928 :エルメロイ物語 ◆M14FoGRRQI:2008/05/15(木) 13:39:33
(体育館の地下にある訓練場、普段誰も立ち入らず維持費の無駄とすら言われている
その場所、そこにチャダさんはいた。体に巻いていた布は床に置かれてパンツ一丁だった。
そんでもって赤いのはいなかった。赤いのがチャダさんに何かしたであろうことは一目
瞭然。気まずさから僕は声をかけれないでいると、チャダさんからこっちに来てしまった)
「ウェイバーっ来てくれたのかっ、…ふぇぇん」
チャダはウェイバーにがっしとしがみ付き泣きついてきた。
パジャマが指で引き摺り下ろされていく。ウェイバーは慌てて両手でズボンを押さえた。
「チャダさん、そんなに引っ張るとパジャマ脱げるから」
「脱げっ」
「ぽえ?」
ウェイバーはチャダが自分のパジャマを脱がそうとしている事を理解、そしてその理由に
ついて一つの仮説を立ててからその確認をとった。
「もうそこまでフラグ進んでいたの!?」
「たわけっ」
刹那―ゴシカァン
「ぷげっ!!」
幼女の外見からは想像もつかない力でズボンが引っ張られ、ウェイバーはバランスを崩し
後頭部を板張りの床にモロにぶつけた。その下半身に既にズボンは無い。M字開脚の姿
で顔だけを上げるとチャダが自分のズボンを履いているのが見えた。
「上も借りるぞ。できれば普通の服がよかったのじゃが贅沢はいっておれんしな」
(どうやらその手のイベントが発生したのではなく、チャダさんはここから出て行く為の
服を欲しかっただけだった。でもそれならそこに落ちている布を巻きつければいいじゃん
とも思ったんだけど、それよりも僕には優先すべき非常に重大な疑問が新たに発生して
いた。目の前にあるチャダさんの股間、そこに向かって僕は聞いてみる)
「そういえばさ、チャダさんってチ○ンコあるの?」
言いつつ右手が伸びる、そしてその右手が目標に辿り着くよりも先にクロスカウンター
の形でチャダの前蹴りがウェイバーの顔面に吸い込まれた。
「ぷげらっちょ!!」
(気がつくとチャダさんは既にいなくなっていて僕はブリーフだけの姿で取り残されていた。
足元にはチャダさんが巻いていた布。しかたがない、これを着ていくかと思ったのだけど
僕にはこれの巻き方がさっぱり分からなかった。結局色々試行錯誤した結果僕が体育館の
外に出てこれたのは多分10分ぐらい立ってからだったと思う)
(それじゃあその間外であった事を私が話せばいいのだな)
最後の証言者、学生新聞部部長(22)の証言
「死ねー!エミヤーマン!」
「あわびゃー!」
学生レスラー軍団のリーダー、パトリシア・コーラルサワーが突然のタックルで
反応する間もなく吹き飛ばされる。
「エルメロイ派の牙城、そして今この手にある利権は絶対にやらせはせん、
やらせはせんぞエミヤーマンども!!」
「ぎゃー!」
間合いを見誤った野次馬集団が蹴散らされていく。それを止めようとした講師達も同様に。
「滅びてしまえ、緑色で半透明のエミヤーマン!!」
「…ぬ!?」
こるねりうスライムの眉間に仕込み杖がずぶりと刺さる。しかしスライムは物理的な
攻撃に対してほぼ無敵なのでリアクションにも結構余裕があった。
(ミスターソフィアリの狂乱ぶりはそれはすさまじかったよ。もうターゲットである
エミヤーマンとかいうのが男だったか女だったか個人だったか団体だったか人型だったか
スライムだったかも忘れてしまうぐらいだからな。幸いケガ人は多数いたが皆ここの
医務室で安静にしていれば直る程度の怪我ですんだ。いや、一人だけ…一体だけやば
かったのがいたな)
スライムに突っ込んだ仕込み杖を時計回りに捻りミスターソフィアリが詠唱する。
「Es schmilzt(溶けろ)」
僅かな詠唱とともに杖が一瞬熱を帯びたかのように輝きスライムの右半身が泡立ち一瞬で
蒸発する。予想だにしない深手を負ったスライムは杖が体から抜かれると同時に
水溜りの様に厚みを失い崩れ落ちる。
(なあ、この時私はすっかり失念していたわけだよ。降霊学部長であるミスターが
エーテル体で構成されているスライムに対してどれだけ相性がいいかをね。彼にとっては
スライムに致命傷を与える事なんて非常に簡単な事だったんだよ)
余命いくばくもないスライム、彼に対して新聞部部員がまだ喋れる内に情報を得ようと
マイクを押し付け質問する。
「スライムさん、ゲームブックスレのスライムの方が高性能だった事について何か一言!」
「ぐぱぁ!!」
今一番聞かれたくない事を聞かれ、スライムの体の崩壊が一気に加速した。
(悲しい事にもう、スライムが助かる可能性はほぼゼロになったといってもよかった。
この時彼が助かるには、『スライムの製作者であるコルネリウス・アルバが』
『瀕死のスライムが吸収しやすいようゼリーの様な物質に魔力を込めて』
『ミスターソフィアリに邪魔されないようにそのゼリーを届ける』
これだけの偶然の連続が必要だったのだよ。なあ、そんな事現実に起こると思えるか?)
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最終更新:2008年08月19日 03:12