778 :エルメロイ物語 ◆M14FoGRRQI:2008/05/04(日) 04:14:19
(ウィリアム君は思った、男子寮の危険から遠く離れなくてはとね。豚の反対はシャケ、
では男子寮の反対は?そう、女子寮ですよ。彼は男子寮の入り口から飛び出していくと
女子寮へと走っていった。で、その後の事ですが―実は私ここから先の事はまだ患者本人
から聞いてはいないのですよ。顔に張り付いた粘液のせいで酸欠に陥りその辺りの記憶が
曖昧だといっておりました)
(では、ここからは私が話そう)
ここから語り手は二人目の証言者、警備員(26)へと移る。
一つ目の事件から数分後、女子寮前―
ちょっちゅねエダブエは姪のルビィアを連れて女子寮の前に来ていた。
「うわー、とっても大きくて綺麗な建物ですわー」
「うん、気に入ってもらえたかい。それは何よりだ。後十年ぐらいしたらルヴィアも
ここで暮らすようになるからね。その頃にはもっと綺麗になっているはずだよ。
建物もルヴィアもね」
「そして叔父様はその頃には中年ですわね」
「はははっ、ひどいなルヴィア。こんな格好をしているが叔父さんはまだまだ
ヤングマンなつもりなのに」
(男子寮での大奇跡が発動したその時間、私は将来時計塔で学ぶであろう姪をつれて
構内を案内していた。そして、ちょうど女子寮の前に辿り着き、姪に説明をして
いた時だった)
「ところで叔父様、ここに来るまでに男子寮もちらっとだけ見ましたけどあっちは
結構年季の入った外観でしたわね。どうして女子寮はこんなにきれいなのかしら」
「余り大きな声じゃ言えないけど実は二年以上前に女子寮に痴漢が忍び込んでね、
それで不審者が侵入出来ないように防衛魔術の構築を一から見直したんだよ。
外観のリフォームはそのついでだよ」
「なんだかすごいですわねその痴漢。時計塔の女子寮っていったらちょっとした魔術師の
工房以上にセキュリティがすごそうなのに」
「うん、なんせ痴漢もここの魔術師だったからね。彼は自分の力を間違った方向に使って
しまったんだ」
(姪が痴漢事件に興味を持ったので私は学生時代を思い出し彼女にその頃の思い出を
聞かせてあげた。もちろん、痴漢や被害者は本名を伏せて話したよ)
「「うぉー!T子うぉー!」追い詰められた痴漢Aはやけくそになってターゲットの
女学生に襲い掛かる。そして始まったT子とAの追いかけっこ。二人は女子寮を
所狭しと駆け巡り階段を、他人の部屋を、ドアを、壁を、破壊しつくした!
ジョギング中の私や痴漢Aの知人のA2さんが通りかからなければここはいまだに
瓦礫の山になっていたかもしれなかった」
「叔父様カッコイイ!」
「でもいまや女子寮は完全無欠の要塞に生まれ変わった。不審者が近づけばあっという
間に吹っ飛ばされるだろう。もう誰も侵入に挑戦しようともしないはずだよ」
(ここまでの話を聞いたならもう分かるだろう。ああ、タイミングよく来てしまったんだ。
超ド級の変質者が。いや、それは本当は変質者などではなく迷走するウィリアム氏だった
わけだったんだがその時の私達にはどう見ても赤いパンストを被った変質者にしか見え
なかったんだ。ホラ、私アーチボルト家の人間とか一々覚えていないし)
「うぉー!女子寮うぉー!」
伝説の痴漢Aルバに勝るとも劣らない声を上げウィリアムは女子寮に突っ込んでいく、
急ぎ止めようとするルヴィア達、だがそれよりも速くウィリアムの目の前に突然現れた
霊体が彼の突撃を止める。赤い服、白い髪の霊。彼こそは―
「「エミヤーマンだ!!」」
(暴走するウィリアムを止めたのはエミヤーマンだった。この時の私達は彼の事を
迷子になりそうだったルヴィアを助けてくれた魔術師の霊だとしか認識していなかった。
だから、彼の行動を見守ってしまったのだ。それが大きな間違いだともきづかずに)
「女子寮うぉー!」
「はいどうどう、どこの誰かは知らんが落ち着け若者よ。まずは私の歌を聴くんだ」
エミヤはどこからともなくギターを取り出しその場で一曲歌いだした。
超合体フェイトHA 作詞・作曲エミヤーマン
冬木市の平和を守るため ヤクザの家から出動ワンツースリー
ヒロインワンは大空を飛べ(鳥のように)
ヒロインツーは橋を守れ(張飛のように)
ヒロインスリーは朝ごはんをしっかり食べて
夜は控えめに行け(太らないように)
腑に落ちないぜ ヒロインの桜
二つのルートが一つになって 超合体フェイトHA
必然的に一本余る(桜ルート)
どうにも腑に落ちないぜ ヒロインの桜
くすくす笑ってごーごー ぶるぶる震えてごーごー
くすくす笑ってごーごー オー服がシマシマ
家に帰ればお爺ちゃんが いつになったらお前は三位以内に入れるの?と言い
うるせージジイとついカーッとなってしまう
日に日にささくれる心を トドメの一撃
(ターニングポイント!)
燃えろ影の魔術 舞うよ触手達
家に帰ると こんな遅くまでどこへいってたんだと
お兄ちゃんがしつこく聞いてくるから
うるせーなこれだよと 握った拳から親指を突き出す見栄っ張りの桜
先輩との仲なんて全然進んでないのに
そんな嘘をついたら 何だか悲しくなってきて
余計にあの二人に対する怒りがこみ上げてくる
何をやっても長続きしない桜だが 夜の徘徊だけは不思議と長く続いた
ギルも吸い込み くすくすごーごー
アンリと一緒に くすくすごーごー(黒桜モード!)
果てしない憎しみの炎を消すために
行けフェイトHA 悪を討てHA!!
「どうだ、落ち着いたか!」
「うぉー!女子寮うぉー!!」
突撃する足を止め、感動の涙を流すウィリアム。エミヤは彼が落ち着いたのを確認すると、
ギターを消し話を切り出した。
「いいか、あの建物にはとんでもない防衛魔術が掛けられている、そのまま一人で
突撃したら君は消し炭になる所だったんだぞ」
「女子寮うぉー!」
「だから、二人で力を合わせよう。ちょうど私もインドロリの制圧に失敗して次は
女子寮にでも行ってみようかなーと思っていた所だ」
そう言いエミヤはその場で大きく跳躍、水泳の飛び込みに似た体勢で静止する。
ウィリアムもそれにならい同じポーズをとる。
「いくぞ女子寮、武器の貯蔵は十分か」
(私はようやく彼の正体がエロリストである事に気づいた。その時二人がとっていた
構えは間違いなく魔技・ダブルルパンダイブ、この二人をすぐさま私が止めなければ
あの時と同じかそれ以上の惨劇が女子寮で繰り広げられてしまう―!!)
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最終更新:2008年08月19日 03:11