には分からん。よほどマスターと深い縁があったのか、あるいはネタ投票のせいで後付け設定を考えている最中なのか……)
(は? ネタ?)

 不可解な単語が聞こえてきたぞ。

(気にしないでくれ。お前は『タイヤキは頭から食べる? 尻尾から食べる?』と聞かれて、『腸《はらわた》から』と答えるような人間ではあるまい?)
(いやいやいや。意味分かんないから。俺は頭から食べるから)
(そうか。私は食べたことがないので分からないのだがな)

 なら何で例えに使ったんだ?

(ちなみに◆XksB4AwhxUは、尻尾からちまちま食べるのが好みだそうだ)
(え? ◆XksB……何だって?)

 それに対しても気にしないでくれ、と一言で済まされた。何だってんだ?
 なおも聞こうとしたが、何故か果てしなく嫌な予感がしたので、この件は忘れることにした。





(他に聞きたいことは?)
(今のところはないな。何かあまり情報を得た気がしねぇけど……)
(また何かあったら呼べば良い)

 それもそうか、と俺は口を開き――。





   【選択肢】

エア・ギター:「じゃあまた」と、名残惜しいが別れを告げた。
エア・ブレイカー:「何やってんだよ、アーチャー」とクソガキが入ってきた。マジ空気嫁。

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最終更新:2008年01月17日 23:18