442 :エルメロイ物語 ◆M14FoGRRQI:2008/01/08(火) 13:37:55


小学生と中学生ぐらいの二人の少女がこちらを見ている。
ありえない話だ。先程も言った通り今のエミヤを見る事ができるのは世界中でもほんの
一握りの人間だけ。例えばコルネリウス・アルバでさえも両手の届く距離にまで近づいて
ようやく姿は見えなくても辛うじて存在を知覚できる程度。そんな存在なのである。

だが奇跡が起こってしまった。魔術の才能を持ち、かつエミヤと強い関わりを持った
人間が空港前の大通りに現れ、エミヤの存在を完全に視認してしまった。
それも一度に二人もだ。

やがて彼の正体を確認しようとして左右からほぼ同時に二人の少女が歩み寄ってくる。
右からはショートカットの中学生、左からは巻き毛の小学生。
ここでエミヤは過ちを犯す。霊体化している特性を活かしてさっさと壁の向こうや
地面の下に逃げればいいものを、それをせず二人が目前に迫るまで何もしなかったのだ。
いや、何もできなかったのだ。二人を目にした瞬間彼の脳内に生前の情景が連続的に
浮かび上がってきたのである。

ダッシュストレート、ボディスラム、ルーン強化のワンツー、ベリィトゥベリィ、
エクスカリバー破り、ウェスタンラリアット、じゃんけん死ねぃ、青のカレイド、
不採用、紅茶事件、二日でクビ、一人前の執事への道、ランサー、遠坂、そして時計塔。

痛みと悲しみと喜びと出会いに溢れていたあの頃、だが肝心の記憶、この二人の
少女がどこの誰でいつ自分と出会いどんな関係を築いたかまでは思い出せなかった。
せめて出会ったのがどちらか片方だったなら記憶が混濁する事なくあっさりと思い出せた
のかもしれないが。

「そこに誰か―いますね?」

ついに中学生の方に声を掛けられてしまう。そして小学生の方も中学生の言葉によって
自分が見えているモノの存在に確信を持ったのだろう。こちらに声を掛けてきた。

「場所からいって交通事故でお亡くなりになった自縛霊かしら?でも危険な霊特有の
怨念めいた力は感じ取れませんわね。ねえ、あなたは一体どこのどなたなのかしら?」

一般人が傍からみれば歩道の端で少女二人が何か話している様にしか見えないだろう。
だが少女達には完全にこの場所にもう一人の存在を認識していた。
そして、エミヤはこれまでの状況、任務への影響の可能性を考慮し―、

【選択肢】
過去に流されるな:少し機を逸してはいるが無言で逃げさる事にした。
過去から学べ:二人の問いかけに答える事にした。


投票結果

過去に流されるな:0
過去から学べ:5

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年01月27日 23:13