100 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg:2008/03/16(日) 01:06:35
「いや、そんなんじゃないぞ」
ようやく蹴りの痛みから立ち直った俺は、そう言って否定した。
……果たして蒔寺に怪しまれないような表情を保てていただろうか。
氷室から、こっ……告白された、とは言え、まだ正式に返事をしていない以上、付き合っているとは言えないだろう。
……しかし、女の子から告白されたのに、その返事を曖昧にして保留ってのは、やっぱり情けないよなぁ。
「ふーん。意外とあっさり否定するんだ、衛宮は。
氷室、こいつの言ってること、本当……なの……か……?」
そう言って氷室のほうを向きかけた蒔寺だったが。
氷室の姿を見て、そのまま全身が石化した。
「いや……付き合っている、と公言するのは、その……語弊がある、な……」
氷室は頬を赤らめながら、ごにょごにょと呟いた。
告白したことをそのまま話すのは避けたいんだろうか。
あー、なんだ……こういう氷室の姿を見るのは、素直に可愛いと、思う。
「…………」
しかし、俺とは違って蒔寺のほうは、可愛いだけでは済ませられなかったらしい。
例えて言うなら、慎二が三国無双ばりの大活躍をしているのを見たかのような顔だろうか。
その顔が、ぎぎぎ、と音がしそうな勢いで、再び氷室のほうから俺のほうへ。
む、嫌な予感。
総員対ショック体勢急げー。
「え、え、衛宮ーっ!!
お前ホントに何しやがったーっ!?
一体何を食わせたら氷室があんな反応するようになったんだコラ!?」
ダメです艦長、間に合いませんでしたー。
火がついたように怒りだかなんだかをぶつけてくる蒔寺に、俺の艦首がガクンガクン揺さぶられてます。
「OKOK、蒔寺待てっ!
時に落ち着けって!!
本当になんでもないっての!
誤解だ、変な勘ぐりはよせっ!!」
「ゴカイもイソメもあるかーっ!!
あんな乙女オトメした氷室、アタシでも見たことねぇっての!
一体どんな卑劣な罠に嵌めた!?」
「ままままて、そんな揺さぶられると喋れるものも喋れんぞ!?」
「……罠、か……確かに恋の罠、という言葉もあるが……」
おおおいっ!?
氷室ったらなんでそこにだけ反応するのさ!?
ひょっとして無意識に俺たちのことをばらそうとしてないか!?
「遠坂だけでは飽き足らず、氷室まで毒牙にかけようとは!
ことと次第によっちゃ、お天道様が許してもこの蒔寺楓が許さねぇ!
さあ、キリキリ白状しやがれーいっ!!」
蒔寺の高速シェイクはとどまることを知らない。
氷室は軽くトリップしているのか、手を貸してくれそうにない。
このままじゃ、本題に入ることすら出来ないぞ。
ど、どうする、俺……!?
α:あくまで氷室とは一切何の関係もないんだ、と主張する!
β:蒔寺の手を振り解いて、ここは逃げの一手だ!
γ:一人で待っているのに飽きた雛苺が乱入してきた!
δ:側を通りかかった三枝さんに助けを求める!
ε:この際、開き直って氷室との交際を認める!
投票結果
最終更新:2008年08月19日 03:45