423 :エルメロイ物語 ◆M14FoGRRQI:2008/01/06(日) 23:19:56
二日目『おっぱいぶるるーんぞうさんびろーん』
「ロンドン、何もかもが懐かしい。―とは思えないな、やはり」
空港の屋根の上、霊体化したままの状態で抑止力エミヤは呟いた。
生前自分はここに来た事があるらしい。自分の事なのにらしいと表現するのは過去の事を
いちいち覚えていないからである。
二十歳を過ぎた時から世界中を飛び数多の戦場を見てきた。
死後世界の守護者となってからは生前以上の密度で多数を生かす為にあらゆる時代・場所
へと存在した。
死後も含めれば彼の人生の情報量は既に常人の数十倍から数百倍に相当する。
いつからか任務に関係ないことをいちいち思考の奥に置いておく余裕などなくなっていた。
ゆえに青春の思い出などとっくに磨耗してしまっている。
聖杯戦争や養父と語らった日の事はさすがに忘れはしないが十代の頃の思い出の殆どは
誰かに言われないと思い出せない程に霞がかかっている。
「まあいい。それよりも仕事に集中しなければな」
そう、今回彼がここに来たのは決して観光などではない。世界の守護者にはそんな暇は
ない。彼がそこにあるという事はそっくりそのまま世界の危機、言い換えれば人類の
存亡の危機もまた存在するということである。
既にやるべき任務の一つ、日本にいる荒耶という男の儀式の妨害は成功に終わっている。
そしてもう一つの任務、この時代この地にてロード・エルメロイと呼ばれた魔術師の
後継が決まるまでを見届け、もしそれを阻害するものがあれば速やかに排除する事。
いつもと同じ、多数を生かす為の掃除屋としての仕事である。もちろん誰も傷つかずに
すむならそれに越した事はないが。
「では行くか。今度の現場はさっきとは違い多くの魔術関係者が入り乱れている。
みだりに姿を見せるべきではないな」
そう言い、自分の存在を限界まで希薄化させてから地面へと降り立つ。
アサシンのサーヴァントの気配遮断とまではいかないが、この状態なら戦闘状態に
移行しない限り、霊視に特化した大魔術師級の者か自分とよほど強い縁を持つ者で
なければ存在を感知する事もできないだろう。―そのはずだった。
【選択肢】
鉄腕と共に:中学生ぐらいの少女がじっとこちらを見ている。
豪腕と共に:小学生ぐらいの少女がじっとこちらを見ている。
鉄腕と豪腕:二人の少女がこちらを見ている。
ヒーローは孤独:視線を感じた気がしたが、やはり気のせいだった。
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最終更新:2008年01月27日 23:12