332 :はじめてのさーう゛ぁんと ◆XksB4AwhxU:2007/11/06(火) 20:15:28
エア・ブレイカー:「何やってんだよ、アーチャー」とクソガキが入ってきた。マジ空気嫁。
「何やってんだよ、アーチャー」
クソガキが参上してくれました。マジ空気嫁。
「別に何も……」
「何だよ、役立たずだな。言われなくても他のマスターの情報を集めに行くとかしろよ」
「魔力不足でそれどころじゃねぇんだけど?」
「お前バカだろ? ついでにそっちも取ってくればいいじゃん。お前に消えられると、僕が困るんだよ」
自分勝手なことを言うクソガキは俺の目の前を横切り、キッチンへと入っていった。再び出て来た時には、両手に惣菜パンを抱えている。それを見て、今の時間が昼に近いという事を知った。
「思ったよりもアンサラーちゃんと話してたんだな……。ん? アンサラーちゃん、アンサラーちゃん?」
アンサラーちゃんに声をかける。
……返事がない。
どうやら、クソガキに気を取られている間に、帰ってしまったらしい。マジかよ。
「チクショウ……わかめの分際で……!」
クソガキのせいで別れの一時が味わえなかった。ありったけの恨みと怨みの視線をクソガキにぶつける。効果はいまひとつのようだ。クソガキは実に不味そうにパンを齧《かじ》っている。
「クソ……桜の奴、もっとマシなのを買っておけよ……!」
そこでふと、一つの疑問が湧いた。
「何でクソガk……間桐が家にいるんだ?」
桜ちゃんは今朝、制服を着ていた。だからてっきり、クソガキと一緒に学校へ
行ったものと思っていたのだが。
「ちっ……遠坂に見られたんだから、学校に行けるわけないだろ!」
若干以上の苛立ちを込めて、怒鳴られた。
「遠坂って凛ちゃんのことか? もしかして同じ学校?」
「ああそうだよ! ついでに言うと遠坂はこの土地の管理者《セカンドオーナー》で、……多少、腕の良い魔術師だ。だから、見られた以上『のこのこ』と学校に行けないんだよ! 少しは自分の頭で考えたらどうだ犬公!!」
「……だから。そういう事情を知らねぇから聞いたんだろうが。あと俺を犬公と言ったか!?」
「真名は乾って言うんだろ? そっちよりお似合いじゃないか」
ふふん、と見下したように笑われる。いや、コイツの場合本当に見下してるんだろう。
「よし、今日からお前は犬公だ。ほら三回回ってワンと鳴けよ犬公」
「ちょっと待てやクソガキ。てめぇ、他マスターの前でもそう呼ぶつもりか? そんな安直な命名から真名がばれたらどうする気だ? 聖杯戦争の常套手段も知らねぇのか?」
「お前みたいなマイナーな奴、ばれる心配も無いね」
「俺はそこまでマイナーじゃねぇ」
「僕が知らないんだからマイナーだろ?」
「てめぇが知らねぇだけだろうが! モグリでもねぇ限り、魔術師なら俺のことを知ってるはずだ。……ん? ってことはお前、本当にモグリなのか?
――はっ、やれやれ、可哀相に」
思いっきり侮蔑して笑ってやった。案の定、パンを投げ出して掴み掛かってくる。
「お前……使い魔のくせに生意気なんだよ……!」
胸ぐらを掴んでいる手首を、壊さない程度に握り締める。
「使い魔じゃなくてサーヴァント、な。で、何をする気だ? 虎の子の令呪でも浪費する気か?
言っておくが、俺はあくまで令呪があるから、てめぇに嫌々付き合ってやってるんだ。令呪が無くなったら、」
握った手に少しだけ、力を込める。クソガキはカエルが潰れたような悲鳴を上げる。
「――はぁ」
ぽい、とクソガキを放り出す。何と言うか、クソガキ相手にイラつくのが虚しくなった。手を離した途端、逃げるように居間から出ていくクソガキ。
それを見送って、俺はソファにだらしなく腰掛けた。
「全く……何ムキになってるんだか。カッコ悪いだろ? 乾 有彦」
半分染めてある髪をかきあげ、軽くため息。
「お、おい、アーチャー!!」
と。出ていったはずのクソガキが、目の前にいた。
「朝言った通り、今夜学校に行くからな! つ、ついてこいよ! 良いな!?」
言うが早いが、クソガキは再び居間を出ていった。その手に、食べかけだった
パンを持って。
「――は、」
あれだけ凄んでも、まだあんな態度が取れるのか。自己中なのか、以外に骨があるのか……。
ともあれ俺は、多少は見直しても良いかな、と考え始めていた――。
「――、って危ねぇ!!?」
危うくクソガキルートへのフラグが立つところだった。やばいぜガッデム。
寝よう。魔力不足で頭が働かないだけなんだ。そうだそうに決まっている。
さっさと霊体化して、ソファに横になった。ありえないありえないありえない、と呟きながら。
【選択肢】
最終更新:2008年01月17日 23:21