460 :エルメロイ物語 ◆M14FoGRRQI:2008/01/09(水) 03:13:02
もし彼女達が時計塔の関係者で今回の任務に今後関わってくるとしたら今ここで逃げるの
は色々とまずい。そう判断し、自分の素性を正直に語る事にする。もちろん隠さなけれ
ばならない事は全部伏せるが。
「私の名はエミヤーマン。生前このロンドンの地で修行し正義の味方を目指していた
魔術師だ」
一応嘘ではないはずだ。多分。その後、自分は生前暮らしていた事のある時計塔で
なすべき事がありそれを済ませるまでは天に昇れないのだという感じに説明をする。
「では幽霊仮面さんは時計塔の人だったのですの?」
「ああ、お嬢さんの言うとおりだね」
「じゃあ私と一緒に行きましょう、旅は道連れですわ」
「いや、お嬢さんちょっと待て。何でそうなるんだ」
「だっておじさんが本当は悪い幽霊かもしれないし、もしそうなら私とそこの人だけじゃ
手に負えないかも知れませんわ。そうでしょ?」
「そうですね」
小学生の提案に肯定をしたのはもちろん中学生の方の少女。
「ちょうど私も時計塔にまで行く用事があります、三人で一緒に行きましょう」
こうしてエミヤは強引に二人の少女に連れられて時計塔へと向かう事となってしまった。
相手は子供二人、逃げようと思えば逃げられるが今更逃げても今後時計塔で自分が警戒
される可能性が高まるだけである。ならばいっその事自分の姿が見える二人に対し自分は
いい幽霊だと思わせる努力をする方が苦労が少ないと判断した。
そして移動中に会話を交わす事である程度の信頼を得ると同時にいくつかの情報を得る
事も出来た。
中学生の方はバゼット・フラガ・マクレミッツ。今日時計塔内で有名な講師が講演会を
開くのでそれを聞きに来たのだとか。
小学生の方はルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。時計塔で働いている親戚に学校案内
をしてもらいに行く所だったらしい。
そしてこの二人は知り合いでも何でもなく、エミヤを同時に発見したのも単なる偶然
だった事が発覚した。つまり、エミヤのせいで二人は本来の歴史よりも早く出会った
とも言える。
(しかし・・・やはり思い出せん)
バゼットにルヴィア、二人の名前まで分かったのにエミヤはまだこの二人との生前に
おける関係を思い出せないでいた。が、やがてこう結論付ける事にした。
何か問題になるわけじゃないし思い出せないなら別にいいか、と。
そうこうしているうちに目的地に到着。
「「「時計塔…」」」
口にした言葉は同じだがそれぞれ別々の思いを胸に呟いた三人。
「幽霊仮面さん、もしここで騒ぎをおこしたら分かってますわよね?」
「君達が私の存在を即座に通報して、こわーい魔術の先生方に来てもらうのだろう?」
「そうなりますわね。もし、私かバゼットお姉さまが今日ここで奇妙な事件に出くわし
たらあなたがやったものと判断しますからそのつもりでいてくださいね」
「ああ、もちろんそれで―いやまて」
承諾しようとして重大な事に気づく。
「その条件では私以外の悪霊や時計塔に恨みを持つ狂人が事件を起こした場合、
私が除霊され損になるではないか」
そう、二人には絶対に言える事ではないが、抑止力であるエミヤが存在している時点で
今日ここでなんらかの事件が発生する確立はかなり高い。
「では、こういうのはどうでしょう」
バゼットが提案を持ちかける。
「今日私達の用事が終わるまでエミヤーマンさんには私達と一緒にいてもらえば
先程挙げた問題は解決すると思います。事件が起きたとき私達の傍にいればすなわち
シロですからね」
「それだと私の目的が達成されるのが遅れ―」
「今ここで悲鳴あげますよ?」
「あげますわよ?」
「はいはい、君達が時計塔を出るまでは離れないしもちろん事件も起こさないと約束
しよう。私は正義の味方だからな」
今回の任務はまずは見守る事である。
人類の歴史的に害となる行為を行う人物が現れるかどうか、そしてそれは誰かはまだ
確定はしていない。
ひょっとしたら自分の介入で既に結果が変動している可能性すらある。
いずれにせよ今すぐに単独で行動しなければならない程の展開には至っていない以上、
彼女達に付き合いながら時計塔内の情報を一つづつ把握していくというのも悪くはない。
【選択肢】
警備員用仮眠室へ:バゼットはこれから講演会の難しい話に集中しなければならないので
ルヴィアに付いていく。
アーチボルト講師の講演会場へ:ルヴィアは親戚の人と色々プライベートの話が事ある
だろうしバゼットに付いていく。
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最終更新:2008年01月27日 23:14