601 :エルメロイ物語 ◆M14FoGRRQI:2008/01/13(日) 18:18:39


扉を開く。その先には凄惨な光景が広がっていた。

「何ですか、コレ」

バゼット達は教壇の後ろ、黒板をじっと見つめる。
そこにはコルネリウス・アルバが、魔術協会でも屈指の天才が磔にされていた。

「エ、エミヤーマンさん、この人は・・・」

へたりとその場に座り込み震えながら後ろを見やるバゼット。
生徒達の自習風景が広がっていると思った矢先にこれだ。十三歳の少女にはこの光景は
刺激が強すぎる。

が、

「ぶひゃーひゃっひゃっひゃっ、赤ザコの奴壁に埋まってやんのー!!」

この赤いのまったく空気読まない。
完全な霊体化などあっさりすっきり解除し、キョトンとしているバゼットをスルーし、
アルバにズンズンと詰め寄っていく。

「私に対してさんざんでかい口叩いていたアールーバーさーん?
シュポンハイムの未来の英雄アールーバーさーん?
学術だけではなく実戦においてもその才能が光るコルネリウス・アールーバーさーん?
何やってるんでちゅかー?壁にめり込むなんてギャグキャラのやる事ですよー?
お前なんてチョコレート工場で子供をおちょくっているのがお似合いだ!!
うははははははは」

バゼットは思った。こいつやっぱり悪霊なんじゃないかと。
と、ここで意識の無かったアルバに変化が生じる。

閉じられていた眼が開き、四肢から血を流しつつも全身に力を巡らせていく。そして―、

「誰がギャグキャラかー!!」

刹那―ちゅどこーん。
背後に爆発を起こしその勢いで壁から脱出するアルバ。
無事とは言えない。だが、目の前のエミヤへの怒りからか元気一杯に口論を始める。

「壁に埋まるのがギャグだとは酷い話だな。君は物事を一方向からしかとらえられない
ようだね」
「なんだと、昔から壁に埋まる=ギャグ描写だというのは定番ではないか。それを実践
したお前の存在もまたギャグだというのは語るまでもない事実」
「君のそういう所がナンセンスだというのだ、この下級霊め。私の埋まり方を思い出し
てみろ。十字架に掛けられたキリストのごときポーズだっただろう。壁に埋まっての
ギャグ描写というのは頭から埋まってお尻プリーンとなっている奴の事をいうのだよ。
いつか君が壁に埋まるとするなら間違いなくかっこ悪い埋まり方だな、間違いない。
そして尻の美しさを褒められて美術部のモデルになってしまえー」
「私はけっして埋まらないさ。お前と違って私は人間には負けられない存在だからな」
「私とアラヤに現在7連敗中の君がか?」
「い、いやーあのケースの場合は負けるが勝ちのケースであってだな、そのー」
「ほらみろ、この嘘つきめ」
「そ、そうだお前だって磔になっていたという事はついさっき誰かにボロ負けになった
ってことではないか!人の事を偉そうにいえる立場か!!」
「い、いやーあのケースの場合は負けるが勝ちのケースであってだな、そのー」

終わらない二人の口論。
一方、口論を横で聞いていたバゼットの脳内には四つの思いが渦巻いていた。

一つ、ああ良かった、あの赤い服の人酷い怪我みたいだと思ったけど大丈夫みたいだ。
二つ、アーチボルト講師にも生徒にも会えないなんて私はなんてついてないのだろう。
三つ、なんでかわからないけど無性にエミヤーマンをパンチで壁にめり込ませてえ。
四つ、赤い服の人の埋まっていた横に書いてある頭の悪いメッセージは何だろう。

『ウェイバー・ベルベットに告ぐ
お前が用意した偽者はこの通り俺が倒した。これを見たのならすぐに会議室に来い。
こなきゃあ殴るぞ。絶対に殴るぞ。
ついでにセーラ・マッコイとマリアンヌ・ダグラス・チャダ、
以上二名もこれを見たならすぐに会議室へ。        ケーン・アーチボルトより』


【人物紹介7 ケーン・アーチボルト】
41歳。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの従兄弟であり、今回のウェイバーを
巻き込んだエルメロイ派お家騒動の中心人物となる男。行動力のある努力するバカ。
思い込みが強くすぐに暴力で解決しようとすることから一部を除き嫌われている。
が、エルメロイ派の代表になろうとする思いは誰にも負けていないのがやっかいだ。

【人物紹介8 マリアンヌ・ダグラス・チャダ】
26歳。インドからやってきたシャーマン。ウェイバーと同様ケイネスの生徒だった。
同室のウェイバーを連れ帰り自分達の部族に加えたいと強く思っている。
魔術師としての公的な資格を得るためだけにインドからやって来ているので今回の事件と
は関係のないはずだった。ちなみに、ケイネスの生徒は彼の死が伝えられた後殆どが
去っていき、現在残っているのは三人のみとなっている。

【ここで視点チェーンジ!さあ選べー!】
笑顔のホワイト:「パスタうめー」セーラは会議室内で現実逃避していた。
涙のブルー:「パスタうめー」ケーンは学食で腹ごしらえをしていた。
お口がブラック:「パスタうめー」友人と食べるパスタは最高だとチャダは思った。
ありえなグレイ:「パスタうめー」自分の事を友人と言い張るおせっかいやきのおごりで 僕はパスタを食べていた。こいつの事は嫌いだけど学食のパスタはうまい。


投票結果


笑顔のホワイト:1
涙のブルー:0
お口がブラック:0
ありえなグレイ:5

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最終更新:2008年01月27日 23:16